【R18】稀によくある異世界召喚録 〜またまた外れスキルを与えられたけど、他の世界から持ち込んだ力があるのでモーマンタイです〜

遠野紫

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ゲーム転移とジョブ無し

27 魔王が復活したらしい

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 やあ。
 なんかお礼に剣を貰ったら勇者判定をくらった俺だよ。

 いや確かに勇者として召喚されたことなら何度かあるけどね?
 でも俺って勇者の血筋とかそう言うのじゃないし、そもそも勇者ってそう言うのじゃないじゃん?

 なんかこう、代々受け継がれる退魔の力と正義の血筋みたいなさ。
 ロトとか天空みたいなね?

 それにアルカディアを勇者ビルドにした俺が言うのもあれだけど、勇者なんてろくなもんじゃない。
 雑用レベルマックスみたいな存在だからねアレ。


「その剣を扱えるとなれば、貴殿はもはや部外者とは言えぬな。では話しておこう。この世界に何が起こっているのかを」

「待ってください別にいいです俺関係ないので」

「そう、あれは数年前のこと……」


 ああもう勝手に話し始めちゃったよこの人。
 面倒事に巻き込まれるのは嫌なんだけどねぇ。


「ある日を境に、魔物の動きが活発になり始めたのだ。それは瞬く間に全世界へと拡散し、今となっては本来現れない場所に危険度の高い魔物が出現するようにもなってしまった」


 そうなの?
 なるほど。それでこの辺にも超危険魔物が出るようになったんすね。


「このままでは取り返しのつかない事態となってしまう。そう考えた我々聖王国は原因を独自に調査し、ついに突き止めたのだ。しかしそれはあまりにも受け入れがたい事実。ゆえに、一般の者には知られぬよう細心の注意を払っている」


 聖王国?
 それって確か……ああ、うん?
 どこだっけ。

 いや、あのね。そんな名前の国がゲーム内に登場していた記憶はあるんだよ。
 けどサ終してそこそこ経ってるからな。
 細かい部分を忘れてしまっている。


「そう言うわけなのでな。ここから先は彼だけに伝えたい。すまぬがそちらの二人は席を外してもらってもよいか?」

「私は構いませんよ。元々ただの通りすがりの商人ですし」

「僕は困るよ。巧と僕は一蓮托生だからね。巧の得る情報は僕も得るべき情報だよ」

「しかし、これはおいそれと伝えてよい情報でもないのだ」


 おっと不味いな。 
 どちらも譲る気はなさそうだぞ。
 
 二人共、今にも一戦交えそうなアトモスフィアを醸し出している。
 そんなことをすれば少女の方はひとたまりもない。

 となると、彼女には悪いが折れてもらうしかなさそうだな。
 どうせエルシーちゃんに対しては俺が口を滑らせる気がするし。
 
 と言うか、俺が勇者ならエルシーちゃんも勇者判定を貰えるんじゃ?


「彼女も同席することはできませんか。恐らくですが彼女も勇者なので」

「なぬ? そんなことがありえるのか?」


 まあそんな反応にはなるよね。
 勇者ってそうポンポンいて良い存在じゃないだろうし。

 けど論よりエビデンス。
 実際に持ってみれば分かるはずだ。


「エルシー、この剣を持ってみてくれ」

「うん分かった。うわすっごい光ってるよなにこれ?」


 エルシーちゃんが剣を握ると、俺が握っていた時よりも遥かにビカビカと輝き始めた。

 納得がいかない……などと言う事はなく、何となくそんな気はしていた。
 勇者としての判定は恐らく剣豪スキル持ちのエルシーちゃんの方が強いはずだし、そもそも彼女は存在としての格が俺とはまったく違うんだ。

 所詮は一代の魔王の生まれ変わりである俺と、数億年生きている龍。
 どちらの格が上かは一目瞭然だぜ。


「ふぅむ、ここまでとなるともはや疑う余地もない。であれば貴殿にも伝えるとしよう。結論から言えば、全ては魔王の復活によるものであった」

「魔王? それって……」


 エルシーちゃんが俺を見てくる。

 待って、マジで待って。
 俺がこの世界に来たのが原因ってコト?

 いや、違う。
 そんなはずはない。

 俺がこの世界に来たのは数日前だ。
 数年前から異常が起きているのなら俺が原因であるはずがない。
 そもそも復活もなにも俺は死んでいないんだから他人ならぬ他魔王の話だろう。
 

「その名は魔王ルーンシグマ。かつて世界を闇へと葬り去ろうとした恐ろしき存在だ。奴が復活したことによって、世界各地で魔物の活発化が発生したものと思われる」


 魔王ルーンシグマ?
 聞いたことのない魔王だな。
 ゲームにもそんなのはいなかったはずだし。

 とは言え、ゴブリンエンペラーとかエルダーマージとか聞き覚えの無い魔物も多かったからな。
 多分この魔王に関してもゲームとは無関係で、この世界とゲームとの差異の一つなんだろう。

 
「そこで我々は世界中の主要国家と協力し、魔王への対策を行うことにした。そのうちの一つが聖剣の確保なのである」

 
 ああ、そう言うことか。
 ここでようやく彼女が俺たちの前に現れたことに繋がるわけだ。


「魔王を討ち取るためにはかつて魔王を討ったとされる聖剣と、それを扱う勇者が必要となる。そのため我々は世界中を探し周り、こうしてついに聖剣を探し出すことに成功したのだ。それも幸運なことに勇者と共にな。頼む、世界を救うために我々に協力してほしい」

「だって、どうする巧」

「どうするって言ってもなぁ……」


 別に魔王を倒す義務なんて俺にはないし、極論この世界がどうなろうがどうだって良い話でもある。
 だがしかし、前の世界を思い出せ。

 世界を渡ることのできる魔道具を持っていたのは魔王だ。
 仮にこの世界にも似たような物があったとしても、そのレベルの存在でないと手に出来ない代物である可能性が高い。

 であれば確認もかねて魔王の総本山へとカチコミにいって、もしも本当にあるのなら奪い取ってしまうのが一番。
 ついでに魔王も倒して一石トゥーバードってね。

 もちろん、俺たちが魔王討伐に協力しないのも勝手だ。
 けどそうなった場合、誰が代わりに魔王討伐に向かうと思う?

 他の勇者だ。

 いやそれは当たり前だ。
 問題なのはそこじゃなくて、この世界の人間に魔王が倒せるのかって部分。

 度々基準にして悪いなんて微塵も思ってないが、モーガンでさえあのレベルなんだ。
 この世界に他に勇者がいるとして、魔王なんて言う存在にはたして勝てるものなんだろうか?

 超危険魔物の強さを考慮すれば、少なくともオリハルコンランクに相当する実力は必須だろう。
 でなければ間違いなく死ぬ。

 けど、この世界にそれだけの存在がどれだけいる?
 その中から勇者としての力を持つ者となると、さらに絞られるのは確実。

 ああクソッ。
 どれだけ取り繕っても、世界のための死に急ぎ野郎を作り出してしまうことの否定ができねえ。
 であれば俺が魔王を倒すべきなんじゃあないのか。
 
 無論、行きずりならともかく自ら率先して無償で人助けをしにいく気はねえ。
 自分を強いと勘違いして自らの意思で死にに行くだけの奴は可哀そうともまったく思わねえ。

 しかし、身の丈に合わない責務を全うしようとして、人類のために命を捨てさせられる可能性のある奴を見過ごすのは、俺自身の心にあと味のよくねえものを残すぜ。

 要するに、すくいきれずに零すのと最初からすくおうとしないのは違うじゃん?
 ……って話よね。


「分かりました。魔王討伐に協力しましょう。エルシーもそれで構わないか」

「問題ないよ。魔王くらいちゃちゃっと倒しちゃおう」

「なんと、これは心強い! では詳しい話をするためにも、お二方には聖王国まで来ていただきたい。勿論、移動にかかる費用はこちらで負担させてもらうのでご安心を」


 おお、それは助かる。
 場所も知らない国へ行くとなると、さすがにロックエレメントをぶっ飛ばしていくのは無理があるからな。

 いや待て、この人は別で移動手段があるか。
 なんかエージェントっぽい感じだし。

 なんならそこまで急ぐ必要もなさそうではある。
 いくらなんでも一分一秒を争うほど緊急なわけじゃあないだろう。
 一応、数年はなんとかなってるわけだもんね。


「さて、街を離れるとなれば色々と準備も必要であろう。出発は二日後の朝でいかがかな」

「はい。それで問題ないです」

「うむ、その時は街の外で会うとしよう。では……!」


――シュバッ


 どこからともなく現れた時のように、彼女は瞬く間にどこかへと消え去ってしまった。
 本当にエージェントだろこれもう。

 なにはともあれ、これで一旦解散と言うわけだな。
 俺たちもひとまず街に戻って準備を……って、調査依頼を受けているんだったな俺たち。

 えっ、どうしよう。
 ランクアップの条件として受けている依頼なのに途中放棄とかできないよな?

 ――と、そう思いつつも駄目元でギルドに向かったところ……何故か俺が聖王国に行くことは既にギルドマスターに伝わっていた。

 ははーん、さては彼女だな?
 各国の重鎮には魔王の復活は知らされているだろうし、ギルドマスターにも今回のことは通信魔法か何かで彼女から伝えられているんだろう。

 へへっ、俺が言うのもアレだがいつどこで情報を抜かれているか分からないのは怖いな。
 けどおかげで事が上手く進んでいるんだ。
 ここはありがたく聖王国へ向かわせてもらうとしよう。
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