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ゆれる想いSide天音
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「今度はどこに逃げますか?」
「え…」
強すぎる眼差しに、言葉を失う。
「頭を冷やしてくる、それが僕にあなたが最後に言った言葉でした。」
覚えてませんか、と彼が問うた。その表情に感情は見えない。こんな昏い顔をする人だっただろうか。私が呆気にとられて何も言えないでいると、「それ」と彼は苛立ったように携帯を指さした。
「今度はなんて連絡がきたんですか?」
「れん、らく……?」
まさか―――。彼の問いの意味に気が付き、私は色を失くした。
「―――僕が、何も知らないと思っていましたか」
誰が発したのかと思うほど低い声だった。その重さに彼が、今まで抑えてきた感情を知る。
「ふか、や、さん…?」
「知ってましたよ、あなたが他の男を忘れるために僕と付き合っていたこと。時々、僕といるときにかかってくる着信がその男のものだということも。あなたがまだ未練を断ち切れず、切ない顔をすることも、全部!」
熱に浮かされたように、彼は言葉を紡ぐ。じり、と彼の足が一歩こちらに踏み出す。反射的に私は、腰を引いた。
「そ、それなら、どうして別れるって言わなかったの!?」
「それでもいいと思ったからに決まってるでしょう。――いいや、本当は嫉妬で狂いそうだった。でも。いつか、僕のことをあなたが、見てくれる日がくればそれでいいと、そう思っていたんだ。それなのに。」
どこか濡れた彼の声に、体が震えた。
「―――あなたは僕から逃げた。」
「に、逃げてなんか…」
「逃げていない?はっ、嗤わせますね。ホテルまで一緒に行って、体を繋げようというタイミングになって、あなたは一人僕を置いて出て行った。そして、それからろくに連絡を取ることも避け、挙句別れましょう?これのどこが逃げていない、って?」
彼の言うとおりだった。
「もし、あなたが嫌だというのなら、無理をするつもりなんてなかった。あなたが僕に心を許してくれるまで、いつまでだって、待つつもりだった。けれど。あなたは。胸の内を明かすこともなく、僕から去った。最後まで!」
燃えるような瞳が私を責める。
「そ、その……あのときは……」
「今更謝ってくれなくて結構です。ただ……。」
ぐっと腕を強く引かれて、私は彼の腕に倒れ込んだ。
「あの日をやり直させてください。他の男のことを思っていても構わない。」
「そ、そんなの…できるわけない……」
「どうして?彼を思いながら、僕に口づけをせがんだあなたなら、出来るでしょう?」
そんな風に思われていたの?心が凍りつく。
「……そんな顔、ずるいよ、天音さん。」
大貴君が悲しげに笑う。私は今、どんな顔をしているのだろう。
「でも、僕はもう、待ってあげられない。」
冷たい唇がふれる。瞬間、彼の苦しげな表情が目に入って、ぽろり、と涙が決壊した。
***
あの人のことが好きだった。どうしようもなく。奥さんがいると知っていてなお、離れることが怖くて。いずれそれでは駄目になることも分かっていたけれど、麻薬のように、彼にすがらずにはいられなかった。
「彼」に求めていたのが、愛情だったのか。それとも、己の存在を肯定してほしかっただけなのか。今となっては自分でさえ分からない。
よく、広告業界は激務だっていうけれど、なるほど納得。実際問題、想いがなきゃこんな仕事続かない。
憧れの広告の仕事は覚悟していた以上に過酷で激務だった。
残業が度を超して、深夜まで及び、会社に寝泊まりすることも月に何度か。家に帰っても、もはや化粧を落とす気力もなく、スーツのまま倒れることもあった。
でも、そんな日々が全部苦痛だったかといえば、そうではなくて。自分が関わった案件が成功した時の快感が、仕事の辛さを忘れさせてくれた。すべての理不尽はその瞬間にすべてリセットして、また一から頑張ろうって思えたから。
だから、もっと大きな案件を任されるようになりたくて、必死だった。
丁寧に仕事を教えてもらえるような環境じゃなかったから、残業でくたくたになった日でも、仕事が終わると、カフェに入って勉強し、企画の草案を何十、何百と作った。血のにじむような努力をしてきたつもりだ。けれど。
『天音さんって綺麗だけど、なんか近寄りがたくないっすか?』
好きだったおしゃれもメイクも、気が付けば、クライアントや制作になめられないための鎧として、機械的にする毎日。
鎧を幾重にもまとい、趣味も、恋愛も、すべて置いてきぼりにして、突き進んできた私には、いつの間にか仕事以外何もなくなっていた。
皆川リーダーと一緒に仕事をするようになったのは、ちょうどそんな自分の働き方に、疑問を覚えた頃だった。
『いや、天音は今まで一緒に仕事してきた奴の中で群を抜いて、よくやってると思う。仕事への向き合い方もすごくいい。次の仕事も俺は天音と一緒にしたい。』
そういって次の大きな案件のサポートとして、引き抜いてくれた時は本当に嬉しくて。
共に深夜遅くまで残り、プロジェクトの話をした。仕事に対して情熱的な彼はとても魅力的で、何より努力を認めて誉めて伸ばしてくれる存在は、私の空虚を埋めてくれた。
彼に上司として以上の感情を持ち始めるのに、そう時間はかからなかった。
だけど、奥さんがいることも、知っていて。だから、部下として、彼を支えていられたらそれでいいのだと思い込もうとした。言い訳だけど、その瞬間までは彼とどうこうなるつもりなんて微塵もなかった。
『妻とうまくいってなくて…天音、お前がいないと俺は駄目なんだ…』
それが既婚者が使う常とう句だと、知っていながら。自分を求める、その心地よい熱に、甘い夢に、簡単に私は落ちた。
彼との逢瀬はとても甘美なものだった。触れる指先は優しくて、宝物のように大切にしてくれた。だからその時だけは、彼の特別になれたような錯覚を覚えることができた。けれど、別れ際、いつも空虚な気持ちが胸を占めた。
友人にも話せないそんな恋愛が間違っていることは百も承知で。彼の奥さんへの罪悪感で胸がいっぱいになっていた頃。
そんな時に、大貴君に出会った。恥ずかしいほどまっすぐで、不器用な、拙い好意に心が揺れた。この人のことなら好きになれるかもしれない。
だから、部署の配置換えを希望し、彼との連絡を絶つことを決めた。
けれど、彼からの連絡は途絶えなかった。
着信拒否すればいいのに、完全に彼ときれしまうのが怖かったのだろうと思う。その連絡に応えることはなかったけれど、着信が来るたび、彼の中にまだ己がいるという事実に、恐怖を覚える一方で、安堵を覚えていた。
多分あの人はそんな私の迷いを見透かしていたのだと思う。
いくら別の部署とはいえ、共有スペースは限られているし、互いに顔は知っている。全く会わないというわけにもいかない。彼はおおっぴらには声をかけてこないものの、時折意味深な視線を投げかけては、私の反応を探ってきた。その度、胸が高鳴ることが、彼を見かける度、目で追ってしまうことが、嫌でたまらなかった。
何度、かかってくる電話に手を伸ばしそうになっただろう。
それでもかろうじて踏みとどまれたのは、多分、大貴君への罪悪感からだった。
***
大貴くんはあれ以来私に触れてくることはなかった。多分、私の中にある躊躇に彼は気が付いているのだろうと思う。互いの部屋に行っても、一定距離を保ったまま。彼の優しさに感謝するとともに、もどかしい距離に苛立ちもあった。私のことが好きだというのなら、この、どうしようもない想いを忘れさせて欲しい。
「キス、しよ」
そう私がねだると、彼は面白いほど狼狽えはじめた。
成人男性にこんなことを思うのもどうかと思うが、正直、どうせ彼のことだから、小鳥のように触れるだけのキスをするものだと、なめていた。多分、彼に男を感じていなかったから。けれど、余裕でいられたのはそこまでだった。
「んぅ……っ……」
思った以上に、大人なキスに、私は戸惑った。好きだ、好きだと全身でぶつけるような口づけは、いまだ逃げ腰で付き合う私を、引きずり出そうとするかのようで。
「天音さん、好き、大好き……」
とろけるような眼差しに男を感じて、私は黙り込んだ。
「………油断した…」
なんだ、この色気。普段ほわんほわんしているくせに、反則でしょ。赤くなった頬を隠したくて、そっぽを向く私に彼は再び爆弾を投下した。
「……もう一回いい?」
「………ダメ」
駄目に決まっている。だって、こんなの何度も食らったら、普通じゃいられない。
「ふふふ…」
「もう、何笑ってるの!?」
悔しくてぽかりと、その胸を叩くとぎゅっとその体を抱きしめられた。
「ちょっと、大貴君!」
「いいじゃない、キスはしてないよ。」
――あ、大丈夫だ、きっと私、彼を好きになれる。
すごく嬉しそうに笑う、大貴くんが可愛いって思えたから。嫌がりながらも、そうして彼に抱かれているのはすごく、心地よくて。
心に凝っていた汚い感情がすべて溶け出していく。
幸福を噛みしめて、私は大貴くんの胸の中で目を閉じた。
***
そうして大貴君に少しずつ惹かれつつ、一方で私は完全に「彼」の存在を忘れ去ることもできずにいた。
『Eプロジェクトの皆川リーダー、お子さんが生まれたんだって。』
ぴくり、とキーを打っていた指が止まった。
『へぇ、おめでたいじゃない。』
瞬間、色んな感情が浮かんできて、息が詰まった。
『天音さんはEプロジェクト出身でしょ。何かお祝いとか…』
『ちょっと…』
慌てたように、同僚の一人が止める。ちらりと、憐みを含んだ視線に、カッと頬が熱くなるのが分かった。もう、私は何の関係もないことだ、叫びだしそうになる自分を抑えて、曖昧に笑う。
部屋についてすぐ私はドアに、背をつけて座り込んだ。
奥さんとはもう関係は持っていないって言っていたのに。愛しているのは、私だけだと言ったのに。怒りと惨めな気持ちがないまぜになって、心を乱す。
関係ない、関係ない、私には、ちゃんと大貴君がいる―――。
きっと大貴君と体をつなげれば、こんな思いは消えると思った。
惨めでみっともなくて、とんでもなく自分が矮小な存在に思えて仕方がなくて。とにかく、全身で誰かに愛されていることを、実感したかった。ここにいてもいいと、私だけだと、この体を満たして欲しくて仕方がなくて。すがるように彼を求めた。
「天音さん、帰ろう?」
だから、彼に拒絶された時、ショックだった。
「僕のこと、好きじゃないでしょ?」
私の浅ましさを見透かす言葉に、顔が熱くなった。
好きかと聞かれれば、好きだとは答えられる。ただ、その思いが彼だけに向けられた純粋なものであるかと問われれば、否と答えざるを得ない。私が見ないふりをしていたその痛いところに彼はとっくに気が付いていた。
恥ずかしい。みっともない。
優しい彼の声は、もう私には届かなかった。
「っ、意気地なし!!私がいいって言ってるのに!!」
私は思いつく罵詈雑言を彼に浴びせかけた。
私のことを好きじゃないの、酷い、大嫌い―――。
あの人のことを忘れさせてくれないなら、あんたなんていらない―――。
「じゃあ、いいよ、しよ。」
氷のような声だった。大貴君が怒ったのを、私はその日初めて見た。突き放すように放たれた言葉に、私は不安になる。
「だい、き…くっ……」
ベッドが2人分の体重を受けて軋む。
思いのほか熱い舌が、私の糊口を蹂躙する。唾液の濡れそぼった唇が、互いの熱を映しあう感覚に、ぞくりと下肢に熱が這い上がる。粘つくような口づけに、感覚が麻痺していく。それまで抱えていた自己嫌悪も羞恥も、すべて快楽に溶けていく。私はその口づけにすべてをゆだね、目を閉じた。
けれど、唐突に彼は唇を離した。
あまりに激しすぎる触れ合いにぼんやりと意識を飛ばしていた私の頬をなで、体を起こす。怒っているはずなのに、その手はすごく優しい。
「シャワー浴びてくる。――もう、逃げないで。」
泣きそうな、懇願の混じった吐息に、私は何も言えず、ただ彼を見送った。
彼がシャワー室に入った後も、私はしばらく放心していた。
―――大貴君、怒っていた。
当たり前だ。ずっと私のことを大切に思って触れないでくれていたのに。私ときたら、彼ではない別の人のことを思って、彼に抱かれようとした。
リーダーのことを知らなくても、私の投げやりな態度に大貴君は気づいていた。
あの優しい人を怒らせてしまうなんて。
その時、ぶぶ、と携帯が鳴った。
「―――っ」
やりきれない思いに胸がつまった。
『天音さん、大好きだよ……』
強引なリーダーとは違う、優しすぎて苦しくなるほど甘い触れ合い。
初めて、キスを交わしたあの日。
その強さに、彼が男の人だと思い知らされた。それから、少しずつ彼は探るように、私との距離を詰めてきた。けれど、私が少しでもすくめば、困ったように笑っていつだって離してくれた。ただ臆病なだけだと思っていた。けれど、それは。
『僕のこと、好きじゃないでしょ?』
私が自分のことを好きではないと知っていたから、待っていてくれようとしたの?
先ほどの大貴君の言葉の意味が、少しずつ見えてくる。
「私…最低だ……っ」
喉が詰まる。ぽたり、と涙が落ちた。
大貴君のこと、ちゃんと好きになりたい。すべてを清算したら、そしたら。
涙で滲むのを抑えながら、私はチェスターにおいてあったペーパーを手に取った。
***
「天音…!」
「――お久しぶりです。皆川さん。」
感情を外に出さないように、私は唇引き結ぶ。
「天音から連絡してくれるなんて。」
「お子さんが生まれたと伺いました。おめでとうございます。」
不思議だ。こんな風に彼にお祝いの言葉を述べることができる日がくるなんて。
「天音、何か勘違いをしているのかもしれないが、俺は」
「……今日はお別れのご挨拶に伺ったんです。」
「お別れ?」
皆川さんが怪訝そうに首をかしげた。私はすっと息を吸う。
「私、転職することに決めました。だから、お世話になったリーダーにはどうしても直接お礼の言葉をお伝えしたかったんです。私がこの会社でやりたい仕事をすることができたのはリーダーのおかげだから。」
言わずに会社を辞めてしまおうかとも思ったが、それまでかけてきた迷惑を思うと、挨拶だけはきちんとして去りたかった。
「ちょっと待て。転職って…」
「もう、辞表は出していますので。」
「天音、また一緒に仕事しないか。やっぱり、俺と一緒の方が大きい案件もやれるし、天音だって…な?どうせ、小さい会社なんだろ。それだったら…」
決めつけたような物言いに腹もたったけれど、確かに彼の言うことは間違っていない。次の会社は小規模で、その分、今ほど大きな案件は担当できなくなる。
「もう決めたことです。」
「………天音っ!俺は…お前のこと……」
「もう終わりにしたいんです。ありがとうございました。」
思ったよりも心は凪いでいた。けれど、それも無理やり抱きすくめられるまでだった。
「ちょっと…!?」
「悪かったよ、でも俺……天音が大事なんだ。もったいないよ。」
こんなことで転職して小さな会社にいくなんて。自分がそうさせるをえないきっかけを作ったくせに身勝手な理論を振りかざして、男は強引に唇を重ねようとした。
触れる柔らかい唇は懐かしい感覚。けれど大貴君とは違う、その唇を、舌を、許せなくて私は滅茶苦茶に暴れる。その抵抗に、苛立ったのか、少しずつ皆川さんの態度にも変化が現れ始めた。
「天音、お前…本気で独り立ちできると思ってるのか?今まで大きな案件やれてたのは、俺がいたからだろ。」
口づけの合間にささやかれる男の本音は、私の今までをすべて否定するものだった。
「本当はお前だって分かってるんじゃないのか。俺がいなきゃ、なんにもできないって」
――違う。私が、この数年やってきたことは。自分で、努力をして、勝ち取ってきたものだったはずだ。それなのに、どうして、この男のいうことを否定できないの。
「なんもいえないよなぁ、配置転換してからお前が任された仕事のことを思い出したら」
「っ…!」
「プライベートにしたって、俺以上にお前のことを分かってやれるやつなかなかいないんじゃないの?」
「いいえ、ちゃんとお付き合いしている方もいます。」
皆川さんの視線が険しくなる。
「へぇ、でも、それってホント?仕事だけが生きがいみたいなお前が本当に男を好きになれんの?そもそも俺と付き合ったのだって、仕事に理解がある男がよかったからだろ?」
嘲るように、皆川さんは嗤った。動揺して動きを止めた私の手をとって、甘えるように頬を摺り寄せる。その感覚に、ぞわりと嫌悪が這い上がった。
「なぁ、化粧もネイルも、全部俺好み。なんも変わってない。お前だって、本当は…」
「やめて!!」
そこまでが限界だった。うっとりとつぶやく彼を突き飛ばし、私は呆然とした。
***
どうして、どうして、どうして!!
涙が盛り上がってくる。道を行く人が振り返るのも構わず、私は池袋の改札を泣きながら早足で歩く。戸惑いがちな視線も、好奇にゆがんだ視線も、今は気にならなかった。
呪いのようにあの男の言葉がぐるぐるとまわる。
―――勘違いするなよ、今まで仕事ができていたのは、お前の力じゃない。俺の力だってこと。
違う、違う、違う…!
―――化粧もネイルも、全部おれ好み。
違う、違う、違う…!
今すぐメイクもネイルも服もすべてはぎ取ってしまいたい。全て自分で選んできたつもりだった。けれど、そのすべて何もかも間違いだった気さえしてくる。
がむしゃらに仕事を頑張ってきたつもりだ。それが認められたからゆえの、今だと思っていた。けれど、実際は。
私は何のために、ここにいるの。
また自分という存在が溶け出して、何も分からなくなっていく。
誰か、誰か…助けて…
『天音さん…』
大貴君――。無意識のうちに携帯を取り出し、画面を見て手を止めた。
そうして、私は大貴君に連絡をして、どうするの?
また私は大貴君にすがるつもりなのか。最初は他の男の代わりとして、今は自分の存在を保つために。彼の好意を利用して。そんなの、間違っている。
優しい大貴君はそれをおそらく許してくれるだろう。だけど、私は結局自分を認めてくれる存在が欲しかっただけで、ただそのために皆川さんも大貴君も利用していただけだったんだ。
すべて、やり直したい…。
―――大貴、くん…ごめん……ごめん……。
それから何度も彼から連絡が来たけれど、とる気にはなれなかった。
私は彼を裏切った。
いや、もうずっと最初から裏切っていた。それに気が付かないふりをしていた。
「え…」
強すぎる眼差しに、言葉を失う。
「頭を冷やしてくる、それが僕にあなたが最後に言った言葉でした。」
覚えてませんか、と彼が問うた。その表情に感情は見えない。こんな昏い顔をする人だっただろうか。私が呆気にとられて何も言えないでいると、「それ」と彼は苛立ったように携帯を指さした。
「今度はなんて連絡がきたんですか?」
「れん、らく……?」
まさか―――。彼の問いの意味に気が付き、私は色を失くした。
「―――僕が、何も知らないと思っていましたか」
誰が発したのかと思うほど低い声だった。その重さに彼が、今まで抑えてきた感情を知る。
「ふか、や、さん…?」
「知ってましたよ、あなたが他の男を忘れるために僕と付き合っていたこと。時々、僕といるときにかかってくる着信がその男のものだということも。あなたがまだ未練を断ち切れず、切ない顔をすることも、全部!」
熱に浮かされたように、彼は言葉を紡ぐ。じり、と彼の足が一歩こちらに踏み出す。反射的に私は、腰を引いた。
「そ、それなら、どうして別れるって言わなかったの!?」
「それでもいいと思ったからに決まってるでしょう。――いいや、本当は嫉妬で狂いそうだった。でも。いつか、僕のことをあなたが、見てくれる日がくればそれでいいと、そう思っていたんだ。それなのに。」
どこか濡れた彼の声に、体が震えた。
「―――あなたは僕から逃げた。」
「に、逃げてなんか…」
「逃げていない?はっ、嗤わせますね。ホテルまで一緒に行って、体を繋げようというタイミングになって、あなたは一人僕を置いて出て行った。そして、それからろくに連絡を取ることも避け、挙句別れましょう?これのどこが逃げていない、って?」
彼の言うとおりだった。
「もし、あなたが嫌だというのなら、無理をするつもりなんてなかった。あなたが僕に心を許してくれるまで、いつまでだって、待つつもりだった。けれど。あなたは。胸の内を明かすこともなく、僕から去った。最後まで!」
燃えるような瞳が私を責める。
「そ、その……あのときは……」
「今更謝ってくれなくて結構です。ただ……。」
ぐっと腕を強く引かれて、私は彼の腕に倒れ込んだ。
「あの日をやり直させてください。他の男のことを思っていても構わない。」
「そ、そんなの…できるわけない……」
「どうして?彼を思いながら、僕に口づけをせがんだあなたなら、出来るでしょう?」
そんな風に思われていたの?心が凍りつく。
「……そんな顔、ずるいよ、天音さん。」
大貴君が悲しげに笑う。私は今、どんな顔をしているのだろう。
「でも、僕はもう、待ってあげられない。」
冷たい唇がふれる。瞬間、彼の苦しげな表情が目に入って、ぽろり、と涙が決壊した。
***
あの人のことが好きだった。どうしようもなく。奥さんがいると知っていてなお、離れることが怖くて。いずれそれでは駄目になることも分かっていたけれど、麻薬のように、彼にすがらずにはいられなかった。
「彼」に求めていたのが、愛情だったのか。それとも、己の存在を肯定してほしかっただけなのか。今となっては自分でさえ分からない。
よく、広告業界は激務だっていうけれど、なるほど納得。実際問題、想いがなきゃこんな仕事続かない。
憧れの広告の仕事は覚悟していた以上に過酷で激務だった。
残業が度を超して、深夜まで及び、会社に寝泊まりすることも月に何度か。家に帰っても、もはや化粧を落とす気力もなく、スーツのまま倒れることもあった。
でも、そんな日々が全部苦痛だったかといえば、そうではなくて。自分が関わった案件が成功した時の快感が、仕事の辛さを忘れさせてくれた。すべての理不尽はその瞬間にすべてリセットして、また一から頑張ろうって思えたから。
だから、もっと大きな案件を任されるようになりたくて、必死だった。
丁寧に仕事を教えてもらえるような環境じゃなかったから、残業でくたくたになった日でも、仕事が終わると、カフェに入って勉強し、企画の草案を何十、何百と作った。血のにじむような努力をしてきたつもりだ。けれど。
『天音さんって綺麗だけど、なんか近寄りがたくないっすか?』
好きだったおしゃれもメイクも、気が付けば、クライアントや制作になめられないための鎧として、機械的にする毎日。
鎧を幾重にもまとい、趣味も、恋愛も、すべて置いてきぼりにして、突き進んできた私には、いつの間にか仕事以外何もなくなっていた。
皆川リーダーと一緒に仕事をするようになったのは、ちょうどそんな自分の働き方に、疑問を覚えた頃だった。
『いや、天音は今まで一緒に仕事してきた奴の中で群を抜いて、よくやってると思う。仕事への向き合い方もすごくいい。次の仕事も俺は天音と一緒にしたい。』
そういって次の大きな案件のサポートとして、引き抜いてくれた時は本当に嬉しくて。
共に深夜遅くまで残り、プロジェクトの話をした。仕事に対して情熱的な彼はとても魅力的で、何より努力を認めて誉めて伸ばしてくれる存在は、私の空虚を埋めてくれた。
彼に上司として以上の感情を持ち始めるのに、そう時間はかからなかった。
だけど、奥さんがいることも、知っていて。だから、部下として、彼を支えていられたらそれでいいのだと思い込もうとした。言い訳だけど、その瞬間までは彼とどうこうなるつもりなんて微塵もなかった。
『妻とうまくいってなくて…天音、お前がいないと俺は駄目なんだ…』
それが既婚者が使う常とう句だと、知っていながら。自分を求める、その心地よい熱に、甘い夢に、簡単に私は落ちた。
彼との逢瀬はとても甘美なものだった。触れる指先は優しくて、宝物のように大切にしてくれた。だからその時だけは、彼の特別になれたような錯覚を覚えることができた。けれど、別れ際、いつも空虚な気持ちが胸を占めた。
友人にも話せないそんな恋愛が間違っていることは百も承知で。彼の奥さんへの罪悪感で胸がいっぱいになっていた頃。
そんな時に、大貴君に出会った。恥ずかしいほどまっすぐで、不器用な、拙い好意に心が揺れた。この人のことなら好きになれるかもしれない。
だから、部署の配置換えを希望し、彼との連絡を絶つことを決めた。
けれど、彼からの連絡は途絶えなかった。
着信拒否すればいいのに、完全に彼ときれしまうのが怖かったのだろうと思う。その連絡に応えることはなかったけれど、着信が来るたび、彼の中にまだ己がいるという事実に、恐怖を覚える一方で、安堵を覚えていた。
多分あの人はそんな私の迷いを見透かしていたのだと思う。
いくら別の部署とはいえ、共有スペースは限られているし、互いに顔は知っている。全く会わないというわけにもいかない。彼はおおっぴらには声をかけてこないものの、時折意味深な視線を投げかけては、私の反応を探ってきた。その度、胸が高鳴ることが、彼を見かける度、目で追ってしまうことが、嫌でたまらなかった。
何度、かかってくる電話に手を伸ばしそうになっただろう。
それでもかろうじて踏みとどまれたのは、多分、大貴君への罪悪感からだった。
***
大貴くんはあれ以来私に触れてくることはなかった。多分、私の中にある躊躇に彼は気が付いているのだろうと思う。互いの部屋に行っても、一定距離を保ったまま。彼の優しさに感謝するとともに、もどかしい距離に苛立ちもあった。私のことが好きだというのなら、この、どうしようもない想いを忘れさせて欲しい。
「キス、しよ」
そう私がねだると、彼は面白いほど狼狽えはじめた。
成人男性にこんなことを思うのもどうかと思うが、正直、どうせ彼のことだから、小鳥のように触れるだけのキスをするものだと、なめていた。多分、彼に男を感じていなかったから。けれど、余裕でいられたのはそこまでだった。
「んぅ……っ……」
思った以上に、大人なキスに、私は戸惑った。好きだ、好きだと全身でぶつけるような口づけは、いまだ逃げ腰で付き合う私を、引きずり出そうとするかのようで。
「天音さん、好き、大好き……」
とろけるような眼差しに男を感じて、私は黙り込んだ。
「………油断した…」
なんだ、この色気。普段ほわんほわんしているくせに、反則でしょ。赤くなった頬を隠したくて、そっぽを向く私に彼は再び爆弾を投下した。
「……もう一回いい?」
「………ダメ」
駄目に決まっている。だって、こんなの何度も食らったら、普通じゃいられない。
「ふふふ…」
「もう、何笑ってるの!?」
悔しくてぽかりと、その胸を叩くとぎゅっとその体を抱きしめられた。
「ちょっと、大貴君!」
「いいじゃない、キスはしてないよ。」
――あ、大丈夫だ、きっと私、彼を好きになれる。
すごく嬉しそうに笑う、大貴くんが可愛いって思えたから。嫌がりながらも、そうして彼に抱かれているのはすごく、心地よくて。
心に凝っていた汚い感情がすべて溶け出していく。
幸福を噛みしめて、私は大貴くんの胸の中で目を閉じた。
***
そうして大貴君に少しずつ惹かれつつ、一方で私は完全に「彼」の存在を忘れ去ることもできずにいた。
『Eプロジェクトの皆川リーダー、お子さんが生まれたんだって。』
ぴくり、とキーを打っていた指が止まった。
『へぇ、おめでたいじゃない。』
瞬間、色んな感情が浮かんできて、息が詰まった。
『天音さんはEプロジェクト出身でしょ。何かお祝いとか…』
『ちょっと…』
慌てたように、同僚の一人が止める。ちらりと、憐みを含んだ視線に、カッと頬が熱くなるのが分かった。もう、私は何の関係もないことだ、叫びだしそうになる自分を抑えて、曖昧に笑う。
部屋についてすぐ私はドアに、背をつけて座り込んだ。
奥さんとはもう関係は持っていないって言っていたのに。愛しているのは、私だけだと言ったのに。怒りと惨めな気持ちがないまぜになって、心を乱す。
関係ない、関係ない、私には、ちゃんと大貴君がいる―――。
きっと大貴君と体をつなげれば、こんな思いは消えると思った。
惨めでみっともなくて、とんでもなく自分が矮小な存在に思えて仕方がなくて。とにかく、全身で誰かに愛されていることを、実感したかった。ここにいてもいいと、私だけだと、この体を満たして欲しくて仕方がなくて。すがるように彼を求めた。
「天音さん、帰ろう?」
だから、彼に拒絶された時、ショックだった。
「僕のこと、好きじゃないでしょ?」
私の浅ましさを見透かす言葉に、顔が熱くなった。
好きかと聞かれれば、好きだとは答えられる。ただ、その思いが彼だけに向けられた純粋なものであるかと問われれば、否と答えざるを得ない。私が見ないふりをしていたその痛いところに彼はとっくに気が付いていた。
恥ずかしい。みっともない。
優しい彼の声は、もう私には届かなかった。
「っ、意気地なし!!私がいいって言ってるのに!!」
私は思いつく罵詈雑言を彼に浴びせかけた。
私のことを好きじゃないの、酷い、大嫌い―――。
あの人のことを忘れさせてくれないなら、あんたなんていらない―――。
「じゃあ、いいよ、しよ。」
氷のような声だった。大貴君が怒ったのを、私はその日初めて見た。突き放すように放たれた言葉に、私は不安になる。
「だい、き…くっ……」
ベッドが2人分の体重を受けて軋む。
思いのほか熱い舌が、私の糊口を蹂躙する。唾液の濡れそぼった唇が、互いの熱を映しあう感覚に、ぞくりと下肢に熱が這い上がる。粘つくような口づけに、感覚が麻痺していく。それまで抱えていた自己嫌悪も羞恥も、すべて快楽に溶けていく。私はその口づけにすべてをゆだね、目を閉じた。
けれど、唐突に彼は唇を離した。
あまりに激しすぎる触れ合いにぼんやりと意識を飛ばしていた私の頬をなで、体を起こす。怒っているはずなのに、その手はすごく優しい。
「シャワー浴びてくる。――もう、逃げないで。」
泣きそうな、懇願の混じった吐息に、私は何も言えず、ただ彼を見送った。
彼がシャワー室に入った後も、私はしばらく放心していた。
―――大貴君、怒っていた。
当たり前だ。ずっと私のことを大切に思って触れないでくれていたのに。私ときたら、彼ではない別の人のことを思って、彼に抱かれようとした。
リーダーのことを知らなくても、私の投げやりな態度に大貴君は気づいていた。
あの優しい人を怒らせてしまうなんて。
その時、ぶぶ、と携帯が鳴った。
「―――っ」
やりきれない思いに胸がつまった。
『天音さん、大好きだよ……』
強引なリーダーとは違う、優しすぎて苦しくなるほど甘い触れ合い。
初めて、キスを交わしたあの日。
その強さに、彼が男の人だと思い知らされた。それから、少しずつ彼は探るように、私との距離を詰めてきた。けれど、私が少しでもすくめば、困ったように笑っていつだって離してくれた。ただ臆病なだけだと思っていた。けれど、それは。
『僕のこと、好きじゃないでしょ?』
私が自分のことを好きではないと知っていたから、待っていてくれようとしたの?
先ほどの大貴君の言葉の意味が、少しずつ見えてくる。
「私…最低だ……っ」
喉が詰まる。ぽたり、と涙が落ちた。
大貴君のこと、ちゃんと好きになりたい。すべてを清算したら、そしたら。
涙で滲むのを抑えながら、私はチェスターにおいてあったペーパーを手に取った。
***
「天音…!」
「――お久しぶりです。皆川さん。」
感情を外に出さないように、私は唇引き結ぶ。
「天音から連絡してくれるなんて。」
「お子さんが生まれたと伺いました。おめでとうございます。」
不思議だ。こんな風に彼にお祝いの言葉を述べることができる日がくるなんて。
「天音、何か勘違いをしているのかもしれないが、俺は」
「……今日はお別れのご挨拶に伺ったんです。」
「お別れ?」
皆川さんが怪訝そうに首をかしげた。私はすっと息を吸う。
「私、転職することに決めました。だから、お世話になったリーダーにはどうしても直接お礼の言葉をお伝えしたかったんです。私がこの会社でやりたい仕事をすることができたのはリーダーのおかげだから。」
言わずに会社を辞めてしまおうかとも思ったが、それまでかけてきた迷惑を思うと、挨拶だけはきちんとして去りたかった。
「ちょっと待て。転職って…」
「もう、辞表は出していますので。」
「天音、また一緒に仕事しないか。やっぱり、俺と一緒の方が大きい案件もやれるし、天音だって…な?どうせ、小さい会社なんだろ。それだったら…」
決めつけたような物言いに腹もたったけれど、確かに彼の言うことは間違っていない。次の会社は小規模で、その分、今ほど大きな案件は担当できなくなる。
「もう決めたことです。」
「………天音っ!俺は…お前のこと……」
「もう終わりにしたいんです。ありがとうございました。」
思ったよりも心は凪いでいた。けれど、それも無理やり抱きすくめられるまでだった。
「ちょっと…!?」
「悪かったよ、でも俺……天音が大事なんだ。もったいないよ。」
こんなことで転職して小さな会社にいくなんて。自分がそうさせるをえないきっかけを作ったくせに身勝手な理論を振りかざして、男は強引に唇を重ねようとした。
触れる柔らかい唇は懐かしい感覚。けれど大貴君とは違う、その唇を、舌を、許せなくて私は滅茶苦茶に暴れる。その抵抗に、苛立ったのか、少しずつ皆川さんの態度にも変化が現れ始めた。
「天音、お前…本気で独り立ちできると思ってるのか?今まで大きな案件やれてたのは、俺がいたからだろ。」
口づけの合間にささやかれる男の本音は、私の今までをすべて否定するものだった。
「本当はお前だって分かってるんじゃないのか。俺がいなきゃ、なんにもできないって」
――違う。私が、この数年やってきたことは。自分で、努力をして、勝ち取ってきたものだったはずだ。それなのに、どうして、この男のいうことを否定できないの。
「なんもいえないよなぁ、配置転換してからお前が任された仕事のことを思い出したら」
「っ…!」
「プライベートにしたって、俺以上にお前のことを分かってやれるやつなかなかいないんじゃないの?」
「いいえ、ちゃんとお付き合いしている方もいます。」
皆川さんの視線が険しくなる。
「へぇ、でも、それってホント?仕事だけが生きがいみたいなお前が本当に男を好きになれんの?そもそも俺と付き合ったのだって、仕事に理解がある男がよかったからだろ?」
嘲るように、皆川さんは嗤った。動揺して動きを止めた私の手をとって、甘えるように頬を摺り寄せる。その感覚に、ぞわりと嫌悪が這い上がった。
「なぁ、化粧もネイルも、全部俺好み。なんも変わってない。お前だって、本当は…」
「やめて!!」
そこまでが限界だった。うっとりとつぶやく彼を突き飛ばし、私は呆然とした。
***
どうして、どうして、どうして!!
涙が盛り上がってくる。道を行く人が振り返るのも構わず、私は池袋の改札を泣きながら早足で歩く。戸惑いがちな視線も、好奇にゆがんだ視線も、今は気にならなかった。
呪いのようにあの男の言葉がぐるぐるとまわる。
―――勘違いするなよ、今まで仕事ができていたのは、お前の力じゃない。俺の力だってこと。
違う、違う、違う…!
―――化粧もネイルも、全部おれ好み。
違う、違う、違う…!
今すぐメイクもネイルも服もすべてはぎ取ってしまいたい。全て自分で選んできたつもりだった。けれど、そのすべて何もかも間違いだった気さえしてくる。
がむしゃらに仕事を頑張ってきたつもりだ。それが認められたからゆえの、今だと思っていた。けれど、実際は。
私は何のために、ここにいるの。
また自分という存在が溶け出して、何も分からなくなっていく。
誰か、誰か…助けて…
『天音さん…』
大貴君――。無意識のうちに携帯を取り出し、画面を見て手を止めた。
そうして、私は大貴君に連絡をして、どうするの?
また私は大貴君にすがるつもりなのか。最初は他の男の代わりとして、今は自分の存在を保つために。彼の好意を利用して。そんなの、間違っている。
優しい大貴君はそれをおそらく許してくれるだろう。だけど、私は結局自分を認めてくれる存在が欲しかっただけで、ただそのために皆川さんも大貴君も利用していただけだったんだ。
すべて、やり直したい…。
―――大貴、くん…ごめん……ごめん……。
それから何度も彼から連絡が来たけれど、とる気にはなれなかった。
私は彼を裏切った。
いや、もうずっと最初から裏切っていた。それに気が付かないふりをしていた。
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