【R18】稀によくある異世界召喚録 〜またまた外れスキルを与えられたけど、他の世界から持ち込んだ力があるのでモーマンタイです〜

遠野紫

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ゲーム転移とジョブ無し

30 突然の再会は再び

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 やあ。
 王女様と会って、なんやかんやで勇者になった俺たちだよ。

 んで、今は聖女様に会って欲しいとのことで指示された部屋へと向かっているところだ。
 魔王と戦うためには聖女様と協力する必要があるとかなんとか。

 どうやら聖剣ルミナシアの力を完全に引き出すためには聖女様の力も必要らしい。
 かつて女神様が創り出した聖剣も、今となっては外部から特殊な魔力を入れないと本来の力を出せないほどに劣化してしまっているんだと。

 なお、聖女の召喚も女神様パワーによるところが大きくて今なお仕組みの解明には至っていないようだ。
 それが分かれば逆算して元の世界に戻ることもできたかもしれないのにね。残念だ。

 ……と、いけない。
 通り過ぎるところだったぜ。
 指示通りだと、恐らくはこの部屋だな?
 
 さーて、それじゃあ美人な聖女様にご対面と行こうじゃないか。
 ノックしてもしもお~~~し。


――トントントン


「どうぞ」


 おお。
 可愛く、清楚な声。
 それでいてどこか色気も感じられる。

 おいおい、こんな声を持つ女性が美人じゃねえはずがねえってもんだぜ。
 しかしどこかで聞き覚えがあるような……?

 ああ、そうか。
 柊さんに似ているんだ。
 
 ってことは彼女に似た美人ってこと?
 じゃあもう美人確定じゃんね。

 よぉし、許可ももらったことだしさっそく扉を開けてそのお顔を拝見させていただきましょうかねぇ。


「では失礼しますね」


――ガチャリ


 ぐへへ、どんな美人か楽しみだ……ぜ?
 ……うん?
 は?

 いやいや待て待て、そんなはずはない。
 だってここは異世界だぞ。
 なのに……どうしてここに、柊さんが……?


「えぇっと……。貴方が聖女様……ですよね」

「はい、そうみたいです。今も実感はないのですが」

「あぁ……うん。そう……ですか。ところでお名前をお聞きしても?」


 おいおい何を言っているんだ俺は。
 そんなこと聞かなくても、彼女を見間違うことなんてあるはずがないだろうが。

 いやでも、まだ可能性がないわけじゃあない。
 めちゃくちゃソックリな他人の空似と言う可能性も……なくはないはず。

 そうでないと、彼女は再びサツバツとした世界に放り込まれてしまったことになる。
 そんなの……駄目だろ。


「柊アオイと申します。苗字が柊で、名前がアオイです」


 ……間違いない。
 聖女として、柊さんはこの世界に召喚されてしまったんだ。

 Oh~!!
 どうしてこうなった!?
 せっかく魔王を倒して、元の世界に戻って、柊さんは平和な生活へと戻ったはずなのに!

 
「あの……どうかしました?」

「あぁ、いえ……ご心配なく」


 表情に出ていたのか心配させてしまったようだ。
 俺としたことが、冷静さを失っているみたいだな。


「そう……ですか? それならいいのですが」


 相変わらず柊さんは優しい。
 別の世界に召喚されたってのに、見ず知らずの人間のことを気にかけて……ん?

 そうじゃん、今の俺ってアルカディアじゃん。
 
 ま、まずくねえかこの状況。
 俺が巧だってことが知られたら柊さんにどう思われるか。
 別れ際にあんだけ良い雰囲気になったのに、次に会ったら女の子になっていたなんて……百年の恋も冷めるだろこれ。

 と言うか、そもそも俺が巧だって言ったところでまず信じてもらえるかどうかもわからないぜ。
 

『大丈夫だよ巧。僕が……なんとかしてみせる!』


 んなっ、エルシーちゃん!?
 ファミチキくださ……じゃなくて、脳内に直接!?

 それよりも、まさかこの状況を打破できる手段があるって言うのかエルシーちゃん!


『扉の前にまで戻って来て、巧。僕が変装魔法をかけるから』


 なるほど、それで俺自身の姿に変装するんだな!
 くぅぅ~さっすがエルシーちゃんだぜ!


「すみません、少し席を外しますね」


 そう言い、部屋の外に出る。
 そして待機していたエルシーちゃんにすぐに変装魔法をかけてもらった。


――ボフンッ


 おお、これで元の姿に……戻ってないんだが?
 それどころか何も変わってないような気が……ああいや、確かに変わってはいる……のか?

 廊下のガラスに映っている俺のアルカディアとしての姿は、ほんのちょっとだけ変化していた。
 髪はやや長くなり、色が若干薄くなっている。胸や尻もサイズアップしているように見えた。

 ……うん、やっぱりほとんど変わってないレベルだよこれ。


「ごめん巧。やっぱ僕の変装魔法じゃ駄目だったみたい(てへぺろ☆)」


 おおん、そんな顔で失敗を宣言しないでくれエルシーちゃん。
 あまりにも可愛くて何も言えなくなっちまうよ。

 しかし困ったぞ。 
 こうなったらいよいよ柊さんに全部話すしかないけど……信じてもらえるのかなぁ。

 
「なっ……!? ど、どうしてエルシーがここにいるんだ!?」


 おっと、また聞き覚えのある声が聞こえてきたな。
 この声は……真田か?

 うん?
 え?
 真田も来てんの?

 待て、待て待て待て。どういう事だよ。
 アイツは男だろ。なんで聖女として召喚されてんだよ。

 ま、まさか、実は男装女子だったのか!?
 どっからどう見ても男にしか見えないアイツも、脱いだら実は凄い……的な!?


「真田くん、どうかした……の?」

「あっ」


 今の真田の声を聞いたのか、柊さんが部屋から出て来てしまった。
 そしてその視線はエルシーちゃんへと向けられている。

 はい、終わりました。
 終わりです。ザ・エンドってね。 


「エルシーちゃん……なの?」

「うん。僕だよ」

「そう……なのね。無事で本当に良かった。巧くんを探しに行くって言ったっきり音信不通になってしまって、ずっと心配していたのよ……? けど、それならどうしてここに……。ここは別の世界のはず……よね? なら貴方がいるはずは……」

「色々あってね。その……ね?」


 ちょっとこっち見るのやめてよエルシーちゃん。
 今この状況で俺の話をしたら話が余計にこじれるでしょ。


「それなら巧くんは……彼は見つけられたの?」

「うん。あ、いや……えっと。あはは、見つけたんじゃないかなー」


 おいおいエルシーちゃん。
 はぐらかすのが下手すぎやしないかい?


「そう……見つかったのね。それなら良かった。今ここにはいないみたいだけれど、無事なことが分かっただけで充分」


 柊さん……。
 そんな乙女の顔をされたらもう俺、黙ってはいられないよ。


「柊さん、実は俺が……」

「な、なあ……その剣ってさ。聖剣……だよな? それじゃあもしかして君が勇者なのか? そうなんだろ!?」


 おい真田。
 何故、今その話をした。
 ああもう完全に話し出すタイミングを失ってしまったじゃんね。


「もしそうなら、魔王を倒すために俺たちに協力してほしいんだ! なあ頼むよ! なっ! なっ!」


 どこぞの盗賊みたいにお願いしてくるんじゃないよ。
 そんなことしなくても、俺はとっくに魔王と戦う決意は固めているんだから。


「私からもお願いします。聖女としては未熟ですし、お力になれるかはわかりませんが……世界を救うことへの覚悟は負けていないつもりです」


 柊さんのその言葉からは確かな重みを感じた。
 あの世界での戦いを通して、思うことがあったんだろう。

 本来ならそんな経験なんてしなくてもいいはずなのに……本当に、どこまで良い人なんだ柊さんは。

 まあ、そんな彼女のつよつよ覚悟には悪いけど俺はもう戦う気マンマンなのよ。
 魔王ぶち飛ばす気マンマンなのよ。 

 だから……もう隠し事は無しだな。
 よく考えたら今後もしばらく一緒に戦うことになるんだ。
 それならずっと隠し通していくのは無理に決まってる。


「あー……えっと、うん。そうだな。もちろん、俺も魔王と戦うつもりだよ。だから力を貸してくれ、柊さん。それに真田もな」

「……ッ!!」

 
 魔力を込めながら話したからか、どうやら柊さんは俺に気付いてくれたようだ。
 あの世界ではエルシーちゃんの次に俺のそばで戦っていたからな。
 きっと俺の魔力を覚えていてくれたんだろう。


「ちょっ、なんで俺の名前知ってんの!? あ、さっき柊さんが言っていたからか」


 お前は気付け。
 魔法の適性はアンタの方が高いだろ。
 

「巧くん……なのね?」

「ああ、そうだよ柊さん。ちょっと事情があって帰るのが遅れたし、こんな姿になっちゃったけど……紛れもなく、俺は佐藤巧だよ」

「良かった……もう会えないのかと思ってた。本当に、無事でよかった……!」


――ぽふんっ、むぎゅぎゅ

 
 勢いよく抱き着いてくる柊さん。
 一体どのタイミングでこの世界に召喚されたのかはわからないが、それまでは向こうで俺の帰りを待っていてくれたんだな……なんだか、悪いことをしてしまった。


「んなぁっ!? ちょ、ちょっと柊さん!? えっ、なにこれ? どういう事なのぉ!?」


 うん、ちょっと落ち着いてくれ。
 柊さんが俺の名前言ってたろ。さすがに察しろよ。


「まだ気付いてないの? この人、巧だよ」

「え? えぇぇっ!?」


 エルシーちゃんに言われてようやく理解したようだ。
 今更感のある絶叫が聞こえてくる。

 これで二人共、俺が巧だということは分かったはずだな。
 さーて、こっから二人にどう説明したものか。

 ……まあ、今はもう少しだけこうしていよう。
 柊さんが落ち着くまではね。

 決して、彼女に抱き着かれているのが嬉しいとかじゃあないよ?
 本当だからね?
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