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敵ということで宜しいですか?
2. 最悪な出会い①
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『....誰?』
と、2メートルほど離れた場所から声が響いて、私はパッとそちらを見遣る。
『あ....』
そこには紺色の上品なランドセルを背負った、端正な目鼻立ちの男の子が立っていた。自分よりも少し年上だろうか。落ち着いていて優しげな雰囲気が、今まで会ってきた男の子たちとどこか違っていた。
背景に広がる虹と、雨上がりの空と、男の子。
その画は、とても神秘的で、美しくてーー。
私が生きてきた年数なんて微々たるものだけれど....今まで見てきたどんな風景より素敵で、思わず見惚れてしまった。
すると、私と視線が絡んだ瞬間、男の子の茶色い瞳をたたえた目が大きく見開かれ....その後少しだけ細まった気がして、私の小さな心臓はトクッとジャンプした。
時間の流れは変わらないはずなのに、そのとき確かに私と男の子の間に流れる時間はスローモーションの様にゆっくりと流れていて。彼の動きひとつひとつ、私の動きひとつひとつが、私たちの目に、ゆったりと、鮮明に映っていたーー。
(.....綺麗な子)
男の子に対して、そう思った時だ。見つめ合っていた彼の形のいい唇がゆるやかに動いてーー私の耳に信じられない言葉が飛び込んできた。
『...チビだ』
『.....っ、な....っ』
その言葉でパチンと目の前で風船が割れるみたいに、私はハッと目が覚めた。
つい今しがたまであった夢の中を揺蕩う感覚から突如として切り離された意識が、かぁあーっと赤く染まっていった。
(....っ、前言撤回!敵、発見!)
すぐさま、名前さえ知らない男の子を敵認定した私は、ズカズカと大きな足音を立てて大股で彼に近づいた。数メートル離れていたって、たとえ背が低たって。大股で歩けばほんの数歩で、男の子の前に立つことができる。
『あ...っ、八重?』
『....おいおい』
その場に母の焦った声が響いて、父がハラハラと心配げに口元に手をやる様子を視界の端に捉えた。が、そんなもの怒り心頭の私には何の抑止力にもならない。
『....あなた、失礼、よっ!!』
それから、いきなり目の前まで近寄ってきた私に驚いた顔をしている彼に.....私はぐっと拳に力を入れて、構えをとった。次の瞬間、私の強く握られた拳は、言葉と共にリズムよくーー彼の顎目掛けてパンチを繰り出した。
『...っ、おっ....と』
シュッ.....ぽす。
勢いを示す空を切る音は立派だったのに、そのあとに鳴った音は大したことはなく、むしろ情けないものだった。
今度は私が驚いて、バッと彼の目を見た。
拳は難なく避けられ、彼の片手にポスッとおさまっていた。しかも、この時になってやっと、男の子と自分の身長差がかなりあることに気づいた。目いっぱい腕を伸ばしたつもりなのに、微妙に狙った場所に届いていないのだ。
と、ニッと男の子の口の端が上がる。
と、2メートルほど離れた場所から声が響いて、私はパッとそちらを見遣る。
『あ....』
そこには紺色の上品なランドセルを背負った、端正な目鼻立ちの男の子が立っていた。自分よりも少し年上だろうか。落ち着いていて優しげな雰囲気が、今まで会ってきた男の子たちとどこか違っていた。
背景に広がる虹と、雨上がりの空と、男の子。
その画は、とても神秘的で、美しくてーー。
私が生きてきた年数なんて微々たるものだけれど....今まで見てきたどんな風景より素敵で、思わず見惚れてしまった。
すると、私と視線が絡んだ瞬間、男の子の茶色い瞳をたたえた目が大きく見開かれ....その後少しだけ細まった気がして、私の小さな心臓はトクッとジャンプした。
時間の流れは変わらないはずなのに、そのとき確かに私と男の子の間に流れる時間はスローモーションの様にゆっくりと流れていて。彼の動きひとつひとつ、私の動きひとつひとつが、私たちの目に、ゆったりと、鮮明に映っていたーー。
(.....綺麗な子)
男の子に対して、そう思った時だ。見つめ合っていた彼の形のいい唇がゆるやかに動いてーー私の耳に信じられない言葉が飛び込んできた。
『...チビだ』
『.....っ、な....っ』
その言葉でパチンと目の前で風船が割れるみたいに、私はハッと目が覚めた。
つい今しがたまであった夢の中を揺蕩う感覚から突如として切り離された意識が、かぁあーっと赤く染まっていった。
(....っ、前言撤回!敵、発見!)
すぐさま、名前さえ知らない男の子を敵認定した私は、ズカズカと大きな足音を立てて大股で彼に近づいた。数メートル離れていたって、たとえ背が低たって。大股で歩けばほんの数歩で、男の子の前に立つことができる。
『あ...っ、八重?』
『....おいおい』
その場に母の焦った声が響いて、父がハラハラと心配げに口元に手をやる様子を視界の端に捉えた。が、そんなもの怒り心頭の私には何の抑止力にもならない。
『....あなた、失礼、よっ!!』
それから、いきなり目の前まで近寄ってきた私に驚いた顔をしている彼に.....私はぐっと拳に力を入れて、構えをとった。次の瞬間、私の強く握られた拳は、言葉と共にリズムよくーー彼の顎目掛けてパンチを繰り出した。
『...っ、おっ....と』
シュッ.....ぽす。
勢いを示す空を切る音は立派だったのに、そのあとに鳴った音は大したことはなく、むしろ情けないものだった。
今度は私が驚いて、バッと彼の目を見た。
拳は難なく避けられ、彼の片手にポスッとおさまっていた。しかも、この時になってやっと、男の子と自分の身長差がかなりあることに気づいた。目いっぱい腕を伸ばしたつもりなのに、微妙に狙った場所に届いていないのだ。
と、ニッと男の子の口の端が上がる。
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