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第18話
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技術標準規格の制定に着手したわたくしは、次に、それを実際に運用するための制度設計に取りかかりましたの。
わたくしのもとで作られた魔導具や技術が、野放図に拡散してしまえば、いずれ王都に悪用されるか、あるいは無知な者たちに歪められてしまいますもの。ですから、統制と自由を両立させるための仕組み作りが不可欠なのですわ。
「リゼ、今後この村で製造されるすべての魔導具には、認証刻印を埋め込みなさい。わたくしの設計した、意思判定式のものを」
「は、はい! ……あの、意思判定って……?」
「その魔導具を“どう使うか”によって、動作が変わる仕組みですわ。“破壊目的”と判定された場合、即座に自己崩壊する設計にしてありますの」
リゼが小さく息を呑む音が聞こえましたけれど、これくらい当然ですわ。技術は人を救うためにある。だからこそ、わたくしの技術は“選ばれる”資格を持った者だけが使うべきですの。
さらに、交易網の拡大に合わせて“技術庁”を設立いたしましたの。庁舎は研究棟の隣に設置し、わたくし直轄の技術士たちを集め、開発、審査、教育、輸出管理の四部門を整備。
「あなたたちの任務は単純明快。“技術を生かすこと”。誰かの利権のためではなく、国家のためでもなく、人々の未来のために動きなさいませ」
わたくしの言葉に、集まった若き技術士たちは一様に胸を張りましたわ。ええ、いい顔をしております。王都の学堂では決して育たぬ、本物の技術者の顔ですわ。
新体制が整ってまもなく、交易団からも次々と成果報告が届きましたの。
「自由都市群では、わたくしたちの魔力冷却装置が飛ぶように売れています!」
「北方鉱山都市では、採掘用魔導補助具の試験導入が始まりました!」
「さらに、沿岸都市から“魔力式港湾荷役機構”の共同開発依頼が……!」
ふふ、まさに順風満帆。この勢いで、一気に外部との技術網を構築し、王国の支配網とは別系統の“知識による国家連携”を作り上げてしまいましょう。
けれど、わたくしは浮かれませんでしたの。なぜなら、これだけ目立てば、当然、“あちら側”も動き出すからですわ。
「リゼ、警戒レベルを一段階引き上げなさい。対外工作、暗殺、技術窃取。ありとあらゆる手が使われると想定して動きますわよ」
「……はいっ!」
わたくしはすぐさま、魔導兵器網を再編成し、村全域を多重防衛結界で覆いましたの。特に対人間用結界については、“殺さず、しかし無力化する”を徹底。技術は命を奪うためのものではないという理念は、どこまでも守り抜きますのよ。
案の定、その夜。
“侵入者、四体確認。魔力反応:微弱。非武装偽装。行動パターン:窃盗型”
警報が、静かにわたくしに告げました。
「来ましたわね」
わたくしは寝巻きのまま応接ホールへ移動し、侵入者たちの動きを魔力視界で追跡。ふふ、まるで子猫の悪戯のようですわね。結界に触れた瞬間、四体すべてが糸に絡まった虫のようにもがき始めましたの。
「リゼ、捕縛ユニットを発動なさい」
「了解! 発動します!」
数秒後、侵入者たちは無力化され、わたくしの前に引きずり出されましたわ。
「さて――わたくしの村に、無断で足を踏み入れた理由を、お聞かせ願えますかしら?」
震える若者たちは、怯えきった目でわたくしを見上げておりましたの。ああ、愉快ですわ。これが“わたくしという存在”を甘く見た愚か者の末路ですもの。
わたくしのもとで作られた魔導具や技術が、野放図に拡散してしまえば、いずれ王都に悪用されるか、あるいは無知な者たちに歪められてしまいますもの。ですから、統制と自由を両立させるための仕組み作りが不可欠なのですわ。
「リゼ、今後この村で製造されるすべての魔導具には、認証刻印を埋め込みなさい。わたくしの設計した、意思判定式のものを」
「は、はい! ……あの、意思判定って……?」
「その魔導具を“どう使うか”によって、動作が変わる仕組みですわ。“破壊目的”と判定された場合、即座に自己崩壊する設計にしてありますの」
リゼが小さく息を呑む音が聞こえましたけれど、これくらい当然ですわ。技術は人を救うためにある。だからこそ、わたくしの技術は“選ばれる”資格を持った者だけが使うべきですの。
さらに、交易網の拡大に合わせて“技術庁”を設立いたしましたの。庁舎は研究棟の隣に設置し、わたくし直轄の技術士たちを集め、開発、審査、教育、輸出管理の四部門を整備。
「あなたたちの任務は単純明快。“技術を生かすこと”。誰かの利権のためではなく、国家のためでもなく、人々の未来のために動きなさいませ」
わたくしの言葉に、集まった若き技術士たちは一様に胸を張りましたわ。ええ、いい顔をしております。王都の学堂では決して育たぬ、本物の技術者の顔ですわ。
新体制が整ってまもなく、交易団からも次々と成果報告が届きましたの。
「自由都市群では、わたくしたちの魔力冷却装置が飛ぶように売れています!」
「北方鉱山都市では、採掘用魔導補助具の試験導入が始まりました!」
「さらに、沿岸都市から“魔力式港湾荷役機構”の共同開発依頼が……!」
ふふ、まさに順風満帆。この勢いで、一気に外部との技術網を構築し、王国の支配網とは別系統の“知識による国家連携”を作り上げてしまいましょう。
けれど、わたくしは浮かれませんでしたの。なぜなら、これだけ目立てば、当然、“あちら側”も動き出すからですわ。
「リゼ、警戒レベルを一段階引き上げなさい。対外工作、暗殺、技術窃取。ありとあらゆる手が使われると想定して動きますわよ」
「……はいっ!」
わたくしはすぐさま、魔導兵器網を再編成し、村全域を多重防衛結界で覆いましたの。特に対人間用結界については、“殺さず、しかし無力化する”を徹底。技術は命を奪うためのものではないという理念は、どこまでも守り抜きますのよ。
案の定、その夜。
“侵入者、四体確認。魔力反応:微弱。非武装偽装。行動パターン:窃盗型”
警報が、静かにわたくしに告げました。
「来ましたわね」
わたくしは寝巻きのまま応接ホールへ移動し、侵入者たちの動きを魔力視界で追跡。ふふ、まるで子猫の悪戯のようですわね。結界に触れた瞬間、四体すべてが糸に絡まった虫のようにもがき始めましたの。
「リゼ、捕縛ユニットを発動なさい」
「了解! 発動します!」
数秒後、侵入者たちは無力化され、わたくしの前に引きずり出されましたわ。
「さて――わたくしの村に、無断で足を踏み入れた理由を、お聞かせ願えますかしら?」
震える若者たちは、怯えきった目でわたくしを見上げておりましたの。ああ、愉快ですわ。これが“わたくしという存在”を甘く見た愚か者の末路ですもの。
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