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荒れ果てた大地に、死の臭いが混じった風が吹き抜ける。
アスタロトが片付けた偵察部隊の残骸は、もはや肉の塊にすら見えない。
「不快な羽虫を散らしてきました。ユリアナ様、次のご命令を」
紅い瞳を妖しく光らせ、アスタロトが私の足元に膝をつく。
魔王と呼ばれた存在が、私の靴の先に額を擦り付ける。
その光景は、何物にも代えがたい極上の悦楽を私に与える。
「そう。ご苦労様。次は、私たちが住む家が必要ね」
私は目の前の切り立った岩山を見上げた。
ただの岩石。価値のない土塊。
だが、今の私にとっては、それは最高の建築資材に過ぎない。
私は右手をかざし、体内の魔力プールから膨大なエネルギーを引き出した。
【因果逆転】
対象は、この岩山の「安定」という概念だ。
数万年の歳月をかけて積み上げられた「不動」の因果を、一瞬で「流動」へと反転させる。
轟音が響き、巨大な山が生き物のように身震いを始めた。
岩肌が激しく剥落し、内部から白銀の結晶体が突き出してくる。
それは私の魔力と反応し、瞬時に巨大な尖塔へと姿を変えた。
「……素晴らしい。創造の魔法ですら、ここまでの速度は出せません」
アスタロトが感嘆の声を漏らすが、私は当然の結果だと鼻で笑った。
地面からは純白の鎖が数千本と噴き出し、建物の骨組みを締め上げる。
鎖が通るたびに、荒い石の表面が鏡のように滑らかに磨き上げられた。
数分後、そこには王都の王宮を優に凌ぐ、白銀の巨城が聳え立っていた。
城壁は日光を反射して虹色の輝きを放ち、周囲の闇を暴力的に追い払う。
私は満足げに頷き、完成したばかりの玉座の間へと足を進めた。
内部は私の意志一つで装飾され、最高級の絨毯が足音を消し去る。
最奥に設置された玉座に腰を下ろすと、全身に心地よい重圧が伝わった。
この感触。この視点。
これこそが、私が手に入れるべきだった真の居場所だ。
前世で狭い牢獄に閉じ込められていた屈辱が、この快感で上書きされる。
「アスタロト。この城の周囲に、不可視の境界を張りなさい」
「承知いたしました。一歩でも踏み入る者は、存在そのものを消去しましょう」
アスタロトが影の中に溶け込み、城全体が不気味な魔力の波動に包まれる。
私は玉座に深く背を預け、開いた掌を見つめた。
掌の上で、小さな光の球が激しく回転している。
これはシグルドから奪った「王族のカリスマ」の一部だ。
光る球を握りつぶすと、その本質が私の魂へと溶け込んでいく。
背筋が伸び、私の存在そのものが世界を威圧する重力を持ち始めた。
「あはは……。いいわ。最高に気分がいい」
私の笑い声が、誰一人いない大広間に響き渡る。
復讐は、まだ始まったばかりだ。
まずはこの地に、誰にも侵されない聖域を構築する。
私が欲しかった「平和」を、奪い取った力で力ずくで実現してやる。
外では、偵察部隊の生き残りが放った緊急の信号弾が空を赤く染めている。
無能な王族共が、恐怖に震えながらこちらを伺っているのが手に取るように分かる。
次は、どんな不快な連中が私の前に現れるのかしら。
それを考えると、期待で胸が高鳴るのを止められない。
私は指先を鳴らし、目の前の空間を裂いた。
裂け目から取り出したのは、王都の最高級酒場でも拝めない年代物のワインだ。
魔力で冷やしたグラスに注ぎ、その香りを深く吸い込む。
死の土地で味わう美酒は、格別の味がした。
「ユリアナ様。境界付近に、不逞な輩が集まっております」
影から戻ったアスタロトが、愉悦に満ちた表情で報告する。
「誰かしら。私の休息を邪魔する、命知らずな愚か者は」
私はワインを一口啜り、ゆっくりと玉座から立ち上がった。
アスタロトが片付けた偵察部隊の残骸は、もはや肉の塊にすら見えない。
「不快な羽虫を散らしてきました。ユリアナ様、次のご命令を」
紅い瞳を妖しく光らせ、アスタロトが私の足元に膝をつく。
魔王と呼ばれた存在が、私の靴の先に額を擦り付ける。
その光景は、何物にも代えがたい極上の悦楽を私に与える。
「そう。ご苦労様。次は、私たちが住む家が必要ね」
私は目の前の切り立った岩山を見上げた。
ただの岩石。価値のない土塊。
だが、今の私にとっては、それは最高の建築資材に過ぎない。
私は右手をかざし、体内の魔力プールから膨大なエネルギーを引き出した。
【因果逆転】
対象は、この岩山の「安定」という概念だ。
数万年の歳月をかけて積み上げられた「不動」の因果を、一瞬で「流動」へと反転させる。
轟音が響き、巨大な山が生き物のように身震いを始めた。
岩肌が激しく剥落し、内部から白銀の結晶体が突き出してくる。
それは私の魔力と反応し、瞬時に巨大な尖塔へと姿を変えた。
「……素晴らしい。創造の魔法ですら、ここまでの速度は出せません」
アスタロトが感嘆の声を漏らすが、私は当然の結果だと鼻で笑った。
地面からは純白の鎖が数千本と噴き出し、建物の骨組みを締め上げる。
鎖が通るたびに、荒い石の表面が鏡のように滑らかに磨き上げられた。
数分後、そこには王都の王宮を優に凌ぐ、白銀の巨城が聳え立っていた。
城壁は日光を反射して虹色の輝きを放ち、周囲の闇を暴力的に追い払う。
私は満足げに頷き、完成したばかりの玉座の間へと足を進めた。
内部は私の意志一つで装飾され、最高級の絨毯が足音を消し去る。
最奥に設置された玉座に腰を下ろすと、全身に心地よい重圧が伝わった。
この感触。この視点。
これこそが、私が手に入れるべきだった真の居場所だ。
前世で狭い牢獄に閉じ込められていた屈辱が、この快感で上書きされる。
「アスタロト。この城の周囲に、不可視の境界を張りなさい」
「承知いたしました。一歩でも踏み入る者は、存在そのものを消去しましょう」
アスタロトが影の中に溶け込み、城全体が不気味な魔力の波動に包まれる。
私は玉座に深く背を預け、開いた掌を見つめた。
掌の上で、小さな光の球が激しく回転している。
これはシグルドから奪った「王族のカリスマ」の一部だ。
光る球を握りつぶすと、その本質が私の魂へと溶け込んでいく。
背筋が伸び、私の存在そのものが世界を威圧する重力を持ち始めた。
「あはは……。いいわ。最高に気分がいい」
私の笑い声が、誰一人いない大広間に響き渡る。
復讐は、まだ始まったばかりだ。
まずはこの地に、誰にも侵されない聖域を構築する。
私が欲しかった「平和」を、奪い取った力で力ずくで実現してやる。
外では、偵察部隊の生き残りが放った緊急の信号弾が空を赤く染めている。
無能な王族共が、恐怖に震えながらこちらを伺っているのが手に取るように分かる。
次は、どんな不快な連中が私の前に現れるのかしら。
それを考えると、期待で胸が高鳴るのを止められない。
私は指先を鳴らし、目の前の空間を裂いた。
裂け目から取り出したのは、王都の最高級酒場でも拝めない年代物のワインだ。
魔力で冷やしたグラスに注ぎ、その香りを深く吸い込む。
死の土地で味わう美酒は、格別の味がした。
「ユリアナ様。境界付近に、不逞な輩が集まっております」
影から戻ったアスタロトが、愉悦に満ちた表情で報告する。
「誰かしら。私の休息を邪魔する、命知らずな愚か者は」
私はワインを一口啜り、ゆっくりと玉座から立ち上がった。
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