異世界転生した元傭兵、銃で無双して何が悪い?〜弾丸こそが俺の魔法だ。神も魔王も、等しく脳天を撃ち抜く〜

☆ほしい

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第11話

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神官の肉片が霧と一緒に空中に弾け飛び、あたりの空気が一変した。焼けた血の匂いと、濃厚な魔力の澱みが混じり合い、喉が焼けるような刺激が肺に突き刺さる。だが俺は一切動じねぇ。これくらいの毒気、戦場じゃ日常茶飯事だ。

レナが駆け寄ってきた。顔色は悪ぃが、足はしっかり動いてる。まだ“使える”って証拠だ。

「……リック、今の……」

「“神殺し予備校”ってとこだな。こっから先は、もっとクソな連中が出てくるだろうさ。だが、それでいい。腕が鳴る」

教会の奥に向かって歩き出す。破壊された神官の死体の周囲には、薄っすらと黒い残滓が漂ってる。スキル発動。弾薬精製。生成されたのは、漆黒に赤い筋が走る弾丸。刻まれたルーンは、見てるだけで吐き気がする。

『深層呪殺弾(契印)』──霊核保持体に対し即死効果+神性存在の再生能力を完全無効化。

「上等だ。これで、再生持ちでも無駄な時間稼ぎはできねぇってわけだ」

ジャッジメントにこいつを込める。重さは変わらねぇが、指先の感触が微かに軋む。まるで銃のほうが、弾を拒絶してるみてぇだ。だが俺は無視する。使うも使わねぇも、決めるのは俺だ。

教会の祭壇の奥には、巨大な扉があった。二体の石像がその両側を守ってる。どちらも人の形をしてるが、顔には何の感情もねぇ。ただ、俺が近づくと同時に、その目が赤く光った。

「門番か。儀礼的なもんかと思ったが、どうやらこっちは実務担当らしいな」

レナが背後で身構えるのがわかる。だが今は、手出しは無用だ。こいつは“突破力”で決める戦いだ。スキャン発動。属性、構造、動作速度、全部見える。

「弱点は……右肩の関節部か。隠してるつもりかもしれねぇが、俺には全部見えてるぜ」

一発目、重力弾。関節に叩き込んで可動範囲を狂わせる。二発目、呪殺弾。動作を止める。三発目、深層弾を直接胸部にぶち込む。

石像がバキバキと音を立てて崩れ落ちる。だが、もう一体がその隙を突いて腕を振り下ろしてきた。俺は後方に跳躍。レナが地面に身を投げる。石の腕が床を砕く音が耳を刺す。

「いい反応だ、レナ。次は左から回り込め。俺が前を引きつける」

「了解!」

レナが素早く影に入り、石像の背後を取った。俺は前から一発、もう一発と牽制を撃ち込み、視線をこっちに集中させる。

「視線が俺に向いてるうちに……今だ、いけ!」

レナが手にした短剣を構え、石像の背部にある接合部に突き立てる。同時に、俺が重ねて撃った呪詛弾が正面から命中。二方向からの攻撃で、奴の内部構造が崩れた。

音を立てて崩れる石の巨体を見下ろしながら、俺はつぶやいた。

「これで、扉を開けられるってわけか」

扉の前に立つと、自然に魔力の鍵が解放された。深紅のラインが扉全体に走り、ゆっくりと重く開いていく。その先に広がるのは、明らかに建築基準法を舐めた空間。上下左右の概念が曖昧で、重力のベクトルがところどころで歪んでる。

「……空間構造が壊れてる。ここが神殿ってわけか。いや、これは“神殿のフリした監獄”だな」

中央に浮かぶ巨大な球体。中には、胎児のようなものが浮かんでいる。目は閉じ、手は胸の前で交差されている。だが、そいつの存在感だけが空間を支配してた。

「レナ、お前はここから下がれ。そいつを見た瞬間、脳が焼ける可能性がある」

「で、でも……!」

「命令だ。これは“傭兵の仕事”だ。お前は巻き込まれるな」

レナが一歩後退した。顔に悔しさがにじんでたが、従った。いい子だ。わかってきたじゃねぇか。

俺はゆっくりと球体に近づき、スキャンを発動する。だが、情報が出ねぇ。存在情報、反応なし。まるで“そこにない”みてぇに。

「チッ……てめぇ、情報すら拒絶するってか。だが、俺の弾は、存在を問わねぇ」

銃口を上げる。弾は一発。だが、それで十分だ。引き金を引く直前、そいつが目を開けた。

中の胎児が、明確な意思を持って、こっちを見た。

「……やっと起きやがったか。お前がこの世界の神か? それとも、神を喰った何かか?」

無言。だが、次の瞬間、球体が脈打つ。空間が震え、音が消えた。時間すら止まりかける感覚。だが、俺は引き金から指を離さねぇ。

「答えなくていい。どうせ、お前の言葉より、俺の弾のほうが説得力がある」

ジャッジメントが咆哮する。深層呪殺弾が解き放たれ、空間を裂きながら球体に到達した。次の瞬間、世界が――色ごと、裏返った。
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