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第七章
第二話 史上最弱のエルフ
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~シャカール視点~
「シャカール、2冠達成するなんてすごいな」
「まさか、人族のお前がここまですごいやつだったとは思わなかった」
「編入してきた時、散々陰口叩いて悪かったな。これまでの非礼は詫びるから、許してくれ」
マキョウダービーが終わり、翌日の月曜日を迎えた。
教室に入り、席に座っていると、次々とクラスメートたちが声をかけて来る。
クラウン路線の最初の1冠であるテイオー賞を取った時も騒がれたが、今回はそれよりも少し規模が大きいような気がする。
「別に細かいことは気にしていない。それに俺が優勝することは決まっていたからな」
「シャワーライトから聞いたぜ。お前、彼女たちをモンスターから守るために魔法を連発していたんだってな」
「マジかよ。それであれだけの魔法を使っていたのか! マジでやばいな。もし万全の状態で挑んでいたら、大差とかあったんじゃないのか!」
「お前が大差で2冠を取るところを見てみたかったぜ」
クラスメートの男連中が勝手に盛り上がる中、俺は少しだけうんざりしていた。どうしたものかと思い、チラリと廊下側に顔を向けると、廊下の空いている窓から教室を除いている女子生徒と視線が合った。
「きゃあ! 今、シャカール君と目が合ったわ!」
「シャカール君! 私にも目線をお願いします!」
女子生徒と目が合った瞬間、彼女は黄色い声を出し、それが連鎖するかのように他の女子生徒までが声を上げる。
俺の周りには男子生徒が集まり、教室内にいる女子たちの姿を視認することができない。だけど彼女たちと近い反応を見せているのがなんとなく分かった。
「2冠覇者のシャカールだから文句は言えないけれど、本当に羨ましいぜ。女子からあんなに好意を向けられるなんてな」
「本当に羨ましい。俺も来年はクラウン路線の3冠を狙ってみようかな」
「いや、いや、来年の3冠は俺のものだ! そしてハーレム王に、俺はなる!」
男子生徒たちの言葉を聞きながら、次第にげんなりとしてくる。
良いかげんに解放してくれないか。俺は昨日のレースで疲れているのだけど。早くこのまま机の上で寝たい。
「はいはい。気持ちは分かりますが、そろそろホームルーム開始の予鈴がなりますよ。それぞれの教室に戻って」
男子生徒たちに阻まれて姿を視認することはできないが、タマモの声が聞こえてきた。
言葉の内容からして、廊下側にいる女子生徒たちに言っているのだろう。
「そこの男子たちも席に座って。そろそろ先生が来るわよ」
「はーい。それじゃ、シャカール。また後で話しを聞かせてもらうからな」
続けて彼女は俺の前にいる男子生徒たちに声かける。すると彼女の言葉に素直に従い、それぞれが自身の席に座った。
男子生徒たちが俺から離れると、彼らと入れ替わるようにタマモが近付いて来る。
「サンキュ、助かった」
「面倒臭そうな顔をしていたからね。だから予鈴を利用して解散させたのよ」
「だったらもっと早く言えば良かっただろう」
「いくらなんでも嘘を吐くことは良くないわよ。あたしの信用性に欠けるし、それにまだ時間があると思った子が引き返して来るでしょう。ちゃんと物事を実行するには、タイミングと言うものがあるのよ。それはレースでも同じでしょう」
助けるのならもっと早く助けて欲しかったが、正論を言われて返す言葉がない。
「前回のテイオー賞を取った時よりも、なんだか騒がしくなっているような気がするが、どうしてなんだ?」
「そんなの決まっているじゃないのよ。あなたが優良物件だからよ」
「優良物件って」
「シャカール君は2冠を達成してしまった。まだ王様から正式な通達は来ていないでしょうけど、今のあなたは男爵になる権利があるわ。貴族になれる可能性が非常に高いあなたとお近づきになって、良ければ婚姻を結べば将来が安泰するって考えているのでしょうね。まったく、この男のどこが良いのだか?」
俺に少しだけ悪口を言うと、タマモは自分の席に戻って行く。
その後、誰にも邪魔をされることがなかった俺は、腕を枕代わりにしてそのまま眠りに付いた。
その日の放課後、俺はさっさとシェアハウスに帰ることにした。理由は今朝の出来事と同じだ。俺の存在に気付いた女子生徒が、声をかけようとして足止めをして来る。
時間を無駄にしたくない。そう思って俺はクラスメートのピックから帽子を借り、深く被って気付かれにくくした。
帽子から動物園から漂う獣臭のようなものが放たれているが、ここは我慢だ。
工夫したかいがあってか、誰も俺に話しかけてこようとはしない。
まぁ、今被っている帽子が臭いからと言うのも、理由のひとつかもしれないが。
そんなことを思いながら廊下を歩いて角を曲がろうとしたとき、俺は誰かにぶつかってしまった。
突然のことで咄嗟に反応することができずに、バランスを崩してそのまま尻もちを突き、振動で頭に被っていた帽子が取れた。
「いたた。もう! ちゃんと前を見て歩いてくださいよ」
「それは俺のセリフだ。俺からしたら、お前の方が先に曲がったように見えたぞ」
互いに文句を言いつつも、俺はぶつかってしまった人物に顔を向ける。
俺と同じように転倒して尻餅を付いている人物は、金髪のロングヘアーに耳の先端が尖っている。あの尖った耳の特徴は、エルフで間違いない。
そして声音が高く、若干胸の膨らみがあり、スカートを履いていることから女子生徒で間違いない。
「わたしはある人を探して急いでいるのですから」
聞いてもいないのに、エルフの女性は急いでいる理由を語り、俺に目を合わせてきた。黄緑色の瞳に俺の顔が映ると、エルフの女の子は俺に指を向ける。しかしその指は震えているように見えた。
「み、みみ、見つけました! あなたがこの学園唯一の人族の生徒ですね」
「そ、そうだが」
こいつが探している人物って俺だったのか。つまり、こいつも俺の将来を見込んで今から唾をつけておこうと考えている系のやつか。
「あなた、わたしとレースで勝負してください」
「シャカール、2冠達成するなんてすごいな」
「まさか、人族のお前がここまですごいやつだったとは思わなかった」
「編入してきた時、散々陰口叩いて悪かったな。これまでの非礼は詫びるから、許してくれ」
マキョウダービーが終わり、翌日の月曜日を迎えた。
教室に入り、席に座っていると、次々とクラスメートたちが声をかけて来る。
クラウン路線の最初の1冠であるテイオー賞を取った時も騒がれたが、今回はそれよりも少し規模が大きいような気がする。
「別に細かいことは気にしていない。それに俺が優勝することは決まっていたからな」
「シャワーライトから聞いたぜ。お前、彼女たちをモンスターから守るために魔法を連発していたんだってな」
「マジかよ。それであれだけの魔法を使っていたのか! マジでやばいな。もし万全の状態で挑んでいたら、大差とかあったんじゃないのか!」
「お前が大差で2冠を取るところを見てみたかったぜ」
クラスメートの男連中が勝手に盛り上がる中、俺は少しだけうんざりしていた。どうしたものかと思い、チラリと廊下側に顔を向けると、廊下の空いている窓から教室を除いている女子生徒と視線が合った。
「きゃあ! 今、シャカール君と目が合ったわ!」
「シャカール君! 私にも目線をお願いします!」
女子生徒と目が合った瞬間、彼女は黄色い声を出し、それが連鎖するかのように他の女子生徒までが声を上げる。
俺の周りには男子生徒が集まり、教室内にいる女子たちの姿を視認することができない。だけど彼女たちと近い反応を見せているのがなんとなく分かった。
「2冠覇者のシャカールだから文句は言えないけれど、本当に羨ましいぜ。女子からあんなに好意を向けられるなんてな」
「本当に羨ましい。俺も来年はクラウン路線の3冠を狙ってみようかな」
「いや、いや、来年の3冠は俺のものだ! そしてハーレム王に、俺はなる!」
男子生徒たちの言葉を聞きながら、次第にげんなりとしてくる。
良いかげんに解放してくれないか。俺は昨日のレースで疲れているのだけど。早くこのまま机の上で寝たい。
「はいはい。気持ちは分かりますが、そろそろホームルーム開始の予鈴がなりますよ。それぞれの教室に戻って」
男子生徒たちに阻まれて姿を視認することはできないが、タマモの声が聞こえてきた。
言葉の内容からして、廊下側にいる女子生徒たちに言っているのだろう。
「そこの男子たちも席に座って。そろそろ先生が来るわよ」
「はーい。それじゃ、シャカール。また後で話しを聞かせてもらうからな」
続けて彼女は俺の前にいる男子生徒たちに声かける。すると彼女の言葉に素直に従い、それぞれが自身の席に座った。
男子生徒たちが俺から離れると、彼らと入れ替わるようにタマモが近付いて来る。
「サンキュ、助かった」
「面倒臭そうな顔をしていたからね。だから予鈴を利用して解散させたのよ」
「だったらもっと早く言えば良かっただろう」
「いくらなんでも嘘を吐くことは良くないわよ。あたしの信用性に欠けるし、それにまだ時間があると思った子が引き返して来るでしょう。ちゃんと物事を実行するには、タイミングと言うものがあるのよ。それはレースでも同じでしょう」
助けるのならもっと早く助けて欲しかったが、正論を言われて返す言葉がない。
「前回のテイオー賞を取った時よりも、なんだか騒がしくなっているような気がするが、どうしてなんだ?」
「そんなの決まっているじゃないのよ。あなたが優良物件だからよ」
「優良物件って」
「シャカール君は2冠を達成してしまった。まだ王様から正式な通達は来ていないでしょうけど、今のあなたは男爵になる権利があるわ。貴族になれる可能性が非常に高いあなたとお近づきになって、良ければ婚姻を結べば将来が安泰するって考えているのでしょうね。まったく、この男のどこが良いのだか?」
俺に少しだけ悪口を言うと、タマモは自分の席に戻って行く。
その後、誰にも邪魔をされることがなかった俺は、腕を枕代わりにしてそのまま眠りに付いた。
その日の放課後、俺はさっさとシェアハウスに帰ることにした。理由は今朝の出来事と同じだ。俺の存在に気付いた女子生徒が、声をかけようとして足止めをして来る。
時間を無駄にしたくない。そう思って俺はクラスメートのピックから帽子を借り、深く被って気付かれにくくした。
帽子から動物園から漂う獣臭のようなものが放たれているが、ここは我慢だ。
工夫したかいがあってか、誰も俺に話しかけてこようとはしない。
まぁ、今被っている帽子が臭いからと言うのも、理由のひとつかもしれないが。
そんなことを思いながら廊下を歩いて角を曲がろうとしたとき、俺は誰かにぶつかってしまった。
突然のことで咄嗟に反応することができずに、バランスを崩してそのまま尻もちを突き、振動で頭に被っていた帽子が取れた。
「いたた。もう! ちゃんと前を見て歩いてくださいよ」
「それは俺のセリフだ。俺からしたら、お前の方が先に曲がったように見えたぞ」
互いに文句を言いつつも、俺はぶつかってしまった人物に顔を向ける。
俺と同じように転倒して尻餅を付いている人物は、金髪のロングヘアーに耳の先端が尖っている。あの尖った耳の特徴は、エルフで間違いない。
そして声音が高く、若干胸の膨らみがあり、スカートを履いていることから女子生徒で間違いない。
「わたしはある人を探して急いでいるのですから」
聞いてもいないのに、エルフの女性は急いでいる理由を語り、俺に目を合わせてきた。黄緑色の瞳に俺の顔が映ると、エルフの女の子は俺に指を向ける。しかしその指は震えているように見えた。
「み、みみ、見つけました! あなたがこの学園唯一の人族の生徒ですね」
「そ、そうだが」
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「あなた、わたしとレースで勝負してください」
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