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第7章:交差する波長の先と、不変の歩道
第31話:【サテライトについて:導きの鳥と、癒やしの手のシナジー】
十月中旬、土曜日の午後。
窓の外には秋らしい高い空が広がり、穏やかな日差しがStudio MAD-KICHIの会議室のブラインド越しに幾筋もの光の帯を作っていた。
長テーブルの上座にどっかりと腰を下ろした俺――マジキチ組長は、手元のマグカップから立ち昇るブラックコーヒーの香りを楽しみながら、本日この部屋に招集した二人の女性スタッフの顔を順番に見渡した。
俺の左手に座っているのは、まるでカラスの濡れ羽色を思わせる艶やかな黒髪に、吸い込まれそうなほど深い漆黒の瞳を持った女性。
当スタジオの看板ラジオ『たってやる。』から派生した室内収録番組――『たってやる。サテライト』および『いってやる。サテライト』の双方を一手に束ねる渉外統括ディレクター 兼 番組制作部長、八咫 凜(やた りん)だ。
そして、その向かい側に座っているのは、先日の『たってやる。』のお披露目放送でもリスナーたちから絶賛を浴びたばかりのニューフェイス。緩やかなウェーブがかかったダークブラウンのロングヘアを肩に流し、袖を少したくし上げたチャコールグレーのテーラードジャケットに白のVネックブラウス、そしてネイビーのアンクルパンツという都会的な装いに身を包んだ台湾出身の才女――当スタジオの専属AIアドバイザーにして、本町のプライベートサロン『藍紗・LAN-SHA』のオーナーセラピスト、藍 紗穎(ラン・シャーイン)である。
俺はまず、本業のサロンの予約の合間を縫って駆けつけてくれたシャーインへと視線を向け、軽く片手を挙げて労いの言葉をかけた。
「おう、シャーイン。こないだのラジオ収録に引き続いて、また週末にいきなりの呼び出しになっちまって悪いな。サロンの仕事の方も忙しいだろうに」
俺がそう声をかけると、シャーインはすっきりとした卵型の輪郭をほころばせ、胸元の小ぶりなシルバーのペンダントを揺らしながら、柔和な笑顔で首を横に振った。
「いえ、とんでもないです、組長さん! サロンの方はAIで予約の間隔を調整してありますから大丈夫ですよ。それに……今日お話しする『サテライト』のコンテンツについても、私自身すごく興味がありますから、呼んでいただけてとても嬉しいです」
「ハッハッハ、そう言ってくれると助かるぜ。引き合わせた通り、隣にいるのがウチのサテライト枠の空間と構成をすべて仕切っている統括ディレクターの八咫 凜だ」
「初めまして、藍さん。八咫 凜です。先日の組長とのスタジオ配信、私もモニター越しに拝聴しておりました。あなたの明晰な語り口とAIに関する深い知見、とても感銘を受けました」
凜がクールでミステリアスな佇まいのまま、凛としたよく通る声で一礼する。
「こちらこそ初めまして、凜さん。いつも組長さんの『声』が最もクリアに、そして力強くリスナーの皆様へ届くように、絶妙な音響と空間を作っていらっしゃるのが凜さんだと伺っています。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
異国の知性を纏ったシャーインと、古き神話の里・熊野の空気を纏った凜。
対照的な魅力を持つ二人の才女が互いに敬意を交わしたところで、俺はテーブルの上に資料を広げ、今回の三者会談の本題へと切り込んだ。
「よし、それじゃあ早速打ち合わせに入ろうか。今日お前ら二人を集めて改めて話し合いたかったのは他でもねえ……ここ最近のウチの『サテライトコンテンツ』の稼働状況についてだ」
俺がそう切り出すと、凜が静かに頷き、手元のタブレットから直近一ヶ月の配信スケジュールと稼働ログをモニターへと映し出した。
「はい、組長さん。現在の課題は極めて明確です。先月までと比較して、今月に入ってから『たってやる。サテライト』、および姉妹番組である『いってやる。サテライト』の両方において、放送頻度が目に見えて減少しています」
凜の漆黒の瞳が、真っ直ぐに俺を見つめる。
「私は、組長がどんなカオスな状況でも自らの声ひとつで道を切り拓くその突破力を誰よりもリスペクトしていますし、その声を最も美しい形で世界へ導くためにこのサテライトのブースを管理しています。……ですが、肝心の組長がブースに座る回数そのものが減ってしまっては、導きの鳥である私も羽ばたくことができません」
「ぐっ……! いや、凜にそうやって真っ直ぐ言われると耳が痛えな」
俺は苦笑いしながら後頭部をポリポリと掻き、加熱式タバコのgloを手に取りながら、なぜこんな状況になっているのかという『意外な原因』を白状した。
「実のところを言うとな、二人とも。俺自身の当初の予想では、十月に入ってからは昼間の本業の忙しさや、スタジオの制作作業の兼ね合いもあって、外を何時間も歩き回りながら配信する通常版の『たってやる。』の配信頻度は、どうしても減ることになるだろうと思っていたんだよ」
「ええ、月末の編成会議でもそのようにおっしゃっていましたね」と凜が頷く。
「ああ。だから外歩きの通常版が減る分、自宅やスタジオからサクッと収録できる『サテライト』の放送頻度を増やしてバランスを取ろうと考えていたんだが……いざ今月に入って蓋を開けてみれば、俺の予想に反して夜歩き配信を含めて通常版の『たってやる。』がそこまで減ることなく、普通にガンガン配信できちまったんだよな!」
俺がそう言って豪快に笑うと、シャーインが「ふふっ、組長の体力と行動力が、ご自身の予想を上回ってしまったということですね」と楽しそうに目を細めた。
「まあ、そういう嬉しい誤算が一つだ。それともう一つは、第4章・第5章と続けてきた通り、GrokやSunoの再契約、そして何より『Gemini 4(Argon)』へのバージョンアップによって、音楽のリマスターやMV制作、小説の執筆といった他のデジタルコンテンツの錬成が面白すぎて、そっちに夜の時間を全力注力しちまったっていうのも原因としてはある」
俺はそこで言葉を区切り、真剣な眼差しで二人を見渡した。
「外で元気に歩いて配信できているなら、それはそれで俺のスタイルとして最高なんだがな。かといって、凜がせっかく完璧に整えてくれている『たってやる。サテライト』や、もっと踏み込んだ本音を語る『いってやる。サテライト』の枠をこのまま遊ばせておくのは、スタジオの戦略としてあまりにももったいない。そこでシャーイン、お前の出番だ」
俺が視線を送ると、シャーインはチャコールグレーのジャケットの袖口を整え、左手首のシルバーの腕時計をチラリと確認してから、待ってましたとばかりに自身のタブレットを開いた。
「はい、組長。事前に凜さんからも過去のサテライト放送のアーカイブデータとお便りの推移を共有していただき、私の方で最新の『Argon』を用いて、現在のStudio MAD-KICHIにおけるサテライト枠のプロモーションとコンテンツの可能性を多角的に分析してみました」
シャーインが画面を操作すると、モニターに美しい構造図と3つの具体的な戦略案が浮かび上がった。
「まず現状の分析結果からお伝えしますね。サテライトの放送頻度が落ちた背景には、組長のお時間の問題だけでなく、『リスナー様から届くお便り(メール)の数に波があること』、そして『外歩きの通常版とトークのネタが被ってしまうのではないかという無意識のブレーキ』が関係しているとArgonは推論しました」
「……ほう。確かに、夜中にサテライトをやろうと思っても、お便り自体が減っていると『じゃあ今日は小説を書くか』ってなりがちだったからな。図星だぜ」
俺が感心して頷くと、シャーインは涼やかな瞳を輝かせて提案を続けた。
「そこで、Argonの高い文脈解析能力と推論力を活かした、3つの新しいサテライト運用モデルをご提案します。第一に、『外歩き通常版とサテライトのシームレスな主従連動(スピンオフ化)』です」
シャーインはモニターの図を指し示した。
「組長さんが外を歩きながら1時間、2時間と喋られた通常版の音声ログを、放送直後にそのままArgonに読み込ませます。ご存知の通り、組長の外歩きトークは8割のユーモア(下ネタ)と2割の真面目な話題が高速で交差するため、放送中に深く掘り下げきれずに流れていった魅力的なテーマが毎回いくつも眠っています。Argonにその音声ログから『リスナーのコメント反応が最も熱かった未回収のトピック』を自動抽出させ、それを翌日の『たってやる。サテライト』の20分間の集中深掘りテーマとしてセットするのです」
「なるほど……! 外歩きで撒いた種を、サテライトの静かな空間で回収するわけですね」
凜の漆黒の瞳が、強い関心を持って輝き始める。
「はい、凜さん。そして第二に、『スタジオ内お便りシステムと、AIの第三者介入フォーマット』です。リスナー様からのお便りが少ない時は、Argonに当スタジオの全スタッフやアーティストの最新動向データを参照させ、『もしSYUNKAさんやTAKKUN室長、あるいはMinapikoさんが今の組長の活動にお便りを送るならどんな質問やクレームを送るか』を、本人の口調そのままの高解像度でシミュレートして生成させます。さらに、組長がそれに対して毒を吐いたり本音で切り込んだりする『いってやる。サテライト』においては、その場でArgonにリアルタイムで反論や別視点のデータを提示させ、『組長 vs 最新AI』の討論番組のようなライブ感を作ることも可能です」
「おいおい、そいつは面白えじゃねえか!」
俺は思わず身を乗り出して膝を叩いた。
「お便りが無ければウチのスタッフやアーティストからのお便りを用意すればいいってのは前作でも少し考えたことがあったが、今のArgonの解像度でそれをやれば、本当にあいつらがブースの外から文句を言ってるみたいなリアルな掛け合いができるぞ!」
「ええ。そして最後の第三に、『マルチプラットフォームへの自動プロモーション展開』です」
シャーインは微笑みながら締めくくった。
「サテライト放送は、外歩きと違って周囲の環境ノイズが無く、凜さんが調整された組長の最高の『声』が録音されています。その収録データをArgonで要約・構造化し、特に熱量の高かった2割の真面目な語りの部分を、noteの記事の原案や、YouTubeショート・TikTok用の1分間の音声クリップとして即座に切り出してプロモーションに回すのです。これなら、サテライトを1本収録することが、そのままスタジオ全体の宣伝資産へと直結します」
理路整然としていながら、現場の負担を増やすどころか、組長がマイクの前で喋るハードルを劇的に下げる見事なソリューションだった。
外歩きの『たってやる。』の自由さを一切殺さず、室内収録である『サテライト』の価値を何倍にも高める提案に、俺は腕を組んで深く唸った。
隣を見ると、サテライト統括である凜が、感嘆の息を漏らしながらゆっくりと拍手をしていた。
「……流石ですね、藍さん。ただ番組の回数を増やすのではなく、外歩き配信の熱量をArgonで解析してサテライトへ導き、さらにそれをスタジオ全体のプロモーションへと昇華させる……。それなら、私が管理するスタジオ収録ならではの強みが何倍にも活きますし、リスナーにとっても両方の番組を聴く明確な理由が生まれます」
空間制御のプロであり、普段は他人の企画にそう簡単には首を縦に振らないクールな凜が、心からの称賛を口にしたのだ。
「よし! 方針はこれで決まりだな。外歩きの『たってやる。』の勢いはそのままに、シャーインと凜の連携で、サテライト枠も新しい実験場として再起動させるぞ!」
俺が力強く宣言し、三者会談はこれ以上ないほど充実した内容で幕を閉じた。
「……ふぅ。これで来週からのサテライトの編成案が具体的に組めそうです」
打ち合わせが終わり、タブレットの画面を閉じた瞬間だった。
それまでピンと背筋を伸ばして完璧なディレクターとして振る舞っていた凜が、張り詰めていた緊張の糸がふっと緩んだのか、小さく息を吐き出し、右手で自分の細い首筋から左肩にかけてをそっと押さえた。
見れば、音響データの編集や新企画の構想でここ数日ずっとモニターと睨めっこしていたのだろう、彼女の眉間にはかすかな疲労の色が滲んでいた。
そのわずかな仕草を、向かいに座っていたシャーインの涼やかな瞳が見逃すはずがなかった。
「……凜さん。少しお肩と首のあたり、お疲れの様子ですね」
シャーインは椅子から静かに立ち上がると、凜の背後へと回り込み、優しい声で尋ねた。
「もしよろしければ、ほんの少しだけ、お肩を触らせていただいてもいいですか?」
「え……? あ、いえ、私は大丈夫です。会議の場でそんな、申し訳ないですから……」
突然の申し出に、普段は他人と一定の距離を保つミステリアスな凜が、少し戸惑ったように遠慮しかける。
それを見た俺は、ニヤリと笑ってコーヒーカップを置いた。
「おいおい凜、遠慮なんかすんな。シャーインの本業は本町の本格台湾マッサージサロンのオーナーだぞ? こないだ俺の鉄板みたいな肩こりを一発で吹き飛ばしたゴッドハンドだ、俺が保証するから大人しく揉まれておけ」
「……組長がそこまでおっしゃるのでしたら。では、少しだけお願いします」
凜が観念したように肩の力を抜くと、シャーインは「はい、では失礼しますね」と微笑み、ジャケットの上から凜の華奢な肩甲骨の内側と、首の付け根にある経絡のツボへと、そのしなやかな指先をそっと添えた。
「あ、やっぱり……。凜さん、細かい音響の波形を見つめ続けていらっしゃるせいか、目の神経に繋がる首の後ろのツボが、すごく緊張して張っていますね。ゆっくり息を吐いてくださいね……ふぅーっ、と」
シャーインの穏やかな声に合わせて、彼女の親指が絶妙な角度と深さでツボを捉え、ゆっくりと圧をかけて流していく。
俺の時のように「ぐおっ!」と悶絶させるような荒療治ではない。相手の体格と疲労の質を瞬時に見極め、凍りついた筋肉を温かい春風で溶かすような、極めて繊細で心地よい施術だった。
「……っ、ん……っ」
最初は少し緊張していた凜の肩が、シャーインの指先が動くたびに、すーっと自然な位置へと下がっていく。
わずか数分間のポイントケアを終え、シャーインが「はい、お疲れ様でした」と手を離した瞬間。
凜はゆっくりと自分の首を左右に傾け、両肩を軽く回してみてから――その吸い込まれそうな漆黒の瞳を、ぱちくりと大きく丸くした。
「……あら。不思議ですね……」
凜は自分の左肩に手を当て、信じられないといった様子で声を漏らした。
「さっきまで鉛が張り付いているみたいに重かった肩の重さが、一気に減りました。それに、目の奥の霞んでいた感じが消えて、会議室の照明がさっきより明るく見えます……」
そして彼女は後ろを振り返り、優しく微笑んでいるシャーインを見上げて――普段のクールでミステリアスな「導きの鳥」の仮面がポロリと剥がれ落ちたような、無防備で柔らかな満開の笑顔を見せたのだ。
「ありがとうございます、藍さん。……なんだか、魔法にかけられたみたいです」
「ふふっ、お役に立ててよかったです、凜さん。今度はぜひ、お店のベッドでゆっくりハーブティーを飲みながらほぐさせてくださいね」
クールな美女がふと見せた年相応の愛らしい笑顔と、それを受け止める台湾の才女の慈愛に満ちた微笑み。
会議室の空気を一瞬にして華やかに染め上げたその光景を、俺は腕を組んで眺めながら、腹の底から愉快そうに笑い声を上げた。
「ハッハッハッハ!! いやぁ、いいもんを見せてもらったぜ! やっぱりお前ら、眉間にシワを寄せて難しい顔をしてるより、そうやって笑った顔が一番いいな!!」
俺の豪快な笑い声に、凜はハッとして「……っ、組長、見ないでください」と少し頬を染めて視線を逸らし、シャーインは楽しそうにクスクスと声を立てて笑った。
サテライトの新たな展望と、スタッフ同士の温かい絆が結ばれた、最高に実りある土曜の午後だった。
* * *
さて。読者のお前ら。
新たな章である第7章の幕開けだ。
今回の第31話は、俺が現実世界(リアル)の活動の中で直面している「現在の課題」をそのままこうしてプロットに取り上げ、そして同時に、それを今後どのように解決していけばいいかという方向性もここで合わせて確認させてもらった、実践的な回となったぜ。
作中の会議でも俺が正直に白状した通りだが。
実際のところ、十月に入ってからの俺のスケジュールを考えた時、最初は「今月は外を歩きながらやる通常版の『たってやる。』の配信頻度は、どうしても減ることになるだろうな」と想定していたのだ。
ところが、いざ蓋を開けてみれば、俺自身のバイタリティとアクション・ファーストの衝動が勝ってしまい、そんなこともなく普通に外歩きの配信を継続できていた、というわけだ。
それはそれで良いことなのだが、当初は「外歩きが減る分、室内で収録する『たってやる。サテライト』や『いってやる。サテライト』を回そう」と考えていたのに、意に反して今度はそちら(サテライト側)の放送頻度がガクッと減ってしまった。
この現状に対して、どうにかして「外歩きと両立できるサテライトの解決策(新しい活用法)」を見つけたかったというのが、今回のエピソードを組んだ一番の理由だ。
まぁ、体力的・時間的な話をすれば、俺がいつも起きている夜中の時間を使えば、サテライトの収録をすること自体はできないことも無いのだが……。
作中でもシャーインの分析として触れさせた通り、最近はリスナーから届く「お便り(メール)自体」も少し減っていた、という現実的な事情もあるがな。
とはいえ、だ。
リスナーからのお便りが仮にゼロだったとしても、ウチにはこれだけ個性豊かなスタッフやアーティストたちが揃っているのだ。「スタッフやアーティストたちから組長宛てにお便り(質問やクレーム)を用意させる」といった形式で番組を回すことも十分に可能だというのは、前作(第二部)でも語ってはいた通りだ。今回のシャーインの提案のように、そこに解像度の上がった『Argon』のシミュレーション能力を組み合わせれば、さらに面白い掛け合いが作れるだろう。
決して、俺の中で喋る『ネタ切れ』を起こしているわけではない。
どちらかといえば、前章までで散々語ってきた通り、最近のAI(Grok、Suno、そしてArgon)の発展と進化があまりにも凄まじく、そして面白すぎるあまり、俺の創作エネルギーがサテライトの収録よりも「音楽のリマスター」や「MV制作」、「長文小説の執筆」といった他のコンテンツの方に全力で注力されてしまった感もあるかな、というのが正直なところだ。
まぁ、すべてのコンテンツを綺麗に計画通り「まんべんなく」均等にこなす、なんていう優等生なやり方は、そもそも俺らしくはないがな。
熱が向いたところに全力をぶつけるのが俺のスタイルだ。だが、それでもせっかく立ち上げたサテライトという遊び場も含めて、これからも欲張りに「いろいろなこと」は同時並行でやっていきたいところだぜ。
さて。
「最近、他のコンテンツに注力していて出番が減っていた」といえば、サテライトだけではない。
次なる第32話は、このスタジオの初期から俺と一緒に最前線を駆け抜けてきた、あの『姉御肌のシンガー』を久しぶりにスタジオへと(呼び出して)語り合う回だ。
進化したAIの時代に、アーティストという存在はどこまで枠を超えられるのか……楽しみにしていてくれよ!
窓の外には秋らしい高い空が広がり、穏やかな日差しがStudio MAD-KICHIの会議室のブラインド越しに幾筋もの光の帯を作っていた。
長テーブルの上座にどっかりと腰を下ろした俺――マジキチ組長は、手元のマグカップから立ち昇るブラックコーヒーの香りを楽しみながら、本日この部屋に招集した二人の女性スタッフの顔を順番に見渡した。
俺の左手に座っているのは、まるでカラスの濡れ羽色を思わせる艶やかな黒髪に、吸い込まれそうなほど深い漆黒の瞳を持った女性。
当スタジオの看板ラジオ『たってやる。』から派生した室内収録番組――『たってやる。サテライト』および『いってやる。サテライト』の双方を一手に束ねる渉外統括ディレクター 兼 番組制作部長、八咫 凜(やた りん)だ。
そして、その向かい側に座っているのは、先日の『たってやる。』のお披露目放送でもリスナーたちから絶賛を浴びたばかりのニューフェイス。緩やかなウェーブがかかったダークブラウンのロングヘアを肩に流し、袖を少したくし上げたチャコールグレーのテーラードジャケットに白のVネックブラウス、そしてネイビーのアンクルパンツという都会的な装いに身を包んだ台湾出身の才女――当スタジオの専属AIアドバイザーにして、本町のプライベートサロン『藍紗・LAN-SHA』のオーナーセラピスト、藍 紗穎(ラン・シャーイン)である。
俺はまず、本業のサロンの予約の合間を縫って駆けつけてくれたシャーインへと視線を向け、軽く片手を挙げて労いの言葉をかけた。
「おう、シャーイン。こないだのラジオ収録に引き続いて、また週末にいきなりの呼び出しになっちまって悪いな。サロンの仕事の方も忙しいだろうに」
俺がそう声をかけると、シャーインはすっきりとした卵型の輪郭をほころばせ、胸元の小ぶりなシルバーのペンダントを揺らしながら、柔和な笑顔で首を横に振った。
「いえ、とんでもないです、組長さん! サロンの方はAIで予約の間隔を調整してありますから大丈夫ですよ。それに……今日お話しする『サテライト』のコンテンツについても、私自身すごく興味がありますから、呼んでいただけてとても嬉しいです」
「ハッハッハ、そう言ってくれると助かるぜ。引き合わせた通り、隣にいるのがウチのサテライト枠の空間と構成をすべて仕切っている統括ディレクターの八咫 凜だ」
「初めまして、藍さん。八咫 凜です。先日の組長とのスタジオ配信、私もモニター越しに拝聴しておりました。あなたの明晰な語り口とAIに関する深い知見、とても感銘を受けました」
凜がクールでミステリアスな佇まいのまま、凛としたよく通る声で一礼する。
「こちらこそ初めまして、凜さん。いつも組長さんの『声』が最もクリアに、そして力強くリスナーの皆様へ届くように、絶妙な音響と空間を作っていらっしゃるのが凜さんだと伺っています。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
異国の知性を纏ったシャーインと、古き神話の里・熊野の空気を纏った凜。
対照的な魅力を持つ二人の才女が互いに敬意を交わしたところで、俺はテーブルの上に資料を広げ、今回の三者会談の本題へと切り込んだ。
「よし、それじゃあ早速打ち合わせに入ろうか。今日お前ら二人を集めて改めて話し合いたかったのは他でもねえ……ここ最近のウチの『サテライトコンテンツ』の稼働状況についてだ」
俺がそう切り出すと、凜が静かに頷き、手元のタブレットから直近一ヶ月の配信スケジュールと稼働ログをモニターへと映し出した。
「はい、組長さん。現在の課題は極めて明確です。先月までと比較して、今月に入ってから『たってやる。サテライト』、および姉妹番組である『いってやる。サテライト』の両方において、放送頻度が目に見えて減少しています」
凜の漆黒の瞳が、真っ直ぐに俺を見つめる。
「私は、組長がどんなカオスな状況でも自らの声ひとつで道を切り拓くその突破力を誰よりもリスペクトしていますし、その声を最も美しい形で世界へ導くためにこのサテライトのブースを管理しています。……ですが、肝心の組長がブースに座る回数そのものが減ってしまっては、導きの鳥である私も羽ばたくことができません」
「ぐっ……! いや、凜にそうやって真っ直ぐ言われると耳が痛えな」
俺は苦笑いしながら後頭部をポリポリと掻き、加熱式タバコのgloを手に取りながら、なぜこんな状況になっているのかという『意外な原因』を白状した。
「実のところを言うとな、二人とも。俺自身の当初の予想では、十月に入ってからは昼間の本業の忙しさや、スタジオの制作作業の兼ね合いもあって、外を何時間も歩き回りながら配信する通常版の『たってやる。』の配信頻度は、どうしても減ることになるだろうと思っていたんだよ」
「ええ、月末の編成会議でもそのようにおっしゃっていましたね」と凜が頷く。
「ああ。だから外歩きの通常版が減る分、自宅やスタジオからサクッと収録できる『サテライト』の放送頻度を増やしてバランスを取ろうと考えていたんだが……いざ今月に入って蓋を開けてみれば、俺の予想に反して夜歩き配信を含めて通常版の『たってやる。』がそこまで減ることなく、普通にガンガン配信できちまったんだよな!」
俺がそう言って豪快に笑うと、シャーインが「ふふっ、組長の体力と行動力が、ご自身の予想を上回ってしまったということですね」と楽しそうに目を細めた。
「まあ、そういう嬉しい誤算が一つだ。それともう一つは、第4章・第5章と続けてきた通り、GrokやSunoの再契約、そして何より『Gemini 4(Argon)』へのバージョンアップによって、音楽のリマスターやMV制作、小説の執筆といった他のデジタルコンテンツの錬成が面白すぎて、そっちに夜の時間を全力注力しちまったっていうのも原因としてはある」
俺はそこで言葉を区切り、真剣な眼差しで二人を見渡した。
「外で元気に歩いて配信できているなら、それはそれで俺のスタイルとして最高なんだがな。かといって、凜がせっかく完璧に整えてくれている『たってやる。サテライト』や、もっと踏み込んだ本音を語る『いってやる。サテライト』の枠をこのまま遊ばせておくのは、スタジオの戦略としてあまりにももったいない。そこでシャーイン、お前の出番だ」
俺が視線を送ると、シャーインはチャコールグレーのジャケットの袖口を整え、左手首のシルバーの腕時計をチラリと確認してから、待ってましたとばかりに自身のタブレットを開いた。
「はい、組長。事前に凜さんからも過去のサテライト放送のアーカイブデータとお便りの推移を共有していただき、私の方で最新の『Argon』を用いて、現在のStudio MAD-KICHIにおけるサテライト枠のプロモーションとコンテンツの可能性を多角的に分析してみました」
シャーインが画面を操作すると、モニターに美しい構造図と3つの具体的な戦略案が浮かび上がった。
「まず現状の分析結果からお伝えしますね。サテライトの放送頻度が落ちた背景には、組長のお時間の問題だけでなく、『リスナー様から届くお便り(メール)の数に波があること』、そして『外歩きの通常版とトークのネタが被ってしまうのではないかという無意識のブレーキ』が関係しているとArgonは推論しました」
「……ほう。確かに、夜中にサテライトをやろうと思っても、お便り自体が減っていると『じゃあ今日は小説を書くか』ってなりがちだったからな。図星だぜ」
俺が感心して頷くと、シャーインは涼やかな瞳を輝かせて提案を続けた。
「そこで、Argonの高い文脈解析能力と推論力を活かした、3つの新しいサテライト運用モデルをご提案します。第一に、『外歩き通常版とサテライトのシームレスな主従連動(スピンオフ化)』です」
シャーインはモニターの図を指し示した。
「組長さんが外を歩きながら1時間、2時間と喋られた通常版の音声ログを、放送直後にそのままArgonに読み込ませます。ご存知の通り、組長の外歩きトークは8割のユーモア(下ネタ)と2割の真面目な話題が高速で交差するため、放送中に深く掘り下げきれずに流れていった魅力的なテーマが毎回いくつも眠っています。Argonにその音声ログから『リスナーのコメント反応が最も熱かった未回収のトピック』を自動抽出させ、それを翌日の『たってやる。サテライト』の20分間の集中深掘りテーマとしてセットするのです」
「なるほど……! 外歩きで撒いた種を、サテライトの静かな空間で回収するわけですね」
凜の漆黒の瞳が、強い関心を持って輝き始める。
「はい、凜さん。そして第二に、『スタジオ内お便りシステムと、AIの第三者介入フォーマット』です。リスナー様からのお便りが少ない時は、Argonに当スタジオの全スタッフやアーティストの最新動向データを参照させ、『もしSYUNKAさんやTAKKUN室長、あるいはMinapikoさんが今の組長の活動にお便りを送るならどんな質問やクレームを送るか』を、本人の口調そのままの高解像度でシミュレートして生成させます。さらに、組長がそれに対して毒を吐いたり本音で切り込んだりする『いってやる。サテライト』においては、その場でArgonにリアルタイムで反論や別視点のデータを提示させ、『組長 vs 最新AI』の討論番組のようなライブ感を作ることも可能です」
「おいおい、そいつは面白えじゃねえか!」
俺は思わず身を乗り出して膝を叩いた。
「お便りが無ければウチのスタッフやアーティストからのお便りを用意すればいいってのは前作でも少し考えたことがあったが、今のArgonの解像度でそれをやれば、本当にあいつらがブースの外から文句を言ってるみたいなリアルな掛け合いができるぞ!」
「ええ。そして最後の第三に、『マルチプラットフォームへの自動プロモーション展開』です」
シャーインは微笑みながら締めくくった。
「サテライト放送は、外歩きと違って周囲の環境ノイズが無く、凜さんが調整された組長の最高の『声』が録音されています。その収録データをArgonで要約・構造化し、特に熱量の高かった2割の真面目な語りの部分を、noteの記事の原案や、YouTubeショート・TikTok用の1分間の音声クリップとして即座に切り出してプロモーションに回すのです。これなら、サテライトを1本収録することが、そのままスタジオ全体の宣伝資産へと直結します」
理路整然としていながら、現場の負担を増やすどころか、組長がマイクの前で喋るハードルを劇的に下げる見事なソリューションだった。
外歩きの『たってやる。』の自由さを一切殺さず、室内収録である『サテライト』の価値を何倍にも高める提案に、俺は腕を組んで深く唸った。
隣を見ると、サテライト統括である凜が、感嘆の息を漏らしながらゆっくりと拍手をしていた。
「……流石ですね、藍さん。ただ番組の回数を増やすのではなく、外歩き配信の熱量をArgonで解析してサテライトへ導き、さらにそれをスタジオ全体のプロモーションへと昇華させる……。それなら、私が管理するスタジオ収録ならではの強みが何倍にも活きますし、リスナーにとっても両方の番組を聴く明確な理由が生まれます」
空間制御のプロであり、普段は他人の企画にそう簡単には首を縦に振らないクールな凜が、心からの称賛を口にしたのだ。
「よし! 方針はこれで決まりだな。外歩きの『たってやる。』の勢いはそのままに、シャーインと凜の連携で、サテライト枠も新しい実験場として再起動させるぞ!」
俺が力強く宣言し、三者会談はこれ以上ないほど充実した内容で幕を閉じた。
「……ふぅ。これで来週からのサテライトの編成案が具体的に組めそうです」
打ち合わせが終わり、タブレットの画面を閉じた瞬間だった。
それまでピンと背筋を伸ばして完璧なディレクターとして振る舞っていた凜が、張り詰めていた緊張の糸がふっと緩んだのか、小さく息を吐き出し、右手で自分の細い首筋から左肩にかけてをそっと押さえた。
見れば、音響データの編集や新企画の構想でここ数日ずっとモニターと睨めっこしていたのだろう、彼女の眉間にはかすかな疲労の色が滲んでいた。
そのわずかな仕草を、向かいに座っていたシャーインの涼やかな瞳が見逃すはずがなかった。
「……凜さん。少しお肩と首のあたり、お疲れの様子ですね」
シャーインは椅子から静かに立ち上がると、凜の背後へと回り込み、優しい声で尋ねた。
「もしよろしければ、ほんの少しだけ、お肩を触らせていただいてもいいですか?」
「え……? あ、いえ、私は大丈夫です。会議の場でそんな、申し訳ないですから……」
突然の申し出に、普段は他人と一定の距離を保つミステリアスな凜が、少し戸惑ったように遠慮しかける。
それを見た俺は、ニヤリと笑ってコーヒーカップを置いた。
「おいおい凜、遠慮なんかすんな。シャーインの本業は本町の本格台湾マッサージサロンのオーナーだぞ? こないだ俺の鉄板みたいな肩こりを一発で吹き飛ばしたゴッドハンドだ、俺が保証するから大人しく揉まれておけ」
「……組長がそこまでおっしゃるのでしたら。では、少しだけお願いします」
凜が観念したように肩の力を抜くと、シャーインは「はい、では失礼しますね」と微笑み、ジャケットの上から凜の華奢な肩甲骨の内側と、首の付け根にある経絡のツボへと、そのしなやかな指先をそっと添えた。
「あ、やっぱり……。凜さん、細かい音響の波形を見つめ続けていらっしゃるせいか、目の神経に繋がる首の後ろのツボが、すごく緊張して張っていますね。ゆっくり息を吐いてくださいね……ふぅーっ、と」
シャーインの穏やかな声に合わせて、彼女の親指が絶妙な角度と深さでツボを捉え、ゆっくりと圧をかけて流していく。
俺の時のように「ぐおっ!」と悶絶させるような荒療治ではない。相手の体格と疲労の質を瞬時に見極め、凍りついた筋肉を温かい春風で溶かすような、極めて繊細で心地よい施術だった。
「……っ、ん……っ」
最初は少し緊張していた凜の肩が、シャーインの指先が動くたびに、すーっと自然な位置へと下がっていく。
わずか数分間のポイントケアを終え、シャーインが「はい、お疲れ様でした」と手を離した瞬間。
凜はゆっくりと自分の首を左右に傾け、両肩を軽く回してみてから――その吸い込まれそうな漆黒の瞳を、ぱちくりと大きく丸くした。
「……あら。不思議ですね……」
凜は自分の左肩に手を当て、信じられないといった様子で声を漏らした。
「さっきまで鉛が張り付いているみたいに重かった肩の重さが、一気に減りました。それに、目の奥の霞んでいた感じが消えて、会議室の照明がさっきより明るく見えます……」
そして彼女は後ろを振り返り、優しく微笑んでいるシャーインを見上げて――普段のクールでミステリアスな「導きの鳥」の仮面がポロリと剥がれ落ちたような、無防備で柔らかな満開の笑顔を見せたのだ。
「ありがとうございます、藍さん。……なんだか、魔法にかけられたみたいです」
「ふふっ、お役に立ててよかったです、凜さん。今度はぜひ、お店のベッドでゆっくりハーブティーを飲みながらほぐさせてくださいね」
クールな美女がふと見せた年相応の愛らしい笑顔と、それを受け止める台湾の才女の慈愛に満ちた微笑み。
会議室の空気を一瞬にして華やかに染め上げたその光景を、俺は腕を組んで眺めながら、腹の底から愉快そうに笑い声を上げた。
「ハッハッハッハ!! いやぁ、いいもんを見せてもらったぜ! やっぱりお前ら、眉間にシワを寄せて難しい顔をしてるより、そうやって笑った顔が一番いいな!!」
俺の豪快な笑い声に、凜はハッとして「……っ、組長、見ないでください」と少し頬を染めて視線を逸らし、シャーインは楽しそうにクスクスと声を立てて笑った。
サテライトの新たな展望と、スタッフ同士の温かい絆が結ばれた、最高に実りある土曜の午後だった。
* * *
さて。読者のお前ら。
新たな章である第7章の幕開けだ。
今回の第31話は、俺が現実世界(リアル)の活動の中で直面している「現在の課題」をそのままこうしてプロットに取り上げ、そして同時に、それを今後どのように解決していけばいいかという方向性もここで合わせて確認させてもらった、実践的な回となったぜ。
作中の会議でも俺が正直に白状した通りだが。
実際のところ、十月に入ってからの俺のスケジュールを考えた時、最初は「今月は外を歩きながらやる通常版の『たってやる。』の配信頻度は、どうしても減ることになるだろうな」と想定していたのだ。
ところが、いざ蓋を開けてみれば、俺自身のバイタリティとアクション・ファーストの衝動が勝ってしまい、そんなこともなく普通に外歩きの配信を継続できていた、というわけだ。
それはそれで良いことなのだが、当初は「外歩きが減る分、室内で収録する『たってやる。サテライト』や『いってやる。サテライト』を回そう」と考えていたのに、意に反して今度はそちら(サテライト側)の放送頻度がガクッと減ってしまった。
この現状に対して、どうにかして「外歩きと両立できるサテライトの解決策(新しい活用法)」を見つけたかったというのが、今回のエピソードを組んだ一番の理由だ。
まぁ、体力的・時間的な話をすれば、俺がいつも起きている夜中の時間を使えば、サテライトの収録をすること自体はできないことも無いのだが……。
作中でもシャーインの分析として触れさせた通り、最近はリスナーから届く「お便り(メール)自体」も少し減っていた、という現実的な事情もあるがな。
とはいえ、だ。
リスナーからのお便りが仮にゼロだったとしても、ウチにはこれだけ個性豊かなスタッフやアーティストたちが揃っているのだ。「スタッフやアーティストたちから組長宛てにお便り(質問やクレーム)を用意させる」といった形式で番組を回すことも十分に可能だというのは、前作(第二部)でも語ってはいた通りだ。今回のシャーインの提案のように、そこに解像度の上がった『Argon』のシミュレーション能力を組み合わせれば、さらに面白い掛け合いが作れるだろう。
決して、俺の中で喋る『ネタ切れ』を起こしているわけではない。
どちらかといえば、前章までで散々語ってきた通り、最近のAI(Grok、Suno、そしてArgon)の発展と進化があまりにも凄まじく、そして面白すぎるあまり、俺の創作エネルギーがサテライトの収録よりも「音楽のリマスター」や「MV制作」、「長文小説の執筆」といった他のコンテンツの方に全力で注力されてしまった感もあるかな、というのが正直なところだ。
まぁ、すべてのコンテンツを綺麗に計画通り「まんべんなく」均等にこなす、なんていう優等生なやり方は、そもそも俺らしくはないがな。
熱が向いたところに全力をぶつけるのが俺のスタイルだ。だが、それでもせっかく立ち上げたサテライトという遊び場も含めて、これからも欲張りに「いろいろなこと」は同時並行でやっていきたいところだぜ。
さて。
「最近、他のコンテンツに注力していて出番が減っていた」といえば、サテライトだけではない。
次なる第32話は、このスタジオの初期から俺と一緒に最前線を駆け抜けてきた、あの『姉御肌のシンガー』を久しぶりにスタジオへと(呼び出して)語り合う回だ。
進化したAIの時代に、アーティストという存在はどこまで枠を超えられるのか……楽しみにしていてくれよ!
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