23 / 93
22話「第3の魔線」
しおりを挟むシロの放つ咆哮に、耐えれず吹き飛んでいくアンデット。
次々と薙ぎ倒されるアンデットを横目に、ウィッチが動き出した。
「ニケ!シロの咆哮は、ホワイトウルフのものではない。それよりウィッチの元へいくのだ!」
「師匠。あとで詳しく教えてくれよなッ!」
ニケは、刀を両手で握りなおすとウィッチ目掛けて走りだした。
行く手を阻もうとするアンデットたち。
「どっけぇぇぇぇッッ!!!!」
ニケは、正面から突っ込んで行く!
正面のアンデットに対し、全力で刀を振り上げる!
刀身は、アンデットの股から入り右肩へと抜ける。
振り上げた刀を、反時計回りに身体を回しながら振るう。
近づいてきていたアンデットたちの上半身を薙ぎ払う!
血、内臓、腕や手が飛び散る……。
だが止まらない、止まれない。
「お前ら多すぎなんだよッ!!!」
ニケは、必死に刀を振りウィッチの元を目指す。
シロは、咆哮をやめるとすぐにこちらへと走ってきた。
「シロ、もう一回あの咆哮出せるか?」
シロは小さく咆えると、その場で大きく息を吸った。
広場の奥にいたアンデットたちが一斉に押し寄せてきた。
シロは咆哮を放つ。
先ほどよりも強力だ!
咆哮は吹雪のようにも見える。
「はぁ、はぁ……ニケ坊!早くしやがれッ!」
北口の敵を薙ぎ倒しながらレインが叫ぶ。
息を切らしながらも、アンデットを叩き潰す。
数は……先ほどの半分くらいだろう。
だが、長期戦になるとこれ以上はまずい。
ミーチェは、範囲攻撃をやめ別の詠唱に入っていた。
「″漆黒の闇に命ず。汝、我との契約の元。その姿を見せたまえ″!我が元に来たれ!ギルティーサイス!」
魔方陣が展開され、その手には2mはあろう大鎌が握られていた。
「まったく、梃子摺らせてくれるものよッ!」
大鎌を振り上げ、南口に向けて走るミーチェ。
立ちはだかるアンデットたちを薙ぎ払い、切り裂き、首を刎ねる。
その姿は、まさしく『死神』そのものだった。
「師匠、こえぇ……」
シロの咆哮が止む。
群れを成していたアンデットたちの真ん中に、綺麗に道ができていた。
だが、思っていた以上にウィッチは高いとこに浮遊していた。
「あれは、流石に高すぎるだろ……」
だが、ひとつの策が浮かびあがる。
その策とは……。
ニケは、これしかないと呟くとウィッチ目掛けて走り出す!
左手から双線を出しながら。
双線は、ニケの後を追うように伸びている。
「綴る!″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の咆哮!」
魔方陣が、左手に二重に展開される。
ウィッチまで、あと少しのところでニケは左手を地面に着ける。
「高みの見物は……終わりだッッッ!!!!」
魔法が発動する。
すると、ニケは宙に吹き飛ばされた。
時計回りに回転し、ウィッチ目掛けて落ちていく。
驚いたウィッチは、詠唱を始めたようだ。
回転する視界の中で、ウィッチの魔線がチラチラ見える!
タイミングを計りつつ、ウィッチへの落下速度は上がっていく。
「ここだッッ!!!」
左手を銃のように構え、ウィッチの目の前で魔法を発動させる。
詠唱中のウィッチは避けることができず、雷電の咆哮を真正面から食らう。
吹き飛ばされ、壁に打ち付けられるウィッチ。
ニケは、魔法を発動したときの反動で反対方向に落下した。
「ぐはッ……!!」
身を強く打ちつけ、転がる先はアンデットの群れの中だ。
「ニケェェェェッッ!!!」
ミーチェは、それをみると広場の中央目指して走り出す。
「くっそ、ニケ坊しくじったか!」
同じくレインも、広場の中央へと走り出す。
それを見ながら、ニケの下へと走りだすシロ。
「来るなッ!」
起き上がりながら、ニケは叫んだ。
「今きたら……囲まれて……終わる!それだけは……それだけは、だめだぜ。俺は……大丈夫だからそっちを頼むよ……」
頭から流血しながら、ニケは二人に呼びかける。
「だが!そのままでは、お主が危ないであろう!」
「こんなところで、変な意地張ってんじゃねぇぞニケ坊!」
泣きそうな叫ぶ声を上げるミーチェ。
苛立ちを覚えながらも叫ぶレイン。
「へへ……なら、やってやるさ。見てろ!これが俺の魔法だ!」
ニケは、両手を大きく開く。
「まさか……お主の魔力は、残り少ない!馬鹿な真似はよせッ!!」
ミーチェは敵を薙ぎ払いながら、こちらにやってくる。
「師匠。あんたは、こんなところで死んだらいけない。レイン兄も!これから人を救うんだろ!なら、俺はここで死んでもかまわない!二人を守れるなら!最後に、二人の力になれるなら!」
シロがニケの下にたどり着く。
シロは障壁を呼び出し、アンデットたちに突っ込んで行く。
「ありがとう、シロ」
「ニケ!何をするかわからんが、へんなことだけは考えるんじゃないぞ!」
「わかってるよ、師匠ッ!」
左手から双線、右手から魔線が引かれる。
「綴る!″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の咆哮!」
「『多重詠唱』……」
「くっそ、どきやがれアンデット共ッ!」
ニケの成したことに言葉を失うミーチェ。
一方ニケの下へと行こうと、アンデットを薙ぎ払うレイン。
ウィッチは、起き上がろうとするが電撃が身体を走り、思うように身体が動かないようだ。
「くらえぇぇぇぇッッッ!!!
左右に展開された魔方陣が展開され、魔法を放った……。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
異世界異話 天使降臨
yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。
落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。
それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。
【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-
いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、
見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。
そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。
泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。
やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。
臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。
ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。
彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。
けれど正人は誓う。
――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。
――ここは、家族の居場所だ。
癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、
命を守り、日々を紡ぎ、
“人と魔物が共に生きる未来”を探していく。
◇
🐉 癒やしと涙と、もふもふと。
――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。
――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる