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第4章:真実と狂気の狭間編(現在進行形の修羅場)
第16話:秘密の共有者(社内リスナーの急増)
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月曜の朝、役員フロアへ続くエレベーターの中で、俺は強烈な違和感を覚えた。
いつもなら俺の顔を見るなり、汚物でも避けるように目を逸らす他部署の連中が、今日は妙にソワソワしている。それも、怯えではなく、何か「正解」を確認したがっているような、奇妙な熱を帯びた視線だ。
原因は分かっている。
俺の配信『たってやる。』のタイムシフトが、社内の地下水脈を伝うようにして、全部署に浸透し始めていたのだ。
「……組長。昨夜のタイムシフト、拝聴しました」
会議室に入ると、かつて俺を査問委員会にかけた張本人、人事部長の渡辺が、声を潜めてそう言った。
「君の『褒める技術』……あれを営業推進部の研修資料に組み込めないかと、真剣に検討している」
俺は「キチガイミックス」を喉に放り込み、ガハハと笑い飛ばした。
「研修資料? 部長、そんなツルツルの脳みそで作ったマニュアルなんて、ケツを拭く紙にもなりゃしませんよ。大事なのは技術じゃねえ、根性だ」
俺は椅子を豪快に引き、重役たちの前に座った。
俺が根性論を好むのには理由がある。そして、俺の愛国思想が強いのも、その根っこは同じだ。
今の日本はどうだ。命がけでこの国を守ってくださった先人たちへの敬意も忘れた若者が、SNSで自国を腐している。嘆かわしい。俺から言わせれば、自国を愛せないような連中は、今すぐ日本国籍を剥奪されて、憧れの欧米や欧州にでも移り住めばいい。そして二度と、この聖なる地を踏むな。
「渡辺部長、お前さんの部下にもいるだろ。『この国は終わってる』なんて抜かす軟弱なガキが。そいつらに言ってやれ。先人たちがどんな思いでこの国を繋いできたか。その恩恵を享受しながら文句だけ言うのは、ただの泥棒だってな」
俺の言葉に、会議室の空気がピリリと引き締まる。
移民問題に関しても同じだ。俺はこれまで何度も海外旅行を経験してきたが、どこの国へ行こうと「郷に入っては郷に従う」を貫いてきた。現地のルールを守り、現地の文化を尊重する。それが旅人の、そして異邦人の最低限のマナーだ。
「いいか、自分の国の文化を認めろと大声で喚き、日本のルールを無視して生活しようとする移民がいるなら、今すぐ自国へ帰れ。ここは日本だ。あんたらの国じゃない。この土俵で生きたいなら、日本の精神を食らって、日本のルールに従え。それができない奴に、この地で飯を食う資格はねえんだよ!」
俺の咆哮に、いつもならコンプライアンスを盾に反論してくる法務部の連中までもが、黙って頷いている。
彼らもまた、規律なき自由という名のカオスに、心のどこかで限界を感じていたのだろう。組長流の「筋の通った狂気」は、今や社内の共通言語になりつつあった。
会議は、いつの間にか「組長流・ダル絡みラリー」の練習場と化していた。
新人の田中が、緊張で震えながらも、他部署の部長に向かって叫ぶ。
「……部長! そのネクタイ、先週の組長の配信で言っていた『ベトナムの夜風』のような色ですね! 真剣にそう思います!」
「……ほう。よく言ったな、田中。だが俺のネクタイは、君の覚悟の無さを映し出す『曇り空』の色だぞ。もう一度、心を込めて褒めてみろ!」
怒鳴り合いではない。それは、互いの魂をぶつけ合い、共通点を見つけ出し、笑いに昇華させる、極めて高度なコミュニケーション。
かつては冷え切っていた会議室に、怒号と笑い声が混じり合った、生命力の奔流が吹き荒れる。
昼休み。俺は喫煙所で、スマホの音楽生成AIを操作していた。
『楽曲テーマ:日の丸と根性。八キロを歩く男の背中。』
生成された重厚な和太鼓のビートが、俺の耳を刺激する。
俺はふと思った。この会社は、もしかすると、もう俺がいなくても「マジキチ」の熱量で動き出すかもしれない。俺の毒は、確実にこの組織を、そして日本の一角を、強く、逞しく変えようとしていた。
「組長、お疲れ様です」
通りかかった他部署の社員が、恥ずかしそうに、しかしハッキリとした声で俺に挨拶をした。
「……おう。声が出てていいじゃねえか。今夜も配信で、お前らの根性をチェックしてやるからな」
秘密の共有者たちは、今や公然の信奉者へと変わりつつある。
自国を愛し、ルールを守り、根性を持って生きる。
そんな当たり前のことが「狂気」と呼ばれる今の世の中で、俺はこれからも、この場所からアクセルを踏み続ける。
やりたい放題。
日本を愛し、先人に感謝し、目の前の相手にダル絡みを仕掛ける。
俺の歩く八キロの道は、今やこの会社の、そしてリスナーたちの「希望の道」へと繋がっていた。
「さあ、午後の部だ。……田中、次は役員室に突撃して、会長の盆栽を褒めちぎってこい! 真剣な顔でな!」
「はいッッッ、組長!!!」
若手の咆哮が、ビルの窓を震わせた。
境界線なき独白は、今、巨大な共鳴となってこの街に広がっていく。
いつもなら俺の顔を見るなり、汚物でも避けるように目を逸らす他部署の連中が、今日は妙にソワソワしている。それも、怯えではなく、何か「正解」を確認したがっているような、奇妙な熱を帯びた視線だ。
原因は分かっている。
俺の配信『たってやる。』のタイムシフトが、社内の地下水脈を伝うようにして、全部署に浸透し始めていたのだ。
「……組長。昨夜のタイムシフト、拝聴しました」
会議室に入ると、かつて俺を査問委員会にかけた張本人、人事部長の渡辺が、声を潜めてそう言った。
「君の『褒める技術』……あれを営業推進部の研修資料に組み込めないかと、真剣に検討している」
俺は「キチガイミックス」を喉に放り込み、ガハハと笑い飛ばした。
「研修資料? 部長、そんなツルツルの脳みそで作ったマニュアルなんて、ケツを拭く紙にもなりゃしませんよ。大事なのは技術じゃねえ、根性だ」
俺は椅子を豪快に引き、重役たちの前に座った。
俺が根性論を好むのには理由がある。そして、俺の愛国思想が強いのも、その根っこは同じだ。
今の日本はどうだ。命がけでこの国を守ってくださった先人たちへの敬意も忘れた若者が、SNSで自国を腐している。嘆かわしい。俺から言わせれば、自国を愛せないような連中は、今すぐ日本国籍を剥奪されて、憧れの欧米や欧州にでも移り住めばいい。そして二度と、この聖なる地を踏むな。
「渡辺部長、お前さんの部下にもいるだろ。『この国は終わってる』なんて抜かす軟弱なガキが。そいつらに言ってやれ。先人たちがどんな思いでこの国を繋いできたか。その恩恵を享受しながら文句だけ言うのは、ただの泥棒だってな」
俺の言葉に、会議室の空気がピリリと引き締まる。
移民問題に関しても同じだ。俺はこれまで何度も海外旅行を経験してきたが、どこの国へ行こうと「郷に入っては郷に従う」を貫いてきた。現地のルールを守り、現地の文化を尊重する。それが旅人の、そして異邦人の最低限のマナーだ。
「いいか、自分の国の文化を認めろと大声で喚き、日本のルールを無視して生活しようとする移民がいるなら、今すぐ自国へ帰れ。ここは日本だ。あんたらの国じゃない。この土俵で生きたいなら、日本の精神を食らって、日本のルールに従え。それができない奴に、この地で飯を食う資格はねえんだよ!」
俺の咆哮に、いつもならコンプライアンスを盾に反論してくる法務部の連中までもが、黙って頷いている。
彼らもまた、規律なき自由という名のカオスに、心のどこかで限界を感じていたのだろう。組長流の「筋の通った狂気」は、今や社内の共通言語になりつつあった。
会議は、いつの間にか「組長流・ダル絡みラリー」の練習場と化していた。
新人の田中が、緊張で震えながらも、他部署の部長に向かって叫ぶ。
「……部長! そのネクタイ、先週の組長の配信で言っていた『ベトナムの夜風』のような色ですね! 真剣にそう思います!」
「……ほう。よく言ったな、田中。だが俺のネクタイは、君の覚悟の無さを映し出す『曇り空』の色だぞ。もう一度、心を込めて褒めてみろ!」
怒鳴り合いではない。それは、互いの魂をぶつけ合い、共通点を見つけ出し、笑いに昇華させる、極めて高度なコミュニケーション。
かつては冷え切っていた会議室に、怒号と笑い声が混じり合った、生命力の奔流が吹き荒れる。
昼休み。俺は喫煙所で、スマホの音楽生成AIを操作していた。
『楽曲テーマ:日の丸と根性。八キロを歩く男の背中。』
生成された重厚な和太鼓のビートが、俺の耳を刺激する。
俺はふと思った。この会社は、もしかすると、もう俺がいなくても「マジキチ」の熱量で動き出すかもしれない。俺の毒は、確実にこの組織を、そして日本の一角を、強く、逞しく変えようとしていた。
「組長、お疲れ様です」
通りかかった他部署の社員が、恥ずかしそうに、しかしハッキリとした声で俺に挨拶をした。
「……おう。声が出てていいじゃねえか。今夜も配信で、お前らの根性をチェックしてやるからな」
秘密の共有者たちは、今や公然の信奉者へと変わりつつある。
自国を愛し、ルールを守り、根性を持って生きる。
そんな当たり前のことが「狂気」と呼ばれる今の世の中で、俺はこれからも、この場所からアクセルを踏み続ける。
やりたい放題。
日本を愛し、先人に感謝し、目の前の相手にダル絡みを仕掛ける。
俺の歩く八キロの道は、今やこの会社の、そしてリスナーたちの「希望の道」へと繋がっていた。
「さあ、午後の部だ。……田中、次は役員室に突撃して、会長の盆栽を褒めちぎってこい! 真剣な顔でな!」
「はいッッッ、組長!!!」
若手の咆哮が、ビルの窓を震わせた。
境界線なき独白は、今、巨大な共鳴となってこの街に広がっていく。
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