マジキチ組長一代記 ~半分は狂気、半分は真実~

マジキチ組長

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第7章:肉体と電波の交錯編(実録・マジキチ組長の聖域)

第32話:豆タンクの休日(ギャル系スレンダーを求めて)

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 休日の午後、俺はいつになく入念にスマートフォンの画面をスクロールしていた。
 きっかけは、またしても手に入った「風俗無料優待券」だ。かつてリスナーから贈られたラーメンクーポン同様、俺の人生には時折、神の悪戯かと思えるような「遊びの切符」が舞い込んでくる。

 だが、ただ行けばいいというものではない。俺の座右の銘は「やりたいことだけやる」だ。せっかくの休日、せっかくの優待券。俺の「好奇心」という名の羅針盤が指し示す、最高の獲物を選び抜く必要がある。

「ターゲットは、スレンダーなギャル。これ一択だ」

 俺は「有能な課長」としての分析能力をフル回転させ、店のホームページに並ぶキャストの情報を精査した。何度も言うが、俺は横に厚みのある「豆タンク」スタイルだ。だからこそ、自分にはない「長さ」と「細さ」を持つ存在に強烈に惹かれる。
 しばらくして、俺は一軒の店に狙いを定め、戦場へと足を踏み入れた。

 店に入ると、威勢のいい店員がパネルを数枚見せてくれた。

「ギャル系の娘は誰だ? 俺はノリのいいギャルしか愛せないんだ」

 俺が直球で尋ねると、店員は二枚のパネルを並べた。

「こちらの一人はDカップ、もう一人はFカップの人気嬢ですよ」

 俺は迷わず、一番胸の小さいDカップの娘を指差した。
 ここで俺の性癖を暴露しておこう。世の男たちは巨乳を崇めたてる傾向にあるが、俺から言わせればそれは「機能美」に欠ける。個人的な好みはCカップだ。なぜか? 理由は極めて合理的だ。Cカップこそが、片手でちょうど収まるサイズであり、愛でるにも扱うにも最高に「手軽」だからだ。
 それに、胸が大きすぎると、それに比例して俺の絶対条件である「スレンダー」体型から外れていく確率が跳躍的に上がる。巨乳はスレンダーの敵なのだ。俺は自分の哲学に従い、Dカップの彼女、源氏名「あまね」を指名した。

 指定されたホテルの一室。
 ドアが開いた瞬間、そこに立っていた「あまね」の姿を見て、俺は心の中で小さく分析を開始した。

「……ほう、体型はパネルよりは少し横に広い印象だな」

 だが、金髪の質感、派手なメイク、そして剥き出しのバイブス。ギャル系であることに間違いはない。豆タンクの俺からすれば、十分に合格点だ。
 しかし、彼女は入室するなり、予想外の先制攻撃を仕掛けてきた。

「ねーねー、お兄さん。始める前にタバコ一本吸っていい?」

 俺は一瞬、落胆した。客商売として、入るなりタバコを求めるのは典型的な「地雷嬢」の振る舞いだからだ。だが、その落胆はすぐに驚愕へと変わった。

 あまねがタバコを燻らせながら話し始めると、その場の空気が一変した。 
 彼女は二十代前半という若さでありながら、驚異的なコミュニケーション能力を持っていた。俺が何気なく投げかける言葉の一つ一つに、絶妙な間とセンスで返してくる。

「お兄さん、なんか面白いオーラ出てるね。会社では真面目にしてるけど、夜は豹変するタイプっしょ?」
「ガハハ! よく分かったな。俺はマジキチ組長、夜の帝王だぞ」
「ウケる! 組長ってなに、ヤバすぎ!」

 それはまさに、コミュ力お化けと呼ぶにふさわしい立ち回りだった。最近の若者のような、どこか冷めた、いい加減な態度は微塵もない。相手を楽しませようというプロ意識が、ギャルのノリというオブラートに包まれて、心地よく伝わってくる。

 プレイに関して言えば、特別に技術が秀でているわけではなかった。だが、随所に細やかな気遣いが見られた。シャワーの温度を確認する仕草、俺の反応を伺いながら変えていくリズム。
 俺は、彼女の細い体躯(豆タンクの俺からすれば、十分スレンダーだ)を抱きながら、かつて「清楚系」や「素人系」と過ごした味気ない時間を思い出していた。あのアドレナリンの出ない、会話の途切れた沈黙。それに比べて、あまねとの時間は、まるで激しいセッションのようだった。

 そして、白眉だったのはプレイ後のピロートークだ。
 俺は、普段配信『たってやる。』で話しているような、エグい下ネタや歴史の蘊蓄、そして「ハゲは明日への滑走路だ」という持論を、あえて彼女にぶつけてみた。
 普通ならドン引きされるか、愛想笑いで流されるような内容だ。だが、あまねは違った。

「ヤバい! お兄さん、天才じゃん! ハゲの滑走路とかマジで草。私、そういう変態だけど筋通ってる話、一番好きなんだけど!」

 彼女はお腹を抱えて笑い、さらに自分の身の回りにいる「変な客」のエピソードを被せてきた。俺の話をしっかり聞き、理解し、さらに面白くして返してくる。
 これだ。これこそが、俺が「ギャル系の女の子」を愛してやまない最大の理由だ。
 もしこれが、清楚系やおっとり系だったらどうだ? 俺が「ハゲネタ」を披露した瞬間に、凍りついたような表情で警察に通報されるか、宗教の勧誘だと勘違いされるのが関の山だろう。

「あまね。お前、最高だ。二十代でそれだけ人の話を聞けて、笑いに変えられる才能は、どんな学歴よりも価値があるぞ」
「えー、組長に褒められちゃった! 私、これでも一応、郷に入っては郷に従え、って思って仕事してるからね!」

 俺は驚いた。彼女の口から、俺が大切にしている「郷に入っては郷に従う」という言葉が出てくるとは思わなかった。
 彼女は彼女なりに、夜の街という「郷」のルールを理解し、そこで最大限のパフォーマンスを発揮しようとしていたのだ。

 ホテルを出る時、俺の心はいつになく晴れやかだった。
 無料優待券で手に入れたのは、単なる肉体の満足ではない。俺の哲学が間違っていないという確信と、世代を超えた「好奇心」の共鳴だった。

 俺は豆タンクのような足取りで、夕暮れの街を歩き出した。
 途中、鏡のようなショーウインドウに映る自分の姿を見る。相変わらず、挿絵のようなスタイリッシュさはない。ゲイの人に声をかけられそうな、短髪の中年男がそこにいるだけだ。
 だが、その中身はどうだ。あまねという若きギャルの魂と火花を散らし、笑い合った記憶が、俺の細胞を活性化させている。

「……やりたい放題。だが、やっぱり生身のギャルとの対話に勝るエンターテインメントはねえな」

 俺はいつもの行軍コースへと足を進めた。
 世間の常識がどうあれ、清楚が至高だという風潮がどうあれ、俺はこれからも「ギャル系・スレンダー・ノリ最高」を正義として叫び続ける。それが、マジキチ組長の変わらぬ生存戦略だ。

 あまね。お前のコミュ力は、俺という怪物を十分に満足させたぞ。
 次はもっとエグいネタを仕込んで、お前を笑い死にさせてやるからな。

「アクセル全開だ! 好奇心を燃料に、俺はどこまでも『真実の美』を追い求めてやる!」

 俺の咆哮は、夜を迎えようとする街の騒音に溶け込み、しかし誰よりも高く、鋭く響き渡っていた。
 豆タンクの休日。それは、さらなる狂気と活力を手に入れた、最強の再起動だった。
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