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第68話
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崩れゆく遺跡を背に、俺たちは全軍で撤収を開始した。
瓦礫が降り注ぐ中、速度を落とすことなく、全員が泳ぎ続けた。
(フィン、後方状況報告)
(異常なし! 追撃もありません!)
(よし、全軍、このまま脱出ルート維持)
(了解ッ!)
骨槍を構えたまま、俺は後衛を守りながら進む。
後方から崩れ落ちる音と水の振動が響くたび、身体に緊張が走った。
だが、兵たちは動揺しない。
フィンを中心に各部隊がしっかり統制され、脱出ルートを正確に進んでいた。
数分後、外縁部へ到達した。
(ここまで来ればもう安全だ)
フィンが安堵の声を漏らす。
(王、全軍脱出完了です!)
(よし。すぐに拠点へ帰還するぞ)
(了解ッ!)
帰還命令と同時に、軍勢が進路を変えた。
崩壊した遺跡の瓦礫がゆっくりと海底に沈んでいく。
だが、その中心から新たな波動が生まれているのを、俺は感知していた。
(フィン、気づいてるか)
(はい……何か、残ってますね)
(ああ。だが、今は深入りしない)
(了解)
帰還途中、フィンが確認に来た。
(王、回収した核の残骸、解析班に回しますか?)
(すぐに回せ。何か使えるものがあれば応用する)
(了解ッ!)
さらにフィンが続けた。
(それと、討伐報酬の集計です)
(言え)
(全軍無事、軽傷者十三名。古代モンスターの素材回収完了。エネルギー核の破片三十二個確保。瘴気結晶五個)
(上出来だ)
(これで深海素材も充実しますね)
(すべて兵装強化に回せ)
(了解ッ!)
拠点が視界に入った。
巨大な防壁、哨戒網、補給基地、すべてが整備されつつある。
拠点に戻ると、待機していた補給部隊と作業班が出迎えた。
「王、お帰りなさい!」
「負傷者はこちらへ!」
「回収物資、即座に解析に回します!」
フィンが俺の隣で満足そうに頷いた。
(王、これで深海底の探索も完了です)
(次の作戦に移るぞ)
(了解!)
俺は全軍に命じた。
(全軍、休息と補給を行え。その後、深海素材を用いて兵装を全面強化する)
「了解!」
「武装班、準備に入ります!」
「鍛冶施設、稼働開始!」
フィンが再確認に来た。
(王、強化対象は?)
(まず突撃隊の武器を強化。次に防衛隊の盾と鎧。遊撃隊には軽装と索敵強化装備)
(了解ッ!)
鍛冶施設では巨大な甲殻や瘴気結晶を使い、次々に武器と防具が生み出されていく。
鍛冶師のクラブ型モンスターが鋏を打ち鳴らしながら叫んだ。
「王よ! この素材、超高密度! 今までにない強化が可能だ!」
「最高の武器を作り上げるぞ!」
フィンが笑った。
(これでさらに戦力が跳ね上がりますね)
(当然だ)
補給班が作ったリストが回ってきた。
新装備案――
・甲殻合金骨槍【破滅】
・瘴気結晶双刃【蝕】
・超硬甲殻盾【絶対防衛】
フィンが読み上げる。
(王、どれも即戦力です)
(全軍に配備しろ。余った資材で予備も作成)
(了解ッ!)
軍勢の士気は高まっていた。
新たな力を得て、次なる侵攻準備は整いつつあった。
俺はさらに命じた。
(深海底の探索班を再編成しろ。崩壊した遺跡周辺を調査させる)
(了解! 遊撃隊から精鋭を選抜します)
補給、兵装強化、索敵網拡張。
すべてが滞りなく進んでいく。
フィンが再び報告に来た。
(王、深海渓谷側から新たな異常波動を感知しました)
(どの程度だ)
(小規模ですが、明らかに自然発生ではありません)
(探索隊を派遣しろ)
(了解ッ!)
探索隊が編成され、深海渓谷へと向かった。
俺は拠点に残り、さらに次の作戦立案に入った。
瓦礫が降り注ぐ中、速度を落とすことなく、全員が泳ぎ続けた。
(フィン、後方状況報告)
(異常なし! 追撃もありません!)
(よし、全軍、このまま脱出ルート維持)
(了解ッ!)
骨槍を構えたまま、俺は後衛を守りながら進む。
後方から崩れ落ちる音と水の振動が響くたび、身体に緊張が走った。
だが、兵たちは動揺しない。
フィンを中心に各部隊がしっかり統制され、脱出ルートを正確に進んでいた。
数分後、外縁部へ到達した。
(ここまで来ればもう安全だ)
フィンが安堵の声を漏らす。
(王、全軍脱出完了です!)
(よし。すぐに拠点へ帰還するぞ)
(了解ッ!)
帰還命令と同時に、軍勢が進路を変えた。
崩壊した遺跡の瓦礫がゆっくりと海底に沈んでいく。
だが、その中心から新たな波動が生まれているのを、俺は感知していた。
(フィン、気づいてるか)
(はい……何か、残ってますね)
(ああ。だが、今は深入りしない)
(了解)
帰還途中、フィンが確認に来た。
(王、回収した核の残骸、解析班に回しますか?)
(すぐに回せ。何か使えるものがあれば応用する)
(了解ッ!)
さらにフィンが続けた。
(それと、討伐報酬の集計です)
(言え)
(全軍無事、軽傷者十三名。古代モンスターの素材回収完了。エネルギー核の破片三十二個確保。瘴気結晶五個)
(上出来だ)
(これで深海素材も充実しますね)
(すべて兵装強化に回せ)
(了解ッ!)
拠点が視界に入った。
巨大な防壁、哨戒網、補給基地、すべてが整備されつつある。
拠点に戻ると、待機していた補給部隊と作業班が出迎えた。
「王、お帰りなさい!」
「負傷者はこちらへ!」
「回収物資、即座に解析に回します!」
フィンが俺の隣で満足そうに頷いた。
(王、これで深海底の探索も完了です)
(次の作戦に移るぞ)
(了解!)
俺は全軍に命じた。
(全軍、休息と補給を行え。その後、深海素材を用いて兵装を全面強化する)
「了解!」
「武装班、準備に入ります!」
「鍛冶施設、稼働開始!」
フィンが再確認に来た。
(王、強化対象は?)
(まず突撃隊の武器を強化。次に防衛隊の盾と鎧。遊撃隊には軽装と索敵強化装備)
(了解ッ!)
鍛冶施設では巨大な甲殻や瘴気結晶を使い、次々に武器と防具が生み出されていく。
鍛冶師のクラブ型モンスターが鋏を打ち鳴らしながら叫んだ。
「王よ! この素材、超高密度! 今までにない強化が可能だ!」
「最高の武器を作り上げるぞ!」
フィンが笑った。
(これでさらに戦力が跳ね上がりますね)
(当然だ)
補給班が作ったリストが回ってきた。
新装備案――
・甲殻合金骨槍【破滅】
・瘴気結晶双刃【蝕】
・超硬甲殻盾【絶対防衛】
フィンが読み上げる。
(王、どれも即戦力です)
(全軍に配備しろ。余った資材で予備も作成)
(了解ッ!)
軍勢の士気は高まっていた。
新たな力を得て、次なる侵攻準備は整いつつあった。
俺はさらに命じた。
(深海底の探索班を再編成しろ。崩壊した遺跡周辺を調査させる)
(了解! 遊撃隊から精鋭を選抜します)
補給、兵装強化、索敵網拡張。
すべてが滞りなく進んでいく。
フィンが再び報告に来た。
(王、深海渓谷側から新たな異常波動を感知しました)
(どの程度だ)
(小規模ですが、明らかに自然発生ではありません)
(探索隊を派遣しろ)
(了解ッ!)
探索隊が編成され、深海渓谷へと向かった。
俺は拠点に残り、さらに次の作戦立案に入った。
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