過去から来た忍者を拾ったら、料理上手すぎる完璧奥さんでした

及川証 (アカシ)

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小さな侵入者

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 秋人はバスを降り会社へ向かう。

 社員が多くなるにつれ何故か視線を感じるも特に気にすることなくタイムカードを押した。

「よお、たそが……」

「おはよう遠藤」

 何故か変な区切り方をした遠藤に秋人は返事を返す。

「お前、うしろ……」

 遠藤の指を指す方向に秋人は顔を向ける。

 ―――そこにいたのは

「秘密結社?秘密結社でしょここ!!」

 先ほどの少年が興奮気味に秋人に言う。

 その目は好奇心と憧れに満ちていた。

「いや、ただのゲーム会社だよ……」

「それは仮の姿ってやつでしょ!」

 聞く耳を持たない子供に、秋人は遠藤に助けを求める。

「どうしよう遠藤……」

「つか何でヒーローだの言い出したんだ?」

「空飛んでる忍者と一緒にいたから。あとサラリーなんでしょ?だからヒーロー!」

 「前半は分かるが後半は分からんぞ」と頭をかきながら遠藤は秋人に視線を向ける。

「部長に言って親か学校に連絡してもらうよう言ってくるわ。その間、うろつかないように見とけよ」

 「わかった。ありがとう遠藤」と秋人がお礼を言うと遠藤は背中を向け「ひらひら」と手を振った。

 ―――

 自動販売機の近くにあるベンチに座り秋人は少年に暖かいお汁粉を渡し隣に座る。

「なんでお汁粉?」

「嫌いだった?」

 「嫌いじゃないけど……」と少し不満そうな少年に秋人は言う。

「雪白、君の言う忍者さんがよく飲むから癖で買っちゃったんだ。それもらうから別なの買っていいよ」

 そう言って秋人は財布から五百円を取り出す。

 しかし手渡す前に「カコン」と缶を開ける音がした。

「甘いねコレ」

「いいの?それで」

「お汁粉の缶飲んだことなかったし。ヒーローが飲んでるなら何かしらのパワーつくんじゃないかなって」

「何かしらの栄養はあるとは思うけど」

 「どうなんだろ?」と秋人は首をかしげる。

「意外と美味しいかも」

「そりゃよかった」

 そう言って秋人もお汁粉缶を開ける。

 「ほわり」とカフェオレとは違う温かな甘い香り。

 口に入れるととろみのある液体が喉を伝う感覚が心地よい。

(普通の甘味飲料よりも身体によさそうだよね)

 「うんうん」と1人納得する秋人に少年は首をかしげる。

「あっ、いたいた。黄昏君!」

 小走りでやってきたのは秋人と遠藤の上司であり部長である男、田中純介。

「話は聞いたよ。何で??」

「話を聞いたうえで聞きます?」

「いやだって遠藤君、秋人君が子供に尾行されたってしか言わないから」

「サラリーマンがヒーローらしいです」

 「主語を言いなさい」ともっともな事を言われ秋人は悩む。

 そんな時、少年が口を開いた。

「だって秋人はヒーローの指示役なんでしょ?」

「いや、俺下っ端だから」

 「ないない」と手を横に振る秋人に「もう少し言い方を考えなさい」と田中部長に言われてしまった。

 そんな時、「ぐう……」と誰かのお腹の鳴る声が響く。
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