Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳

文字の大きさ
168 / 191
第十八章

第四話 さてさて、再教育と行きましょうか。

しおりを挟む
 ~メッフィー視点~



 私ことメッフィーは、戦線離脱をしたミーリアを探していた。

 まったく、あの子には困ったものです。あのまま自身を犠牲にして斬られていれば、シロウに傷を負わせて捕まえることもできたでしょうに。まだまだ使い捨ての道具だと言う自覚がないようですね。

 こうなっては仕方がありません。もう一度彼女を再教育して、今度こそシロウを捉えるための道具となってもらいましょう。

 首を左右に振りながら、逃げ出したミーリアを探す。

「おやおや、見つかりませんね。まさか逃げ出したなんてことはないと思うのですが? ミーリア! 出て来なさい」

 彼女の名を呼ぶも、ミーリアが姿を見せることはない。

「この辺にはいないのでしょか? まだ小さいから、そんなに遠くに行くとは思えないのですけどね」

 しばらく歩いていると、建物の影から靴が見えた。

 あの靴は確か、ミーリアの履いていたものですね。ププッ、姿隠して足を隠さず。

 きっと彼女は姿を完全に隠していると思っているでしょう。バレバレだと言うのにね。

「ミーリア、そこに居るのはわかっています。観念してこちらに来てください」

 隠れている彼女に声をかけるも、ミーリアは姿を見せてくれない。

 仕方がありません。姿を見せたくなければ、見せたくなるように誘導するまでです。

「ミーリア、今すぐに隠れるのを止めて、こちらに来なさい。でないと、あなたのバーサーカーであるヘラとクレースを処分しますよ」

 さぁ、どうする? お前はこの二体のバーサーカーを失うことを恐れている。だから私の言うことには逆らえないはず。

 数秒の時が経ち、建物の影に隠れていた女の子が姿を現す。

「お願い。わたしはもう隠れない。逃げたりしない。だから、クレースとヘラだけは何も酷いことをしないで!」

 まったく、余計な時間を取らせないでほしいです。

「安心しなさい。あなたが私の言うことを聞いている限り、このバーサーカーたちを処分することはありません」

 ニヤリと口角を上げながら、建物の窓を見る。

「おやおや? どうやらここは空き家のようですね。建物内は埃が積もっているみたいですし、頻繁に人が出入りしている気配がない。この家を私たちの隠れ家にしましょう」

 私が家の中に入ると、ミーリアも中に入った。

 さてと、念の為に魔法で防音効果を高めるとしますか。

 魔法を使い、声が外に漏れないようにする。

「さて、私は怒っています。それはどうしてか分かっていますね」

「メイ女王様の使者として、シロウお兄ちゃんを引き込むことに失敗したから」

「まぁ、それもありますが、怒りの根本はそこではありません。あなた、自分の身を優先しましたね」

「あ!」

 どうやら気づいたようですね。ならば、この後の折檻も受け入れてくれるでしょう。

「私はあなたに教えましたよね。奴隷であるあなたは、使い捨ての道具だと。主人である私の指示には決して逆らってはいけないと。あの時、あなたは自分の命を守るために、クレースを止めた。自分の命を犠牲にして、あのまま斬られていれば、シロウを捕らえることができたはず」

 私の説明に、ミーリアはばつが悪そうに顔を背ける。

「目を逸らすな!」

 彼女の態度に怒りが湧き上がり、声を荒げて少女を殴る。

「人が話しているときに、目を背けるなとあれほど言っているでしょうが! 特に主人である私が話しているときは、瞬き一つ許されないと!」

 一発、二発、左右の拳を使って連続で少女の顔面を殴った。

「ごめん……なさい」

「謝るくらいなら、ちゃんとあなたの役目をこなしなさい!」

 ミーリアの腹部を蹴ると、彼女は蹴り飛ばされて床に倒れる。

『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』

 床に倒れたミーリアを見て、一体のバーサーカーは声を荒げる。

 おやおや、ミーリアがボコられているのを見て、キレましたか。心を完全に奪ったつもりでしたが、まだ人としての心が残っていたとは。

 バーサーカーに拳を放たれ、私の体は壁に激突しました。しかし痛みは全然ありません。

 だって、その私は私であって、私ではないのですから。

 さて、それでは彼らにかけていた魔法の一部を解くとしましょう。

 パチンと指を鳴らすと、壁にぶつかった私はバーサーカーの姿に変わる。

 そう、彼が私と思っていたものは、バーサーカーのヘラだったのだ。

「クレー…ス……止めて……この男には……絶対に……勝てない」

「イーヒッヒッヒッ! イーリアの言うとおりですよ。脳筋ダルマであるあなたたちは、私の掌の上で踊らされています。あなたたちでは、彼女を助けることができない」

 まぁ、一応注意をしたところで、筋肉ダルマの彼らには理解できないでしょうが。

「ミーリア、あなたにチャンスをあげます。次こそ、シロウが女王メイ様のところに来たくなるように交渉するか、捕らえて来なさい。あなたにはそれなりの武器があります。それらを上手く使えば、あの男の心を落とすことくらいできるでしょう」

「はい」

「その傷では動くことができませんね。仕方がないので回復させてあげます。ハイヒール」

 魔法を唱えると、少女の傷は癒えた。

「さあ、行きなさい。だけどこれだけは心の中に秘めておいてください。あなたは私からは逃げられない」
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...