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75 国王の誤算
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洗脳状態であるはずの咲が目の前に立っていたため、国王は驚きのあまり後ろへ倒れてしまった。
「ど、どうして自我を保っておるんじゃ……!? 確かに洗脳魔法は発動していたはずじゃぞ!」
「私、洗脳とか催眠とかそう言うの……もう効かないんだよね」
咲の言葉通り、今の彼女はそれらの精神干渉系に対して耐性を持っていた。
どうしてそんな能力を持っているのか……理由は簡単だ。
ドラゴラゴンの幹部にもそのような能力を使う者がいたため、その対策として身に付けざるを得なかったのである。
「効かないじゃと? そのようなことがあるはずが……」
「あるんだよ。残念だけどね」
彼女は厳しい修行と鍛錬の日々を乗り越え、精神干渉への強力な耐性を得ていた。
その反動として、外からの干渉を防ぐ代わりに自らの中に闇を閉じ込めてしまう性質も持ってしまったのだが……ご存じの通り、それは既にメルトライザーとして克服済みである。
「で、勇者が洗脳済みとか言ってたよね。詳しく聞かせてくれる?」
「陛下!」
このまま咲の自由にはさせまいと、騎士たちが彼女を取り囲んでいく。
「……今はそんなことしてる時じゃないんだよね」
しかし、王国の騎士程度で彼女を止められるはずが無かった。
「がはっ……!」
「ぐぁっ……!?」
仮にもワイバーンの大群から街を守る際にはそれなりに活躍していた程の逸材たちが、咲の容赦のない攻撃によって次々と絨毯にディープキスをするはめになっていった。
するとこのままでは不味いと感じた魔術師たちが再び拘束魔法を咲に向けて放ち始めた。
「無駄だよ」
それすらも彼女は拳一つで簡単に破壊してしまう。
そして一人、また一人と咲は魔術師たちをねじ伏せて行った。
「あ、あぁ……嘘じゃ、このようなことがあるはずが……」
最強と名高いアルタリア騎士団も、強力な拘束魔法も、全能に思えた洗脳魔法も、国王の用意したその全てが咲には通用しなかった。
これを誤算と言わず何と言えばよいのだろうか。
その瞬間、国王は初めて自分の考えが甘かったことを悟る。
しかし今更後悔してももう遅かった。
「……じゃあ、聞かせてもらおうかな」
この場にいる敵対者を一人残らず無力化した咲は改めて国王の前にしゃがみ込み、威圧感のある声でそう言った。
珍しく彼女は心の底から怒っているのである。
煽られようが何をされようが、少々不服に思ったり腹を立てたりする事はあれど基本的にブチ切れることは無い咲。
しかしそんな彼女であっても他の勇者が洗脳されているのを許すことは出来なかった。
別にそれは他の勇者を守りたいだとかそう言う理由ではない。
彼女にとって他のクラスメイトは特段仲がいい訳でも無く、良くも悪くもただの学友というだけの存在なのである。
そんな彼らが洗脳されようが何だろうが、極論彼女にとってはどうでも良い話ではあった。
あくまで彼女は自主的にヒーロー活動をしていただけのただの少女なのだ。
正義の心だとか、人々の救済だとか、そんな高尚なものを持ち合わせてはいなかった。
……だが、そんな彼女にとって実の家族と桜だけは扱いが違うのだ。
幼少期から共に過ごし、今こうして恋人となっている彼女は、咲にとって決して失ってはならない重要な存在となっていた。
もし桜が咲と共に転移トラップで王国から離れていなければ、恐らく彼女も他の勇者と同じく洗脳されていたことだろう。
そして彼の言葉通りなら敵国との戦争に使われることになっていたのだ。
であれば当然、そこで命を落としていた可能性だってあるだろう。
それが咲にとっては想像も出来ない程の恐怖であり、何よりも国王を許せない理由であった。
それこそ自分が外れ勇者として扱われた時よりも遥かに怒り心頭に発する結果となったのである。
それだけの負の感情を間近でぶつけられてしまった国王は当然抵抗することなど出来るはずもなく、ゆっくりと口を開くのだった。
「……召喚した勇者たちはあまりにも我が強すぎた。我の命令を聞こうともしない。それどころか五大魔将や魔龍神王と戦うことを拒否する者も現れてしまった。もう、こうするしか無くなってしまったんじゃ」
「それで洗脳したってことね。随分とまあ……強引だね。そっちが勝手に呼んだのにさ」
「……貴様、何故そこまでして勇者の肩を持つ? 一体何が目的なんじゃ……?」
国王は当然の疑問を抱いていた。
突如現れた謎の戦士が、どういう訳か全く知りもしないはずの勇者をやたらと贔屓するのだ。
むしろ気にならない方がおかしいだろう。
そんな問いに対し、咲は一番わかりやすい方法で回答した。
……変身解除である。
「き、貴様は……!!」
グレートカルノライザーの姿から一変、咲の姿へと戻った彼女を見て国王はこれまた驚愕するのだった。
「外れスキルしか使えぬ外れ勇者が、あの魔龍王を討ち取った戦士の正体じゃと……!? そんなの、信じられるはずがなかろう!」
「でも現に私はこうして騎士も魔術師も倒して、今あなたの目の前にいる。これが何よりの証拠でしょ?」
「うぐっ……」
信じたくない現実を受け入れなければならない時、人の精神は大きくダメージを受ける。
ましてやそれが極度の緊張状態であればなおの事だ。
「まあいっか。これ以上は話しても無駄だと思うから、本題に入るね」
「本題じゃと……?」
咲のその言葉を聞いた国王は思わずそう返していた。
結局のところ、彼もまた咲の目的を知りたかったのである。
そのため咲の方から本題に入ってくれるのは願ってもないことではあった。
「要求が二つあるの。一つは私の指名手配を取り下げること。もう一つは他の勇者たちの洗脳を解いたうえで彼らの自由にさせること」
咲は淡々とそう述べる。
その要求は単純にしてシンプルなものだった。
「ど、どうして自我を保っておるんじゃ……!? 確かに洗脳魔法は発動していたはずじゃぞ!」
「私、洗脳とか催眠とかそう言うの……もう効かないんだよね」
咲の言葉通り、今の彼女はそれらの精神干渉系に対して耐性を持っていた。
どうしてそんな能力を持っているのか……理由は簡単だ。
ドラゴラゴンの幹部にもそのような能力を使う者がいたため、その対策として身に付けざるを得なかったのである。
「効かないじゃと? そのようなことがあるはずが……」
「あるんだよ。残念だけどね」
彼女は厳しい修行と鍛錬の日々を乗り越え、精神干渉への強力な耐性を得ていた。
その反動として、外からの干渉を防ぐ代わりに自らの中に闇を閉じ込めてしまう性質も持ってしまったのだが……ご存じの通り、それは既にメルトライザーとして克服済みである。
「で、勇者が洗脳済みとか言ってたよね。詳しく聞かせてくれる?」
「陛下!」
このまま咲の自由にはさせまいと、騎士たちが彼女を取り囲んでいく。
「……今はそんなことしてる時じゃないんだよね」
しかし、王国の騎士程度で彼女を止められるはずが無かった。
「がはっ……!」
「ぐぁっ……!?」
仮にもワイバーンの大群から街を守る際にはそれなりに活躍していた程の逸材たちが、咲の容赦のない攻撃によって次々と絨毯にディープキスをするはめになっていった。
するとこのままでは不味いと感じた魔術師たちが再び拘束魔法を咲に向けて放ち始めた。
「無駄だよ」
それすらも彼女は拳一つで簡単に破壊してしまう。
そして一人、また一人と咲は魔術師たちをねじ伏せて行った。
「あ、あぁ……嘘じゃ、このようなことがあるはずが……」
最強と名高いアルタリア騎士団も、強力な拘束魔法も、全能に思えた洗脳魔法も、国王の用意したその全てが咲には通用しなかった。
これを誤算と言わず何と言えばよいのだろうか。
その瞬間、国王は初めて自分の考えが甘かったことを悟る。
しかし今更後悔してももう遅かった。
「……じゃあ、聞かせてもらおうかな」
この場にいる敵対者を一人残らず無力化した咲は改めて国王の前にしゃがみ込み、威圧感のある声でそう言った。
珍しく彼女は心の底から怒っているのである。
煽られようが何をされようが、少々不服に思ったり腹を立てたりする事はあれど基本的にブチ切れることは無い咲。
しかしそんな彼女であっても他の勇者が洗脳されているのを許すことは出来なかった。
別にそれは他の勇者を守りたいだとかそう言う理由ではない。
彼女にとって他のクラスメイトは特段仲がいい訳でも無く、良くも悪くもただの学友というだけの存在なのである。
そんな彼らが洗脳されようが何だろうが、極論彼女にとってはどうでも良い話ではあった。
あくまで彼女は自主的にヒーロー活動をしていただけのただの少女なのだ。
正義の心だとか、人々の救済だとか、そんな高尚なものを持ち合わせてはいなかった。
……だが、そんな彼女にとって実の家族と桜だけは扱いが違うのだ。
幼少期から共に過ごし、今こうして恋人となっている彼女は、咲にとって決して失ってはならない重要な存在となっていた。
もし桜が咲と共に転移トラップで王国から離れていなければ、恐らく彼女も他の勇者と同じく洗脳されていたことだろう。
そして彼の言葉通りなら敵国との戦争に使われることになっていたのだ。
であれば当然、そこで命を落としていた可能性だってあるだろう。
それが咲にとっては想像も出来ない程の恐怖であり、何よりも国王を許せない理由であった。
それこそ自分が外れ勇者として扱われた時よりも遥かに怒り心頭に発する結果となったのである。
それだけの負の感情を間近でぶつけられてしまった国王は当然抵抗することなど出来るはずもなく、ゆっくりと口を開くのだった。
「……召喚した勇者たちはあまりにも我が強すぎた。我の命令を聞こうともしない。それどころか五大魔将や魔龍神王と戦うことを拒否する者も現れてしまった。もう、こうするしか無くなってしまったんじゃ」
「それで洗脳したってことね。随分とまあ……強引だね。そっちが勝手に呼んだのにさ」
「……貴様、何故そこまでして勇者の肩を持つ? 一体何が目的なんじゃ……?」
国王は当然の疑問を抱いていた。
突如現れた謎の戦士が、どういう訳か全く知りもしないはずの勇者をやたらと贔屓するのだ。
むしろ気にならない方がおかしいだろう。
そんな問いに対し、咲は一番わかりやすい方法で回答した。
……変身解除である。
「き、貴様は……!!」
グレートカルノライザーの姿から一変、咲の姿へと戻った彼女を見て国王はこれまた驚愕するのだった。
「外れスキルしか使えぬ外れ勇者が、あの魔龍王を討ち取った戦士の正体じゃと……!? そんなの、信じられるはずがなかろう!」
「でも現に私はこうして騎士も魔術師も倒して、今あなたの目の前にいる。これが何よりの証拠でしょ?」
「うぐっ……」
信じたくない現実を受け入れなければならない時、人の精神は大きくダメージを受ける。
ましてやそれが極度の緊張状態であればなおの事だ。
「まあいっか。これ以上は話しても無駄だと思うから、本題に入るね」
「本題じゃと……?」
咲のその言葉を聞いた国王は思わずそう返していた。
結局のところ、彼もまた咲の目的を知りたかったのである。
そのため咲の方から本題に入ってくれるのは願ってもないことではあった。
「要求が二つあるの。一つは私の指名手配を取り下げること。もう一つは他の勇者たちの洗脳を解いたうえで彼らの自由にさせること」
咲は淡々とそう述べる。
その要求は単純にしてシンプルなものだった。
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