夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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28話「帰り道」

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 ミーチェを共に、村を歩くニケ。
 露天市には、武器屋や八百屋だろうか、野菜などが並べられている店などが並んでいた。

「ニケ。必要なもののみを持っていくぞ」

「わかった」

 野菜の並ぶ店に入る、中には調味料などがビンに詰め込まれて並んでいた。

「これらは、全部持っていくとしよう。どこかの誰かさんが、文句をいうからの」

「だ、誰だろうな」

 ニケは、口笛を吹きながらとぼけた。
 ミーチェは、店の奥に会った布袋にビンをいくつかいれると、ニケに渡した。

「これだけでいいのか?ほかにも、いっぱいあるぞ?」

 ニケは、布袋の中身を見るがビンは4つしか入っていない。

「それだけあれば充分だ」

 そういいながら、ミーチェはそそくさと外に出ていってしまった。
 急いで布袋の口を閉め、ミーチェの後を追うニケ。

「今からどうするんだ?」

 ニケは、ミーチェの右後ろを歩きながら聞いた。

「そうだな、一旦家に帰って必要なものをもって、この村に戻ってくるとしよう」

「必要なもの持って、あの川辺を歩くのか?」

「そうだ、馬はあの川辺を好まないのでな。魔物が出るから、本能的に行きたがらないのだろう」

 そういえば、冒険者達も川辺を避けて森から来てたなっと、ニケはつぶやいていた。
 露店市を抜け、広場に出る。
 昨日、あれだけの数のアンデットを倒したのに広場は綺麗だ。

「アンデットになった死体は、土に帰るのだ」

 ニケの思ったことを察したかのようにミーチェは、ニケに言った。
 そのまま広場を通り過ぎ、村から出た。
 来たときに上った丘を上る途中、ニケは森のほうからこちらを伺う視線に気づいた。

「師匠。森から視線感じる」

「ふむ。そういえば、ここに来るときも言っておったな」

 そう言いながらもミーチェは、丘を登っていった。
 ニケは、森のほうをしばらく見てからミーチェの後を追った。

「森の入り口に、布袋を置いてくれないか?」

「これ、家に持ってかないのか?」

 背負っていた布袋を、持ち上げながらニケは聞いた。

「ここから先、魔物と出くわしたら邪魔でしかないからな。戦闘中に、中のビンが割れるのだけは避けたい」

 そういうことかっと言いながらニケは、森の手前の木の根元へ布袋を置いた。
 おかれた布袋に興味があるのか、シロはにおいを嗅いでいた。

「少し歩くが、我が家へ帰るとしようか」

「あぁ!」

 ニケが、元気よく返事するとミーチェは、ご機嫌のように歩き出した。

 森の中を少し歩くと、川が見えてくる。
 ミーチェは、川辺に出ると周囲を見渡しながら歩き出した。

「師匠。どうかした?」

「いや、来たときより森が落ち着いておる」

 言われてみるとっと、ニケもきょろきょろしながら川辺を歩いた。
 川辺を歩く二人を、森の奥から見つめる目線にニケは気づけなかった。

「そろそろ、ロッククラブたちとたたかったところだ」

 ミーチェは、そういいながら歩いていた。
 ニケは、シロの尻尾をさわりながら歩いていた。
 すると、ミーチェが立ち止まった。

「師匠?」

 立ち止まるミーチェに、ニケは声を掛けた。

「ない、ロッククラブの残骸がなくなっておる」

 そう言われ、ニケもその場をみた。
 確かにロッククラブは、ここにいっぱい転がっていたはずだ。
 それが綺麗さっぱりなくなっていた。

「師匠。これってどういうことだ?」

「たぶん、森にいるゴブリンかレッドキャップだろう」

「レッドキャップ?って、赤い帽子かぶってる小さいやつらだっけ?」

「そうだ、ゴブリンよりタチの悪い何でも食らう魔物だ」

 ミーチェは、そういいながら歩き出した。
 ニケと、シロもそれに続いた。

「ニケ。いつ襲われても大丈夫なようにしておけ」

「わ、わかった」

 ニケは、即座に左手に魔力を流し込む。
 刀を練成し、ミーチェの後に続く。

「シロ、なにか変なにおいとかしたら教えてくれ」

 シロは、小さく咆えるとミーチェより前を歩き始めた。
 歩き始めてすぐに、シロが吠え出した。
 川の反対側のほうを向き咆えている。

「きたか。ニケ、前衛を頼む、シロは後方から咆哮でニケの援護を」

「わかった!」

 ニケは、川に入る手前で構えた。
 その後ろに、シロがうなりながら来た。
 そして、森から姿を現したのは……。
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