追放令嬢、魔導と科学で文明開花いたしますわ〜辺境から始める世界再設計〜

☆ほしい

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第51話

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 調査映像に映る青白い光の下、古代魔導構造体の輪郭が徐々に明らかになっていきましたの。

 「リゼ、現地班に指示なさい。周囲の安定化魔法陣を展開し、波動の暴走を防ぎなさいませ」

 「はいっ、すぐに!」

 リゼが魔導通信で指示を飛ばすと、現地ではすぐに制御用結界の展開が始まりましたの。魔力を吸い取るかのように脈動する遺構は、既存の古代魔具とは明らかに一線を画しておりましたの。

 「リゼ、あの構造体……わたくしの記憶にある魔導文字体系と照合なさい」

 「照合開始……完了! 古代アル・ゼクト様式の第六期構文です!」

 「第六期、ですの? それは、わたくしですら未解析の区画ですわ」

 情報解析班の主任が中継に割って入りましたの。

 『お嬢様、これ……間違いありません。旧世界終末期に設計された“自律進化型魔導制御核”です!』

 「ふふっ、これでございますわ」

 わたくしは笑みを深めましたの。

 「リゼ、全制御権限をわたくしに集約なさい。現地の調査班は補助に回し、完全接続準備を整えますのよ」

 「了解しました!」

 「同時に、移動準備も整えなさい。これは、わたくしが直接制御しなければなりませんわ」

 「はいっ!」

 未来記念塔のポータルゲートに接続コードが走り、王都旧技術院跡地との直通転送路が開かれましたの。

 「エリス様、ポータルゲート、安定しました!」

 「では、参りますわ」

 わたくしはゴーグルを装着し、マントを翻しながら転送陣へと進みましたの。わたくしの到着と同時に、現地の空気が一変したのを肌で感じましたの。

 調査班のメンバーたちが一斉に敬礼しますの。

 『お嬢様、現地指揮をお任せいたします!』

 「よろしいですわ。各班、遺構へのアクセスルートを確保なさい。わたくしは主制御核へ直行いたしますわ」

 廃墟を抜けた先、崩れかけた地下ホールの中央に、それは鎮座しておりましたの。巨大な円形台座と、その中心に浮遊する黒鉛色の球体。それを取り囲むように、無数の魔導文字が立体的に浮かんでおりましたの。

 「これが、自律進化型魔導制御核《オメガ・ノウム》……」

 リゼがわたくしの背後で呟きましたの。

 「この膨大な情報量、いったい何を制御していたのですか……?」

 「それは、これから解き明かしますのよ」

 わたくしはゆっくりと制御核に手を翳しましたの。古代文字がわたくしの魔力に反応し、次々と接続式を展開していきましたの。

 「アクセスコード“グリムヴァルト・イプシロン”……認証を始めますわ」

 魔導文字が一斉に輝き、球体が軋むような音とともに回転を始めましたの。内部から展開された立体構造図には、今まで見たこともない構造……いや、“世界そのものの管理体系”の一部らしきものが示されておりましたの。

 「これは……魔力生成の原理構造? いえ、それだけでは……」

 「お嬢様、これはひょっとして――!」

 リゼが声を詰まらせましたの。

 「ええ、おそらく、これは世界魔力循環構造の制御コアですわ。……つまり、この制御核を掌握すれば、わたくしは世界の“魔力生態系”そのものに介入できるということですの」

 調査班の一人が震えながら言いましたの。

 『エリス様、それは……神域への干渉に等しいのでは?』

 「神? そんなもの、わたくしにとってはただのシステムエラーですわ」

 わたくしは指を一振りし、接続をさらに深化させましたの。

 「リゼ、未来都市群全域に、エネルギー供給ネットワークの再構築を命じますわ。これより、魔力の根本原理を更新しますのよ」

 「了解しました!」
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