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酩酊と告白について・後編(柊山視点)
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遥君は僕が情けない顔をしているのを見て、優しく抱きしめ頭を撫でてくれた。
「大丈夫ですよ」
「……遥君は、やっぱり器が大きいよ」
「ははっ……そんなことは全然ないですよ……」
そんなやり取りをした後、しばらく無言で抱き合っていた。
テレビから流れる夕方のニュースの音声はもう天気予報になっていて、そろそろ終わる頃合いだ。
「……けっこう、温まりました」
そう言うと、遥君がそっと離れる。どうやら照れくさくなったようで、少し気まずそうな顔をしている。名残り惜しさを感じながら僕も体を離した。
「……僕達、今日、行き違ったり仲良くしたり忙しかったよね」
「オレは、そういうことをあなたと出来るの、嬉しいです」
彼は振り回されるくらいで気持ちはなくならないと言ってくれた。
――僕も嬉しかったな。録音してずっと聞いていたいような言葉で……いや、こういう所が重いんだ……
そう自重しながら、彼の首筋に手を伸ばして触る。
「どうしました?」
触れると彼はくすぐったいのかビクリと震えた。
「うん、さっきより、ひんやりしていないね」
「はい、温められたので……」
そのまま首筋を撫でると恥ずかしそうにしながらも、されるがままになっている。
「……もっと、オレの体に触って確かめますか?」
「あ……いや、その」
彼の誘うような艶っぽい表情に思わず手を引っ込めてしまった。このまま自分への慰めのような流れで彼を抱いてしまって良いのだろうか。
「やめておきますか?」
遥君は少し残念そうだった。その表情に欲望が湧き上がって来たが、抑え込む。
「……その、僕もちょっと落ち着きたくて……少しだけ待ってもらって良いかな……それで、今日の夜、君としたいんだけど……君は良いかな?」
正直今すぐにでも遥君を自分の良いようにしたいと思ってはいたけれど、こんな気持ちで今の彼に触れたくはなかった。
――詭弁だな……自分勝手にしても受け入れてくれる彼も見てみたいと思っているくせに
薄暗い気持ちと彼への好意が綯い交ぜになって自分でも困惑しているのが分かる。
「……はい、大丈夫です」
遥君は気恥ずかしそうに言うと、隣の僕にもたれかかるように座った。
「……さっき、触りあったから、夜はしないと思っていました」
「……僕だって男だよ」
「ふ……知っていますよ」
優しく笑う遥君を見ていると、こちらも温かい気持ちになる。
「……夕飯、どうしようか。今日は外で食べようかと思っていたんだけれど、何だかそんな気分じゃないよね……宅配で何か頼もうか。遥君を外に出したくないし」
「え?」
遥君は先程から熱っぽい表情をしていて、それを誰にも見せたくなかった。
「今の君を、他の人に見られたくないんだ」
「あ、え、オレ、もしかしてにやついた顔してますかね……」
「ううん。そういうのではなくて……僕の独占欲だよ。今の君を独り占めしたいんだ」
「………………敬久さんって、けっこうオレに対して殺し文句を言ってきますよね」
彼は僕から体を離すと、息を吐いて顔を手で覆った。耳まで赤くなっている。
「はー、もう……オレはただでさえ、いっぱいいっぱいなのに……」
「遥君って照れると顔以外も赤くなって可愛いよね」
「……あんまり、からかわないでくださいよ」
手を顔から離すと、非難するような目で見つめられた。
「ふふっ、ごめんね。でも、からかってないよ。君は可愛いし、真っ直ぐでかっこいいよ」
「…………ああ、もう」
そう言うと遥君は立ち上がった。
「……夕飯、オレが冷蔵庫にあるもので何か作りますから」
「え、それは嬉しいけれど良いの?」
「はい、何か作業していたいので……じゃないと煩悩が…………いや、何でもないです。大丈夫です。作ります」
「僕も手伝うよ」
彼に続くように立ち上がり、二人してキッチンに向かった。
「大丈夫ですよ」
「……遥君は、やっぱり器が大きいよ」
「ははっ……そんなことは全然ないですよ……」
そんなやり取りをした後、しばらく無言で抱き合っていた。
テレビから流れる夕方のニュースの音声はもう天気予報になっていて、そろそろ終わる頃合いだ。
「……けっこう、温まりました」
そう言うと、遥君がそっと離れる。どうやら照れくさくなったようで、少し気まずそうな顔をしている。名残り惜しさを感じながら僕も体を離した。
「……僕達、今日、行き違ったり仲良くしたり忙しかったよね」
「オレは、そういうことをあなたと出来るの、嬉しいです」
彼は振り回されるくらいで気持ちはなくならないと言ってくれた。
――僕も嬉しかったな。録音してずっと聞いていたいような言葉で……いや、こういう所が重いんだ……
そう自重しながら、彼の首筋に手を伸ばして触る。
「どうしました?」
触れると彼はくすぐったいのかビクリと震えた。
「うん、さっきより、ひんやりしていないね」
「はい、温められたので……」
そのまま首筋を撫でると恥ずかしそうにしながらも、されるがままになっている。
「……もっと、オレの体に触って確かめますか?」
「あ……いや、その」
彼の誘うような艶っぽい表情に思わず手を引っ込めてしまった。このまま自分への慰めのような流れで彼を抱いてしまって良いのだろうか。
「やめておきますか?」
遥君は少し残念そうだった。その表情に欲望が湧き上がって来たが、抑え込む。
「……その、僕もちょっと落ち着きたくて……少しだけ待ってもらって良いかな……それで、今日の夜、君としたいんだけど……君は良いかな?」
正直今すぐにでも遥君を自分の良いようにしたいと思ってはいたけれど、こんな気持ちで今の彼に触れたくはなかった。
――詭弁だな……自分勝手にしても受け入れてくれる彼も見てみたいと思っているくせに
薄暗い気持ちと彼への好意が綯い交ぜになって自分でも困惑しているのが分かる。
「……はい、大丈夫です」
遥君は気恥ずかしそうに言うと、隣の僕にもたれかかるように座った。
「……さっき、触りあったから、夜はしないと思っていました」
「……僕だって男だよ」
「ふ……知っていますよ」
優しく笑う遥君を見ていると、こちらも温かい気持ちになる。
「……夕飯、どうしようか。今日は外で食べようかと思っていたんだけれど、何だかそんな気分じゃないよね……宅配で何か頼もうか。遥君を外に出したくないし」
「え?」
遥君は先程から熱っぽい表情をしていて、それを誰にも見せたくなかった。
「今の君を、他の人に見られたくないんだ」
「あ、え、オレ、もしかしてにやついた顔してますかね……」
「ううん。そういうのではなくて……僕の独占欲だよ。今の君を独り占めしたいんだ」
「………………敬久さんって、けっこうオレに対して殺し文句を言ってきますよね」
彼は僕から体を離すと、息を吐いて顔を手で覆った。耳まで赤くなっている。
「はー、もう……オレはただでさえ、いっぱいいっぱいなのに……」
「遥君って照れると顔以外も赤くなって可愛いよね」
「……あんまり、からかわないでくださいよ」
手を顔から離すと、非難するような目で見つめられた。
「ふふっ、ごめんね。でも、からかってないよ。君は可愛いし、真っ直ぐでかっこいいよ」
「…………ああ、もう」
そう言うと遥君は立ち上がった。
「……夕飯、オレが冷蔵庫にあるもので何か作りますから」
「え、それは嬉しいけれど良いの?」
「はい、何か作業していたいので……じゃないと煩悩が…………いや、何でもないです。大丈夫です。作ります」
「僕も手伝うよ」
彼に続くように立ち上がり、二人してキッチンに向かった。
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