恋と呼べるまで

ななし

文字の大きさ
14 / 16
番外編

幸せの色Side天音

しおりを挟む
 腰が砕けるような口づけの後、私は思わず恨み言をつぶやいた。

「付き合う前は草食系だって思ってたけど、大貴君って結構がつがつくるよね…」
「え、あ……」

じと、とにらみつけると、みるみるうちに顔を真っ赤に染めて、可愛そうなほど大貴君が狼狽え始める。思わぬ罫線逆転に、うずうずと眠っていたS気が刺激された。

「今更恥ずかしがるふりしたって遅いんだから…」

つんつん、と脇腹をつつくと、うひぁ、と頓狂な悲鳴を上げて、背を向けてしまった。

「ちょっとー?」
「……が…です」
「んー、なぁに、はっきり言ってくれないと…」

大貴君の可愛い顔を見たくて、くるりと彼の正面に回って、その顔を覗き込む。

「あまねさんが、…いけないんですよ…っ…」

か細く泣くような声に、どきっとしてしまう。内心の動揺を押し隠して、「えー」と茶化すようにしていると、ひょっこりその潤んだ切ない瞳と視線がかち合う。

「あ、あんまりにも…かわい、すぎるから…」

可愛すぎるのはあなたでしょ!!声にならない叫びをあげ、私は口をぱくぱくさせた。破壊的なほど、色気を含んだ目線に、思わずくらりとする。おまけのこの台詞だ。彼は、私を殺す気なのか。

「あ、天音さんも顔赤くなった…」

ほわん、といつもの毒のない笑顔を向けられ、ますます私は混乱する。

「ばーか!!」
「えぇ、酷いよ、天音さん……」

照れ隠しで、慌てて歩き出した私の後ろを足音が追う。

「天音さんってば。」

冗談じゃない、こんなの完全にばかっぷるじゃないか。

「いいじゃない、ばかっぷるでも。天音さんが僕に余裕がないの、すごく嬉しい。」
「嬉しいって…」

私は思わずがっくりと脱力した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

最強魔術師の歪んだ初恋

黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。 けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...