夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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79話「合流と朝焼けと」

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 静まり返る湖の畔。
 遠くに見える都の灯りが、黒い湖を照らしていた。
 ニケは、重たい身体を引きずりながら湖を沿いを歩いていた。
 その後ろを、リーディアが心配そうな顔をしながら歩いている。

「ニケちゃん、大丈夫?」

「一応大丈夫かな。ちょっと魔力が足りなくて身体が重いけど……」

 ニケはリーディアに微笑み掛けた。
 頷くリーディアの身体が、光と共に消えていく。 

「また呼んでね!」

 消え入るようなその声は、風と共に消えていった。
 歩くこと半時。
 橋の入り口が見え始める。
 入り口の近くに3つの影。カラス達だ。
 ニケを見るやフクロウが走ってきた。飛びついてくるフクロウを支えることができず、2人は揃って転がった。

「いててて、フクロウいきなり飛びつくなよ……」

「無事そうでなによりだ」

「カラスったら、すっごい心配してたんだよ?」

「い、いや。そりゃ心配するだろ?」

「心配させてごめんな。でも、あいつは倒したから大丈夫だぜ」

「それならいいのだけれど」

「終わったのなら大丈夫だな。んじゃ、王都へ向かうか!」

 暗い森へと、カラスとハトが足を進める。
 ニケとフクロウは起き上がると、笑いあいながらその後に続いた。
 
 月明かりが街道を照らす。
 森のざわめきが昼間に比べてよく聞こえる。
 この森にも魔物がいるのだろか。
 ニケは視線などを感じ取れるが、魔力が足りていない状態ではお荷物だ。
 身体を引きずるように歩くニケに、ハトがポーションを渡してきた。
 ミーチェからもらったポーションとは色が違う。
 小さなビン。
 澄んだ青色。
 傾けると滑らかに動く。
 
「これは魔力のポーションなのだ」

「魔力のポーション?」

「そうそう。一般的な治癒のポーションは赤だけど、魔力のポーションは青なの」

「なるほどね。飲めば魔力が回復できるのか」

「うん。ニケちゃんどこかだるそうだったから、そうかなぁって」

「助かるよ。ありがと、ハト」

「困ったときはお互い様だよ」

 笑うハトを横目に、ビンの蓋を開ける。
 空腹だったこともあり、一気に飲み干す。
 液体が胃の中に入るのを感じる。
 水とは違ったその感触。
 しばらくすると、お腹から全身に魔力が流れ出す。
 次第と身体のだるさは消えていく。
 ちょっと時間が経つと、魔力は半分以上までに回復した。
 しっかりと歩き出すニケを、ハトは微笑みながら眺めていた―――
 
 ―――森に挟まれた街道を抜けた。
 辺り一面に広がる草原。
 雲ひとつない夜空。
 ひとつひとつの星たちが、輝き、流れ、満天星空を飾っていた。
 草達が、月明かりに反射して綺麗な光景になっている。
 肌寒さを感じさせる風。
 二つの月を背に、4人は再び歩き出す―――

 ――どれくらい歩いただろうか。
 気がつけば星空に青みが架かっていた。
 星達が薄くなっていく空。
 目線を戻すと小さくだが住居が見える。
 
「今日はこの街で休もうか」

「休むってもう朝だぞ?徹夜だぜ?」 

「徹夜は肌に悪いのに……」

「仕方ないだろ、イーディスにいたらいつ捕まるかわからんからな」

「まぁそうだけども」

 ご機嫌斜めなハトをカラスは慰めていた。
 村に着くがハトの機嫌は直らず、カラスは頭を抱えていた。
 複雑な乙女心なのだろう。
 村は小さく、住居は10軒。
 宿と道具屋。他住居。
 村と言うよりは休憩所のような所だ。
 宿へと足を進める一同。

「いらっしゃい」

「明日の朝までお願いしたい。人数は4人」

「20シルバーだ」

 腰の袋からカラスが20シルバーを払った。
 奥の部屋へと案内される。
 暗い部屋の中にベットが4つ。
 一目散にベットに飛び込んだのはフクロウ。
 やんちゃだな。っとカラスは呟いていた。
 天井から吊るされる蝋燭が、小さな火と共に部屋を照らす。
 現実世界との違い。
 電気がないのだから仕方がない。
 蝋燭の灯りでも充分に見渡せる部屋。
 横目にハトを見やると、既に寝ていた。
 
「なぁニケ。お前はなんでそこまで強いんだ?」

「強い?俺は弱いよ」

「地面から出てた浮遊する文字とドーム状の魔方陣。どれも見た事がない、あれも全部ニケの魔法なのか?」
 
「あぁ、そうだよ」

「王都ではあまり使わないほうがいいだろう」

「それはなんでだ?」

「お前の力は強大すぎる。どっかの魔法使いが悪用しかねない代物だ」

「そういうことね」

 ベットに寝転がりながらカラスは悩んでいた。
 ニケの強大すぎる魔法。
 それを危険視したのか、カラスはニケに注意を促すと眠りに付き始めた。
 ニケは、シロの指輪を撫でると眠りについた―――
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