MMOやり込みおっさん、異世界に転移したらハイエルフの美少女になっていたので心機一転、第二の人生を謳歌するようです。

遠野紫

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第二章『巡り合う運命』

22 廃れた魔導機帝国

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 馬車でなら数週間はかかる距離も、空から飛んで行けばあっという間だった。
 まだ王国を出てから数日なのに、気付けばもう目的地に到着しているのだからフライ様様だな。

 さて、今回の目的地であり、勇者がいるとされるこの国は通称「魔導機帝国」と呼ばれているイダロン帝国だ。
 位置としてはアヴァロンヘイムの北東にあたる場所にある。
 その通称の通り魔導機と言うものが盛んに開発されている国で、ゲームでも一番栄えた都市として有名だった。
 
 この魔導機と言うのが中々に優れもので、機械系生産職のクラスで作ることができるのだが、その性能は高いものだとネームドボスに通用するレベルであった。
 物理方面の基礎ステータスを底上げする強化外骨格のようなものから、色々なギミックの付いたガントレットなど様々なものがある。

 もっとも、魔導機は装備枠を複数消費するために場合によっては普通に装備を付けた方が良い場合もある。
 それでも必要素材に対してその効果は高く、下手な生産装備なんかよりは大分強いものが出来上がる可能性もあった。

 まあ実装されたのがサ終の一年前くらいだったから、そのくらいの性能が無いとインフレ気味だった環境では通用しないってのもありそうだけども。

 そんな魔導機帝国もといイダロン帝国は……ゲームとは全く違う状態となっていた。
 ゲームではもっと活気があってそこら中に魔道具の店があったはずなんだが、今の帝国はこう……元気が無かった。
 ゲーム内一番の都市と謳われていた場所だとは到底思えない有様だった。

「一体、どうしてこんな……」

「……やはり、君は知らないのですね。この国に何が起きたのかを」

 ルーシオはどうやらこの国がこうなった理由を知っているようで、それを俺に話してくれた。

 まず、このイダロン帝国は数百年前まではゲーム内と同じように栄えていたらしい。
 その頃は魔導機の生産も盛んにおこなわれており、アヴァロンヘイムで一番の経済力を持つと言ってもいい程の大国であったようだ。
 
 しかしある時、突如として魔王が現れ、帝国を襲ったのだと言う。
 勿論帝国側も出来る限りの抵抗はしたようだが、魔王相手に何とかできるはずもなく国は壊滅。
 今はイダロン帝国の名だけが残っているだけの実質的なスラム街と化しているらしい。
 そう考えればここまで活気が無いのも頷ける。もうここは国として機能していないのだ。
 
 ……そして今の話を聞いて確信したことがある。

 彼は、魔王に故郷を滅ぼされたと言っていた。
 それだけならばまだ他の国である可能性も捨てきれないだろう。
 だが彼の纏う「魔導騎士」としての機械のような装備……あれは恐らく魔導機の一種だ。
 あれだけの魔導機は設備的にも資源的にも、ここイダロン帝国以外で作れるはずは無い。

 と、ここまで情報が出てしまえばもう答えを出すのは簡単だ。
 彼はここイダロン帝国の出身で間違いは無い。そう断言出来た。

「……」

 しかしその真偽を彼本人に聞くことは出来ない。
 あまりにもセンシティブすぎる話題なのだこれは。

「……ステラ」

「はい、なんでしょう?」

「……君には、伝えておきます。ここが、このイダロン帝国こそが……私の故郷なのだと言う事を」

 ……予想外に、それは本人の口から伝えられた。
 俺の心配は結果的には必要なかったようだ。
 だがその一言を発するのにどれだけの葛藤があったのか。俺には想像も出来ない。

「薄々気付いてはいましたが、やはりそうなんですね。私に出来ることなら力になりますから、どうか……」

 どうか……何だ? 
 俺に何が出来ると言うのか。
 彼に必要なのは故郷や家族だ。だがそれはもう存在しない。
 俺なんかではその代わりには……。

「ステラ、やはり君は優しいのですね。ですが、私の過去まで背負い込む必要はありません。私のために君がそこまでする必要は無いのですから」

 そう言うとルーシオは黙ったまま俺の前を歩き始める。
 それはまるで、ここでこの話を終わらせたいかのようだった。

 それならそれで何も問題は無い。彼がその気なら変にこれ以上会話を続ける必要も無いんだからな。
 それに少なくとも今のこの国については彼の方が詳しいだろうし、黙ってついて行くことにしよう。
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