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第九十六話 継母の言葉、そして、継母の屈服
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継母は話を続けた後、一回言葉を切った。
そして、心を整えた後、話を続ける。
「わたしはこの家に来た当初からあなたが嫌いだった。公爵閣下は、その愛をわたしとあなたとオディナティーヌの三人に均等に分け与えたいとおしゃった。でも、結局のところ、その愛を一番受けていたのはあなただった。そのことが憎たらしくてしょうがなかったの」
「お母様、お言葉ですが、お父様はお母様を愛していたと思いますし、今でも愛していると思います」
「あなたはそう思うのね。でも、わたしにはそうは思えなかった。わたしを妻としてもっと愛してほしい。わたしは公爵閣下のことが大好きで愛しているのだから。そして、オディナティーヌを娘としてもっと愛してほしい。わたしの愛する娘なのだから。そう思っていた。しかし、公爵閣下はその後もあなたを一番愛し続けた。だからこそ、わたしはあなたのことが、ますます憎くなっていった。そして、あなたをイジメ続けて、あなたのことを苦しめたいと思ったの」
わたしはこの継母の言葉を聞いて悲しくなった。
お父様は、継母に心を奪われるほど愛していたし、オディナティーヌも継母の連れ子でありながら、十分かわいがっていたと思う。
それでもお父様の愛が足りなかったというのだろうか?
ゲームではここまでの設定はなかったように思う。
このゲームは、もともとわたしが「悪役令嬢」で、継母やオディナティーヌはイジメられる側だったからだ。
継母はわたしの想像以上に、お父様の愛を欲していたということなのだろう。
「でもあなたはわたしの想像以上の難敵だった。わたしのイジメに屈服するどころか、反撃をしてくる。なんて子なのだろうと思ったわ。継母とはいうものの、母親だと言うのに……。わたしはこんな親を親と思わない子は絶対に服従させようと思った。そして、あなたに対抗したいと思い、闘志が湧き上がってきたの。それからわたしとあなたの戦いが始まった。わたしは自分に自信があったから、いずれ自分が勝利すると思っていたの」
継母はここで一旦言葉を切った。
そして、
「でも結局、今回もあなたに屈服せざるをせざるえなかった。悔しいけど、仕方がない……」
と言うと、涙を流し始めた。
しばらくの間、涙を流し続ける継母。
わたしは何も言わず、その姿を見守っていた。
今まであれほどわたしに対しての対抗損を燃やし、嫌味を言ってきた継母。
その姿はもうない。
やがて、継母は涙を拭くと、
「二度も屈服させられてしまったわね。もうあなたとは極力、話をしないようにするわ。結局のところ、あなたにはかなわない。まあ、あなたが婚約者に認められたことは、褒めてあげるわ。これからは、ボードリックス公爵家だけではなく、嫁ぎ先のルクシブルテール王国についても、名前をもっと高めていくように、一生懸命努力しなさいね。これはあなたにしかできないのだから」
と少し微笑みながら言った。
最後の方の言葉は、もしかすると、わたしのことを少し思ってくれたものなもかもしれないし、そうでないかもしれない。
しかし、わたしは継母も少しずつ変わりつつあることを信じたかった。
わたしは、
「お母様、どうもありがとうございます。お母様のおっしゃっる通り、名前をもっと高めて行けるように一生懸命努力をしていきたいと思います。
と応えるのだった。
この会話以降の継母は、わたしに対して嫌味を言うのをさらに我慢するようになった。
そして、嫌味を言うことはほぼなくなった。
この次期の当主の話も、わたしを積極的に支持するわけではないのだけれど、反対することもなく、わたしを次期の当主として、認める方向になっていった。
また、わたしの生まれ変わろうとする努力がボードリックス公爵家の人たちに認められてきたのも大きい。
わたしのことを支持する人たちは急速に増え、継母の勢力を越えるものになってきた。
そのこともあって、わたしが次期の当主の座につくことに反対する人たちは、ほとんどいなくなっていた。
お父様もこの状況なので、安心して決断することができたと思う。
こうしてわたしはボードリックス公爵家次期の当主の座につくことになった。
そして、心を整えた後、話を続ける。
「わたしはこの家に来た当初からあなたが嫌いだった。公爵閣下は、その愛をわたしとあなたとオディナティーヌの三人に均等に分け与えたいとおしゃった。でも、結局のところ、その愛を一番受けていたのはあなただった。そのことが憎たらしくてしょうがなかったの」
「お母様、お言葉ですが、お父様はお母様を愛していたと思いますし、今でも愛していると思います」
「あなたはそう思うのね。でも、わたしにはそうは思えなかった。わたしを妻としてもっと愛してほしい。わたしは公爵閣下のことが大好きで愛しているのだから。そして、オディナティーヌを娘としてもっと愛してほしい。わたしの愛する娘なのだから。そう思っていた。しかし、公爵閣下はその後もあなたを一番愛し続けた。だからこそ、わたしはあなたのことが、ますます憎くなっていった。そして、あなたをイジメ続けて、あなたのことを苦しめたいと思ったの」
わたしはこの継母の言葉を聞いて悲しくなった。
お父様は、継母に心を奪われるほど愛していたし、オディナティーヌも継母の連れ子でありながら、十分かわいがっていたと思う。
それでもお父様の愛が足りなかったというのだろうか?
ゲームではここまでの設定はなかったように思う。
このゲームは、もともとわたしが「悪役令嬢」で、継母やオディナティーヌはイジメられる側だったからだ。
継母はわたしの想像以上に、お父様の愛を欲していたということなのだろう。
「でもあなたはわたしの想像以上の難敵だった。わたしのイジメに屈服するどころか、反撃をしてくる。なんて子なのだろうと思ったわ。継母とはいうものの、母親だと言うのに……。わたしはこんな親を親と思わない子は絶対に服従させようと思った。そして、あなたに対抗したいと思い、闘志が湧き上がってきたの。それからわたしとあなたの戦いが始まった。わたしは自分に自信があったから、いずれ自分が勝利すると思っていたの」
継母はここで一旦言葉を切った。
そして、
「でも結局、今回もあなたに屈服せざるをせざるえなかった。悔しいけど、仕方がない……」
と言うと、涙を流し始めた。
しばらくの間、涙を流し続ける継母。
わたしは何も言わず、その姿を見守っていた。
今まであれほどわたしに対しての対抗損を燃やし、嫌味を言ってきた継母。
その姿はもうない。
やがて、継母は涙を拭くと、
「二度も屈服させられてしまったわね。もうあなたとは極力、話をしないようにするわ。結局のところ、あなたにはかなわない。まあ、あなたが婚約者に認められたことは、褒めてあげるわ。これからは、ボードリックス公爵家だけではなく、嫁ぎ先のルクシブルテール王国についても、名前をもっと高めていくように、一生懸命努力しなさいね。これはあなたにしかできないのだから」
と少し微笑みながら言った。
最後の方の言葉は、もしかすると、わたしのことを少し思ってくれたものなもかもしれないし、そうでないかもしれない。
しかし、わたしは継母も少しずつ変わりつつあることを信じたかった。
わたしは、
「お母様、どうもありがとうございます。お母様のおっしゃっる通り、名前をもっと高めて行けるように一生懸命努力をしていきたいと思います。
と応えるのだった。
この会話以降の継母は、わたしに対して嫌味を言うのをさらに我慢するようになった。
そして、嫌味を言うことはほぼなくなった。
この次期の当主の話も、わたしを積極的に支持するわけではないのだけれど、反対することもなく、わたしを次期の当主として、認める方向になっていった。
また、わたしの生まれ変わろうとする努力がボードリックス公爵家の人たちに認められてきたのも大きい。
わたしのことを支持する人たちは急速に増え、継母の勢力を越えるものになってきた。
そのこともあって、わたしが次期の当主の座につくことに反対する人たちは、ほとんどいなくなっていた。
お父様もこの状況なので、安心して決断することができたと思う。
こうしてわたしはボードリックス公爵家次期の当主の座につくことになった。
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