【完結/R18】恋人として君と過ごす日々

テルマ江

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二人しか知らない秘密・前編(柊山視点)

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 その後、五分程延長してもらい、遥君と二人してソファから起き上がった。

「もう、延長良いんですか……?」
「うん……」

 遥君のパジャマから覗く胸に僕の唾液が付いてしまっていたので、慌ててティッシュで拭いた。

「……ベタベタするよね。今、タオル濡らしてくるから……」
「ふふっ……そんなにしなくても、大丈夫ですよ。後でウェットティッシュで拭きますから」

 そのまま僕の首に腕を回して唇を重ねられた。

「ん……はぁ……」

 遥君は少し長めに唇を合わせ、名残惜しそうに僕の唇をペロリと舐めた。そんな風にされると、押し倒して舌を吸ったり甘噛みしたかったけれど、どうにか耐えた。

「……すみません。オレも、少し興奮してしまって」
「いや、全然かまわないよ……」

 僕の唇を撫でながら、遥君は体を離してパジャマのボタンを閉じた。遥君の瞳が熱っぽく僕を見つめている。

――遥君も我慢しているのかな……僕がスケジュールを何とか出来ていたら、彼ともっとイチャイチャできたのになあ……

 僕も名残惜しさを感じていたけれど、今日中に作業を仕上げれば連休は彼と楽しく過ごせるのだと自分に言い聞かせた。

「……コーヒー、冷めちゃいましたね。新しいの淹れてきましょうか?」
「いや、大丈夫。冷たいのが飲みたかったから、丁度良いよ……」
「ふふっ、分かりました。あ、髪の毛乱れちゃいましたね……」

 僕の頭に手を伸ばして、髪を整えてくれた。この甘い雰囲気をもっと感じていたかったけれど、執筆作業という現実があったので堪えた。遥君は机の上にあるメガネを手に取り、僕にかけてくれた。

「ありがとう……」
「どういたしまして……」

 遥君は僕に顔を近づけて、チュッと音を立ててキスをした。彼の顔にメガネが当たり、またカチャリと音が鳴った。

「ははっ……オレ、離れがたくなっちゃうな……もう、寝ますね……」
「うん、ごめんね」
「謝らないでくださいよ……」

 顔が近いままだったので、またキスしてもらえるのかなと思い、遥君の熱っぽくなった端正な顔を見つめた。

「……ダメだ。あなたの邪魔をしてしまう……寝ます!」

 遥君は思いを振り切るように、勢いよく立ち上がった。

「……ウェットティッシュ、寝室のサイドボードにありましたよね。引き出しを開けても良いですか?」
「うん、僕の家のものは、君の好きに使ってもらって良いから……」

 遥君の勢いに押され声が小さくなってしまった。

「ありがとうございます。おやすみなさい、敬久さん……」
「おやすみ……遥君」

 彼は空のカップをキッチンに持って行くとシンクで手早く洗い、そのままパタパタと寝室に向かった。

――遥君と一緒に眠りたかったな

 僕は静かになったリビングで冷めたコーヒーを啜った。冷めたコーヒーは濃い目に淹れていたので胃に染みるようだった。

――彼がいない時は、こういう時、どんな風に過ごしていたかなあ……

 テレビ台に置いてある時計を見ると、二十三時を回っている。

――あと作業量的に……四時間……いや、三時間くらいで仕上がれば良い方かな……

 仮眠をしたので、目は冴えている。

――遥君の胸を吸いながら眠るの……癖になったら困るな。気持ち良いんだけれど……年下の恋人の胸を吸いながらでしか眠れないおじさんになったら、困るからなあ……

 そう思いながらも、遥君に拒まれなかったら、たまにさせてもらおうとも考えていた。どんどん彼に望むことが増えていく気がする。

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