色づく世界の端っこで

星夜るな

文字の大きさ
上 下
19 / 87
第一章

19

しおりを挟む
「星井くん。どこに行ってたんですか?」
と、部屋に入ってきた瞬間に言われた。唯菜先生は、クスクスと笑っている。そして、僕たちの方を見て、
「ふふ。仲がいいわね。手を繋いじゃって。」
(あっ。つなぎっぱなしだった。)僕は、振りほどこうとするが、逆に強く握りしめられる。
「いいでしょ!仲いいんだよ。」
と、満面の笑みで答えた。少し恥ずかしかった。
「そういえば、どんな理由があって来たんですか?」
と聞きたかったことを聞いた。
すると、仲野先生が
「実は、星井くんが土日何をするんだろうと話になりまして、結果、ついていってみようということになり、後ろからついてきました。すいみません。」
と、頭を下げてくれた。先輩たちも。
どうしようか。そう思っていると、
「それでね。ここを見てもらおうという話になったのよ。だから、みんなで仲良く、小さい子の面倒を見てね。それと、もうそろそろ起きてくるから、彩人、碧特にお願いするわ。」
すると、唯奈先生の予知能力なのか。廊下からバタバタ。という音が聞こえてくる。コンコンというドアをノックする音が聞こえ、ドアが開いた。
「おはよう!唯菜先生!碧兄ちゃん!」
と元気な挨拶が聞こえてくる。
「おはよう。いい挨拶だね。」
「おはようございます。もうみんなは、外なのかしら?」
「うん。あっ。彩人兄だ!元気だった?」
「うん。おはよう。元気。」
と返した。そして僕の手を握り、部屋の外に連れ出そうとするが、見たことのない人たちを見つけたみたいだ。
「ねぇねぇ!あの人誰?」
と、手を引っ張りながら聞いてきた。
「僕の部活の知り合いと先生。」
というと、先輩たちが、
「ひどいよ。もう友達。いやそれ以上なのに…。」
と日比野先輩が。
「そうだぞ。星井は、僕が嫌いなのか?!」
と、夏海くん。
「今回に限っては、俺も二人の意見に同意だ。」
と、メガネをかけ直しながら、香山先輩。
「そうやな。知り合ったばっかりだと思うけど、僕は、友達と思っていたんよ。」
と、和中先輩。
仲野先生は、なんだかしょんぼりしているような。
「結局さ。どっちなんだろうね。」
と碧が言うので、
「どっちでも変わらない。」
というと、
「それはないでしょう。まあ、私としても、確かに、どっちでもいいわ。それより、朝ごはんを、作らないといけないわ。手伝いってくださいね。」
と。
しおりを挟む

処理中です...