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第2章.野外露出風紀委員【緑川楓】
第23話.今にも落ちてきそうな星空の下で
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円香と2人、半分に分けた今川焼を食べ終えたところで、緑川が目を覚ました。
「う、うぅ……あ、あれ、私、いったい何を……ここは……?」
緑川のヤツ、どうやら気絶していた影響でアタマが混乱している様だ。
「おはよう、緑川、やっと目が覚めたか」
彼女を安心させようと、しゃがんで目線の高さを合わせ、ニコッと優しく微笑みかける。
我ながら、なんて紳士的な対応なんだ。
……
「いやー!変態がいるー!!!」
ボコっ!!!
「ぐえぇぇっ!!!」
左頬に重い1発を食らい、弾き飛ばされる俺。
「いてててて、相変わらず手厳しいな緑川……」
お前程の美人に叩かれるのは正直ご褒美でしかないが、流石にグーパンチは痛いので、せめて次回からはパーで叩いて欲しいものだ。
「てっ、よく見たら青山君じゃない!?ご、ごめんなさい、私、さっき追いかけてきた変態と勘違いしちゃって、咄嗟に殴ってしまって……」
「緑川さん、その点に関しては大丈夫だよ。さっき追いかけてきたその変態が、イコールでお兄ちゃんだから」
「あなたは、青山君の妹さん……え~と、その、いったい、何がどうなってるの……?」
「まぁ、混乱するのも無理はないさ。早く説明してやりたい気持ちは山々なんだが、とりあえずコレを羽織ってくれないか。目のやり場に困るんだ……」
そう言って、ウニクロのグレーのジャケットを脱ぎ、依然として踊り場にペタンと腰を下ろしたままの緑川に差し出す。
「え?」
キョトンとした表情で、俺の顔を見上げる彼女。
「お前のその乳は、刺激が強過ぎるからな……」
「……あっ!///」
自らのカラダへ視線を落とし、自身が全裸である事を思い出した彼女。
「い、い、い……///」
顔を真っ赤に染めて、プルプルと震えながら俯く緑川。
い?い、ってなんだ?
「いやー!裸見ないでよ!変態!!!スケベ!!!エッチ!!!」
ボゴッ!!!
「ぐおぅっ!!!」
緑川の凶悪なノーモーションアッパーをモロに食らい、再び弾き飛ばされ宙を舞う俺の身体。
な、なんというエグい一撃……
神よ、なぜ彼女に非凡なる格闘技の才まで与え給ったのですか?
あと、コレだけは言わせてくれ……
緑川よ、俺なんかよりもお前の方がよっぽど変態だろうが!!!
まさか、アヤネたんのプレイにアレンジを加えてくるとは、流石に予想外だったぞ。
何だよ、モモンガマンコって、バカかお前は……
束の間の滞空時間が終わりを迎え、無情な重力の導きにより、踊り場の固いコンクリートに頭から落下した俺。
「ぐえぇぇっ!!!」
緑川のアッパーに加えて、この頭部強打のダメージである。
コレが致命傷となり、俺は、繁華街の片隅の廃ビルにて、ひっそりと息を引き取ったのであった……
”妹よ、俺をオカズに致すなよ!”
主人公の絶命により 【完結】
長い間、ご愛読,応援、ありがとうございました!
次回作「弟よ、私をオカズにシコるなよ!」は、近日連載開始予定です!
お楽しみに!
……
……
カチッ。
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
絶命したはずだった俺のカラダに突如として浴びせられる高圧電流。
「やった!お兄ちゃんが生き返った!こんな事もあろうかと、ストーカー7つ道具の1つ”お兄ちゃん蘇生スタンガン”を持ってきといて正解だったよ!」
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
「ね、ねぇ、彼、大丈夫なの?骨も内臓も丸見えになってるけど……」
「大丈夫だよ!この説明書によるとね……あっ……うん、とにかく大丈夫だよ!……多分」
ねぇ、円香ちゃん、今の間は何!?
説明書に何て書いてあったの!?
最後の”多分”が怖いんだけど!?
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
「ねぇ、彼の身体のココとココに見える黒い物体って何かしら?」
「あ~、それはね、埋め込んであるGPSと盗聴器のチップだから問題は無いよ」
いや問題しかないだろ!?
頼む緑川、このアホにその異常性を説いてやってくれ!
「……そう、問題無いならいいわ」
あっ、コイツ、また円香の事を見限りやがったな!
せめて、後から何処に埋まっていたかだけでも教えて欲しいものだ。
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
「ねぇ、流石にもう止めてあげてもいいんじゃないかしら?口と鼻と耳から黒い煙が出てきたし、マズいんじゃない?」
「おっと、確かにそうだね。痺れるお兄ちゃんの”顔芸”が面白くて、ついつい高圧電流を浴びせすぎちゃったよ、テヘペロ♪」
相変わらずの危険思想を露見させながらも、円香はやっとこさ電流を止めてくれた。
「ふしゅ~~、ふしゅ~~」ぷくぷくぷく。
「あはは、お兄ちゃん、口から泡吐いてカニさんみたいでカワイイねwウケるんだけどw」
「人間の身体から黒い煙が出る姿、初めて見たわ……大丈夫、青山君?」
「ふしゅ~~、だ、だい、大丈夫な、わけ、ねー、だろ……」ぷくぷくぷく。
後ほどこの凶悪なスタンガンのパッケージを確認させてもらったところ、正式名称は”お兄ちゃん蘇生スタンガン”ではなく”お兄ちゃん気絶スタンガン”であったことが判明した。
説明書の中身については、恐れ多いので確認するのは控えておいた。
コレに関しては、おそらく”知らぬが仏”だ……
「ふ~、危うく死にかけたぜ……」
「助かって良かったねお兄ちゃん!私に感謝してよね♡」
いや、半分はお前に殺されかけたみたいな気分だけど……
「青山君、ごめんなさい、私……」
「いいよ、気にしないでくれ。混乱するのも無理はないさ」
とりあえず、緑川に事情を説明しないといけないが、どう説明したらいいものか……
「お兄ちゃん、説明は私に任せて!」
「大丈夫なのか?」
「私、”説明検定5級”を持ってるからね!」
いや、そんな”えっへん”みたいなドヤ顔されても、誰も知らんぞ、そんな謎の資格。
「緑川さん、実はカクカクシカジカで~」
「なるほど、そういう事だったのね」
説明検定の力すごっ!?
これまでの10万文字に及ぶ物語の内容が、たったの8文字で伝わるとは……
「というわけで緑川さん、とりあえず屋上に戻りましょう」
「え、ええ、わかったわ」
そうして俺たち3人は、今しがた駆け下りてきた階段を再び上り始める。
もちろん、殿を務めるのは俺だ、ふひひ♡
緑川のお尻を眺めていたら、あっという間に屋上に辿り着いていた。
「緑川さん、とりあえず先に服を着てもらってもいいですか。さっきからチラチラと、そこの猿が視線を向けているのがムカつくので」
「ちょっと!こっち見ないでよ!エッチ!」
「んなこと言われてもよ~、童貞男子にそれは酷ってもんだろ……」
「って、あら、私の下着が無い!?」
「なんだと!?くそっ!まさかこんな所にまで泥棒が現れるとは……この国の治安はどうなってやがるんだっ!」
「お兄ちゃん、その膨らんだポケットの中のモノをおとなしく出しなさい……」
「……何でバレたんだ、まさかそれも超能力か?」
「んなわけないでしょ……いや、逆に聞きたいけどさ、何でバレないと思ったの?」
「いいから、早く私の下着を返しなさいよ!///」
クンカクンカ。
「ほれ」
「ちょっと、ナチュラルに匂い嗅がないでよっ!」
「安心してくれ、良い匂いだったぞ///」
「いったい今の流れの中で、私に何を安心しろと……」
緑川が制服を着用した後、俺たちは彼女が絶頂した地点へと向かった。
「良かった!まだ緑川さんの”イキ潮”が残ってるよ、お兄ちゃん!」
「よし円香、緑川の”イキ潮”から、アニナエル抗体を接種するんだ!」
「ちょっと、あなた達、本人を前に”イキ潮”とか言うの止めて欲しいんだけど!///」
「で、円香、どうやってこのイキ潮から抗体を接種するんだ?まさか、舐めたりするのか?」
「違うよ、ここで超能力の”快楽昇天”を使うんだよ!」
そう言って円香は、緑川のイキ潮で形成された微かな水溜りに左手の掌をつけた。
「快楽昇天!」
その発声に合わせて、彼女の左手が淡い黄色の輝きを放つ。
「凄い……彼女、本当に超能力者なのね」
「確かに、コレはかなり超能力者っぽいな」
「よし!緑川さんのイキ潮から、無事に抗体を接種できたよ!」
「やったな!流石は緑川のイキ潮だぜ!」
「だから、イキ潮イキ潮言われるのは恥ずかしいから止めて!///」
「”モモンガマンコ”って言う方がはるかに恥ずかしいよな、円香」
「”ケツ穴ボンバー”だって相当ヤバいと思うよ、お兄ちゃん」
「私が悪かったから、その件に関して言及するのは止めて!///」
「緑川さん、お騒がせしてごめんなさい。でも、お陰様でアニナエル抗体を手に入れる事ができました!ありがとうございます!」
「サンキュー、緑川!」
「え、ええ、お役に立てたならそれはそれで良かったわ……青山さん、1つお願いがあるんだけど……」
「なんですか?」
「あの……私のこの性癖の事、他の人には黙っていて欲しいのだけど///」
「もちろん、誰にも言ったりしませんよ」
「……青山君にも、お願いできるかしら///」
「ああ、任せとけ、お前には前々から世話になってるからな。恩を仇で返すようなマネはしないさ」
「前々からの恩?私には何のことか分からないのだけど?」
「ふっ、自覚がないならそれでいいさ」
緑川よ、俺の”オカズ1軍メンバー”のエースとして、常日頃から活躍しているお前を裏切りはしないさ。
「緑川さん、その代わりって言ったら悪いですけど、今後私たちの抗体集めに協力をお願いしたいんですけど……」
「ええ、もちろん、協力するわ、青山さん」
「”円香”って呼び捨てでいいですよ、緑川さん。私たち、もう仲間じゃないですか!」
「そう、じゃあ、私のことは”楓”でいいわよ、円香」
「わかりました、楓さん!これから宜しくお願いします!」
「こちらこそ宜しくね」
変態同士、どうやら馬が合ったようでなによりだ。
緑川が味方になってくれれば、これからの活動において大きな戦力となってくれるだろう。
良かった、円香の強請のネタ、もとい交渉材料の出番が回ってこなくて……
「楓さん、もう結構時間経っちゃってるけど、帰りの時間とか大丈夫ですか?」
「え?……あっ!マズい、もうこんな時間!早く帰らなきゃ!円香達は大丈夫なの?」
「ええ、私はもう少しだけお兄ちゃんとココで話がしたいので、楓さんは先に帰っちゃって大丈夫ですよ」
「そ、そう。じゃあ悪いけど、私は先に帰らせてもらうわね。帰りが遅くなると、ママが心配して何かと面倒なのよ」
「「ママ…」」
「あっ……///お、”お母さん”が心配するから先に帰らせてもらうわね///」
「バイバイ、楓さん!」
「じゃあな、緑川」
階段を急ぎ足で駆け下りていった緑川の足音も聞こえなくなり、静寂を取り戻した廃ビルの屋上。
青白い光に照らされる、俺と円香の2人きりの世界が訪れる。
「とりあえず、コレで今回のミッションは完了だな」
「お兄ちゃん、今日はありがとね!」
「妹の為に頑張るのは、兄として当然だろ」
兄として、妹の為に頑張る。
それは間違いなく本心だけど、でも、本当はそれだけじゃない。
俺は、男して、お前の事を……
「そう言えば、緑川に俺と話がしたいから残るって言ってたけど、何かあったか?」
「お兄ちゃん、この前話してたでしょ、緑川さんの抗体を獲得したら、お兄ちゃんの望みを1つ叶えるって……あの話だよ///」
「お~、そうだそうだ、確かそんな話もしてたよな」
「あの望みってさ……その、エッチなお願いだったり、する?///」
「ああ、ドエロイお願いだ……」
「そ、それって、もしかして……///」
「緑川の盗撮動画、アレ、俺も欲しいんだけど♡」
「……はい?」
「いや、だからさ、お前緑川のオナニーショーの動画撮ってただろ、アレを俺に提供してくれって話だよ。あんな上物のエロ動画、プロオカズハンターとして見過ごすわけにはいかねぇだろ、でゅふふ♡」
「……人に散々期待させといて……こ、この……バカ兄貴っ!!!」
カチッ。
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
……
「あ、流れ星!」
ぱちっ。
円香の声に反応し、気絶から目覚める。
仰向けに倒れる俺の真上で瞬く星々。
その1つが、一筋の光となり、堕ちて消えていった。
「お兄ちゃん、願い事、3つ言わなきゃ!!!」
言うにしてももう遅いし、1つの願いを3回唱えるルールじゃなかったか?
でも、せっかく叶えてもらえるなら、1つよりも3つの願いの方がお得なのは確かだ。
俺は、心の中で願いを唱える。
1つめは、今消えた光が、両親の滞在している宇宙ステーションで無いことを願う。
2つめは、円香がアニデイク細胞の呪縛から、無事に解放されることを願う。
3つめは、_____
「ん?お兄ちゃん、今私の名前呼ばなかった?」
「いや……何でもないよ……」
円香から目を逸らしながら、上体を起こして立ち上がる。
だってきっと、この願いは……
「そういうお前は、何をお願いしたんだ?」
と言い終え、円香の方を振り向いたその時。
チュッ。
不意に、俺の唇に、円香の唇が重ねられた。
初めて感じる、円香のその柔らかさ。
それが、俺の、俺と円香の、ファーストキスだった。
「なっ!?///お、お前っ!?///何をっ!?///」
「えへへ///スキあり♡」
「な、なんだよ!コレが今回のご褒美のつもりかよ///」
「ん~、ご褒美って言うよりは、”呪い”かな♡」
「呪い?」
「うん。これからも、アニナエル抗体を手に入れるために頑張ってもらいたいからね。お兄ちゃんには、私に尽くしたくなる”呪い”をかけました♡」
「なるほどな……」
確かに、この厄介な呪いからは当分解放されることはないだろう。
なんせ俺には、その”呪縛”でさえも愛おしいと、素直にそう思えてしまったのだから……
俺たちは、運命に抗い、堕ちていく。
付き合うよ、円香。
どこまでも、2人で一緒に堕ちていこう。
たとえその先に、俺たち2人の”ハッピーエンド”が待ち構えていなくても……
「……円香」
「何、お兄ちゃん?」
透き通る、その瞳を見つめながら……
「今夜は、月が綺麗だな」
「そうだね……今夜も月が綺麗だね、お兄ちゃん」
満月には程遠い欠けた月明かりが差し込む廃ビルの屋上。
2人だけの、暗闇の世界。
俺たち兄妹は、暫くの間、並んで月を眺めていた。
この、今にも落ちてきそうな星空に包まれながら……
「う、うぅ……あ、あれ、私、いったい何を……ここは……?」
緑川のヤツ、どうやら気絶していた影響でアタマが混乱している様だ。
「おはよう、緑川、やっと目が覚めたか」
彼女を安心させようと、しゃがんで目線の高さを合わせ、ニコッと優しく微笑みかける。
我ながら、なんて紳士的な対応なんだ。
……
「いやー!変態がいるー!!!」
ボコっ!!!
「ぐえぇぇっ!!!」
左頬に重い1発を食らい、弾き飛ばされる俺。
「いてててて、相変わらず手厳しいな緑川……」
お前程の美人に叩かれるのは正直ご褒美でしかないが、流石にグーパンチは痛いので、せめて次回からはパーで叩いて欲しいものだ。
「てっ、よく見たら青山君じゃない!?ご、ごめんなさい、私、さっき追いかけてきた変態と勘違いしちゃって、咄嗟に殴ってしまって……」
「緑川さん、その点に関しては大丈夫だよ。さっき追いかけてきたその変態が、イコールでお兄ちゃんだから」
「あなたは、青山君の妹さん……え~と、その、いったい、何がどうなってるの……?」
「まぁ、混乱するのも無理はないさ。早く説明してやりたい気持ちは山々なんだが、とりあえずコレを羽織ってくれないか。目のやり場に困るんだ……」
そう言って、ウニクロのグレーのジャケットを脱ぎ、依然として踊り場にペタンと腰を下ろしたままの緑川に差し出す。
「え?」
キョトンとした表情で、俺の顔を見上げる彼女。
「お前のその乳は、刺激が強過ぎるからな……」
「……あっ!///」
自らのカラダへ視線を落とし、自身が全裸である事を思い出した彼女。
「い、い、い……///」
顔を真っ赤に染めて、プルプルと震えながら俯く緑川。
い?い、ってなんだ?
「いやー!裸見ないでよ!変態!!!スケベ!!!エッチ!!!」
ボゴッ!!!
「ぐおぅっ!!!」
緑川の凶悪なノーモーションアッパーをモロに食らい、再び弾き飛ばされ宙を舞う俺の身体。
な、なんというエグい一撃……
神よ、なぜ彼女に非凡なる格闘技の才まで与え給ったのですか?
あと、コレだけは言わせてくれ……
緑川よ、俺なんかよりもお前の方がよっぽど変態だろうが!!!
まさか、アヤネたんのプレイにアレンジを加えてくるとは、流石に予想外だったぞ。
何だよ、モモンガマンコって、バカかお前は……
束の間の滞空時間が終わりを迎え、無情な重力の導きにより、踊り場の固いコンクリートに頭から落下した俺。
「ぐえぇぇっ!!!」
緑川のアッパーに加えて、この頭部強打のダメージである。
コレが致命傷となり、俺は、繁華街の片隅の廃ビルにて、ひっそりと息を引き取ったのであった……
”妹よ、俺をオカズに致すなよ!”
主人公の絶命により 【完結】
長い間、ご愛読,応援、ありがとうございました!
次回作「弟よ、私をオカズにシコるなよ!」は、近日連載開始予定です!
お楽しみに!
……
……
カチッ。
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
絶命したはずだった俺のカラダに突如として浴びせられる高圧電流。
「やった!お兄ちゃんが生き返った!こんな事もあろうかと、ストーカー7つ道具の1つ”お兄ちゃん蘇生スタンガン”を持ってきといて正解だったよ!」
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
「ね、ねぇ、彼、大丈夫なの?骨も内臓も丸見えになってるけど……」
「大丈夫だよ!この説明書によるとね……あっ……うん、とにかく大丈夫だよ!……多分」
ねぇ、円香ちゃん、今の間は何!?
説明書に何て書いてあったの!?
最後の”多分”が怖いんだけど!?
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
「ねぇ、彼の身体のココとココに見える黒い物体って何かしら?」
「あ~、それはね、埋め込んであるGPSと盗聴器のチップだから問題は無いよ」
いや問題しかないだろ!?
頼む緑川、このアホにその異常性を説いてやってくれ!
「……そう、問題無いならいいわ」
あっ、コイツ、また円香の事を見限りやがったな!
せめて、後から何処に埋まっていたかだけでも教えて欲しいものだ。
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
「ねぇ、流石にもう止めてあげてもいいんじゃないかしら?口と鼻と耳から黒い煙が出てきたし、マズいんじゃない?」
「おっと、確かにそうだね。痺れるお兄ちゃんの”顔芸”が面白くて、ついつい高圧電流を浴びせすぎちゃったよ、テヘペロ♪」
相変わらずの危険思想を露見させながらも、円香はやっとこさ電流を止めてくれた。
「ふしゅ~~、ふしゅ~~」ぷくぷくぷく。
「あはは、お兄ちゃん、口から泡吐いてカニさんみたいでカワイイねwウケるんだけどw」
「人間の身体から黒い煙が出る姿、初めて見たわ……大丈夫、青山君?」
「ふしゅ~~、だ、だい、大丈夫な、わけ、ねー、だろ……」ぷくぷくぷく。
後ほどこの凶悪なスタンガンのパッケージを確認させてもらったところ、正式名称は”お兄ちゃん蘇生スタンガン”ではなく”お兄ちゃん気絶スタンガン”であったことが判明した。
説明書の中身については、恐れ多いので確認するのは控えておいた。
コレに関しては、おそらく”知らぬが仏”だ……
「ふ~、危うく死にかけたぜ……」
「助かって良かったねお兄ちゃん!私に感謝してよね♡」
いや、半分はお前に殺されかけたみたいな気分だけど……
「青山君、ごめんなさい、私……」
「いいよ、気にしないでくれ。混乱するのも無理はないさ」
とりあえず、緑川に事情を説明しないといけないが、どう説明したらいいものか……
「お兄ちゃん、説明は私に任せて!」
「大丈夫なのか?」
「私、”説明検定5級”を持ってるからね!」
いや、そんな”えっへん”みたいなドヤ顔されても、誰も知らんぞ、そんな謎の資格。
「緑川さん、実はカクカクシカジカで~」
「なるほど、そういう事だったのね」
説明検定の力すごっ!?
これまでの10万文字に及ぶ物語の内容が、たったの8文字で伝わるとは……
「というわけで緑川さん、とりあえず屋上に戻りましょう」
「え、ええ、わかったわ」
そうして俺たち3人は、今しがた駆け下りてきた階段を再び上り始める。
もちろん、殿を務めるのは俺だ、ふひひ♡
緑川のお尻を眺めていたら、あっという間に屋上に辿り着いていた。
「緑川さん、とりあえず先に服を着てもらってもいいですか。さっきからチラチラと、そこの猿が視線を向けているのがムカつくので」
「ちょっと!こっち見ないでよ!エッチ!」
「んなこと言われてもよ~、童貞男子にそれは酷ってもんだろ……」
「って、あら、私の下着が無い!?」
「なんだと!?くそっ!まさかこんな所にまで泥棒が現れるとは……この国の治安はどうなってやがるんだっ!」
「お兄ちゃん、その膨らんだポケットの中のモノをおとなしく出しなさい……」
「……何でバレたんだ、まさかそれも超能力か?」
「んなわけないでしょ……いや、逆に聞きたいけどさ、何でバレないと思ったの?」
「いいから、早く私の下着を返しなさいよ!///」
クンカクンカ。
「ほれ」
「ちょっと、ナチュラルに匂い嗅がないでよっ!」
「安心してくれ、良い匂いだったぞ///」
「いったい今の流れの中で、私に何を安心しろと……」
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「良かった!まだ緑川さんの”イキ潮”が残ってるよ、お兄ちゃん!」
「よし円香、緑川の”イキ潮”から、アニナエル抗体を接種するんだ!」
「ちょっと、あなた達、本人を前に”イキ潮”とか言うの止めて欲しいんだけど!///」
「で、円香、どうやってこのイキ潮から抗体を接種するんだ?まさか、舐めたりするのか?」
「違うよ、ここで超能力の”快楽昇天”を使うんだよ!」
そう言って円香は、緑川のイキ潮で形成された微かな水溜りに左手の掌をつけた。
「快楽昇天!」
その発声に合わせて、彼女の左手が淡い黄色の輝きを放つ。
「凄い……彼女、本当に超能力者なのね」
「確かに、コレはかなり超能力者っぽいな」
「よし!緑川さんのイキ潮から、無事に抗体を接種できたよ!」
「やったな!流石は緑川のイキ潮だぜ!」
「だから、イキ潮イキ潮言われるのは恥ずかしいから止めて!///」
「”モモンガマンコ”って言う方がはるかに恥ずかしいよな、円香」
「”ケツ穴ボンバー”だって相当ヤバいと思うよ、お兄ちゃん」
「私が悪かったから、その件に関して言及するのは止めて!///」
「緑川さん、お騒がせしてごめんなさい。でも、お陰様でアニナエル抗体を手に入れる事ができました!ありがとうございます!」
「サンキュー、緑川!」
「え、ええ、お役に立てたならそれはそれで良かったわ……青山さん、1つお願いがあるんだけど……」
「なんですか?」
「あの……私のこの性癖の事、他の人には黙っていて欲しいのだけど///」
「もちろん、誰にも言ったりしませんよ」
「……青山君にも、お願いできるかしら///」
「ああ、任せとけ、お前には前々から世話になってるからな。恩を仇で返すようなマネはしないさ」
「前々からの恩?私には何のことか分からないのだけど?」
「ふっ、自覚がないならそれでいいさ」
緑川よ、俺の”オカズ1軍メンバー”のエースとして、常日頃から活躍しているお前を裏切りはしないさ。
「緑川さん、その代わりって言ったら悪いですけど、今後私たちの抗体集めに協力をお願いしたいんですけど……」
「ええ、もちろん、協力するわ、青山さん」
「”円香”って呼び捨てでいいですよ、緑川さん。私たち、もう仲間じゃないですか!」
「そう、じゃあ、私のことは”楓”でいいわよ、円香」
「わかりました、楓さん!これから宜しくお願いします!」
「こちらこそ宜しくね」
変態同士、どうやら馬が合ったようでなによりだ。
緑川が味方になってくれれば、これからの活動において大きな戦力となってくれるだろう。
良かった、円香の強請のネタ、もとい交渉材料の出番が回ってこなくて……
「楓さん、もう結構時間経っちゃってるけど、帰りの時間とか大丈夫ですか?」
「え?……あっ!マズい、もうこんな時間!早く帰らなきゃ!円香達は大丈夫なの?」
「ええ、私はもう少しだけお兄ちゃんとココで話がしたいので、楓さんは先に帰っちゃって大丈夫ですよ」
「そ、そう。じゃあ悪いけど、私は先に帰らせてもらうわね。帰りが遅くなると、ママが心配して何かと面倒なのよ」
「「ママ…」」
「あっ……///お、”お母さん”が心配するから先に帰らせてもらうわね///」
「バイバイ、楓さん!」
「じゃあな、緑川」
階段を急ぎ足で駆け下りていった緑川の足音も聞こえなくなり、静寂を取り戻した廃ビルの屋上。
青白い光に照らされる、俺と円香の2人きりの世界が訪れる。
「とりあえず、コレで今回のミッションは完了だな」
「お兄ちゃん、今日はありがとね!」
「妹の為に頑張るのは、兄として当然だろ」
兄として、妹の為に頑張る。
それは間違いなく本心だけど、でも、本当はそれだけじゃない。
俺は、男して、お前の事を……
「そう言えば、緑川に俺と話がしたいから残るって言ってたけど、何かあったか?」
「お兄ちゃん、この前話してたでしょ、緑川さんの抗体を獲得したら、お兄ちゃんの望みを1つ叶えるって……あの話だよ///」
「お~、そうだそうだ、確かそんな話もしてたよな」
「あの望みってさ……その、エッチなお願いだったり、する?///」
「ああ、ドエロイお願いだ……」
「そ、それって、もしかして……///」
「緑川の盗撮動画、アレ、俺も欲しいんだけど♡」
「……はい?」
「いや、だからさ、お前緑川のオナニーショーの動画撮ってただろ、アレを俺に提供してくれって話だよ。あんな上物のエロ動画、プロオカズハンターとして見過ごすわけにはいかねぇだろ、でゅふふ♡」
「……人に散々期待させといて……こ、この……バカ兄貴っ!!!」
カチッ。
ビリビリビリビリ!!!
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!」
……
「あ、流れ星!」
ぱちっ。
円香の声に反応し、気絶から目覚める。
仰向けに倒れる俺の真上で瞬く星々。
その1つが、一筋の光となり、堕ちて消えていった。
「お兄ちゃん、願い事、3つ言わなきゃ!!!」
言うにしてももう遅いし、1つの願いを3回唱えるルールじゃなかったか?
でも、せっかく叶えてもらえるなら、1つよりも3つの願いの方がお得なのは確かだ。
俺は、心の中で願いを唱える。
1つめは、今消えた光が、両親の滞在している宇宙ステーションで無いことを願う。
2つめは、円香がアニデイク細胞の呪縛から、無事に解放されることを願う。
3つめは、_____
「ん?お兄ちゃん、今私の名前呼ばなかった?」
「いや……何でもないよ……」
円香から目を逸らしながら、上体を起こして立ち上がる。
だってきっと、この願いは……
「そういうお前は、何をお願いしたんだ?」
と言い終え、円香の方を振り向いたその時。
チュッ。
不意に、俺の唇に、円香の唇が重ねられた。
初めて感じる、円香のその柔らかさ。
それが、俺の、俺と円香の、ファーストキスだった。
「なっ!?///お、お前っ!?///何をっ!?///」
「えへへ///スキあり♡」
「な、なんだよ!コレが今回のご褒美のつもりかよ///」
「ん~、ご褒美って言うよりは、”呪い”かな♡」
「呪い?」
「うん。これからも、アニナエル抗体を手に入れるために頑張ってもらいたいからね。お兄ちゃんには、私に尽くしたくなる”呪い”をかけました♡」
「なるほどな……」
確かに、この厄介な呪いからは当分解放されることはないだろう。
なんせ俺には、その”呪縛”でさえも愛おしいと、素直にそう思えてしまったのだから……
俺たちは、運命に抗い、堕ちていく。
付き合うよ、円香。
どこまでも、2人で一緒に堕ちていこう。
たとえその先に、俺たち2人の”ハッピーエンド”が待ち構えていなくても……
「……円香」
「何、お兄ちゃん?」
透き通る、その瞳を見つめながら……
「今夜は、月が綺麗だな」
「そうだね……今夜も月が綺麗だね、お兄ちゃん」
満月には程遠い欠けた月明かりが差し込む廃ビルの屋上。
2人だけの、暗闇の世界。
俺たち兄妹は、暫くの間、並んで月を眺めていた。
この、今にも落ちてきそうな星空に包まれながら……
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真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
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