サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

第45話

モンスターたちを食らい尽くし、血の味を堪能した俺は、さらに深く海底へと進んだ。
感知スキルが広がった先で、新たな気配を捉える。

「来たか……」

「ついに、ここまで……」

「終わりだ……この世界も……」

ざわつく声が水流に乗って俺の耳に届く。
だが、怯えや絶望とは違った。
これは、覚悟の匂いだ。

（またか。だが、歓迎してやる）

俺はゆっくりと進んでいった。

すると、数十体ものモンスターたちが、整然と俺を待ち受けていた。
その中心に、ひときわ大きな個体が立っていた。

「貴様が……噂の存在か」

「海を血に染め、秩序を蹂躙する怪物……！」

「だが、ここは通さん！」

（また自殺志願者か）

俺は牙を剥き出しにして、構えた。

敵は小手調べとばかりに、数体のモンスターを俺に向かわせてきた。

「いけぇ！」

「止めろ、止めるんだ！」

「今だ、囲め！」

（甘い）

俺は水流支配を駆使して、相手の動きを封じた。
そして、牙を突き立て、一撃で仕留める。

「がああああ！」

「くそっ、効かねえ！」

「まだだ、まだ終わらせない！」

次々に飛びかかってくるモンスターたちを、俺は次々となぎ倒していった。

一撃ごとに肉が裂け、血が舞う。

「ぐああ！」

「ギャアアア！」

「た、耐えろ！　絶対に耐えろ！」

俺に向かって放たれる攻撃も、すべて読んでいた。
高速遊泳と感知スキルを組み合わせ、完璧に回避する。

「どうなってやがる……！」

「速すぎる……！」

「バケモノが……！」

（当然だ）

俺は敵の懐に飛び込み、牙で喉を掻っ切った。

「ぎゃああああ！」

「助けてくれえええ！」

「まだだ、まだ諦めるな！」

死体が増えるたびに、敵の士気が削れていく。
だが、中心にいる巨大な個体だけは、まだ動かない。

「奴を倒すまで、俺たちは負けられない！」

「誇りのために……！」

「この海を守るために……！」

（守る？　この海はもう俺のものだ）

俺は牙を剥き、次の標的に向かって突進した。

「くるなああああ！」

「やめろおおおお！」

だが、止まらない。
俺はためらわず、敵の急所を狙い、確実に仕留めた。

ズバッ！

「がっ……あああああ！」

「く、くそっ……！」

「諦めるな、まだ……！」

残ったモンスターたちも必死に抵抗を続けるが、もはや数に意味はなかった。

俺は水流を操り、彼らの行動を封じる。

「動けねえっ！」

「な、何だこの水流は！」

「くそっ、身体が……！」

（抵抗は無意味だ）

次々と牙で貫き、血を吸い、肉を喰らった。

「ぎゃああああ！」

「助けてくれええええ！」

「うわあああああああ！」

一体、また一体。

命が絶えていく。

死体の山が積み重なっていく。

それでも、中心の巨大な個体は動かない。

「ここまでか……」

「だが、よくやった……！」

「後は……俺に任せろ！」

巨大な個体が、ついに動いた。

その気配は、今までのどの敵とも違った。

（ようやくか）

俺はにやりと笑い、迎え撃つ構えを取った。