サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

☆ほしい

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第44話

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水を蹴りながら進んでいくと、俺の感知スキルに新たな気配が引っかかった。
だが、今までのような恐怖や絶望の気配ではない。
静かに──いや、確かな敵意を燃やしている存在だ。

(まだ、こんなところに立ち向かう奴がいるのか)

俺は気配の方向へ舵を切った。
すぐに、数体の影が見えてきた。

「来たな……」

「俺たちは、逃げない……!」

「たとえ勝てなくても、この海を、誇りを、渡すわけにはいかない!」

(ほう)

小型のモンスターたちだったが、明らかに意志が違った。
怯えることなく、真っ直ぐ俺を見据えている。

「バケモノめ……!」

「この海を……好きにはさせない……!」

「たとえこの命を散らしても……!」

俺は無言で彼らを見下ろした。
数では俺が圧倒しているわけではない。
彼らも、戦える力を持っている。

だが、勝てるかどうかは別だ。

(悪くない)

俺は水流支配を最大限に展開した。

「来るぞ!」

「構えろ……!」

「最後まで、諦めるな!」

彼らは一糸乱れぬ動きで隊列を組み、俺に向かって突撃してきた。

その動きは鋭い。
今までの雑魚どもとは格が違う。

「いけえええええ!」

「全力で叩き込め!」

「怯むなああああああ!!」

俺は迎え撃つべく牙を剥いた。
水を切り裂きながら、一気に距離を詰める。

「速いっ……!」

「だが、怯むな! 囲め!」

「一気に仕留めろ!」

(無駄だ)

感知スキルで全員の動きを読み切り、牙を振るう。

ザシュッ!

一撃で一体の肩口から腹までを切り裂いた。

「があああああ!!」

「ケイン!!」

仲間の叫びが響くが、俺は容赦しない。

すぐに次の個体に飛びかかり、喉笛を食いちぎった。

「うわあああああ!!」

「くそっ……!」

「やらせるかああああ!!」

残ったモンスターたちが必死に反撃してくる。

鋭い爪が、牙が、水刃が俺に向かって襲いかかる。

だが、すべて読んでいる。

「ここだっ!」

「もらったぁぁぁ!!」

(甘い)

俺は水流を操って攻撃を逸らし、逆にカウンターを叩き込む。

ズバッ!!

「ぐあああああ!!」

「だ、誰かっ……!」

「まだだ、まだやれる!」

最後まで諦めずに立ち向かってくる彼らを、俺は一瞬だけ認めた。

だが、それだけだ。

勝負は最初からついている。

俺は高速遊泳と水圧噴射を同時に発動し、信じられない速さで彼らの懐へ飛び込んだ。

「こ、こいつ……!」

「見えねぇ……!」

「速すぎるっ……!」

牙を突き立て、喉を裂き、心臓を砕く。

瞬く間に数が減っていく。

「うあああああああ!!」

「がはっ……!」

「無念……だ……」

最後の一体を叩き伏せたとき、俺は少しだけ深く息を吐いた。

(まあ……悪くなかった)

小型ながら、ここまでやれる個体は珍しい。

俺は彼らの死体を喰らい始めた。

血が甘い。

力が、濃い。

【経験値を大量に獲得しました】
【筋力がさらに上昇しました】
【敏捷がさらに上昇しました】
【耐久がさらに上昇しました】

喰らいながら、俺はまた感知スキルを広げた。
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