11 / 34
敵ということで宜しいですか?
1. 昔の記憶
しおりを挟む
******
「......んん」
(なんだろう?ふわふわする....。あったかくて、心地良くって、瞼が重い....)
『....おい、八重。準備しろ。お隣にご挨拶に伺うぞ』
『はーい』
(....お父さんの声?....あれ?私、さっきまで何してたんだっけ?....磯村さんのお店で一生とご飯食べてて....)
『あら、あなた。もう行くの?まだお隣さんも、帰宅されてないんじゃない?』
『....16:30か。うーん、じゃあ一度伺ってみて、もしいらっしゃらなかったらまた後で改めてご挨拶に行こう』
(お母さんも?.....隣って、もしかして一生のお隣に引っ越してきた日のこと?)
わかった瞬間、目の前に昔の光景が広がった。
(.....夢?)
夢というのは不思議だ。今見ているのは自分の記憶なのに、ふんわり柔らかな色合いで彩られて、まるで映画のワンシーンをみている気分になる。
『そう?わかったわ。私も用意しますね』
『ああ、頼む』
引越しの荷物が散乱したリビングで、たった今引越し業者にお礼を言って戻ってきた父・宮島 弥太郎 が、私と母・重梨 に声をかけていた。
父がもっと良い待遇の会社へ転職を決めて、それに合わせて家族で新しい街へ引っ越してきた。
父の実家がある北海道の銘菓を綺麗な紙袋に入れて、母が玄関の鏡の前に立つ。父もスーッと隣を通りながら、横目で髪型や服装を軽くチェックしている。
と、父が一度足を止めて、前髪を整える母に微笑んだ。
『大丈夫。今日も、母さんは可愛いよ』
『あらやだ。もう、あなたったら。八重の前で、恥ずかしいわ。うふふ』
父の言葉に、母がうっすら頬を染めて笑う。子供の前でと言いながら、なんだかんだと嬉しそうだ。
『お母さん、お父さん。私、先に出てるね』
両親のやりとりに、いつものことだと我関せずの態度で言って、私は先に玄関の扉をくぐって駆け出した。
『あ、八重。車に気をつけるのよ』
『はーい』
あと数日で小学生の仲間入りをする私は、お気に入りの桜色のスカートとクリーム色のトップス、真っ白なスニーカーを履いて、ご機嫌だった。
『うわぁ...虹だぁ~』
外に出た瞬間、さっきまで降っていた小雨は止んでいて、分厚い雲の隙間からお日様が顔をのぞかせていた。
真っ直ぐに私のところまで伸びた陽の光は、途中、キラキラと空中に橋をかける虹も、雨の名残の水滴たちも。皆をまんべんなく照らしていて、絵本の世界を見ているようだ。
『何かいいことありそう!』
これから、私たち家族はこの街で新しく生活する。
そう思うと今日がとても特別な日に感じて、そんな日に虹まで見られるなんて私たちはツイている。
『お母さん、お父さん!ラブラブするのはあとにして、早くこっちに来て!すっごいんだよ?』
はしゃいだ声で両親を呼ぶと、恥ずかしそうにしながら二人は私の居る場所まで出てきてくれた。
『ほら、見て!綺麗な虹!』
『本当だ』
『あら、すごいわねえ。お母さん、こんなにハッキリした虹は初めて見たわ』
『でしょ?きっとこの家での生活も、楽しくなるね!』
私の指さす先を見て目を丸くしている二人に、得意に胸をはって、私は今日から毎日を過ごす家を振り返った。
クリーム色の壁に赤い三角屋根。
可愛らしい色合いの、庭付き一軒家。
差し込んだ光に、家も嬉しそうに微笑んでくれている気がして、私はニッと大きく笑って息を吸い込む。
『これから宜しくねー!可愛いお家さん!』
突然家に向かって叫んだ私に、まだ虹を見つめていた両親はぎょっと振り返った。そして慌てる父と母に、私はニシシ、と子供らしく笑った。
「......んん」
(なんだろう?ふわふわする....。あったかくて、心地良くって、瞼が重い....)
『....おい、八重。準備しろ。お隣にご挨拶に伺うぞ』
『はーい』
(....お父さんの声?....あれ?私、さっきまで何してたんだっけ?....磯村さんのお店で一生とご飯食べてて....)
『あら、あなた。もう行くの?まだお隣さんも、帰宅されてないんじゃない?』
『....16:30か。うーん、じゃあ一度伺ってみて、もしいらっしゃらなかったらまた後で改めてご挨拶に行こう』
(お母さんも?.....隣って、もしかして一生のお隣に引っ越してきた日のこと?)
わかった瞬間、目の前に昔の光景が広がった。
(.....夢?)
夢というのは不思議だ。今見ているのは自分の記憶なのに、ふんわり柔らかな色合いで彩られて、まるで映画のワンシーンをみている気分になる。
『そう?わかったわ。私も用意しますね』
『ああ、頼む』
引越しの荷物が散乱したリビングで、たった今引越し業者にお礼を言って戻ってきた父・宮島 弥太郎 が、私と母・重梨 に声をかけていた。
父がもっと良い待遇の会社へ転職を決めて、それに合わせて家族で新しい街へ引っ越してきた。
父の実家がある北海道の銘菓を綺麗な紙袋に入れて、母が玄関の鏡の前に立つ。父もスーッと隣を通りながら、横目で髪型や服装を軽くチェックしている。
と、父が一度足を止めて、前髪を整える母に微笑んだ。
『大丈夫。今日も、母さんは可愛いよ』
『あらやだ。もう、あなたったら。八重の前で、恥ずかしいわ。うふふ』
父の言葉に、母がうっすら頬を染めて笑う。子供の前でと言いながら、なんだかんだと嬉しそうだ。
『お母さん、お父さん。私、先に出てるね』
両親のやりとりに、いつものことだと我関せずの態度で言って、私は先に玄関の扉をくぐって駆け出した。
『あ、八重。車に気をつけるのよ』
『はーい』
あと数日で小学生の仲間入りをする私は、お気に入りの桜色のスカートとクリーム色のトップス、真っ白なスニーカーを履いて、ご機嫌だった。
『うわぁ...虹だぁ~』
外に出た瞬間、さっきまで降っていた小雨は止んでいて、分厚い雲の隙間からお日様が顔をのぞかせていた。
真っ直ぐに私のところまで伸びた陽の光は、途中、キラキラと空中に橋をかける虹も、雨の名残の水滴たちも。皆をまんべんなく照らしていて、絵本の世界を見ているようだ。
『何かいいことありそう!』
これから、私たち家族はこの街で新しく生活する。
そう思うと今日がとても特別な日に感じて、そんな日に虹まで見られるなんて私たちはツイている。
『お母さん、お父さん!ラブラブするのはあとにして、早くこっちに来て!すっごいんだよ?』
はしゃいだ声で両親を呼ぶと、恥ずかしそうにしながら二人は私の居る場所まで出てきてくれた。
『ほら、見て!綺麗な虹!』
『本当だ』
『あら、すごいわねえ。お母さん、こんなにハッキリした虹は初めて見たわ』
『でしょ?きっとこの家での生活も、楽しくなるね!』
私の指さす先を見て目を丸くしている二人に、得意に胸をはって、私は今日から毎日を過ごす家を振り返った。
クリーム色の壁に赤い三角屋根。
可愛らしい色合いの、庭付き一軒家。
差し込んだ光に、家も嬉しそうに微笑んでくれている気がして、私はニッと大きく笑って息を吸い込む。
『これから宜しくねー!可愛いお家さん!』
突然家に向かって叫んだ私に、まだ虹を見つめていた両親はぎょっと振り返った。そして慌てる父と母に、私はニシシ、と子供らしく笑った。
21
あなたにおすすめの小説
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※恋愛大賞ラストスパートなので24日火曜~27日金曜日まで連日投稿予定!
参加してるみんな!あと少しだよ頑張ろう!(>▽<)/作者ブル
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
彼の過ちと彼女の選択
浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。
そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。
一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる