夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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4話「少年が夢にまでみたもの」

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 しばらく森の中から様子を伺っていた、ミーチェが動き出した。

「ニケ、武器を構えておけ。何があるか、わからぬ」
「わかった」

 ニケは、左手に意識を集中させ魔力を注ぎ込む。
 同時に、左手が光を帯びたところで、右手とあわせる。
 イメージを...構築させる...!!!
 もっと長く、硬く、鋭く...。
 手を離し始めると、練成が開始された。
 出来上がったのは『刀』。刃渡り、90cm~110cmほどだろうか。
 刀を手に取り、ミーチェが出て行くのにあわせて、ニケと、シロも森からでて家に向かっていく。

「ここで、なにをしている!」

 ミーチェは、5人組に向かって声をかけた。
 すると、戦士風の男が話かけてきた。

「ミーチェ・クリスタさんですか?」

「いかにも、私が西の魔女ミーチェ・クリスタだ」

 やっぱ、西の魔女って肩書きなのか?

「我々は、『ユッケル村』の『冒険者ギルド』のものです」

「やはり、『冒険者』であったか」

 『ユッケル村』――さきほど、買い出しに行くと言っていた村のことだろう。
  『冒険者ギルド』――報酬しだいでは、モンスター退治、要人護衛、山菜採りなどのクエストを受けるところ...だったかな?
   『冒険者』――ギルドに所属する、職業みたいなものだと思う。

「村長から、ミーチェさんへのご依頼を伝えに来ました」

「村長からだと?」

 ミーチェと、話をしている戦士風の男が腰のポーチから紙を取り出した。
 それを受けるミーチェと、見つめる5つの視線。

「ふむ、モンスター退治ならギルドにいけばよかろう?」

「それなのですが...数が多く。村長は、西の魔女の力を借りたいと申しております」

(やっぱお師匠様ってすごい人なんだな...)

 ミーチェは、依頼内容に目を通すと難しい顔つきになった。

「『ロッククラブ』が、大量発生か...」

「師匠、『ロッククラブ』ってなんだ?」

「ん?『ロッククラブ』――川辺に、生息するでかい蟹のことだ。体長は50cm~3mほど。背中が石のように硬いから、そう呼ばれるようになった」

 俺が、師匠と言ったことに対し戦士風の冒険者が口を開いた。

「失礼ですが、『師匠』と呼ぶということは、貴方も魔法使いなのですか?」

 まぁ、この質問は誰でも思うだろう。
 後ろにいるほかの4人も、気になっているようだ。
 俺が口を開こうとしたとき、先にミーチェが口を開いた。

「こやつは、『黒髪』だ」

「『黒髪』――となると、後ろにいる白い獣は君の召還獣なのか?」

「まぁ、そうだな。俺は、召還術が使えるあと、錬金術もだ」

 また余分なことをっと、ミーチェは小声で言った。
 それもそうだ、異能者は基本的に錬金術か、召還術の片方しか使えないのだ。
 それを、両方とも使えると宣言したようなものだ。

「それは、珍しいですな。ぜひとも、今回のご依頼に参加していただきたい」

「こやつは、まだひよっこだ。まともに、練成もできぬ」

「ひよっことは、失礼な!ちゃんと、練成できるだろうが!」

「錬金術をはじめて、1日目の者がなにをぬかすか。もっと構築のスピード、物質の強度を上げてから物を言え」

 ミーチェは、鋭い視線をニケに向けた。
 正論をぶつけられ、黙りこむニケを、横目に戦士風の冒険者は話を戻した。

「それで、今回のご依頼は引き受けていただけるのでしょうか」

「ギルドからの、派遣状況はどうなっている?」

「それが、派遣に関してはまったくの申請等がないのです」

「私だけで、やれと?」

「そのようです、申し訳ありません。」

 戦士風の冒険者は、深々頭を下げた。

「まぁ、派遣がいないのは気がかりだが。今回は、こやつもいることだし人手は足りておる」

「ありがとうございます。それでは、ご依頼のほうをお引き受けくださると言うことで大丈夫でしょうか?」

「あぁ。村長に引き受けると、報告しておいてくれ」

「わかりました。ロッククラブが、村の近くに来る前になんとしても退治していただきたいので。早くても、明日くらいから依頼の遂行をお願いします」

 また急な依頼だなっと、ため息混じりにミーチェが言うのをニケは聞いていた。

「では、我々は村に戻ります。ご健闘を、お祈りしております」

「うむ、ご苦労であったな」

「はい、では失礼します」

 最後に一礼をすると、冒険者たちは森に消えていった。
 やっぱ、あれをパーティーというのだろうか。
 魔物がいるところに、あんな平然と入っていけるなんて...。

「はぁ...また面倒な依頼ときた」

「そんなにロッククラブって、強いのか?」

「いや、個々の強さではシロよりも弱いのだが...数が、多くてな」

「群れって、ことか」

 さきほどのゴブリンでさえ、致命傷を負わせるのに時間がかかった。
 しかも、1体に対してだ。それが、群れとなると長期戦が予想される。

「明日の朝一からでる。そのつもりで、支度しておけ」

「わかった」

 そういうとミーチェは、お昼にするか、っと言いながら家に歩いて行ってしまった。

「師匠ー!俺ちょっとこいつ素振りしてから入るよ!」

「わかった、早めに切り上げて来るんだぞ」

「あいよ!」

 そういうとニケは、さっき練成した刀を握り締めた。
 模造刀をもったことがあるが、今握り締めているものより重かったはずだ。
 やはり、練成による物質の生成は元の質量より、軽いという話は本当のようだ。

「にしても、なんだか刀身が曲がってる気がするんだよな」

 そういいながら、刀に目を通すニケ。
 シロは、ニケのそばに寄ってちょこんとお座りをしていた。

「練成の熟練度を、あげるしかないのかな」

 そういうとニケは、刀を投げ捨てた。
 投げ捨てられた刀は、地面に落ちた瞬間に折れて形を失って、光の粒となり消えていった。

「あんなに、もろいのか?それとも、持ち主が捨てたからその意思で形が、なくなったのかもしれない」

 錬金術も、まだまだおくが深い。
 気を取り直して、左手に意識を集中させた。
 魔力を注ぎ込んで、光を帯びたら右手と合わせる。
 ここで思った、右手でなくてはならないのか?
 ニケは、イメージを構築させる前に手を放した。
 地面でも、できるのではないか...よし、試してみよう。

「これで、成功したらなんかかっこいいよな。地面から、練成するのって」

 左手に、再度魔力を注ぎ込む。
 左手が、光りだした。そのまま地面へと、左手を押し付けるニケ。
 イメージを構築させ、手を離そうとしたとき、異変は起きた。
 左手に帯びていた、光が地面を這ってすこし進んだところで止まったのだ。

「あれ...俺なんかまずいことした?」

 流石に失敗かな、と思い。左手を離したその瞬間。
 左手から離れていった、光から刀が『生えた』。
 地面から4、5本生えたその刀は、すぐに消えてしまった。

「今のは...?」

 わけのわからないまま、目の前の光景に目をやったニケ。
 これも...錬金術なのか...?
 自分の左手を見ながら、錬金術という魔法に対して恐怖を抱いた。

 ――...考えていても仕方がないと家の中に入ったニケ。

「おぉ、戻ってきたか。もうすぐスープが出来上がるから、座って待っているがよい」

「なぁ、師匠」

「ん?どうかしたか?」

 先ほど何が起きたのかを説明したニケ。
 ミーチェは、悩ましそうに眉を寄せていた。

「地面から、練成した。と、いうことか?」

「あぁ、そうだ。右手じゃなきゃだめなのかと、おもって地面に手を合わせたら刀が地面から生えたんだ」

「それは、刀身のみだったのか?それとも、先ほどのように持ち手の部分も練成されたのか?」

「いや、刀身のみだった」

 そういうとミーチェは、考え込んでしまった。
 しばらくすると、ミーチェは口を開いた

「たぶんそれは、私の知る錬金術ではないと思う」

「ん?新しい錬金術、ってことか?」

「そうだ。本来錬金術とは、一時的な武器や壁などを練成する技術だ。地面から武器を『生やす』、など聞いたことがない」

 ちょっとした発想が、新しいことにつながるっていうけど。
 もしかして、新しい錬金術、というものを作り出してしまったのかもしれない。

「そうなると、俺が使ったのは攻撃できる錬金術ってことなのか?」

「そうやもしれぬ。しかし、新しいものほど力加減が難しいものはない。あまり、頻繁に使いすぎて最悪の事態にならなければいいのだがな」

「どういうことだ?」

「何かを成すためには、何かを犠牲にしなければならないということだ。ほれ、スープができたぞ持っていくがよい」

 そういうとミーチェは、皿にスープを盛り、差し出してきた。
 皿を受け取り、テーブルに移動するニケ。

「にしても、新しいものを創り出すとはな。流石の私でも、お主には毎度毎度驚かされる」

「すごいのかどうか、曖昧なところだな」

 皿を持ってきた、ミーチェが前に座る。
 お昼は、きのこと薬草のスープだった。
 育ち盛りの年頃のニケには、少々少ないと感じたのか。今朝より大盛りである。

「それより、ニケよ。いまさらながらだが、お主はいくつなのだ?」

「ん?歳か?」

「そうだ、昨夜は暗くてよく見えなかったが。今朝から、ずっと思っていてな」

「俺は、今年で16だ」

 スープを頬張りながら答えるニケ。

「まだまだ、若造だな」

 そういい笑いながら、スープをすするミーチェ。

「若造ねぇ、師匠はいくつなんだ?」

「女性に歳を聞くとは、いい度胸だなお主」

「いや、答えたくないなたいいや...」

 すこし怒り気味に言われたので、流石に聞かれたくない話題であったのだろう。

「私は、今年で160歳だ」

「160!?」

 驚きすぎて、スープを吹き出しそうになった...。

「魔法使いは、魔力が強ければ強いほど長命でな。短くて、150、長くて500とかいくのだぞ?」

「長命すぎだろそれ...」

「長命な分、子孫があまり産まれないのでな。家系が魔法使いの者らは、あまりいないのだ」

 そういうものなのか。
 食べ終わった皿を、台所に片付けるニケ。

「あ、師匠。魔線使えるようになったから文字を教えてくれ」

「そうであったな、あとお主に渡す『魔道書』を持ってくるから待っているがよい」

 皿をもって台所に来たミーチェは、そういい残し自分の部屋へと戻っていった。

「シロ、おいで」

 やることがないニケは、台所からでてリビングで横になりながらシロを呼んだ。
 シロは、とことこ歩いてきてニケの横に寝転がった。

「シロはもふもふしててさわり心地いいなぁ」

 シロを、撫でながらも先ほどの戦闘で流した血の跡を申し訳なさそうに見るニケ。

「すまなかったな、怪我をさせてしまって」

 大丈夫、と言っているのかニケの顔を舐めるシロ。

「ちょ、くすぐったいって」

 これが、絆というものなのだろうか。
 しばらくシロと寝転がっていると、ミーチェが戻ってきた。

「ほれ、これが『水魔法の書』、こっちが『光魔法の書』だ」

 かなり分厚い本を渡してきた。
 ためしに開いてみると、わからない文字ばかりだ。

「まぁ、最初は50音順に覚えれば問題ないだろう」

「前いた世界と、全然違いすぎて困るぜ...」

 忙しなく進む時間の中で、師匠と出会えたことに感謝しながらニケは文字の勉強を始めた。
 こちらの世界では、何がしたいと聞くミーチェに対して『冒険者』になりたいと答えるニケ。
 それを笑いながらつまらない仕事だぞ、というミーチェ。
 楽しそうに話す二人を、寝転がりながら見つめるシロ。

 これからどうなっていくのかまだわからない、だけど目の前の事を楽しみながら生きていこうとニケはそう思ったのだった...。
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