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終章『アヴァロンヘイムと悪魔の軍勢』
71 生存者の捜索
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聖王都には聖女を崇める者が物凄く多い。
それは平時であれば国力を維持するうえでとても有利に働いただろう。
だが、今回の場合それは逆効果だった。
聖女の演説を聞くために広間には物凄く多くの人間が集まっていたのだ。
そしてその人間たちをアスモデウスは容赦なく殺した。大量の死体の山がその証拠だった。
そしてどうやら他の場所でもマジックアイテムを使って演説が生中継されていたようで、そこに集まっていた者たちも例外なくアスモデウスの部下と思われる低級悪魔に惨殺されていた。
「全然人がいないね……」
「それだけ、この聖王都の人を一掃するのに聖女の演説を利用するのは有効だったんだろう」
探しても探しても、あるのはついさっきまでは人だったものばかりだ。
そしてこれだけの血肉が街中に溢れていれば、その臭いに釣られて魔物がやってくるだろう。
長い時間をかければかける程、生存者の生存確率は低くなっていく。
「せめて探知魔法でもあれば良いんだが……」
無いんだなこれが。
残念ながらステラはそう言った魔法は所持していなかったようで、生存者を探すには地道に捜索をするしか無かった。
だがこの聖王都も決して小さい国では無い。
たった三人で捜索をしていたのではあっという間に日が暮れてしまうだろう。
「だ、誰か……助け……」
と、その時。どこからか人の声が聞こえてきた。
「誰かいるんですか!?」
俺たちの存在を知らせるためにそう叫びながら、声の聞こえた方へと走って行く。
「だ、誰か……助け……」
「待っていてください! 今助けますか……ら……?」
……待て、何か違和感がある。
「だ、誰か……助け……」
「ねえ、ステラ。これ……ずっと同じことを言ってるよね」
ルキオラも違和感に気付いたようだった。
……どういう訳かこの声の主はずっと、一言一句変わらない言葉を呟き続けているのだ。
もし俺の声を聞いたのであれば自分がどこにいるのかを知らせてくるはず。
なのにこの声はずっと、助けてくれとしか言ってこない。
「もしかしてコイツ……」
心当たりはあった。だが確証が持てない。
だから、まずは俺一人で行って確認してみることにする。
「何かあったら合図をするから、それまではここで待機していてくれ」
「……気を付けてねステラ」
二人を待機させ、声が聞こえた建物の中へと入る。
どうやらここは料理店のようで、ついさっきまで食事が行われていたであろう痕跡が残っていた。
「だ、誰か……助け……」
声は奥の方から聞こえてくる。
恐らくは調理場だろう。
「だ、誰か……助け……ギェェェェッ!!」
「ッ!!」
調理場に入った瞬間、奥の方から何かが奇声をあげながら飛び掛かって来た。
「ギヘッ……ギェァァッ」
「やっぱりか……」
その魔物には見覚えがあった。
ネワオン内に存在した敵の一体である低級悪魔の一種だ。
コイツの特徴は獲物の発した声を真似て更なる獲物を呼び込むと言うもので、恐らく俺たちが聞いていたのはコイツが殺した人間を真似て発していたものなんだろう。
「はぁ……結局生存者では無かったな。ファイアーボール」
「ギュェェッ!!」
ファイアボールを飛ばし、奴を燃やす。
低級悪魔と言えどこの世界では相当な危険度の魔物。しかしそれでも、俺のようにレベルカンストのプレイヤーを相手にすればこの程度だった。
「ルキオラ、メイデン、こっちは終わったよ。……あれ?」
建物から出て二人と合流しようとしたものの、そこに二人はいなかった。
「ステラ、避けて!!」
とその時、ルキオラの叫び声が聞こえた。
「ッ!?」
一目散にその場から飛び退き、即座にフライを使って勢いを抑制して受け身を取った。
「ぐっ……中々やるじゃねえか幻覚のくせによ!」
つい今まで俺がいた場所には一人の男が立っている。
それは間違いなく聖王都に来たばかりの時に会った彼……エルドであった。
「今度は当てる!!」
「ま、待ってくれ! 俺たちは幻覚じゃない!」
攻撃をしてこようとしたエルドに向けて、俺は無意識の内にそう叫んでいた。
「……そうなのか?」
「あ、ああ……そうだ。まあまず、きちんと話をしましょうか」
「ステラ、大丈夫!?」
ルキオラとメイデンが降りてくる。
どうやら飛んでいたらしい。どうりで建物を出た時に二人の姿が見えなかったわけだ。
「ごめんなさい、急に魔物が出てきたから対処していたの。それよりその人って……」
ルキオラは今なお警戒しながらエルドの方を見ている。
さっきのルキオラの叫びに加えてエルドの発言もある。恐らく何らかの理由で彼は俺を敵だと思っていたんだろう。
まあその辺も彼自身に聞いてみるべきだな。
「……聞かせてください。貴方の身に何が起こったのかを」
それは平時であれば国力を維持するうえでとても有利に働いただろう。
だが、今回の場合それは逆効果だった。
聖女の演説を聞くために広間には物凄く多くの人間が集まっていたのだ。
そしてその人間たちをアスモデウスは容赦なく殺した。大量の死体の山がその証拠だった。
そしてどうやら他の場所でもマジックアイテムを使って演説が生中継されていたようで、そこに集まっていた者たちも例外なくアスモデウスの部下と思われる低級悪魔に惨殺されていた。
「全然人がいないね……」
「それだけ、この聖王都の人を一掃するのに聖女の演説を利用するのは有効だったんだろう」
探しても探しても、あるのはついさっきまでは人だったものばかりだ。
そしてこれだけの血肉が街中に溢れていれば、その臭いに釣られて魔物がやってくるだろう。
長い時間をかければかける程、生存者の生存確率は低くなっていく。
「せめて探知魔法でもあれば良いんだが……」
無いんだなこれが。
残念ながらステラはそう言った魔法は所持していなかったようで、生存者を探すには地道に捜索をするしか無かった。
だがこの聖王都も決して小さい国では無い。
たった三人で捜索をしていたのではあっという間に日が暮れてしまうだろう。
「だ、誰か……助け……」
と、その時。どこからか人の声が聞こえてきた。
「誰かいるんですか!?」
俺たちの存在を知らせるためにそう叫びながら、声の聞こえた方へと走って行く。
「だ、誰か……助け……」
「待っていてください! 今助けますか……ら……?」
……待て、何か違和感がある。
「だ、誰か……助け……」
「ねえ、ステラ。これ……ずっと同じことを言ってるよね」
ルキオラも違和感に気付いたようだった。
……どういう訳かこの声の主はずっと、一言一句変わらない言葉を呟き続けているのだ。
もし俺の声を聞いたのであれば自分がどこにいるのかを知らせてくるはず。
なのにこの声はずっと、助けてくれとしか言ってこない。
「もしかしてコイツ……」
心当たりはあった。だが確証が持てない。
だから、まずは俺一人で行って確認してみることにする。
「何かあったら合図をするから、それまではここで待機していてくれ」
「……気を付けてねステラ」
二人を待機させ、声が聞こえた建物の中へと入る。
どうやらここは料理店のようで、ついさっきまで食事が行われていたであろう痕跡が残っていた。
「だ、誰か……助け……」
声は奥の方から聞こえてくる。
恐らくは調理場だろう。
「だ、誰か……助け……ギェェェェッ!!」
「ッ!!」
調理場に入った瞬間、奥の方から何かが奇声をあげながら飛び掛かって来た。
「ギヘッ……ギェァァッ」
「やっぱりか……」
その魔物には見覚えがあった。
ネワオン内に存在した敵の一体である低級悪魔の一種だ。
コイツの特徴は獲物の発した声を真似て更なる獲物を呼び込むと言うもので、恐らく俺たちが聞いていたのはコイツが殺した人間を真似て発していたものなんだろう。
「はぁ……結局生存者では無かったな。ファイアーボール」
「ギュェェッ!!」
ファイアボールを飛ばし、奴を燃やす。
低級悪魔と言えどこの世界では相当な危険度の魔物。しかしそれでも、俺のようにレベルカンストのプレイヤーを相手にすればこの程度だった。
「ルキオラ、メイデン、こっちは終わったよ。……あれ?」
建物から出て二人と合流しようとしたものの、そこに二人はいなかった。
「ステラ、避けて!!」
とその時、ルキオラの叫び声が聞こえた。
「ッ!?」
一目散にその場から飛び退き、即座にフライを使って勢いを抑制して受け身を取った。
「ぐっ……中々やるじゃねえか幻覚のくせによ!」
つい今まで俺がいた場所には一人の男が立っている。
それは間違いなく聖王都に来たばかりの時に会った彼……エルドであった。
「今度は当てる!!」
「ま、待ってくれ! 俺たちは幻覚じゃない!」
攻撃をしてこようとしたエルドに向けて、俺は無意識の内にそう叫んでいた。
「……そうなのか?」
「あ、ああ……そうだ。まあまず、きちんと話をしましょうか」
「ステラ、大丈夫!?」
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「ごめんなさい、急に魔物が出てきたから対処していたの。それよりその人って……」
ルキオラは今なお警戒しながらエルドの方を見ている。
さっきのルキオラの叫びに加えてエルドの発言もある。恐らく何らかの理由で彼は俺を敵だと思っていたんだろう。
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