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1章
16.学院初日 1
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七歳の誕生日を迎えた数週間後。
穏やかな風が頬を撫でる春の日。
私は、王立学院の門の前に立っていた。
周りには私同様、制服に斜めがけバッグをぶら下げた生徒たちがぎこちない様子で門をくぐっていくのが見える。
「このヒラヒラスカートにも早く慣れないと......」
私はため息混じりに呟いた。
幸い、兄様曰く本格的な授業は明日からで、今日はクラスの案内とちょっとした説明をするだけ。
お昼前には下校できるらしい。
だけど昼食は学院内の食堂で一緒に食べようと兄様と約束をしているから、帰るのはお昼過ぎになるだろう。
なんて、本日の予定を頭の中で整理していると、背後から聞き覚えのある柔らかな声が聞こえてくる。
「——エル様~! おはようございますぅ!」
そう声のした方へ振り返ろうとしたのと同時に、後ろから声の主が勢いよく飛びついてきた。
「おわっ、セラ! おはよう!」
突然の抱擁に、多少よろめきながらもセラを受け止める私。
半年ぶりのセラとの対面だ。
月に何度か手紙でやり取りはしていたけど、こうして直接会うのは去年の第一王子のパーティー以来。
というのも、エーデルレオン家の領地は西の海岸線沿いにあり、王都から会いに行くのに一週間はかかるほど遠いのだ。
前回のパーティーも、たまたまセラの父親が仕事で王宮に行く用事があったので、ついでに着いてきたんだとか。
「私、今日がすっっっごく待ち遠しかったんですよ?」
そう言って私に背中から抱きついていたセラは私の前に回って、手を握ると嬉しそうに顔をまじまじと見つめてきた。
そんなセラには私も笑顔で返事をする。
「私も楽しみにしてた、セラにすごく会いたかったよ」
「本当ですか? 今日からは毎日会えますよ!」
どうやら、エーデルレオンの屋敷は王都にもあるらしく、学院に通うため、セラと数人の使用人だけこちらに引っ越してきたのだそうだ。
「でも、ご両親はこっちに来てないんでしょ? 寂しかったらいつでも私の家に来ていいからね! なんならお泊まりしてくれてもいいし!」
私はそう言ってセラに優しく笑いかける。
「ありがとうございます! 嬉しいです!」
私の言葉にセラは満面の笑みを浮かべて喜んでくれる。
——そんなやり取りをして、そろそろ校舎に入ろうかと思い始めた頃。
ふと周りのざわめきが耳に入ってきた。
何事かと辺りを見渡すと、学院の門前に人だかりができている。
そして、どうやらその中心では、私と同い年らしき男の子四人がなにやら言い合いをしているみたいだった。
綺麗な制服に身を包んだデブ、ちび、のっぽの三人組と、それを睨んで立つ眼鏡にボロい制服の男の子。
貴族出身と一般家庭出身の衝突だ。
この学院ではよくある話だって兄様が言ってたっけ。
この国にも最近は身分の差を振りかざして威張る世間知らずが増えてきたと嘆いてもいた。
そもそもこの学院では、教師からの扱いに貴族も一般家庭も関係ない。強いて上があるとするのならそれは王族くらいなものだ。
それにしてもこの状況。
割って入っていいものだろうか。
今のところただ言い合ってるだけに見えるし。
私が出ていったところでそう易々と引き下がる相手だったら、とっくに話は終わってるはずだ。
もし変に拗れて暴力沙汰にでもなったら......。
流石に入学早々問題を起こすのは気が引けるかな。
まぁ、ほんの少し様子を見て危なくなったら止めに入ればいいか。
そう思いながら人集りの外から様子を伺っていると、貴族側の子達は三人でそれぞれ見下したような台詞を吐き始めた。
「この、貧乏人が!」
「なんだその制服、小汚い!」
「そうだ!そうだ!」
三人は思い思いの罵倒を吐き終えると薄ら笑いを浮かべる。
「レベルが低いな。 貧乏人だろうがなんだろうが、少なくとも君達よりはマシだろうね」
メガネの子は、それらの言葉に顔色一つ変えずに冷めた様子でそう返すと、ついでにずり落ちた眼鏡の位置を人差し指で直した。
「なんだコイツ!」
「はっ、貧乏人がバカにしやがって!」
「そうだそうだ!」
三人はその態度に表情を変え、苛立ち始める。
「ふんっ、こうも軽々しく他人を見下せるなんて......。貴族のくせに、ちゃんとした教育を受けられなかったんだな」
そう眼鏡の男の子がさらに煽ると、貴族出身の三人は、顔を赤くして拳を強く握ってた。
それを見て流石に止めるべきだと感じたた私は人集りを割いて足を踏み出す。
「馬鹿にするなよ! この貧乏人がぁ!」
そう叫びながらガタイのいい男子が拳を振り上げて走り出し、私がメガネ君の前に飛び出たと同時にその拳は振り抜かれた。
私の顔目掛けて迫る拳。
その速度は、師匠の攻撃に比べれば何倍も鈍い。
そう言えば、師匠からもお父様も体術に関しては詳しく教わらなかったな。
こういう時のために師匠に頼んで武器なしでも戦えるように体術も習うべきかも。
なんて、頭の片隅で考えられるほど余裕で相手の拳を避けると、出来るだけ怪我をさせないように足を蹴り払って転ばせた。
「っでぅあ......!」
相手はそう、情けない悲鳴を漏らした。
そして、何が起こったのか分からないといった様子で目を丸くしている。
「なんだお前!」
「お前!」
一人目が転ばされたのを見て何も学ばなかったのか、後ろで見ていた二人もこちらに向かって殴りかかってくる。
しかし、その攻撃は一人目同様に鈍いうえに構えがなっていない。
私がひらりと躱すと二人はお互いの間合いを読み間違えて、もつれ合う様に自ら転んでしまった。
「ぷはっ......」
私はその様子に思わず笑いが零れてしまう。
「ははっ!」
そして、メガネ君も三人を見て笑っていた。
しかし、私はそれを咎めるようにおでこに軽くチョップを振り下ろした。
「ていっ」
「イタぁ! どうして僕まで!」
唐突な暴力におでこを抑えて涙目になるメガネ君。
「喧嘩両成敗! 今回は君にも落ち度があると思う」
まぁ、自分の実力を試したかった私も私なんだけどね......。
しかし、私がそう言って叱るとメガネ君はズレた眼鏡を直しながらも私を睨んだ。
「どこが! ぼくは何もしてない!」
「確かに君は手を出してないけど、相手を煽る物言いをしてたし。 殴りかかられてもしょうがないんじゃない?」
「僕はただ、事実を口にしただけだ! それに、馬鹿にしてきたのもあっちからだし、最終的に殴ってきたあっちが全部悪いだろ!」
「確かに、九割あっちが悪い。 けど煽らなかったらそもそも殴られることもなかったと思うけど?」
そう言うと、メガネ君は押し黙ってしまう。
「——コラァ! 君たち!そこに集まって何をしてる!」
と、そんなことを言っていると校舎の方から教師らしき人が鬼の形相で走ってくるのが見えた。
誰かが呼んできたのだろう。
「エル様! 怒られる前に行きましょう!」
解散する人集りを抜けて来たセラは慌ててそう言うと、私の手を掴んだ。
「あ、うん」
この状況を教師に見られればお説教は間違いなし。
それは嫌なので、後のことはメガネ君に丸投げしよう。
ここは助けたお礼だと思って、メガネ君には私の代わりに叱られておくれ。
なんて心の中で呟きつつ、セラと一緒に校舎に向かって走った。
穏やかな風が頬を撫でる春の日。
私は、王立学院の門の前に立っていた。
周りには私同様、制服に斜めがけバッグをぶら下げた生徒たちがぎこちない様子で門をくぐっていくのが見える。
「このヒラヒラスカートにも早く慣れないと......」
私はため息混じりに呟いた。
幸い、兄様曰く本格的な授業は明日からで、今日はクラスの案内とちょっとした説明をするだけ。
お昼前には下校できるらしい。
だけど昼食は学院内の食堂で一緒に食べようと兄様と約束をしているから、帰るのはお昼過ぎになるだろう。
なんて、本日の予定を頭の中で整理していると、背後から聞き覚えのある柔らかな声が聞こえてくる。
「——エル様~! おはようございますぅ!」
そう声のした方へ振り返ろうとしたのと同時に、後ろから声の主が勢いよく飛びついてきた。
「おわっ、セラ! おはよう!」
突然の抱擁に、多少よろめきながらもセラを受け止める私。
半年ぶりのセラとの対面だ。
月に何度か手紙でやり取りはしていたけど、こうして直接会うのは去年の第一王子のパーティー以来。
というのも、エーデルレオン家の領地は西の海岸線沿いにあり、王都から会いに行くのに一週間はかかるほど遠いのだ。
前回のパーティーも、たまたまセラの父親が仕事で王宮に行く用事があったので、ついでに着いてきたんだとか。
「私、今日がすっっっごく待ち遠しかったんですよ?」
そう言って私に背中から抱きついていたセラは私の前に回って、手を握ると嬉しそうに顔をまじまじと見つめてきた。
そんなセラには私も笑顔で返事をする。
「私も楽しみにしてた、セラにすごく会いたかったよ」
「本当ですか? 今日からは毎日会えますよ!」
どうやら、エーデルレオンの屋敷は王都にもあるらしく、学院に通うため、セラと数人の使用人だけこちらに引っ越してきたのだそうだ。
「でも、ご両親はこっちに来てないんでしょ? 寂しかったらいつでも私の家に来ていいからね! なんならお泊まりしてくれてもいいし!」
私はそう言ってセラに優しく笑いかける。
「ありがとうございます! 嬉しいです!」
私の言葉にセラは満面の笑みを浮かべて喜んでくれる。
——そんなやり取りをして、そろそろ校舎に入ろうかと思い始めた頃。
ふと周りのざわめきが耳に入ってきた。
何事かと辺りを見渡すと、学院の門前に人だかりができている。
そして、どうやらその中心では、私と同い年らしき男の子四人がなにやら言い合いをしているみたいだった。
綺麗な制服に身を包んだデブ、ちび、のっぽの三人組と、それを睨んで立つ眼鏡にボロい制服の男の子。
貴族出身と一般家庭出身の衝突だ。
この学院ではよくある話だって兄様が言ってたっけ。
この国にも最近は身分の差を振りかざして威張る世間知らずが増えてきたと嘆いてもいた。
そもそもこの学院では、教師からの扱いに貴族も一般家庭も関係ない。強いて上があるとするのならそれは王族くらいなものだ。
それにしてもこの状況。
割って入っていいものだろうか。
今のところただ言い合ってるだけに見えるし。
私が出ていったところでそう易々と引き下がる相手だったら、とっくに話は終わってるはずだ。
もし変に拗れて暴力沙汰にでもなったら......。
流石に入学早々問題を起こすのは気が引けるかな。
まぁ、ほんの少し様子を見て危なくなったら止めに入ればいいか。
そう思いながら人集りの外から様子を伺っていると、貴族側の子達は三人でそれぞれ見下したような台詞を吐き始めた。
「この、貧乏人が!」
「なんだその制服、小汚い!」
「そうだ!そうだ!」
三人は思い思いの罵倒を吐き終えると薄ら笑いを浮かべる。
「レベルが低いな。 貧乏人だろうがなんだろうが、少なくとも君達よりはマシだろうね」
メガネの子は、それらの言葉に顔色一つ変えずに冷めた様子でそう返すと、ついでにずり落ちた眼鏡の位置を人差し指で直した。
「なんだコイツ!」
「はっ、貧乏人がバカにしやがって!」
「そうだそうだ!」
三人はその態度に表情を変え、苛立ち始める。
「ふんっ、こうも軽々しく他人を見下せるなんて......。貴族のくせに、ちゃんとした教育を受けられなかったんだな」
そう眼鏡の男の子がさらに煽ると、貴族出身の三人は、顔を赤くして拳を強く握ってた。
それを見て流石に止めるべきだと感じたた私は人集りを割いて足を踏み出す。
「馬鹿にするなよ! この貧乏人がぁ!」
そう叫びながらガタイのいい男子が拳を振り上げて走り出し、私がメガネ君の前に飛び出たと同時にその拳は振り抜かれた。
私の顔目掛けて迫る拳。
その速度は、師匠の攻撃に比べれば何倍も鈍い。
そう言えば、師匠からもお父様も体術に関しては詳しく教わらなかったな。
こういう時のために師匠に頼んで武器なしでも戦えるように体術も習うべきかも。
なんて、頭の片隅で考えられるほど余裕で相手の拳を避けると、出来るだけ怪我をさせないように足を蹴り払って転ばせた。
「っでぅあ......!」
相手はそう、情けない悲鳴を漏らした。
そして、何が起こったのか分からないといった様子で目を丸くしている。
「なんだお前!」
「お前!」
一人目が転ばされたのを見て何も学ばなかったのか、後ろで見ていた二人もこちらに向かって殴りかかってくる。
しかし、その攻撃は一人目同様に鈍いうえに構えがなっていない。
私がひらりと躱すと二人はお互いの間合いを読み間違えて、もつれ合う様に自ら転んでしまった。
「ぷはっ......」
私はその様子に思わず笑いが零れてしまう。
「ははっ!」
そして、メガネ君も三人を見て笑っていた。
しかし、私はそれを咎めるようにおでこに軽くチョップを振り下ろした。
「ていっ」
「イタぁ! どうして僕まで!」
唐突な暴力におでこを抑えて涙目になるメガネ君。
「喧嘩両成敗! 今回は君にも落ち度があると思う」
まぁ、自分の実力を試したかった私も私なんだけどね......。
しかし、私がそう言って叱るとメガネ君はズレた眼鏡を直しながらも私を睨んだ。
「どこが! ぼくは何もしてない!」
「確かに君は手を出してないけど、相手を煽る物言いをしてたし。 殴りかかられてもしょうがないんじゃない?」
「僕はただ、事実を口にしただけだ! それに、馬鹿にしてきたのもあっちからだし、最終的に殴ってきたあっちが全部悪いだろ!」
「確かに、九割あっちが悪い。 けど煽らなかったらそもそも殴られることもなかったと思うけど?」
そう言うと、メガネ君は押し黙ってしまう。
「——コラァ! 君たち!そこに集まって何をしてる!」
と、そんなことを言っていると校舎の方から教師らしき人が鬼の形相で走ってくるのが見えた。
誰かが呼んできたのだろう。
「エル様! 怒られる前に行きましょう!」
解散する人集りを抜けて来たセラは慌ててそう言うと、私の手を掴んだ。
「あ、うん」
この状況を教師に見られればお説教は間違いなし。
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