記憶喪失のおねショタハーレム〜遊んでいるだけなのになぜか大人や魔物よりも強いです〜

仁徳

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第二章

第十話 シルヴィアお姉さんの婚約者?

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 団長さんに吹き飛ばされ、ソフィーお姉さんに助けてもらうと、サーカス小屋に複数の団体が入ってきた。

 ローザが連れて来た冒険者さんたちかと思ったけれど、違う人たちだった。

 みんな見覚えのない人ばかりだ。

「私の部隊よ! 一斉射撃! モンスター共の殲滅をしろ!」

 一番前にいる金髪の男性が声を張り上げると、後に居た人たちが一斉に弓を構え、モンスターさんたちに向けて放つ。

 放たれた矢は、次々とモンスターさんたちに当たって次々とその場で倒れていく。

「これはいったいどういうことだ。作戦が違うではないか」

 顔を引き攣らせながら、恨めしそうに男性を見る団長さん。

 今なら、団長さんを檻の中に閉じ込めることができるかもしれない。

 ソフィーお姉さんから離れると、ステージに戻っていく。そして倒れているモンスターさんたちの間を通り抜け、団長さんの前に来る。

「これで終わりだよ。悪い団長さん!」

 遊びは終わりだと言いながら、団長さんの体にタッチする。その瞬間、彼の体は檻に閉じ込められた。

「くそう! あの男に気を取られてしまった! 出せ! ここから出しやがれ!」

 団長さんが檻の鉄格子を掴みながら叫ぶ。

「まるで動物園の猿だな。モンスターを操る悪人には適した最後だ」

 指示を出していた男性が団長さんに近付き、口の端を引き上げて語りかける。男性は団長さんを見下すような眼差しを送っていた。

「お前!」

「濁声で叫ぶな! 鬱陶しい! スリープ!」

 男性が魔法らしき言葉を呟く。その瞬間、団長さんはその場で倒れ、瞼を閉じていびきを掻きはじめる。

 団長さんが眠ってしまった以上は、これ以上檻の中に入れておく必要はないよね。

 憲兵とシーフの遊びを終わらせ、檻を消す。

「ご協力ありがとう少年、君のお陰でこの男を捕らえることができた。おい、こいつを連れて行け!」

「ハッ!」

 男性が指示を出すと、彼の言葉に従い、複数の人が団長さんを連れて行く。

「ラルス、無事か!」

 複数の男の人と入れ替わるように、シルヴィアお姉さんが僕のところにやって来た。

「シルヴィアお姉さん。うん、僕の方は大丈夫だよ。特にケガもしていないから」

 ケガなどはしていないことを教えると、シルヴィアお姉さんは安心したかのような表情をする。

「シルヴィア、そうか。あなたがシルヴィア・カラマーイですね。こんなところで出会えるとは、なんたる奇跡! いや、運命と言いましょうか」

 男性が笑みを浮かべる中、シルヴィアお姉さんは苦笑いを浮かべていた。

「すまない。あなたはワタシのことを知っているみたいだが、生憎とワタシはあなたのことを知らない」

「これは申し遅れました。私の名はウイーク・マッタン。お兄様から話しを聞いているかと思いますが、あなたの婚約者です」

「婚約者!」

 男性がシルヴィアお姉さんの婚約者だと言うと、近付いて来ていたソフィーお姉さんが大きな声を上げた。

 婚約者って何だろう?

「シルヴィア! それってどう言うことなのよ! 私、全然聞いていないのだけど!」

 ソフィーお姉さんが勢い良くシルヴィアお姉さんに顔を近付けて訊ねてくる。

「いや、城に戻った時に、兄上から聞いたのだ。次に会ったと時に相談しようかと思っていたのだが、まさかこんな形でソフィーにも知られてしまうとは」

「そうだったの」

 シルヴィアお姉さんが事情を話すと、ソフィーお姉さんが1歩下がる。

「だが、まだ婚約を決めた訳ではない。兄上からも前向きに検討するように言われたばかりだ」

「そうだったの」

「そうでしたか。それで、どうでしょう? 僕との婚約を決めてくれましたか? 見てのとおり、私は貴族です。多くの護衛を従えさせ、自分から危険に立ち向かう勇気とガッツをも持っている。何があってもあなたをお守りする勇気を持っていますよ」

「ああ、そうだな。こんな形であなたと会うとは思ってもいなかったが、直接話す機会が訪れたのは僥倖ぎょうこうだ。今、私の気持ちを伝えよう。悪いがあなたとの婚約は無かったことにしてくれ」

「そうですか。そうですか。断るのですね……って、断る!」

 男性は胸の前で腕を組んで何度か頷いた後に、大きく目を見開いて声を上げた。

「ど、どうして断るのですか! 貴族であり、護衛も沢山従え、尚且つ勇気とガッツを持っている私を断るのですか! 本来ならこんなことは言いたくはないのですが、私の暮らしている地では、多くの女性から好かれて、他の貴族からも求婚されているのですよ」

「なら、そのお方と婚約をなされるが良い。ワタシには、彼がいるからな」

 そう言いながら、シルヴィアお姉さんは僕の肩に手を置き、そのまま引き寄せる。

「ワタシには、記憶喪失の彼を親元に送り届けると言う目的がある。道半ばで婚約をする訳にはいかない」

 シルヴィアお姉さんが断る理由を語ると、男性は僕に視線を向けた。一瞬睨み付け、小さく舌打ちをしたけれど、すぐに笑みを作る。

「そうでしたか。なら、私も手伝うとしましょう。私の権力を使えば、そのガキ……少年の親御さんも見つかるでしょう」

「いや結構だ。彼のご両親はワタシとソフィーとで探すと決めているのでな。あなたの力を借りる訳にはいかない」

「どうして2人で探すことに拘っているのですか! 私も協力すれば直ぐに見つけ出す自信がありますのに!」

 男性が声を上げる中、ソフィーお姉さんがため息を吐く。

「はぁー、どうして男と言う生き物はこんなに鈍いのかしら。良い、シルヴィアはあなたとの婚約をする気は一切ないって言っているのよ。だからなるべく傷付けないように配慮して断っているのに、どうしてそれに気付かないわけ? あんまりしつこい男はどんな女性からも嫌われるわよ」

 ソフィーお姉さんの言葉の一撃がクリティカルヒットしたのか、男性は固まったかのように動かなくなった。
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