【完結】恋愛経験ゼロ、モテ要素もないので恋愛はあきらめていたオメガ男性が運命の番に出会う話

十海 碧

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 ピンポーン
 2回目の日曜日が来た。玄関のベルが1時きっかりに鳴る。柊里が出迎えに行った。
 蓮は手作りのオムライスをテーブルに並べた。桜華学園は卒業と同時にお嫁入りする生徒が多いので家庭科の授業が多い。蓮も一通りの料理はできるように仕込まれていた。
 今日はおうちデートなので如月夫妻と相談し手持ちの服でコーディネートした。在宅の仕事なので部屋着の着心地はこだわりがあり、お気に入りのブランドをネットで定期的に購入していたのでいくつか手持ちがあった。スカイプで相談し、Vネックの少しゆったりとしたTシャツに七分丈のレギンスになった。瞬に言わせると首、手首、足首を全て見せているのがいいらしい。
 昼食を作る予定と言ったら、エプロンは付けたままでと注文が入った。フリル付きがいいと言われたが持ってないので、比較的新しいギンガムチェックのエプロンにした。
 優斗は白いTシャツに淡いグレーのサマージャケットを羽織っていた。前回のスーツより少しくだけた感じ。髪もワックスで固めておらず、サラサラしていた。
(カッコ良すぎ)
 何回も思い返しているうちにどんどん美化しているのではと思うほど空想の優斗はカッコ良かったのに、本物の破壊力は半端なかった。
「蓮君……」
 優斗が呆然として蓮を見つめる。
(あれ? 何か変かな?)
 蓮は慌てる。
 くすっと柊里は笑い、「どうぞ」と優斗を誘導した。
「今日は蓮が昼ご飯作ったんですよ」
 3人でテーブルに付く。
「いただきます」
 優斗が食べるのをはらはらして見守る。
「上手い」
 柊里も「美味しいよ」と言ってくれて蓮も安心して食べ始める。卵の半熟具合が難しいけど得意で、桜華時代もみんなに振る舞って喜ばれていた。
 昼食を終え、優斗のお土産のゼリーと食後のコーヒーを飲みながら柊里の取材が開始された。

「私は北海道の利尻島で生まれました。両親は漁業をしております。ベータの夫婦です。弟もいますがベータです。人口の少ない島なのでアルファやオメガは滅多にいません。私がアルファと判明した時は島中のみんながびっくりして見に来ました。両親もびっくりしたようですが『アルファっていっても優秀ってだけで困らないんでしょ。ラッキーだよね。自分達の大切な子供ということは変わらないよね』と特別扱いせず普通に育ちました。小学校に入学すると、あっという間に6年分の勉強が済んでしまいました。やることがないので先生の補助をして上級生に勉強を教えたりしてました。担任の先生が、このままでは私のためにならないのではないかと心配して、札幌にアルファの子が行く中高一貫校があると調べてくれました。父も母も中卒で漁業をやっているので、あまり教育に関心がなかったのですが、担任の先生の熱意にほだされて、私を札幌に進学させてくれました」
 優斗はスマホの家族写真を見せてくれた。お父さんとお母さんは同い年で18歳で結婚し優斗が生まれた。弟は蓮と同じ18歳。稚内の高校を卒業し漁業に従事している。こちらは優斗と雰囲気が違うワイルドなイケメン。
 利尻の海の写真も見せてくれた。
「ウニが美味しいんだよね。海で取って割って海水で洗って食べるの。お付き合いを公にできるようになったら蓮君と桐生先生もご招待したいです」
 柊里は弟の写真をじっくり眺めた。
「沢渡君もいいけど弟さんもいいね。この土地もいい。三島由紀夫の『潮騒』読んだことある? 弟さんと利尻島モデルにオマージュ作品書きたいなあ」
 優斗の北海道エピソードを聞きながらスマホの写真を色々見せてもらった。1時間たったら「はい、終了」と柊里はメモを片付けてしまった。
「俺は自室で仕事するから。5時までね」
 2人切りになった。
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