【R18】稀によくある異世界召喚録 〜またまた外れスキルを与えられたけど、他の世界から持ち込んだ力があるのでモーマンタイです〜

遠野紫

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クラス転移と外れスキル

05 暴君小林

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 やあ。
 結局あのあと王城での巫女さんと国王の話を皆にも聞かせたよ。

 そうしたらびっくり、マジで誰も信じてくれねえのこれっぽっちも。

 いや予想はしてたけどさ。
 実際にこうして現実のものとなると心にグサグサ来るよね。
 
 まあどちらかと言えば「信じない」と言うより「信じたくない」といった風味だけども。
 

「魔王を倒しても帰れないなんて、そんなの嘘に決まってるでしょ……!」

「ああ、そうだ! だってあの時、確かに言っていたじゃないか! 魔王を倒せば帰れるって!!」

「嫌……嫌よそんなの……! 私、信じないから!」


 ってな感じ。
 そうだよな。俺だって同じ境遇だったらそう思う。
 帰れないなんて、そう簡単には受け入れられないぜ。

 結果、俺の行動はただただ混乱を招いただけと言うことになってしまった。

 あのさぁ。何を四天王?
 せめてこれが最初期であればまだ違ったのかもしれないよ。
 俺がただの外れスキル持ちの外れ勇者であれば敗者の戯言で済んだんだ。

 けど、ついこの前レッサージャイアントとか言う魔物を倒しちゃったからね。
 俺の力が良くも悪くも周知されてしまった。
 なのでこうしてお通夜になってしまっているわけです。


「巧ぃ。お前さぁ、ちょっと調子に乗り過ぎなんじゃねぇの。外れスキル持ちのくせに妙な魔法を使えるとかなんとか言いやがってよぉ。おまけにレッサージャイアントだっけ? 俺の獲物だったアレまで奪っておいてまだ何かしようっての?」


 あはは、何をおっしゃる。
 あの時の小林、ほぼほぼ逃げてばっかだったじゃん。
 あれじゃあ小林の方が確実に獲物だったよ?


「やめて小林くん。あの時は巧くんがいなかったら私たち全滅して……」

「あぁん? おい柊、同じ星五スキル持ちだからっていい気になるなよ。お前の剣姫スキルは俺の剣聖と互角かそれ以下だ。前線で戦っている俺の方がじきに強くなるってことを忘れるな。そうなったらお前も俺に指図なんかできなくなるんだからなぁ」


 そう言う小林の視線は柊さんの体を舐めるように動いていた。
 ああ、うん。既に別の生徒にはそう言うことさせてるんだなアイツ。
 噂は正しかったか。

 いやまあ、分からないこともないよその気持ち。
 圧倒的なまでの力を持てば、屈服させて好き放題したくなるってもんだろう。

 けどそこに愛はあるんか?
 無理やりそう言うことさせて、そこに愛はあるんか?


「小林くん……」

「なんだぁその目は。ふんっ、軽蔑するなら今の内にしておくんだな。どうせお前は俺のモノになるんだ」


 横暴過ぎる彼の言動に異を唱える者はいない。

 当たり前か。
 力こそ全てと言うこの世界の常識に飲みこまれてしまった皆は、最高グレードの中でも最強格である剣聖スキルを持っている小林には文句すら言えないんだ。

 言ったが最後、ボッコボコにされて辱められるだけだろうからね。


「今から楽しみだぜぇ? お前のそのドスケベな体が俺のものになるのがよぉ」

「……言っておきなさい。私も、そう簡単に負けるつもりはないわ」


 おぉ、やっぱり星五スキル持ちは精神力が違うね。
 小林のあの圧を受けても言い返せるなんて。

 そうは言っても、柊さんが小林に勝てなくなるのは事実なんだよな……。
 彼女は学級委員として責任を感じているのか、他の生徒を守ることを優先している。
 だからどうしても自分自身の強化が疎かになってしまっているんだ。

 このまま行けば数週間と経たない内に小林に手も足も出なくなってしまうはず。
 そうなったら最後、彼女のむちむちな体は小林の手によって……。


「おい、聞いてんのか巧」


 あ、聞いてなかったわ。
 何の話をしていたんだっけ。
 ちくわ大明神?


「俺はなぁ。お前がずっと気に食わなかったんだわ。なんでお前みたいなのがあの佐藤と一緒にいるんだってなぁ。何の取柄もねえお前になんて、勿体ねぇにもほどがあんだろうが。だから……お前から奪うことにしたわ。向こうじゃ邪魔も多かったが、ここじゃ俺を邪魔する奴はいねぇ。俺が一番ツエエんだからよぉ!!」


――ブンッ


 飛んできた拳を避ける。
 うん、やっぱり遅いね。


「はぁ……。仮に俺を倒したところで、エルシーはアンタの物にはならないと思うけど?」

「おいおい負け惜しみかぁ? 俺の力ならすぐに屈服させられるから問題なんてねぇんだよぉ! それに、てめぇが気に食わねえことに変わりはねぇんだ! 俺がこの手でてめぇをぶちのめすことに意味があんだよぉ!!」


――ブンッブンッ


「クソッ! まただ! どうして当たんねぇんだよ!! コイツは外れスキル持ちの最弱勇者だぞ!!」


 立て続けに攻撃を外した小林がなんかもう滅茶苦茶に憤っているのが声と表情で分かる。
 そんなに俺のこと気に食わなかったの?
 なんか傷つくわぁ……。

 と言うか、その程度でエルシーを屈服させるとか無理過ぎるでしょ。
 俺でも結構本気にならないと本気エルシーは相手できないのに。


「チッ……おい、真田! 手ぇ貸せ!」

「えっ!? でも……」

「俺に逆らうんじゃねぇ! またぶちのめされてぇのか!!」

「ひぃっ!? わ、分かった……。ごめん巧、恨むなら小林を恨んでくれよ……」


 そう言う真田が手の平を向けてくる。
 確か所持スキルは「初級火属性魔法」だったっけか。


「ファイアボール……!」


――ボゥッ


 バスケットボールほどのサイズの火球が飛んできた。
 おいおい、容赦ないじゃんね。
 こんなに小さな火球でもゴブリンとか程度なら丸焦げになっちゃう奴だぜ?

 まあこの程度、俺にとっては足止めにもならないんだけどさ。


「ファイアボール!」


 退かぬ。


「ファイアボール!」


 媚びぬ。


「ファイアボール!」


 省みぬ。

 どうだ、華麗なステップで全部ギリギリ紙一重で避けてやったぜ。
 まつ毛が焦げるかと思ったぜ。
 ワイルドだろ~?


「チッ、駄目か。おい真田! もっと出せねぇのか!」

「これ以上はもう……!」

「ああもう、使えねぇな……! 所詮は星二スキルってことかよ!」


 何を贅沢な。
 盾磨きに比べたら全然いいでしょうに。

 所持者の魔力を多量に消費して盾の性能をわずかに上昇させるってなによ。
 ごみスキルにもほどがあるでしょ。

 せめて性能の上昇量を増やして消費魔力を術者側にするだけでも大分違うと思うんだけどさぁ。

 なあ、勇者召喚さん。なんでこんなスキルが存在しているん?
 悲しみしか生まないでしょこれ。


「小林くん! それくらいにしておきなさい!」


――ガキンッ


 あ、柊さんが小林に斬りかかった。
 我慢の限界ってやつかしら。
 

「邪魔すんじゃねぇ柊! 巧がどうなろうがてめぇには関係ねぇだろうが!」

「いいえ、クラスの一員として見て見ぬふりはできないわ」


 柊さん……!
 なんて模範的な学級委員なんだ……!
 な、涙が出ますよ。


「うぐっ……」

「どうしたぁ? この程度で力負けすんのかぁ? こりゃぁもう俺の方がだいぶツエエかもなぁ!!」


 あ、やっべ。
 これ思っていた以上に小林の方が強いかもしれないぞ。


――ガキィンッ!!


「あぁっ!?」

「はっはぁ! これで剣はなくなったぜ? さぁて、どうする。惨めに命乞いでもするか? つっても、ただでは許さねえけどよぉ!!」

「くっ……」


 柊さんは剣を飛ばされてしまった。丸腰では小林は止められないだろう。
 勝負あり……だな。

 さて、と。
 俺のせいでこうなっちゃったわけだし、ここからは俺の出番だ。
 後始末はしっかりしないとな。


「なあなあ小林、こっち」

「あぁ? ……は?」


 アイテムストレージから取り出した極大で極厚な大剣を構えた俺を見るや否や、小林は硬直してしまった。
 そう言うところやぞ。実戦だったらその一瞬の隙で首が落とされるからね?


「な、なんだそれ……一体、どっからそんなのを……」

「まあ色々あってな。それよりも……そぉいっ!」


――ガギイイィィンッ


「あがぁ゛っ!?」


 おー、咄嗟に剣で受け止めたか。
 訓練の成果が出てるじゃん。そこは素直に褒めておくよ。

 んじゃあ、よいしょっと。


「ッ!? ぐげえ゛え゛ぇ゛っ!?」


――ドゴォォン、ガラガラッ


 壁まで吹っ飛ばした小林が地面へと転げ落ちるのが見えた。
 おそらく数日は起きないかな。

 よし、これだけ派手にやられたんだ。
 さすがの小林も、これまでほどは絡んでこないでしょ。

 てなわけで、これにて一件落着……ってね!



■■■■■■■■
【巨人英雄剣ガガゴギッシャア】レア度SS+
太古の時代、巨人族の英雄が使用していたとされる伝説の大剣。
大きさ・重量・厚さはそのどれもが人間の常識を遥かに凌駕しており、人間はおろか巨人族ですら使いこなすことは困難。
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