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ゲーム転移とジョブ無し
34 素材集めと言えばゴーレム狩り
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やあ。
二人に襲われていつの間にやら意識を失ってしまったのか、あれ以降の記憶がない俺だよ。
でもそれ以上に怖いことを言ってやろうか。
時おり柊さんが満足そうな顔で下腹部を擦っているんだよね。
え?
俺、一線超えた……?
うわ、どれだけ思い出そうとしても記憶がないのがめちゃくちゃ怖い。
そりゃエルシーちゃんは種族の差で妊娠しないからヤりたい放題だったよ?
でも柊さんはそう言うわけにもいかんじゃん。
なのにさぁ……何をやらかしてくれちゃってるんだ俺は?
こうなった以上、向こうに帰ったら責任取って柊さんを選ばないと……正真正銘クズ男になってしまう。
一体どうやってエルシーちゃんに説明すればいいんだよこんなの……。
と、そんなイチモツならぬ一抹の不安を抱えながらも、俺は今日も素材集めをしていた。
もちろん今日は柊さんと真田の二人も一緒だ。
集める金属はかなりの量だし、それだけ人数は多い方がいいので助かる。
「なあ、佐藤。お前やったな? やったんだろ。俺の知らないところでエッチなことしたんだろ」
前言撤回かもしれん。
連れてくるんじゃあなかったかも。
まあ俺のせいではあるし、半分自業自得ではあるんだけども。
「はぁぁぁいいよなぁお前はなぁぁ! 美少女になった挙句、美少女二人とくんずほぐれつ熱々交尾でイチャイチャ3Pだもんなぁ! 俺なんて寂しく部屋で寝てたんだぜ? 誰かさんのせいでなぁ!!」
「それはまあ……悪かったって。でも俺だって本当は一人で入るつもりだったんだよ。それが成り行きであんなことになっただけでさ。と言うか、どちらにしたって俺とお前が同室は不味いだろ。周りからは俺は一応女の子だと思われてるんだから」
「確かに。じゃあ俺はこれからもずっと一人部屋ってこと? 辛い、泣けてきた」
うわぁ急に落ち着くな。
「あぁ……うん、まあ……そんな気を落とすなって。たまに遊びに行ってやるから」
「マジで? うわぁぁありがとう佐藤お前がいなかったら俺この世界でひとりぼっちだったよぉぉ」
さっきまで怒ってたのにいきなりこれって、さすがに情緒不安定過ぎるだろ。
ってか、どさくさに紛れて抱き着くのをやめろ。
「巧くん、目当ての魔物がいたわよ」
「おお、ありがとう柊さん。だ、そうだぞ真田。そろそろ離れろって」
どうやら薄暗いダンジョン内でも柊さんの視力は絶好調のようだな。
確かにレンガ造りのクソ長ぇ廊下の奥の方に、わずかながら動く物体がいるのが確認できたぜ。
なお、今回の獲物は昨日倒したグレートアイアンゴーレムよりも更に品質の良い素材が取れると言うプラチナゴーレムだ。
硬さが増しているだけじゃあなく魔法への耐性も上がっているから、ゴールドランクの冒険者でも倒すのには苦労するらしいが……俺たちにとっては雑兵も雑兵だな。
「ここは私に任せてくれるかしら。奴らをここまで誘導するわ」
「構わないけど……別に、こっちから向かって行ってもいいんじゃないか?」
「確かにそうなのだけど、何をしてくるかも分からない以上はまず情報収集に徹した方がいいと思うの」
いやまあ、はい。
それはもうおっしゃる通りで。
これに関しては俺の悪い癖かもしれないな。
あまりにも強すぎるからか、ここしばらくはそう言う地道な戦いをした記憶がない。
こんなんじゃあいざ強敵に出会った時に初手で詰みそうだ。
「分かった。頼んだよ柊さん。ああでも、くれぐれも気を付けて。トラップとかも無いとは限らないからね」
「ええ、もちろん。警戒を怠るつもりはないわ」
そう言うと柊さんは遠くのゴーレムへと向かって走って行った。
ふむふむ、俺やエルシーちゃんがそうだったように柊さんの持つ剣姫としての力もこの世界でしっかりと機能しているようだ。
圧倒的なまでの身体能力から繰り出される走力は凄まじいのなんの。
……って、あれ?
柊さんが戻ってきた。
「巧くん、あのゴーレムは恐らくプラチナゴーレムではないわ」
「え? そうだったの?」
「私も実際に見たわけではないのだけど、恐らくあれはミスリルゴーレムだと思う。書物に記されていた見た目と瓜二つなのよ」
マジか。
プラチナゴーレムよりも更に硬く、より高濃度の魔力を持つと言うミスリルゴーレムだなんて……ツェッペリンの素材集めにはぴったり過ぎるじゃあないか。
ってか、柊さんがいてくれて良かったぁ。
俺とエルシーちゃんだったら何も考えずに突っこんで、ちょっと色の違うプラチナゴーレムだと思ったまま勝負を仕掛けていた自信がある。
確かミスリルゴーレムには魔法を反射するって特性があったはずだからな。
きっと面倒なことになっていたぜ。
「ありがとう柊さん。おかげで大事な情報が手に入ったよ。それじゃあ皆、魔法は使わずに戦うことを徹底してくれ」
「待ってくれよ。それだと俺、役割なくないか? メインウェポンを封じられたことになるんだけど」
「そうか。確かにそうだな。……じゃあ、応援でもしててくれ」
「大丈夫よ真田くん。私たち三人だけでも充分に倒せる相手のはずだから」
「うぐぐ、そうだよなぁ……戦闘面でも俺はのけものだもんなぁ……」
「そういじけるなって、きっとまた別の機会があるさ」
「あ、見て巧。ゴーレムがこっちに来たよ」
なぬ?
しまった、俺としたことが完全に警戒が薄れていた。
まったく、弱い敵への警戒が薄れるの本当に悪い癖だなぁ。
いやでも待てよ?
気付かれるにしてもこの距離だぞ?
さすがにおかしいだろ。目がないからってレーダーでも搭載されてんのか?
「おいおい、なんでこの距離で気付けるんだよまったく……」
「私たちの魔力を感知したのかもしれないわね。巧くんやエルシーちゃんの魔力はもとより、私や真田くんもこの世界に召喚されたことで特殊な魔力を纏っているのかもしれないわ。ミスリルでできているゴーレムなんだもの。それくらい感知できても不思議ではないと思うわ」
「聞いてないぞそんなの。まあこうなった以上は仕方ない。皆、戦闘の準備をしてくれ」
と言っても、柊さんは既に剣を握っているし、エルシーちゃんも拳を握ってあんな硬そうなのを相手にステゴロする気満々の様子だ。
真田に関しては魔法以外はからっきしだし気にする必要もないか。
「まずは私が前に出るわ!」
――ガキィィンッ
柊さんが叫んだのと同時に、金属同士がぶつかる音が聞こえた。
ゴーレムも剣も、どちらもめちゃくちゃに硬いことが分かる甲高い音だ。
さすがは聖王国の技術を詰め込まれて作られた剣だな。
切れ味もそうだが、何よりも強度が凄まじい。
柊さんが全力で使っても折れないなんて、それだけで相当な逸品と言える。
でも、硬いのは相手も一緒か。
「くっ、硬い……! これが、ミスリルゴーレム……!」
ミスリルと言うのは伊達じゃあないってわけだ。
あれだけの斬撃を受けてなお、ちょっと深めの傷が付いた程度で抑えている。
……いや、そのレベルの傷を付けているのもおかしいのかもしれないけど。
ミスリルランクの冒険者でもほとんど斬撃ダメージを与えられないんじゃあなかったっけ?
それこそ基本的には逃げることが推奨されていて、倒す場合も高価な魔道具を使って倒すのが普通とされているくらいだったはずだ。
そんな怪物に、柊さんはあんな傷を……。
っと、いけない。
奥から増援も来ているし、さっさと片付けていかないと。
「じゃあ、今度は僕の番だね。とびきりのをお見舞いしてあげるから、覚悟していてね!」
いや、ちょっ、エルシーちゃん?
その物凄い魔力、まさか放出したりしないよね?
「待ってくれエルシー。頼むから威力は抑えてくれよ? でないとダンジョンが崩れかねない」
「あ、そうだった」
危ない危ない。
昨日は外でゴーレム狩りをしていたからそう言った心配は無かったけど、ここはダンジョン奥深くの地下だ。
派手に暴れれば俺たち全員、仲良く生き埋めになってしまう。
「ちょっとぉ!? 今、だいぶ危ないことしようとしてなかった!?」
「まあまあそう慌てるなよ。踏みとどまったんだからさ」
「大丈夫、バリアを使えば皆を守るくらいは容易いからね。命の心配はないよ。……そのあと外に出られるかは別だけど」
エルシーちゃん、お願いだから余計に混乱を招くようなことは言わないでくれ。
「け、結局それじゃあ同じじゃんかよぉ……!!」
「落ち着けって。そうなったときは俺が転移魔法で外まで運ぶから大丈夫だ」
「そ、そうなのか……? 信じていいんだよな?」
「ああ、大船に乗ったつもりでいてくれ。それよりも……今の真田の叫び声で魔物が集まってきたことの方が問題だな」
「あっ……」
「軽率にダンジョン内で叫ぶからだ。まあ、この程度は大したことない相手だし、ぱぱっと魔法で……」
……いや、駄目じゃん。
範囲攻撃で一掃しようと思ったけど、万が一ミスリルゴーレムに当たったら反射されちまうんだよ。
ぐぬぬ、ここに来て範囲魔法縛りとは……。
「大丈夫だぞ佐藤。自分の不始末は自分でなんとかするからさ。俺だって魔法の腕に関しちゃあそれなりにあるんだぜ?」
「でも範囲魔法はミスリルゴーレムがいるから使えないぞ。単発魔法でこの数の魔物を倒すなんて、かなり大変だと思うが……」
「ちっちっち、俺を舐めるなよ。こう言う時のために、魔法の鍛錬はしておいたのさ」
なんだって?
いつの間にそんなものを……ああでも、あの世界で俺たちが魔族領を目指していた間はそれなりの期間があったんだもんな。
それこそ小林にしごかれながらも、日々の魔法の鍛錬は怠らなかったわけだ。
何と言うか、努力家ではあるしいざという時のメンタルも強くはあるんだよなぁ真田って。
あの世界での最後の戦いの時だって、根性がなけりゃああんなことはできないだろうし。
「見てろよ佐藤! 名付けて、連鎖魔法。これこそが、俺の必殺技だぁ!!」
――ボゥッ、ボボボボボッ
いくつもの火球が生み出されては迫り来る魔物へと飛んで行く。
けど普通の火球魔法とは違い、いつまで経っても炸裂しない。
魔物の周囲をフワフワと漂っているだけだ。
「何も起こらないぞ。見せかけだけじゃないのか?」
「まあ待て、ここからが凄いんだ。よし、そろそろいいか。いざ、連鎖!」
パチンと真田は得意気に指を鳴らした。
すると、それまで漂っていただけの火球が一斉に膨張して……。
――ボゴンッ、ボババババッ
まるでパズルゲームで連鎖をしたかのように、一斉に小規模な炸裂を起こしたのだった。
「へへっ、どうだ俺の連鎖魔法は。これなら広範囲に向けた魔法が使えない状況でも複数攻撃が可能なんだぜ?」
「凄いな真田。普通に凄くて驚いたぞ。お前に似合わずカッコいい魔法じゃないか」
「なんか引っかかる言い方だけど……まあ、素直に賞賛として受け取っておくことにするよ。それより、これで俺が戦えることも分かったんだ。佐藤は安心してミスリルゴーレムと戦ってくれよ。どうせ俺じゃあアレは倒せないんだし」
「ああ、そうだな。んじゃあ、こっちは任せたぞ佐藤!」
あの感じだと、こっちはもう大丈夫そうだからな。
ひとまず俺はミスリルゴーレムの方に集中するとしよう。
にしても、中々に面白い魔法を知ってしまったぞ。
ぐふふ、早速模倣してミスリルゴーレムに食らわせ……って。
……いや駄目じゃん。
だから魔法反射されるんだって。
仕方ない、今は剣で戦おう。
あのカッコいい魔法を試すのは、また今度にしよう。
二人に襲われていつの間にやら意識を失ってしまったのか、あれ以降の記憶がない俺だよ。
でもそれ以上に怖いことを言ってやろうか。
時おり柊さんが満足そうな顔で下腹部を擦っているんだよね。
え?
俺、一線超えた……?
うわ、どれだけ思い出そうとしても記憶がないのがめちゃくちゃ怖い。
そりゃエルシーちゃんは種族の差で妊娠しないからヤりたい放題だったよ?
でも柊さんはそう言うわけにもいかんじゃん。
なのにさぁ……何をやらかしてくれちゃってるんだ俺は?
こうなった以上、向こうに帰ったら責任取って柊さんを選ばないと……正真正銘クズ男になってしまう。
一体どうやってエルシーちゃんに説明すればいいんだよこんなの……。
と、そんなイチモツならぬ一抹の不安を抱えながらも、俺は今日も素材集めをしていた。
もちろん今日は柊さんと真田の二人も一緒だ。
集める金属はかなりの量だし、それだけ人数は多い方がいいので助かる。
「なあ、佐藤。お前やったな? やったんだろ。俺の知らないところでエッチなことしたんだろ」
前言撤回かもしれん。
連れてくるんじゃあなかったかも。
まあ俺のせいではあるし、半分自業自得ではあるんだけども。
「はぁぁぁいいよなぁお前はなぁぁ! 美少女になった挙句、美少女二人とくんずほぐれつ熱々交尾でイチャイチャ3Pだもんなぁ! 俺なんて寂しく部屋で寝てたんだぜ? 誰かさんのせいでなぁ!!」
「それはまあ……悪かったって。でも俺だって本当は一人で入るつもりだったんだよ。それが成り行きであんなことになっただけでさ。と言うか、どちらにしたって俺とお前が同室は不味いだろ。周りからは俺は一応女の子だと思われてるんだから」
「確かに。じゃあ俺はこれからもずっと一人部屋ってこと? 辛い、泣けてきた」
うわぁ急に落ち着くな。
「あぁ……うん、まあ……そんな気を落とすなって。たまに遊びに行ってやるから」
「マジで? うわぁぁありがとう佐藤お前がいなかったら俺この世界でひとりぼっちだったよぉぉ」
さっきまで怒ってたのにいきなりこれって、さすがに情緒不安定過ぎるだろ。
ってか、どさくさに紛れて抱き着くのをやめろ。
「巧くん、目当ての魔物がいたわよ」
「おお、ありがとう柊さん。だ、そうだぞ真田。そろそろ離れろって」
どうやら薄暗いダンジョン内でも柊さんの視力は絶好調のようだな。
確かにレンガ造りのクソ長ぇ廊下の奥の方に、わずかながら動く物体がいるのが確認できたぜ。
なお、今回の獲物は昨日倒したグレートアイアンゴーレムよりも更に品質の良い素材が取れると言うプラチナゴーレムだ。
硬さが増しているだけじゃあなく魔法への耐性も上がっているから、ゴールドランクの冒険者でも倒すのには苦労するらしいが……俺たちにとっては雑兵も雑兵だな。
「ここは私に任せてくれるかしら。奴らをここまで誘導するわ」
「構わないけど……別に、こっちから向かって行ってもいいんじゃないか?」
「確かにそうなのだけど、何をしてくるかも分からない以上はまず情報収集に徹した方がいいと思うの」
いやまあ、はい。
それはもうおっしゃる通りで。
これに関しては俺の悪い癖かもしれないな。
あまりにも強すぎるからか、ここしばらくはそう言う地道な戦いをした記憶がない。
こんなんじゃあいざ強敵に出会った時に初手で詰みそうだ。
「分かった。頼んだよ柊さん。ああでも、くれぐれも気を付けて。トラップとかも無いとは限らないからね」
「ええ、もちろん。警戒を怠るつもりはないわ」
そう言うと柊さんは遠くのゴーレムへと向かって走って行った。
ふむふむ、俺やエルシーちゃんがそうだったように柊さんの持つ剣姫としての力もこの世界でしっかりと機能しているようだ。
圧倒的なまでの身体能力から繰り出される走力は凄まじいのなんの。
……って、あれ?
柊さんが戻ってきた。
「巧くん、あのゴーレムは恐らくプラチナゴーレムではないわ」
「え? そうだったの?」
「私も実際に見たわけではないのだけど、恐らくあれはミスリルゴーレムだと思う。書物に記されていた見た目と瓜二つなのよ」
マジか。
プラチナゴーレムよりも更に硬く、より高濃度の魔力を持つと言うミスリルゴーレムだなんて……ツェッペリンの素材集めにはぴったり過ぎるじゃあないか。
ってか、柊さんがいてくれて良かったぁ。
俺とエルシーちゃんだったら何も考えずに突っこんで、ちょっと色の違うプラチナゴーレムだと思ったまま勝負を仕掛けていた自信がある。
確かミスリルゴーレムには魔法を反射するって特性があったはずだからな。
きっと面倒なことになっていたぜ。
「ありがとう柊さん。おかげで大事な情報が手に入ったよ。それじゃあ皆、魔法は使わずに戦うことを徹底してくれ」
「待ってくれよ。それだと俺、役割なくないか? メインウェポンを封じられたことになるんだけど」
「そうか。確かにそうだな。……じゃあ、応援でもしててくれ」
「大丈夫よ真田くん。私たち三人だけでも充分に倒せる相手のはずだから」
「うぐぐ、そうだよなぁ……戦闘面でも俺はのけものだもんなぁ……」
「そういじけるなって、きっとまた別の機会があるさ」
「あ、見て巧。ゴーレムがこっちに来たよ」
なぬ?
しまった、俺としたことが完全に警戒が薄れていた。
まったく、弱い敵への警戒が薄れるの本当に悪い癖だなぁ。
いやでも待てよ?
気付かれるにしてもこの距離だぞ?
さすがにおかしいだろ。目がないからってレーダーでも搭載されてんのか?
「おいおい、なんでこの距離で気付けるんだよまったく……」
「私たちの魔力を感知したのかもしれないわね。巧くんやエルシーちゃんの魔力はもとより、私や真田くんもこの世界に召喚されたことで特殊な魔力を纏っているのかもしれないわ。ミスリルでできているゴーレムなんだもの。それくらい感知できても不思議ではないと思うわ」
「聞いてないぞそんなの。まあこうなった以上は仕方ない。皆、戦闘の準備をしてくれ」
と言っても、柊さんは既に剣を握っているし、エルシーちゃんも拳を握ってあんな硬そうなのを相手にステゴロする気満々の様子だ。
真田に関しては魔法以外はからっきしだし気にする必要もないか。
「まずは私が前に出るわ!」
――ガキィィンッ
柊さんが叫んだのと同時に、金属同士がぶつかる音が聞こえた。
ゴーレムも剣も、どちらもめちゃくちゃに硬いことが分かる甲高い音だ。
さすがは聖王国の技術を詰め込まれて作られた剣だな。
切れ味もそうだが、何よりも強度が凄まじい。
柊さんが全力で使っても折れないなんて、それだけで相当な逸品と言える。
でも、硬いのは相手も一緒か。
「くっ、硬い……! これが、ミスリルゴーレム……!」
ミスリルと言うのは伊達じゃあないってわけだ。
あれだけの斬撃を受けてなお、ちょっと深めの傷が付いた程度で抑えている。
……いや、そのレベルの傷を付けているのもおかしいのかもしれないけど。
ミスリルランクの冒険者でもほとんど斬撃ダメージを与えられないんじゃあなかったっけ?
それこそ基本的には逃げることが推奨されていて、倒す場合も高価な魔道具を使って倒すのが普通とされているくらいだったはずだ。
そんな怪物に、柊さんはあんな傷を……。
っと、いけない。
奥から増援も来ているし、さっさと片付けていかないと。
「じゃあ、今度は僕の番だね。とびきりのをお見舞いしてあげるから、覚悟していてね!」
いや、ちょっ、エルシーちゃん?
その物凄い魔力、まさか放出したりしないよね?
「待ってくれエルシー。頼むから威力は抑えてくれよ? でないとダンジョンが崩れかねない」
「あ、そうだった」
危ない危ない。
昨日は外でゴーレム狩りをしていたからそう言った心配は無かったけど、ここはダンジョン奥深くの地下だ。
派手に暴れれば俺たち全員、仲良く生き埋めになってしまう。
「ちょっとぉ!? 今、だいぶ危ないことしようとしてなかった!?」
「まあまあそう慌てるなよ。踏みとどまったんだからさ」
「大丈夫、バリアを使えば皆を守るくらいは容易いからね。命の心配はないよ。……そのあと外に出られるかは別だけど」
エルシーちゃん、お願いだから余計に混乱を招くようなことは言わないでくれ。
「け、結局それじゃあ同じじゃんかよぉ……!!」
「落ち着けって。そうなったときは俺が転移魔法で外まで運ぶから大丈夫だ」
「そ、そうなのか……? 信じていいんだよな?」
「ああ、大船に乗ったつもりでいてくれ。それよりも……今の真田の叫び声で魔物が集まってきたことの方が問題だな」
「あっ……」
「軽率にダンジョン内で叫ぶからだ。まあ、この程度は大したことない相手だし、ぱぱっと魔法で……」
……いや、駄目じゃん。
範囲攻撃で一掃しようと思ったけど、万が一ミスリルゴーレムに当たったら反射されちまうんだよ。
ぐぬぬ、ここに来て範囲魔法縛りとは……。
「大丈夫だぞ佐藤。自分の不始末は自分でなんとかするからさ。俺だって魔法の腕に関しちゃあそれなりにあるんだぜ?」
「でも範囲魔法はミスリルゴーレムがいるから使えないぞ。単発魔法でこの数の魔物を倒すなんて、かなり大変だと思うが……」
「ちっちっち、俺を舐めるなよ。こう言う時のために、魔法の鍛錬はしておいたのさ」
なんだって?
いつの間にそんなものを……ああでも、あの世界で俺たちが魔族領を目指していた間はそれなりの期間があったんだもんな。
それこそ小林にしごかれながらも、日々の魔法の鍛錬は怠らなかったわけだ。
何と言うか、努力家ではあるしいざという時のメンタルも強くはあるんだよなぁ真田って。
あの世界での最後の戦いの時だって、根性がなけりゃああんなことはできないだろうし。
「見てろよ佐藤! 名付けて、連鎖魔法。これこそが、俺の必殺技だぁ!!」
――ボゥッ、ボボボボボッ
いくつもの火球が生み出されては迫り来る魔物へと飛んで行く。
けど普通の火球魔法とは違い、いつまで経っても炸裂しない。
魔物の周囲をフワフワと漂っているだけだ。
「何も起こらないぞ。見せかけだけじゃないのか?」
「まあ待て、ここからが凄いんだ。よし、そろそろいいか。いざ、連鎖!」
パチンと真田は得意気に指を鳴らした。
すると、それまで漂っていただけの火球が一斉に膨張して……。
――ボゴンッ、ボババババッ
まるでパズルゲームで連鎖をしたかのように、一斉に小規模な炸裂を起こしたのだった。
「へへっ、どうだ俺の連鎖魔法は。これなら広範囲に向けた魔法が使えない状況でも複数攻撃が可能なんだぜ?」
「凄いな真田。普通に凄くて驚いたぞ。お前に似合わずカッコいい魔法じゃないか」
「なんか引っかかる言い方だけど……まあ、素直に賞賛として受け取っておくことにするよ。それより、これで俺が戦えることも分かったんだ。佐藤は安心してミスリルゴーレムと戦ってくれよ。どうせ俺じゃあアレは倒せないんだし」
「ああ、そうだな。んじゃあ、こっちは任せたぞ佐藤!」
あの感じだと、こっちはもう大丈夫そうだからな。
ひとまず俺はミスリルゴーレムの方に集中するとしよう。
にしても、中々に面白い魔法を知ってしまったぞ。
ぐふふ、早速模倣してミスリルゴーレムに食らわせ……って。
……いや駄目じゃん。
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フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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