いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜

こころ ゆい

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私の中身はそんなにダメですか?

7.うそだろ(一生side)

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 ゴクリ。
 俺は、全身を包む緊張感を押し流すように水を一口飲み込んだ。

 ドクドクとありえない速さで音を立てる心臓をギュッとつかみたいのを我慢して、代わりに拳に力を入れる。

「あー....だから。お前が見る目なさすぎるんだよ。そんな男のどこが良かったんだよ」

「...........」

「.....告白されたから付き合うって、そんなお前の中身知らずに告白してくるようなやつに碌なのが居るわけないだろ?」

「...........」

 そこで一旦切って、きゅっと目を閉じる。握り拳にさらに力を入れると伸びてもいない爪が掌に食い込んだ気がした。

「もっとよく周り見てみろよ。すぐ近くに....な、なんなら目の前に....」

「...........」

 スーッと吸った息を、一気に吐き出すように勢いよく....大事な部分は緊張しすぎて少しつっかえたが、何とか口にできた、と思ったとき。

「.....って八重.....?聞いてんのか?」

 幼馴染から全く反応がないことに今更ながら気がついた。怖くて下に向けていた視線を、ちらりと向かいの席に滑らせる。

「う.....そ、だろぉ~.....」

 はぁ~、と大きなため息をひとつ。

 目の前には、背もたれに身体をくてんと預けて穏やかな寝息を立てる八重が居た。

 がくり、と全身の脱力感に襲われて、俺は机に突っ伏して項垂れた。

「.....またかよ~....これで何回目だ?てか、今日は一体どこまで聞いてたんだよ、こいつ~....」

 しばらく身体を動かす気力も起きずに、机に伏せたまま時間が過ぎる。

「....どうしていつもこうなんだよ。....今日こそは、って....気合い入れたのに。.....いつになれば伝わるんだよ。.....なぁ、」

 ーーいい加減こっち見ろよ、八重....

「.....ん」

 ピクリ。

 心の底からの声が口からするりと滑り出た瞬間、目の前の幼馴染が身じろぎした気配がした。俺の耳はダンボになって、同時に身体をピクリと揺らす。

 そして八重のこととなると精度が増し増しになる耳は、彼女のどんなに小さな声も拾う始末。

 静かだけれど、甘ったるさを含む声が、俺の全身にジンと波紋を広げていった。

(.....八重)

 そろり、と目をのぞかせて、鼻をのぞかせて....唇と顎をのぞかせてーー。

 気づいた時には、欲にあらがえず、身体も顔も視線も。すべてが彼女を向いていた。

 頬杖をついて、じっと見つめてしまう。
 口の端はゆっくりと上がってーー贅沢な時間を味わった。

「.......特等席」

 ぽそり呟きが漏れる。

「ふ、ふ、ふ~」

 コトリ、という静かな音と共に、突然ぬっと視界に影がさした。八重の寝顔に夢中になっていた俺は不覚にも、その時やっと気づいて、焦った声を上げる。

「....っ、い、磯村さん」

(いつから....!?)
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