サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

☆ほしい

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第43話

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水流に飲み込まれ、断末魔をあげるモンスターたちを尻目に、俺はさらに前へ進んだ。
すでにこの一帯に俺に敵対する存在はいない。
すべてが、俺に屈している。

「な、なんてことだ……!」

「海の秩序が……!」

「終わった……すべてが終わった……!」

(秩序? そんなもの、俺には必要ない)

この海は俺のもの。
俺がルールだ。

何匹か、まだ抵抗を諦めていないのか、震えながら武器を構えて向かってくる個体がいた。

「俺たちで……!」

「数で押せば、きっと……!」

「奴を止めるんだ……!」

(無駄だ)

俺は水を蹴り、一瞬で間合いを詰めた。
彼らが反応する間もなく、牙を振るう。

「ぐあっ!」

「がはっ!」

「ぎゃあああああ!!」

たった一撃。
それだけで彼らの身体は血に染まった水中へと舞った。

「ば、バケモノだ……!」

「に、逃げろっ……!」

絶望に駆られて逃げ出す個体もいたが、水流支配の中では思うように動けない。

逃げようとしたその瞬間、俺は牙を突き立てた。

「うわあああああ!!」

肉が裂け、骨が砕け、血が舞う。

逃がすつもりなど最初からない。
この海に存在するすべてを、俺のものにするために。

「か、勝てない……!」

「た、助け……!」

「誰か……誰かぁああああ!!」

悲鳴は心地よい音楽にすら聞こえた。
俺の支配を祝福する合唱にすら思える。

喰らうたび、俺の力は膨れ上がる。

【筋力がさらに上昇しました】
【敏捷がさらに上昇しました】
【耐久がさらに上昇しました】

成長が止まらない。
進化は続く。

俺はひたすらに、海を蹂躙し続けた。

「許さない……!」

「この海は俺たちのものだったのに……!」

「奪わないでくれ……!」

(最初から、俺のものだ)

俺は一切の慈悲も見せず、牙を突き立てた。

「ぎゃあああああ!!」

「がっ……があああああ!!」

「うわあああああ!!」

命を散らし、血が海を赤く染める。

生き残ったモンスターたちも、もはや戦う気力すらない。

「……勝てない……」

「……どうせ殺されるなら……!」

「……せめて、誇りだけは……!」

最後の抵抗。

哀れな決意。

だが、それすら俺には無意味だった。

牙を振るい、爪を振るい、圧倒的な力でねじ伏せる。

一瞬で片が付く。

俺の前に立ち塞がるものなど、もはや存在しない。

「……化け物」

「……災厄」

「……海を喰らう者」

(いい響きだ)

俺はそれらすべてを受け入れた。
何を言われようと関係ない。

事実、俺がこの海を支配したのだから。

すべての生き物たちが俺に跪き、怯え、恐れ、称える。
それが現実だ。

俺は感知スキルを広げ、海全域に意識を向けた。

敵意なし。
敵対するものなし。
ただ、支配の実感だけが広がっていく。

(これで……この海は完全に俺のものだ)

だが、それでも満たされなかった。

さらなる力を求め、俺は水を蹴った。

まだ見ぬ世界へ、さらなる進化のために。
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