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第44話
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ルグさんが去った後、わたくしは一人、小屋の中で、その“龍眠木の樹皮”と静かに向き合いました。
それは、ただの木の皮ではございません。千年の風雪に耐え、あるいは本当に龍の吐息に触れたのかもしれぬ、計り知れないほどの時間と物語をその内に秘めた、聖なる遺物のようなものでございます。
迂闊に手を触れることすらためらわれるような、厳かな気配。
わたくしは、まずその樹皮を清浄な白い絹布の上に置き、数日間、ただ静かにそれを眺め、その気配を感じ取ることから始めましたの。
朝の光の中で、昼の木漏れ日の中で、そして月光の下で……その樹皮は、時間や光によって微妙にその表情を変え、異なる囁きをわたくしに届けてくれるようでございました。
時には、遥か遠い山々の風の音を、時には、大地深くを流れるマグマの熱を、そして時には、夜空を駆ける龍の雄大な姿を、夢想させるのでございます。
香りそのものは、まだそれほど強くは立ち上ってまいりません。
けれど、指先でそっと触れてみますと、ひんやりと滑らかな感触と共に、心の奥底に直接響いてくるような、深く、そしてどこまでも澄み渡った、言葉では言い表せぬ「気」のようなものを感じました。
それは、わたくしが源流で感じた「始まりの空気」とも、ライナスさまのために調合した「静寂の雫」とも異なる、もっと荘厳で、根源的な生命力に満ちた気配でございます。
エリアスさまの手記にも、このような特別な力を持つ素材については、「そのものの声に耳を澄まし、無理強いすることなく、自ら心を開き、力を貸してくれるのを待つべし」と記されておりました。
わたくしは、その教えに従い、焦ることなく、この“龍眠木の樹皮”との対話を続けることにいたしましたの。
何日か過ぎた満月の夜、わたくしはあの「月詠みの雫」を調合した時のように、この樹皮を月の光が最も清らかに射し込む窓辺へと運びました。
そして、その傍らで静かに瞑想し、わたくし自身の心を無にして、樹皮が放つ微細な波動に意識を合わせていったのでございます。
「極上調合」のスキルが、その同調を助け、わたくしの感覚を研ぎ澄ませてくれます。
すると、不思議なことに、樹皮の表面に浮かぶ文様が、まるで呼吸をするかのように、微かに揺らめき始めたではございませんか。
そして、それまで内に秘められていた香りが、まるで封印を解かれたかのように、ふわりと周囲に漂い始めたのです。
それは、墨のような、あるいは古い寺院に漂うような、深く落ち着いた香りでありながら、同時に、高山の頂に咲く一輪の花のような、孤高で清冽な芳しさも秘めておりました。
そして、その奥には、大地の力強い鼓動と、天空の無限の広がりを感じさせるような、壮大なスケール感がございました。
「……これが、“龍眠木”の真の香り……」
わたくしは、その神聖な香りに包まれながら、畏敬の念を禁じ得ませんでした。
この香りは、人の心を癒すとか、何かの役に立つとか、そのような次元を超えた、もっと純粋な存在そのものの力を感じさせます。
これをどのように調合すればよいというのでしょう。
むしろ、このままの姿で、そっと傍に置き、その気配を感じているだけで、心は清められ、魂は高められていくような……そんな気さえいたしました。
けれど、わたくしにこの樹皮を託してくださったルグさんの想い、そして、わたくし自身の「極上調合」のスキルは、この類稀なる素材と出会ったからには、何か新しいものを生み出すことを望んでいるようにも感じられましたの。
それは、お茶として飲むものではなく、あるいは身に纏う香りでもなく……もっと、空間そのものを聖別し、そこにいる者の精神を高めるような、特別な「薫香(くんこう)」とでも申しましょうか。
わたくしは、まず“龍眠木の樹皮”のほんのひとかけらを、爪の先ほどの大きさに削り取りました。
それだけで、小屋の中の空気が凛と引き締まるのを感じます。
そして、それを白檀(びゃくだん)の細かく砕いたもの、それから少量の乳香(にゅうこう)、そして先日採取した“水鏡草”の乾燥させた葉と、ごく丁寧に混ぜ合わせました。
それぞれの素材が持つ浄化の力と、“龍眠木”の持つ荘厳な気配とが、互いを高め合い、静かで力強い調和を生み出すように。
糊料などは一切使わず、ただ素材同士の自然な結びつきに任せ、それを小さな貝殻の香炉にそっと盛り付けました。
わたくしは、その香炉に、炭団(たどん)から移した小さな火種を落としました。
すると、やがて細く白い煙が立ち昇り始め、先ほどの“龍眠木”の香りに、白檀の甘く清浄な香り、乳香の神秘的な香り、そして“水鏡草”の透明な気配が溶け合い、えもいわれぬ芳香となって小屋全体を満たしていったのでございます。
それは、まるで深山の古刹にいるかのような、あるいは星空の下で瞑想しているかのような、深く、そしてどこまでも心が静まり返る香りでございました。
全ての雑念が消え去り、ただ純粋な意識だけが、宇宙の真理と繋がるかのような……そんな感覚。
わたくしは、この薫香を“天香・龍眠(てんこう・りゅうみん)”と名付けました。
天上の香り、そして龍の眠り。
それは、日常の喧騒から離れ、自己の最も深い部分と向き合いたいと願う時のための、特別な香りでございます。
ふと、窓の外を見やりますと、いつの間にか空は白み始め、朝の気配が漂っておりました。
一晩中、わたくしはこの“龍眠木”と向き合い、新たな香りを生み出すことに没頭していたようですわ。
けれど、不思議と疲れは感じません。むしろ、心身ともに清められ、新たな活力がみなぎってくるのを感じるのでございます。
この“天香・龍眠”は、そう頻繁に使うものではないでしょう。
けれど、わたくし自身の精神を調えたい時や、あるいは、本当に深い心の安らぎを求める方がいらっしゃった時に、そっとこの香りを焚くことで、その方の魂を聖なる領域へといざなうお手伝いができるかもしれません。
わたくしの「静寂の香り亭」は、また一つ、新たな宝物を授かりました。
それは、遠い異境の商人からもたらされた、古の記憶を宿す木の皮と、そこから生まれた、天上の香り。
この小さな小屋が、これからも様々な出会いと発見を通じて、その香りの世界をどこまでも広げていくのだという確信を、わたくしは改めて胸に刻んだのでございます。
そして、いつかルグさんが再び訪れた際には、この“天香・龍眠”のひとかけらでもてなし、心からの感謝を伝えたいと、そう思うのでしたわ。
それは、ただの木の皮ではございません。千年の風雪に耐え、あるいは本当に龍の吐息に触れたのかもしれぬ、計り知れないほどの時間と物語をその内に秘めた、聖なる遺物のようなものでございます。
迂闊に手を触れることすらためらわれるような、厳かな気配。
わたくしは、まずその樹皮を清浄な白い絹布の上に置き、数日間、ただ静かにそれを眺め、その気配を感じ取ることから始めましたの。
朝の光の中で、昼の木漏れ日の中で、そして月光の下で……その樹皮は、時間や光によって微妙にその表情を変え、異なる囁きをわたくしに届けてくれるようでございました。
時には、遥か遠い山々の風の音を、時には、大地深くを流れるマグマの熱を、そして時には、夜空を駆ける龍の雄大な姿を、夢想させるのでございます。
香りそのものは、まだそれほど強くは立ち上ってまいりません。
けれど、指先でそっと触れてみますと、ひんやりと滑らかな感触と共に、心の奥底に直接響いてくるような、深く、そしてどこまでも澄み渡った、言葉では言い表せぬ「気」のようなものを感じました。
それは、わたくしが源流で感じた「始まりの空気」とも、ライナスさまのために調合した「静寂の雫」とも異なる、もっと荘厳で、根源的な生命力に満ちた気配でございます。
エリアスさまの手記にも、このような特別な力を持つ素材については、「そのものの声に耳を澄まし、無理強いすることなく、自ら心を開き、力を貸してくれるのを待つべし」と記されておりました。
わたくしは、その教えに従い、焦ることなく、この“龍眠木の樹皮”との対話を続けることにいたしましたの。
何日か過ぎた満月の夜、わたくしはあの「月詠みの雫」を調合した時のように、この樹皮を月の光が最も清らかに射し込む窓辺へと運びました。
そして、その傍らで静かに瞑想し、わたくし自身の心を無にして、樹皮が放つ微細な波動に意識を合わせていったのでございます。
「極上調合」のスキルが、その同調を助け、わたくしの感覚を研ぎ澄ませてくれます。
すると、不思議なことに、樹皮の表面に浮かぶ文様が、まるで呼吸をするかのように、微かに揺らめき始めたではございませんか。
そして、それまで内に秘められていた香りが、まるで封印を解かれたかのように、ふわりと周囲に漂い始めたのです。
それは、墨のような、あるいは古い寺院に漂うような、深く落ち着いた香りでありながら、同時に、高山の頂に咲く一輪の花のような、孤高で清冽な芳しさも秘めておりました。
そして、その奥には、大地の力強い鼓動と、天空の無限の広がりを感じさせるような、壮大なスケール感がございました。
「……これが、“龍眠木”の真の香り……」
わたくしは、その神聖な香りに包まれながら、畏敬の念を禁じ得ませんでした。
この香りは、人の心を癒すとか、何かの役に立つとか、そのような次元を超えた、もっと純粋な存在そのものの力を感じさせます。
これをどのように調合すればよいというのでしょう。
むしろ、このままの姿で、そっと傍に置き、その気配を感じているだけで、心は清められ、魂は高められていくような……そんな気さえいたしました。
けれど、わたくしにこの樹皮を託してくださったルグさんの想い、そして、わたくし自身の「極上調合」のスキルは、この類稀なる素材と出会ったからには、何か新しいものを生み出すことを望んでいるようにも感じられましたの。
それは、お茶として飲むものではなく、あるいは身に纏う香りでもなく……もっと、空間そのものを聖別し、そこにいる者の精神を高めるような、特別な「薫香(くんこう)」とでも申しましょうか。
わたくしは、まず“龍眠木の樹皮”のほんのひとかけらを、爪の先ほどの大きさに削り取りました。
それだけで、小屋の中の空気が凛と引き締まるのを感じます。
そして、それを白檀(びゃくだん)の細かく砕いたもの、それから少量の乳香(にゅうこう)、そして先日採取した“水鏡草”の乾燥させた葉と、ごく丁寧に混ぜ合わせました。
それぞれの素材が持つ浄化の力と、“龍眠木”の持つ荘厳な気配とが、互いを高め合い、静かで力強い調和を生み出すように。
糊料などは一切使わず、ただ素材同士の自然な結びつきに任せ、それを小さな貝殻の香炉にそっと盛り付けました。
わたくしは、その香炉に、炭団(たどん)から移した小さな火種を落としました。
すると、やがて細く白い煙が立ち昇り始め、先ほどの“龍眠木”の香りに、白檀の甘く清浄な香り、乳香の神秘的な香り、そして“水鏡草”の透明な気配が溶け合い、えもいわれぬ芳香となって小屋全体を満たしていったのでございます。
それは、まるで深山の古刹にいるかのような、あるいは星空の下で瞑想しているかのような、深く、そしてどこまでも心が静まり返る香りでございました。
全ての雑念が消え去り、ただ純粋な意識だけが、宇宙の真理と繋がるかのような……そんな感覚。
わたくしは、この薫香を“天香・龍眠(てんこう・りゅうみん)”と名付けました。
天上の香り、そして龍の眠り。
それは、日常の喧騒から離れ、自己の最も深い部分と向き合いたいと願う時のための、特別な香りでございます。
ふと、窓の外を見やりますと、いつの間にか空は白み始め、朝の気配が漂っておりました。
一晩中、わたくしはこの“龍眠木”と向き合い、新たな香りを生み出すことに没頭していたようですわ。
けれど、不思議と疲れは感じません。むしろ、心身ともに清められ、新たな活力がみなぎってくるのを感じるのでございます。
この“天香・龍眠”は、そう頻繁に使うものではないでしょう。
けれど、わたくし自身の精神を調えたい時や、あるいは、本当に深い心の安らぎを求める方がいらっしゃった時に、そっとこの香りを焚くことで、その方の魂を聖なる領域へといざなうお手伝いができるかもしれません。
わたくしの「静寂の香り亭」は、また一つ、新たな宝物を授かりました。
それは、遠い異境の商人からもたらされた、古の記憶を宿す木の皮と、そこから生まれた、天上の香り。
この小さな小屋が、これからも様々な出会いと発見を通じて、その香りの世界をどこまでも広げていくのだという確信を、わたくしは改めて胸に刻んだのでございます。
そして、いつかルグさんが再び訪れた際には、この“天香・龍眠”のひとかけらでもてなし、心からの感謝を伝えたいと、そう思うのでしたわ。
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