夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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49話「コルックの使い」

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 馬車へ戻る途中、ミーチェは空を眺めながらつぶやいた。

「もうそろそろ昼か、長居しすぎたようだな」

「そうですね」

 いつの間にか仲良くなっている二人を、ニケは後ろから眺めていた。
 横を歩くシロは、相変わらずあくびをしながら暇そうだ。
 石の橋が見え始めた。
 すると、数人の人影が見えた。

「師匠、誰かいるよ?3人くらい」

「ん?ガリィにでも驚いてるんじゃないか?」

「オーガ・リックは、基本森の中にいますからね」

 ニケの方を見ながら、ミーチェとアシュリーは答えた。
 馬車に向かう一同を、橋の上の3人が目視したようだ。

「あ、あの!ここの先に行きたいのですが、魔物が邪魔をしていて通れないんです!」

 橋の上から声を張り上げて、銀髪の長耳の青年がミーチェに声をかけてきた。

「そやつは馬車に近づかなければ……って、ニケよ。ガリィ移動しておるぞ」

 振り返りながら、ミーチェはニケに告げた。

「え?ガリィ移動してるの?どこに」

 すぐさま、ミーチェの隣に駆けてきたニケ。
 馬車を見るが、傍にガリィの姿はなく橋の上を陣取っていた。

「なんであんなとこに……」

 ニケは、橋の上にいくとガリィの赤い花弁に手を添えた。

「ガリィ、馬車の傍にいなきゃだめだろ?」

 その花弁を優しく撫でる光景を、橋の上にいた3人組は驚いてみていた。

「彼は召喚士なのかッ!?」

「まさか!でも聞いたことがある、黒髪の召喚士がいるっと」

「あぁ、僕も聞いたことがある」

 ガリィを挟んで聞こえる声を、ニケは興味深そうに聞いていた。

「ニケ。ガリィを戻しておけ、通行の邪魔だそうだ」

「あ、あぁ。わかったよ」

 ガリィは、すこしご機嫌そうに花弁を小刻みに動かしていた。

「戻れ!」

 その一言で、ガリィの身体は光へと変わりニケの胸元のネックレスへと帰っていった。
 それを見ていた3人組が、また話を始めたようだ。

「やはり召喚士のようです」

「噂は本当だったのか!」

 彼らは話を終えると、ニケのもとへと歩いてきた。

「こんなところで、『黒髪の召喚士』様に会えるとは光栄です」

 どうやら肩書きのようだ。
 何のことかわからないニケは、ミーチェを見た。
 ミーチェは、ため息をつきながらニケの傍へと来た。

「たぶん人違いだろう、こやつが召喚術をかじったのは一週間ほど前だ」

「そ、そうなんですか!?」

 少し声を張り上げながら、銀髪で長耳の青年は驚いていた。

「人違い、だそうですね」

「てことは、この国に召喚士が二人も?」

 後ろでは、すでに別の話をしている二人組み。
 それを見ていたミーチェが、話を切り出した。

「お主らは、冒険者か?」

 腰に手を当て、めんどくさそうに頭を掻きながらミーチェは問いただした。
 その問いかけに、銀髪の青年が答えた。

「いえ、『コルック』の自警団です」

「コルックの自警団が、なぜここへ?」

 状況が読めないニケは、アシュリーのもとへと歩いていった。

「ここは師匠に任せよう、俺達は出発の準備を」

「わ、わかりました」

 アシュリーをつれて、馬車へと向かうニケ。
 それを横目に、ミーチェは話を進めた。

「なにかあったのか?」

「はい、ユッケルとの連絡が途絶えて数日。村長が心配なさって、我々に使いを」

「ふむ。ならば私が、コルックの村長に報告しよう」

 ミーチェがそういうと、銀髪の青年は驚いたようだ。

「君が?」

 どうやらミーチェは、外見だけで歳を判断されたらしい。
 すこし頬を膨らませながら、ミーチェは言い放った。

「これでも私は160歳だ!」

 その言葉に、後ろにいた二人組みも驚いたようだ。
 二人組みはフードで顔を隠していたが、声は男性のもののようだった。
 銀髪の青年は、少し考え込んだ様子だ。

「先に戻っているがよい。ここから先は……もう人のいない土地だからな」

 寂しそうに言うミーチェから、何かを察したようで銀髪の青年は返事をすると踵を返した。

「では、コルックで待っています」

 そう言い残すと、二人組みとともに橋を渡っていった。

「師匠。パン食べる?」

 まじめな話をしていたミーチェに、パンを差し出すニケ。

「お主は、呑気でいいな」

「呑気ってひどいなぁ、まじめだよまじめ!」

「どこをどうみたらそうなる」

 ミーチェは笑いながらパンを受け取ると、馬車へと戻っていった。
 立ち去る三人組を、ニケはパンを頬張りながら見ていた。

「どうかしたんですか?」

 そこに、アシュリーがやってきた。

「いや、ただ気になってね。特にこれと言ったことじゃないから、大丈夫だよ」

「それならいいんですが」

 橋の先を見るニケを、アシュリーは心配そうに見つめるのだった。
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