いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜

こころ ゆい

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私の中身はそんなにダメですか?

8.俺だけが(一生side)

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「八重ちゃん、お酒のんでたから。お水持ってきたんだけど、少し遅かったわね~」

「ありがとう、ございます....」

 いつもと変わらない様子の磯村さんに、聞かれていなかったのかと安堵しかけた時。

「.....ふっ、残念だったわね」

(き、聞かれてたか....)

「.....そんな憐れむ目を向けられても、慰められてる気がしません」

 俺は拗ねたように唇を突き出して、恨めしく彼を見つめ返した。だけど、そんなもの意味はなくて、磯村さんの憐れみは深まり.....ついには肩をポンポンと叩いて励まされた。
 カッコ悪ぃ...俺。

「....そんなことより。は~、八重ちゃん、やっぱり可愛いわね。こうしてると、お人形さんみたいに見えるわ」

 俺の様子など意に介さずに、ふいっと八重に視線をうつした磯村さんが頬に手を当てて、じっくりと言った。俺は、内心ほくそ笑みながら口を開く。

「....八重の可愛さは、そんなもんじゃないんです。....誰も気付かなくていい。俺だけが知ってればいいんです」

 心の中に、優越感が満ちていった。
 磯村さんは、一瞬目を丸くしてから頬に当てていた手を口元に移動させてニッと目を細める。

「あらま~。はいはい、ご馳走様」

「..............」

 これはアレだ。完全にこの人のペースにのまれている。

「あ、そうそう。この子のこと、お願いね?もちろんボディーガードとして。....ま、他にもなりたいものがあるかも知れないけど」

「わ、わかってますよ」

「..............」

 磯村さんは、今度は疑いの目を向けてくる。.....忙しい人だな。

「あー、もう!わかってますったら」

 念を押して、強めに返事をした。

「そう?...そうよね。一生くんが八重ちゃん傷つけること、するわけないわよね」

「..............」

 納得して返ってきた言葉が、あまりにドキリとするもので、固まってしまった。傷つけることはしない...はずだ。だが、最近はあまりに片想いを拗らせすぎて、八重にキツイ言葉を投げかけている自覚もあるし、このままいけばいつか八重を無理やり囲おうとするかもしれない怖さもあった。

「なに、その間は」

 ....この場はとりあえず、スルーしておくのが賢明だ。
 ツッコミには反応せず、そのまま押し通した。

「いいから、お会計お願いします」

「....ありがとうございます~」

 磯村さんは怪訝な目をしながらも、レジへと足を進めた。俺は彼のあとについて行き、支払いを済ませる。



「....八重?起きられるか?」

「.....ん~」

「.....だよな。.....どうすっか」

 席に戻った俺は、さっきより明らかに熟睡し始めている幼馴染を前に悩んだ。

 そしてーー。

 外に出るため再び羽織った上着のポケットからスマホを取り出して、画面を操作し始めた。
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