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第二章『俺が過去を乗り越えるまで』
30 早い再会
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「アドルフ……? どうしてここに?」
「……それはこっちの台詞だ。どうして、お前がここにいる……ノアッ!!」
「そりゃ……アイツを、ブラッドオークを倒すためだ」
「何だって? は、はは……お前に、アレが倒せる訳無いだろ」
アドルフは乾いた笑いを交えつつそう言ってきた。
確かに以前までの俺なら絶対に無理だ。
けど、今は違う。
今の俺は……強いんだ。
リリィがそう言ってくれた。
だから、過去を乗り越えるためにも俺は奴と戦い……勝たなきゃいけない。
「お、おい……本気じゃないよな? お前みたいな無能に、アレは倒せないんだよ……! 僕ですら手も足も出なかったんだぞ……!?」
「……アンタが何を言おうと、俺は戦う。決めたんだ。もう逃げないって」
「ばっ、馬鹿がッ! アイツは正真正銘の化け物だ……お前なんかすぐに殺されるぞ! そ、それより僕を町まで連れていけよ。無能のお前でも囮くらいは出来るだろ? あの時みたいにさぁ。それがお前みたいな無能の役割ってもんだろう!?」
そう言うとアドルフは俺の前に立ちふさがった。
正直ぶん殴ってやりたい所だったが……この奥にはブラッドオークがいるんだ。
余計なことをしている場合じゃなかった。
「どいてくれ、アドルフ」
「はぁ? だからお前にアイツが倒せる訳が……待て、誰だソイツは」
アドルフの意識が俺の後ろにいたリリィへと向く。
どうやらたった今気づいたらしい。
……それだけ冷静さを失っていたってことなんだろうな。
「ん、私はリリィ。ノアのパートナー」
「パートナーだって? おいおい、こんな奴のどこが良いんだ?」
「全部」
リリィは一瞬の隙も無くそう言い放った。
何と言うか、嬉しいやら……恥ずかしいやら。
「……へぇ、随分と信頼しているみたいじゃないか。けどソイツは無能で最底辺だ。そんなのより、僕と来ないか? 僕なら絶対に幸せにしてやれるぞ?」
「アドルフお前何言って……」
「断る。私はノアと生きる。最後の時まで」
「あの、リリィ? さっきからその……恥ずかしいんだけど」
あまりにもリリィの好感度がカンストしていて何だか恥ずかしくなってきてしまった。
「ん、そう言う初心な所も好き」
ああ駄目だ。
俺は……リリィには勝てない。
「は? 僕の言う事が聞けないってのか? 言っておくがお前なんか簡単に……へ?」
「この程度も追えないのに、私に勝つつもり?」
リリィは一瞬の内にアドルフの背後へと周り込んでいた。
彼女の身体能力ならこの程度は造作も無いことだ。
対してアドルフは目で追うどころか、一切の反応も出来ていなかった。
つまり、圧倒的なまでの実力差が二人の間にはある訳だ。
「は、ははっそう言う事か! そう言う事だったのか!」
「どっどうしたんだアドルフ……?」
背後にいるリリィに気付いたアドルフは急に笑い始めた。
一体どうしてこのタイミングで……?
シンプルに怖い。
「全く、こりゃあ随分と笑わせてくれたものだよ。要するに、ノアは彼女におんぶにだっこと言う訳だ」
「……は?」
何を言っているんだコイツは。
「無能なノアがあのオークから逃げられる訳が無いからなぁ。偶然通りかかった彼女を上手いこと丸め込んで助けてもらったんだろ? で、今もこうして守ってもらいながらダンジョンを進んで、オークも彼女に倒してもらって手柄だけはお前の物って寸法だ」
「ん、それは違う。むしろ私よりもノアの方が強い」
「まあお前がそう言うなら、そう言うことにしておいてやるよ。どうせノアが無能だって言う事実は変わらないんだからなぁ」
アドルフは俺をあざ笑いながらそう言って来る。
癪に障る言い方ではあったが、今はそう言うことにしておいた方が良さそうだ。
これでアドルフが満足するならそれで……
「それよりさぁ、そんなに強いならお前が僕を町まで送り届けてくれよ」
……いや駄目だコイツ。
ついさっきのやり取りを忘れたのか?
俺たちはブラッドオークを倒しに行くって言ったはずなんだが。
「アドルフ、悪いが俺たちはこれからブラッドオークを討伐しに行くんだ。町には一人で戻ってくれ」
「……はぁ? お前には聞いてないんだが?」
「私はノアの判断に従う。だから貴方とは行けない」
「あのさぁ……僕がお願いしてるのに、その態度は何なんだ? ああ、いいさ。分かったよ。それなら勝手にしろ……! ブラッドオークに食われても知らないからな!! 言っておくが助けなんて来ないぞ!!」
アドルフはまるで捨て台詞のようにそう叫ぶと、そのまま去ろうとする。
……っと、そうだった。
そう言えばアレを返そうと思っていたんだ。
「待ってくれアドルフ」
「何だ? 気分でも変わったのか? 今更怖気づいたか?」
「いや、これを返そうと思ってな」
俺はアイテムボックスからアドルフに持たされていた予備の斧を取り出した。
「なっ!? お前今どこから……って、それは!?」
「勝手に使ってしまったのは悪かった。一応、鍛冶屋で修復してもらったからさ……」
斧をアドルフに渡す。
すると彼は目を丸くして俺に渡された斧を観察し始めた。
どうしたんだ?
もしかしてまだ傷でも残っていたのか……?
「お、おい……これミスリル銀じゃないのか……?」
「ああ、鍛冶屋に一番丈夫な素材にしてくれって言ったらそうなったんだ。修復費はちょっと高かったけど、一応借り物を傷つけた訳だからな。これくらいはしないといけないだろ?」
「ちょっと……だと? い、今更返してくれって言われてももう遅いからな!」
「返すって、それはお前のだろ」
「は、ははっ……そうだな。で、用はそれだけか?」
何やらソワソワした様子のアドルフはそう言ってせかしてくる。
「ああ、それだけだが……」
「なら僕はもう行く」
そう言うと、今度こそアドルフはそそくさと去って行ってしまった。
最後の挙動不審さは一体何だったんだろうか。
……まあ良い。
今はそんなことより、この先にいるであろうブラッドオークに集中しないとな。
「……それはこっちの台詞だ。どうして、お前がここにいる……ノアッ!!」
「そりゃ……アイツを、ブラッドオークを倒すためだ」
「何だって? は、はは……お前に、アレが倒せる訳無いだろ」
アドルフは乾いた笑いを交えつつそう言ってきた。
確かに以前までの俺なら絶対に無理だ。
けど、今は違う。
今の俺は……強いんだ。
リリィがそう言ってくれた。
だから、過去を乗り越えるためにも俺は奴と戦い……勝たなきゃいけない。
「お、おい……本気じゃないよな? お前みたいな無能に、アレは倒せないんだよ……! 僕ですら手も足も出なかったんだぞ……!?」
「……アンタが何を言おうと、俺は戦う。決めたんだ。もう逃げないって」
「ばっ、馬鹿がッ! アイツは正真正銘の化け物だ……お前なんかすぐに殺されるぞ! そ、それより僕を町まで連れていけよ。無能のお前でも囮くらいは出来るだろ? あの時みたいにさぁ。それがお前みたいな無能の役割ってもんだろう!?」
そう言うとアドルフは俺の前に立ちふさがった。
正直ぶん殴ってやりたい所だったが……この奥にはブラッドオークがいるんだ。
余計なことをしている場合じゃなかった。
「どいてくれ、アドルフ」
「はぁ? だからお前にアイツが倒せる訳が……待て、誰だソイツは」
アドルフの意識が俺の後ろにいたリリィへと向く。
どうやらたった今気づいたらしい。
……それだけ冷静さを失っていたってことなんだろうな。
「ん、私はリリィ。ノアのパートナー」
「パートナーだって? おいおい、こんな奴のどこが良いんだ?」
「全部」
リリィは一瞬の隙も無くそう言い放った。
何と言うか、嬉しいやら……恥ずかしいやら。
「……へぇ、随分と信頼しているみたいじゃないか。けどソイツは無能で最底辺だ。そんなのより、僕と来ないか? 僕なら絶対に幸せにしてやれるぞ?」
「アドルフお前何言って……」
「断る。私はノアと生きる。最後の時まで」
「あの、リリィ? さっきからその……恥ずかしいんだけど」
あまりにもリリィの好感度がカンストしていて何だか恥ずかしくなってきてしまった。
「ん、そう言う初心な所も好き」
ああ駄目だ。
俺は……リリィには勝てない。
「は? 僕の言う事が聞けないってのか? 言っておくがお前なんか簡単に……へ?」
「この程度も追えないのに、私に勝つつもり?」
リリィは一瞬の内にアドルフの背後へと周り込んでいた。
彼女の身体能力ならこの程度は造作も無いことだ。
対してアドルフは目で追うどころか、一切の反応も出来ていなかった。
つまり、圧倒的なまでの実力差が二人の間にはある訳だ。
「は、ははっそう言う事か! そう言う事だったのか!」
「どっどうしたんだアドルフ……?」
背後にいるリリィに気付いたアドルフは急に笑い始めた。
一体どうしてこのタイミングで……?
シンプルに怖い。
「全く、こりゃあ随分と笑わせてくれたものだよ。要するに、ノアは彼女におんぶにだっこと言う訳だ」
「……は?」
何を言っているんだコイツは。
「無能なノアがあのオークから逃げられる訳が無いからなぁ。偶然通りかかった彼女を上手いこと丸め込んで助けてもらったんだろ? で、今もこうして守ってもらいながらダンジョンを進んで、オークも彼女に倒してもらって手柄だけはお前の物って寸法だ」
「ん、それは違う。むしろ私よりもノアの方が強い」
「まあお前がそう言うなら、そう言うことにしておいてやるよ。どうせノアが無能だって言う事実は変わらないんだからなぁ」
アドルフは俺をあざ笑いながらそう言って来る。
癪に障る言い方ではあったが、今はそう言うことにしておいた方が良さそうだ。
これでアドルフが満足するならそれで……
「それよりさぁ、そんなに強いならお前が僕を町まで送り届けてくれよ」
……いや駄目だコイツ。
ついさっきのやり取りを忘れたのか?
俺たちはブラッドオークを倒しに行くって言ったはずなんだが。
「アドルフ、悪いが俺たちはこれからブラッドオークを討伐しに行くんだ。町には一人で戻ってくれ」
「……はぁ? お前には聞いてないんだが?」
「私はノアの判断に従う。だから貴方とは行けない」
「あのさぁ……僕がお願いしてるのに、その態度は何なんだ? ああ、いいさ。分かったよ。それなら勝手にしろ……! ブラッドオークに食われても知らないからな!! 言っておくが助けなんて来ないぞ!!」
アドルフはまるで捨て台詞のようにそう叫ぶと、そのまま去ろうとする。
……っと、そうだった。
そう言えばアレを返そうと思っていたんだ。
「待ってくれアドルフ」
「何だ? 気分でも変わったのか? 今更怖気づいたか?」
「いや、これを返そうと思ってな」
俺はアイテムボックスからアドルフに持たされていた予備の斧を取り出した。
「なっ!? お前今どこから……って、それは!?」
「勝手に使ってしまったのは悪かった。一応、鍛冶屋で修復してもらったからさ……」
斧をアドルフに渡す。
すると彼は目を丸くして俺に渡された斧を観察し始めた。
どうしたんだ?
もしかしてまだ傷でも残っていたのか……?
「お、おい……これミスリル銀じゃないのか……?」
「ああ、鍛冶屋に一番丈夫な素材にしてくれって言ったらそうなったんだ。修復費はちょっと高かったけど、一応借り物を傷つけた訳だからな。これくらいはしないといけないだろ?」
「ちょっと……だと? い、今更返してくれって言われてももう遅いからな!」
「返すって、それはお前のだろ」
「は、ははっ……そうだな。で、用はそれだけか?」
何やらソワソワした様子のアドルフはそう言ってせかしてくる。
「ああ、それだけだが……」
「なら僕はもう行く」
そう言うと、今度こそアドルフはそそくさと去って行ってしまった。
最後の挙動不審さは一体何だったんだろうか。
……まあ良い。
今はそんなことより、この先にいるであろうブラッドオークに集中しないとな。
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