【異世界コンビニ】通販スキルを使って異世界でコンビニを開いたら、ただの100円ライターが魔道具、コーラが万能薬として神々に崇められた件

旅する書斎(☆ほしい)

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第12話 黄金の不死鳥、あるいはファミチキ

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昼下がりの気だるげな時間帯。
コンビニエンスストアの店内には、ある種の神聖とも言える香ばしい匂いが漂っていた。
レジ横に鎮座するガラス張りのホットスナックケース。
その中段、一番目立つ特等席に、黄金色の衣を纏った「ファミチキ」が整然と並んでいる。
保温ランプのオレンジ色の光を浴びて、表面に浮き出た脂が宝石のようにキラキラと輝いている。
俺はレジカウンターの中で、その光景をうっとりと眺めていた。
異世界の住人たちがドラゴンや魔王の脅威に怯えている間、俺はこの平和な聖域で、揚げたての鶏肉の美しさに心を奪われている。
これこそが、俺が求めていたスローライフの完成形だ。

「……これだ。このテカリ。このシズル感」

俺はトングをカチカチと鳴らし、ケースの扉を開けた。
熱気がふわりと漏れ出す。
狙うは、列の真ん中にある、一番形の良い個体だ。
慎重にトングで挟み、専用の黄色と白のストライプ柄の紙袋へと滑り込ませる。
この紙袋もまた、現代文明の傑作だ。
点線に沿って切り取ることで、手を汚さずにチキンを食べることができる「キリトリ線」という名の魔術。
俺はカウンターに肘をつき、袋の上部をピリリと破いた。
現れたのは、きつね色に揚がった衣の断崖絶壁。
そこから立ち昇るスパイシーな香りが、俺の嗅覚中枢をダイレクトに刺激する。

「いただきます」

俺は誰に言うでもなく呟き、大きく口を開けて齧り付いた。
ザクッ。
小気味良い音が、静かな店内に響き渡る。
次の瞬間、衣の中に閉じ込められていた熱い肉汁が、ダムが決壊したように口内へ溢れ出した。
柔らかい。
圧倒的に柔らかい。
この世界の硬い地鶏や、筋張った魔物の肉とは比較にならない。
現代の食品加工技術によって、繊維の一本一本まで解きほぐされ、再構築された「柔らかさの概念」そのものだ。

「……っ! じゅわぁ……」

俺は咀嚼する。
黒胡椒のピリッとした刺激。
ガーリックのパンチの効いた風味。
そして、鶏肉本来の旨味と、衣に染み込んだ揚げ油のコク。
それらが複雑に絡み合い、脳内で快楽物質を大量に分泌させる。
ジャンクフード特有の、背徳的な美味さ。
健康志向? 知ったことか。
この一口のためなら、寿命が数分縮んでも構わない。
俺は目を閉じ、至福の余韻に浸った。

「……主様。また、そのような『炎を宿す肉』を食しておられるのですか?」

カウンターの横から、切迫した声が聞こえた。
エルザだ。
彼女は「おにぎりコーナー」の棚卸しをしていたはずだが、いつの間にか俺の足元まで移動してきていた。
その瞳は、俺の手元にある黄金の肉塊に釘付けになっている。
鼻をヒクつかせ、漂ってくるスパイスの香りを必死に分析しようとしているようだ。
彼女の喉が、ゴクリと大きく鳴る音が聞こえた。

「これはファミチキだ。揚げたてだぞ」

「ふぁみちき……。なんと甘美な響き。
その衣から放たれる熱気、そして内側から滲み出る黄金の雫……。
ただの料理ではありませんね。
伝説の火鳥、フェニックスの心臓を、太古の錬金術で精製した油で揚げた、不死の霊薬とお見受けします」

彼女の解釈は、今日も絶好調にぶっ飛んでいる。
鶏肉が不死鳥にランクアップしている。
まあ、確かにこのジューシーさは、死んだ細胞すら蘇らせるような生命力に満ちているが。

「食うか? 火傷するなよ」

俺はホットスナックケースから、もう一つファミチキを取り出した。
紙袋に入れて差し出すと、彼女は両手でそれを恭しく受け取った。
まるで、王から聖剣を授与される騎士のような厳粛な表情だ。

「……よろしいのですか? 私のような、影に生きる者が、太陽の化身のような肉を……」

「いいから食え。冷めると味が落ちる」

「……はい。いただきます、我が主よ」

エルザは袋の点線を震える指で切り取り、黄金の衣を露出させた。
そして、覚悟を決めたように、小さな口で端の方を齧った。

カリッ……ジュワッ。

その瞬間。
彼女の動きが、完全に停止した。
瞳孔が極限まで開き、時が止まる。
彼女の全身が、微かに小刻みに震え始めた。

「……っ!! ……むぐ、ふっ、あぁぁっ……!」

彼女はその場に崩れ落ち、蹲った。
膝をつき、肩を震わせながら、口の中の奇跡を必死に受け止めている。

「……熱い! 熱いですが……この熱こそが命の源!
枯渇していた魔力の回路が、この脂によって一気に潤い、活性化していくのが分かります……!
それに、この複雑怪奇なスパイスの魔術……。
舌の上で、無数の火の精霊が舞い踊っているようです!
辛いのに、甘い……。痛いのに、心地よい……。
これは、魂を焼き尽くす歓喜の炎です!」

「落ち着け。ただの揚げ物だ。黒胡椒が効いてるだけだ」

「黒胡椒……? 南方の幻の大陸でしか採れないという、あの『黒きダイヤモンド』ですか!?
それを、これほど惜しげもなく塗すとは……。
主様の財力と権力は、やはり大陸全土を支配するに足るものです……」

彼女は夢中で食べ進め、あっという間に平らげてしまった。
最後は紙の袋の底に溜まった透明な脂まで、名残惜しそうに舌先で舐め取っている。
現代の食品工学が作り出した「中毒性のある味」は、天然の素材しか知らないこの世界の住人には、麻薬に近い衝撃を与えるらしい。
彼女の肌艶が、目に見えて良くなっている。
高カロリーな脂質とタンパク質の摂取が、即座にエネルギー変換されているのだろう。
コンビニ飯で健康になる暗殺者。
シュールな光景だ。

その時だ。

ウィーン!

自動ドアが、悲鳴のような駆動音を上げて全開になった。
同時に、外の熱気と共に、圧倒的な「重圧」が店内に流れ込んできた。
空気が軋む。
店内のエアコンの冷気が、侵入者の放つ熱量によって一瞬で相殺される。
入ってきたのは、人間離れした巨躯を持つ男だった。
身長は二メートルを優に超えているだろう。
岩のような筋肉の塊が、粗末な革の防具を内側から食い破らんばかりに膨れ上がっている。
背中には、身の丈ほどもある巨大な戦斧を背負っていた。
刃こぼれし、赤黒く変色したその斧は、数え切れないほどの魔物を屠ってきた証だ。
男の全身には無数の古傷が刻まれ、その一つ一つが歴戦の猛者であることを雄弁に物語っていた。

「……おい。ここに『竜を凌駕する力』を授ける肉があると聞いた」

男は地響きのような低い声で言った。
店内の床タイルが、彼の言葉に合わせて微振動する。
その眼光は鋭く、獲物を狩る時の獣そのものだ。
エルザが瞬時に反応し、影からクナイを抜こうとする。
だが、俺はそれを目で制した。
この男、殺気はない。
あるのは、純粋な飢えと、強さへの渇望だけだ。
典型的な脳筋タイプだ。

俺はカウンターの中から、男を見上げることなく、スマホの画面を見たまま答えた。

「ファミチキのことか? 百八十円だ」

「ふん、百八十……。そんな端金で、力が手に入るものか」

男は鼻で笑った。
その息だけで、カウンターの上のチラシが吹き飛びそうになる。

「私は伝説の魔獣狩り、ボルド。
強さを求めて大陸中を旅し、あらゆる猛獣の肉を食らってきた。
グリフォンの肝、ベヒーモスの心臓、ヒドラの舌……。
だが、どれも私の渇きを癒やすには至らなかった。
私の肉体は、もっと高次元のエネルギーを求めて叫んでいるのだ」

ボルドは背中の巨大な斧を片手で軽々と抜き放ち、石突を床に叩きつけた。
ドゴォッ!!
床のタイルに亀裂が入る。
おい、器物破損だぞ。
後で請求してやる。

「偽りならば、この店ごと斧で叩き割ってやる。
だが、もし本物ならば……私の全てを賭けて購おう」

ボルドは腰の袋から、握り拳ほどの大きさがある金塊を一つ取り出し、カウンターに叩きつけた。
ドスン、という重い音。
純金だ。
これ一つで、ファミチキが何万個買えると思っているんだ。

「……物騒なこと言うなよ。ほら、揚げたてだ」

俺は眉一つ動かさず、ホットスナックケースからファミチキを一つ取り出した。
紙袋に入れ、無造作に彼に差し出す。
ボルドはその小さな紙袋を、疑り深い目で見つめた。

「……なんだ、この薄い紙は。
中に入っているのは、小鳥の肉片か?
こんなもので、私の筋肉が満たされるとでも……」

「いいから食え。冷めるぞ」

俺が急かすと、ボルドは不敵な笑みを浮かべ、巨大な手で紙袋を掴んだ。
そして、袋ごと飲み込む勢いで、豪快にチキンを口に放り込んだ。
骨なしチキンの利点だ。
野蛮に食らいついても、骨が刺さる心配はない。

ガブッ!!

咀嚼音。
一回。
二回。

「……っ!? ……むぐ、ふっ……」

ボルドの動きが、完全に止まった。
彫像のように硬直する。
その目が見開かれ、白目が血走っていく。
次の瞬間。
彼の手から、愛用の戦斧が滑り落ちた。

ガシャアァァァン!!

重金属の塊が床に落ちる轟音。
だが、ボルドはそれに気づく様子すらない。
彼の全身の筋肉が、衣服を引き裂かんばかりに波打ち、膨張し始めたのだ。
血管がミミズのように浮き上がり、肌から湯気が立ち昇る。

「……おお……おおおおおっ!!」

彼は突然、天を仰いで咆哮した。
ビリビリと店内の空気が震え、陳列棚の商品がカタカタと揺れる。

「……これだ! これだぁぁぁっ!
この、魂を直接揺さぶる刺激!
口の中で炸裂する、雷のような衝撃!
そして、胃袋に落ちた瞬間に全身へ駆け巡る、爆発的な熱量!
今まで食べてきた竜の肉など、これに比べれば生ゴミに等しい!」

ボルドは両手で自分の胸板を叩き、歓喜の雄叫びを上げた。
ただの香辛料と塩分、そして揚げ油のカロリーだ。
だが、彼の研ぎ澄まされた戦士の肉体には、それらが「即効性の戦闘用ドーピング」として作用したらしい。
現代の味付けは、彼らにとっては刺激が強すぎるのだ。

「血が沸騰する……!
細胞の一つ一つが、目覚めていくのが分かる!
力が……無限の力が、丹田の底から湧き上がってくるぞおぉぉ!!」

ボルドの全身から、金色の闘気がオーラとなって噴き出した。
店内の照明がチカチカと明滅する。
ただの食事シーンが、ドラゴンボールみたいなことになっている。
俺はカウンターの中で、頬杖をつきながら冷めた目でそれを見ていた。
騒がしい奴だ。
早く食って帰ってくれないかな。

ボルドは、空になった紙袋を握りしめ、信じられないものを見るような目でそれを見つめた。
その瞳には、涙すら浮かんでいる。

「店主よ……! 貴方は、戦の神の専属料理人か!?
これ一つで、私はあと百年の修行を省略することができた!
悟ったぞ……。強さとは、筋肉の量ではない。
いかに効率よく、高純度の『命』を摂取するかだったのだ!」

「大げさなんだよ。お釣り、いらないのか?」

俺はカウンターに置かれた金塊を指差した。
百八十円の商品に対して、数千万円の支払いだ。
釣り銭を用意するだけで日が暮れる。

「いらん!
この肉の価値に比べれば、私の全財産など砂粒に等しい!
金塊一つで神の肉が食えるなら、安すぎるくらいだ!」

ボルドは首を横に振り、俺の手を両手で強く握りしめた。
万力のような力だが、今の俺のステータスなら痛くも痒くもない。

「今日から、私はこの店の常連となる!
毎朝、これを食わせてくれ!
この『不死鳥の肉』さえあれば、私は神話級の魔獣さえも素手で引き裂ける!」

「あー、はいはい。また来いよ」

「うおおおおっ! 力が漲る!
今なら空も飛べそうだ!
行ってくる! 近くの山を素手で平らにしてくる!」

ボルドは狂喜乱舞しながら、置き去りにした斧をひっ掴み、弾丸のような速度で店を飛び出していった。
自動ドアが開くのが間に合わないほどのスピードだったが、センサーが神がかり的な反応速度で道を開けた。
外からは、彼が斧を風車のように振り回し、「最強だぁぁっ!」「フライドチキン万歳!」と叫びながら走り去る声が聞こえる。
通りすがりの冒険者たちが、悲鳴を上げて逃げ惑っているのがモニターに映っていた。

「……主様。また一人、人生を狂わせましたね」

エルザが呆れたように、自分の指についた脂を丁寧に舐め終えた。
その表情は、どこか満足げだ。
自分と同じ「共犯者」が増えたことを喜んでいるのかもしれない。

「狂わせてない。活力を与えただけだ。
あいつも、これで少しは仕事が捗るだろ」

俺はホットスナックケースの中に残ったチキンを見つめ、ふと思った。
このペースで売れていくと、仕入れが追いつかないかもしれない。
それに、いちいち店に来られて騒がれるのも面倒だ。
もっと効率的に、静かに商売をする方法はないものか。

俺はスマホを取り出し、いつもの『現代通販』アプリを立ち上げた。
「定期購入」の設定を確認しようとして、指が止まった。
画面の右下に、見慣れないアイコンが追加されている。
緑色のトラックのマーク。
その横には、[NEW!]という赤い文字が点滅していた。

「……ん? このメニュー、なんだ?」

俺はそのアイコンをタップした。
画面が切り替わり、王都を中心とした広域地図が表示された。
そこには、無数の小さなピンが立っている。
青いピンは、この店を訪れたことのある客の家や拠点を示しているようだ。
王城、騎士団の詰め所、魔術研究所、そしてスラム街のエルザの隠れ家まで。
全てが網羅されている。

画面の上部に、ポップアップウィンドウが表示された。

[配送ネットワーク構築:レベル1]
[ドローン配送および転移ボックスによる、遠隔地への即時納品が可能になりました]
[対象エリア:王都全域]
[配送料:無料キャンペーン中]

「配送……?
コンビニが、宅配便まで始めるのか?」

俺は思わず声を漏らした。
確かに、現代のコンビニエンスストアは、宅配便の受付から住民票の発行まで、あらゆるサービスを網羅した社会インフラだ。
だが、この異世界でそれをやるとなると、意味合いが変わってくる。
わざわざ店まで来なくても、スマホ一つで(俺が操作するわけだが)、客の元へ商品を送り込めるということだ。
つまり、あの暑苦しい連中と顔を合わせずに済む。
店内で騒がれることもなくなる。
俺の平穏な引きこもりライフにとって、これ以上の朗報はない。

「……はい? しゅ様、それは何の話ですか?
はいそう、とは……風の精霊に荷物を運ばせる術のことでしょうか?」

エルザが不思議そうに首を傾げている。
彼女には想像もつかないだろう。
空を飛ぶ無人機が、熱々のファミチキやキンキンに冷えたコーラを、空から直接お届けする未来が。
あるいは、王の寝室に突然、夜食のカップ麺が転移してくる光景が。

「……面白くなってきたな」

俺の頭の中で、新しい商売の形が組み上がっていく。
二十四時間営業、そして迅速な配送。
現代のコンビニが持つ「利便性」という名の暴力が、この中世レベルの世界をさらに劇的に、そして不可逆的に作り替えていくことになるだろう。
物流革命だ。
この世界に、流通という概念を叩き込んでやる。

「エルザ、これからは忙しくなるぞ。
お前には、配送センター長になってもらうかもしれん」

「センターチョウ……?
よく分かりませんが、主様の命であれば、地獄の果てまで荷物を届けます。
たとえ相手が魔王であろうと、受取印を押させてみせましょう」

頼もしい限りだ。
俺は二本目の缶コーヒーを開け、喉を潤した。
冷たい液体が、高ぶった思考をクールダウンさせてくれる。
さて、まずは誰に何を送りつけてやろうか。
あのうるさい枢機卿の枕元に、目覚まし時計でも転送してやるか。
それとも、王子の元へ最新号の漫画雑誌を届けてやるか。
夢は広がる。

その時。

ウィーン。

自動ドアのセンサーが再び反応し、誰かが入店してきたことを告げた。
俺はスマホから目を離し、入り口へと視線を向けた。
さて、次はどんな珍客が、俺の平和を乱しに来たのだろうか。
俺は小さくあくびを噛み殺し、いつもの気だるげな声で言った。

「いらっしゃいませ」

異世界コンビニの営業は、まだまだ終わらない。
俺が心から安眠できるその日まで。
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