17 / 18
懲りずに新しい恋を探しちゃいけませんか?
1. 俺特製のパンケーキ①
しおりを挟む
「...ふ、ふふふ。くすぐったいから、チビ。こら、やめなさい」
「.....誰が“チビ“だって?」
「....へ?」
ふわふわの毛皮を撫でていたら、急に目の前の“チビ“のタルンと柔らかそうな口から男の人の低い声が聞こえた。
「夢でも見てんのか?....おい、八重。そろそろ戻ってこい」
と、今度は私の両肩に可愛らしい肉球をむきゅっと当てて、ゆさゆささと身体を揺すり始めた。小さな見た目にそぐわぬ力強さだ。
「....やーえ。起きろ?.....八重の好きなパンケーキ焼いてやったぞ。ほれ」
おかしな行動におかしな発言。
私の頭ははてなマークでいっぱいになった時ーーふわんと鼻腔をくすぐる甘い香りが漂ってくる。
「....パン、ケーキ?」
無意識に頬がゆるんで、よだれが出そうになる。その顔を見て“チビ“が長い口をパカッと開いて、赤い舌をべろんと垂れた。
「....くっ、くくく。そ。お前の好きな、俺特製のふわふわパンケーキ」
「....おれ、特製の」
そこまで聞いて、やっと意識が浮上した私はーー。
「お。やっとお目覚めですか?お嬢様」
「いっ、せー....?」
「ん。....おはよ」
ぱちぱちとゆっくり瞬きを繰り返して、寝ぼけ眼のはっきりしない頭で、目の前の光景をぼんやり認識する。
(眩しい....)
朝日に照らされた頬にくっついた後れ毛が、大きな手でするりと耳にかけられた。
「.....え?」
徐々に覚醒してきて、気づいた時には一生の綺麗な顔が私の目と鼻の先にあった。
「な、何で?...というか、ここって」
「俺の部屋」
キョロキョロ見回せば、黒と白を基調にした室内。
きちんと片付けられてスッキリしているが、無造作に置かれているものもあって。きっちりしすぎない所が一生らしい。
「覚えてないのか?昨日のこと」
「昨日....?」
頭をフル回転させる。
そういえば昨日...磯村さんのお店を出た記憶がない。
「八重、店でそのまま寝入って。八重ママに連絡してから、俺のマンション連れてきたんだよ。....あんな状態で帰ったら心配するだろ」
「うっ。....ありがとう」
「俺と一緒だって知ったら、安心してたから大丈夫だと思うぞ」
「うん」
私の母は優しい。泣いてぐちゃぐちゃになった顔も、お酒に酔っているのも。見たらきっと気にしていただろう。異性だけれど幼馴染だけあって、一生は両親にすごく信頼されていた。
「.....とりあえず、頭。離してくれるか?』
「え?....あっ、ご、ごご、ごめん!」
と、一生の呆れた声。
見ると、私はなぜか一生の頭を両手でわしゃわしゃする体勢で停止しているではないか。心なしか乱れた彼の髪の毛をチラ見する。....嫌な予感しかない。
「うわ、髪の毛すごいな」
「....もしかして、私....何かやらかした?」
「ん?昨日?」
「昨日もだけど....今も」
手を落ち着きなくうねうねする。一瞬きょとりと静止した一生は、すぐにニッと笑った。
「....俺の髪の毛、そんなにチビの毛皮と似てたか?」
「うう、ごめんなさい....」
.....やっぱり。予想通りやらかしていた。
「ははっ、いいって。それより時間大丈夫か?」
「あ.....」
白い壁にかけた犬形の時計は長い針がちょうどてっぺんを指していて、朝の7:00を知らせていた。
「.....誰が“チビ“だって?」
「....へ?」
ふわふわの毛皮を撫でていたら、急に目の前の“チビ“のタルンと柔らかそうな口から男の人の低い声が聞こえた。
「夢でも見てんのか?....おい、八重。そろそろ戻ってこい」
と、今度は私の両肩に可愛らしい肉球をむきゅっと当てて、ゆさゆささと身体を揺すり始めた。小さな見た目にそぐわぬ力強さだ。
「....やーえ。起きろ?.....八重の好きなパンケーキ焼いてやったぞ。ほれ」
おかしな行動におかしな発言。
私の頭ははてなマークでいっぱいになった時ーーふわんと鼻腔をくすぐる甘い香りが漂ってくる。
「....パン、ケーキ?」
無意識に頬がゆるんで、よだれが出そうになる。その顔を見て“チビ“が長い口をパカッと開いて、赤い舌をべろんと垂れた。
「....くっ、くくく。そ。お前の好きな、俺特製のふわふわパンケーキ」
「....おれ、特製の」
そこまで聞いて、やっと意識が浮上した私はーー。
「お。やっとお目覚めですか?お嬢様」
「いっ、せー....?」
「ん。....おはよ」
ぱちぱちとゆっくり瞬きを繰り返して、寝ぼけ眼のはっきりしない頭で、目の前の光景をぼんやり認識する。
(眩しい....)
朝日に照らされた頬にくっついた後れ毛が、大きな手でするりと耳にかけられた。
「.....え?」
徐々に覚醒してきて、気づいた時には一生の綺麗な顔が私の目と鼻の先にあった。
「な、何で?...というか、ここって」
「俺の部屋」
キョロキョロ見回せば、黒と白を基調にした室内。
きちんと片付けられてスッキリしているが、無造作に置かれているものもあって。きっちりしすぎない所が一生らしい。
「覚えてないのか?昨日のこと」
「昨日....?」
頭をフル回転させる。
そういえば昨日...磯村さんのお店を出た記憶がない。
「八重、店でそのまま寝入って。八重ママに連絡してから、俺のマンション連れてきたんだよ。....あんな状態で帰ったら心配するだろ」
「うっ。....ありがとう」
「俺と一緒だって知ったら、安心してたから大丈夫だと思うぞ」
「うん」
私の母は優しい。泣いてぐちゃぐちゃになった顔も、お酒に酔っているのも。見たらきっと気にしていただろう。異性だけれど幼馴染だけあって、一生は両親にすごく信頼されていた。
「.....とりあえず、頭。離してくれるか?』
「え?....あっ、ご、ごご、ごめん!」
と、一生の呆れた声。
見ると、私はなぜか一生の頭を両手でわしゃわしゃする体勢で停止しているではないか。心なしか乱れた彼の髪の毛をチラ見する。....嫌な予感しかない。
「うわ、髪の毛すごいな」
「....もしかして、私....何かやらかした?」
「ん?昨日?」
「昨日もだけど....今も」
手を落ち着きなくうねうねする。一瞬きょとりと静止した一生は、すぐにニッと笑った。
「....俺の髪の毛、そんなにチビの毛皮と似てたか?」
「うう、ごめんなさい....」
.....やっぱり。予想通りやらかしていた。
「ははっ、いいって。それより時間大丈夫か?」
「あ.....」
白い壁にかけた犬形の時計は長い針がちょうどてっぺんを指していて、朝の7:00を知らせていた。
10
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる