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夕暮れ
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オレンジ色の優しい温かさが私を包み黒い影を落とす。
そんな影の存在を知りながら彼女はつぶやく。
「やっぱり甘い」
炎のように火照る体を冷たいアイスが喉を通り熱さを沈める。アイスで湿気たコーンが口の中に張り付く。
甘いけれど夏はやっぱりアイスが食べたくなる。いくら食べても体はすぐに夏の熱を離してはくれない。
「い~ちごいちご、あなたのいちご~🎶」お目当ての甘い物を食べれてご機嫌だから自分の好きな歌を口ずさむ。母が小さい頃よく歌ってくれた変な歌。幼稚園でそれを歌ったら誰も知らなくて困ったことがある。それもそう、この曲は母が作ったから誰も知るはずがない。
「あなたのいちご~あなたのいちごはどんな味?あーまい酸っぱいどんな味?🎶」母と私の2人だけの歌。なんか2人だけの歌って聞くととてもいい響きだなって思ってしまう。
この曲もそうだけれど、オレンジ色の夕暮れとひとりぼっちの影をみるとどこか懐かしくてくすぐったいそんな思いになるのは何故だろう。最近、そんなふうに思う事が増えた気がする。自分が成長したと言う事なのか?それとも、何か忘れているようなそんな気持ちになる。
「変な歌」
オレンジ色が照らす空間で後ろの方から声がした。振り返ると制服を着た男の子がいた。
「その曲何?」そう言いながら私の隣を歩く。
「母上が作った曲」
「ふーん」
質問されたから答えたのに、ふーんと一言で片付けられた。しかも、母上って言った事を指摘して欲しくてわざと言ったのにスルーされた、と思いながら男の子の隣を歩く。
コツンコツンと歩く音だけが響く。
「なぁ、どこの高校行くの?」
「まだ決めてないよ」
「ふーん」
いつも会話は彼のふーんで終わる。ふと現れては私の隣を歩き質問してきて答えてはふーんの一言。それがいつからか当たり前になって帰りに彼がいないと何故か少し寂しく感じる。
ふと、隣を歩く彼が足を止めた。彼の方を向くと、「さっきの曲。悪くないから。じゃあ、俺こっちだから」と私に背を向けて去って行った。
その後ろ姿がとても寂しく見えたのか気の所為だろうか。
__________。
いつもは薄暗いはずなのに来る時間帯が早いからか扉を開けると綺麗な夕焼けが窓から見えた。
こんなに綺麗な夕焼けなのに彼女はそれを見ることなく静かに目をつぶっていた。
顔に触れても体温は温かいはずなのに、触れた指先は少し冷たく感じた。外は蝉の声で溢れるほど暑いのにここは冷房が入ってるからとても涼しくて静かだ。
彼女の隣には変わらず花が飾ってある。その隣に持ってきた苺を置いた。昔学校の帰りに彼女が変な歌を歌ってた記憶がある。母親が作った曲だと言って、少し恥ずかしそうにけれど嬉しそうに笑った彼女の顔が脳裏に焼き付いてた。
昔を思い出して男は少し微笑んで、彼女の頭をひとなでして部屋を後にした
そんな影の存在を知りながら彼女はつぶやく。
「やっぱり甘い」
炎のように火照る体を冷たいアイスが喉を通り熱さを沈める。アイスで湿気たコーンが口の中に張り付く。
甘いけれど夏はやっぱりアイスが食べたくなる。いくら食べても体はすぐに夏の熱を離してはくれない。
「い~ちごいちご、あなたのいちご~🎶」お目当ての甘い物を食べれてご機嫌だから自分の好きな歌を口ずさむ。母が小さい頃よく歌ってくれた変な歌。幼稚園でそれを歌ったら誰も知らなくて困ったことがある。それもそう、この曲は母が作ったから誰も知るはずがない。
「あなたのいちご~あなたのいちごはどんな味?あーまい酸っぱいどんな味?🎶」母と私の2人だけの歌。なんか2人だけの歌って聞くととてもいい響きだなって思ってしまう。
この曲もそうだけれど、オレンジ色の夕暮れとひとりぼっちの影をみるとどこか懐かしくてくすぐったいそんな思いになるのは何故だろう。最近、そんなふうに思う事が増えた気がする。自分が成長したと言う事なのか?それとも、何か忘れているようなそんな気持ちになる。
「変な歌」
オレンジ色が照らす空間で後ろの方から声がした。振り返ると制服を着た男の子がいた。
「その曲何?」そう言いながら私の隣を歩く。
「母上が作った曲」
「ふーん」
質問されたから答えたのに、ふーんと一言で片付けられた。しかも、母上って言った事を指摘して欲しくてわざと言ったのにスルーされた、と思いながら男の子の隣を歩く。
コツンコツンと歩く音だけが響く。
「なぁ、どこの高校行くの?」
「まだ決めてないよ」
「ふーん」
いつも会話は彼のふーんで終わる。ふと現れては私の隣を歩き質問してきて答えてはふーんの一言。それがいつからか当たり前になって帰りに彼がいないと何故か少し寂しく感じる。
ふと、隣を歩く彼が足を止めた。彼の方を向くと、「さっきの曲。悪くないから。じゃあ、俺こっちだから」と私に背を向けて去って行った。
その後ろ姿がとても寂しく見えたのか気の所為だろうか。
__________。
いつもは薄暗いはずなのに来る時間帯が早いからか扉を開けると綺麗な夕焼けが窓から見えた。
こんなに綺麗な夕焼けなのに彼女はそれを見ることなく静かに目をつぶっていた。
顔に触れても体温は温かいはずなのに、触れた指先は少し冷たく感じた。外は蝉の声で溢れるほど暑いのにここは冷房が入ってるからとても涼しくて静かだ。
彼女の隣には変わらず花が飾ってある。その隣に持ってきた苺を置いた。昔学校の帰りに彼女が変な歌を歌ってた記憶がある。母親が作った曲だと言って、少し恥ずかしそうにけれど嬉しそうに笑った彼女の顔が脳裏に焼き付いてた。
昔を思い出して男は少し微笑んで、彼女の頭をひとなでして部屋を後にした
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