【完】25年後、君と答え合わせ

こころ ゆい

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第二章 25th Birth day

いつかの約束②

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「...あ、花乃ちゃん。....私ね、行けたの」
「....ん?どこに?」
「へへ、あのね。....両親と、遊園地」
「...え、本当!?」
「うん。退院はできても、勉強とか、学校生活とか...。もう、毎日に追われて全然余裕がなくてね。情けないことに、すっかりそのことが頭から抜けてたの。....それで、何とかみんなが歩んでる日常に追いつけたかなって自分なりに、ホッとして....立ち止まった瞬間にね。思い出したんだ。遊園地に、両親を連れて行ってあげたかったんだったって」

 しみじみ思い返すように話す瑠璃の声に、静かに耳を傾ける。

「...十数年かかっちゃったけど。その日は、私が全部計画して、車の運転もお父さんじゃなくて、私がしてね。サプライズで両親を連れて行ったの。おっきな遊園地!それで、まだまだ僅かなものだけど....私が稼いだお金でね、両親と乗り物乗ったり、甘いデザート食べたり」
「うん...うん....」
「...最後に、その日の思い出にお土産屋さんで写真たて買って。....今ね、リビングにその日の写真を入れて飾ってあるんだ」
「...瑠璃ちゃん...おめでとう!すごい、すごいね。瑠璃ちゃん...良かった、本当に。夢が叶って良かった」

 嬉しくて、涙が出てきて、花乃はズビズビと鼻をすすりながら笑顔で瑠璃に言った。

「もう、花乃ちゃんったら。泣きすぎ...。両親もね、毎日その写真見てデレデレしてて。呆れちゃうくらいなのよ?」

 明らかに嬉しそうな声で「しょうがないな」と言う瑠璃が、花乃は微笑ましかった。

******

「あ...そろそろ仕事に戻らなきゃ」
「もうそんな時間...?あっという間だったね」
「うん。でも、久しぶりに花乃ちゃんの顔見ながら話せて、良かった。...そうだ。花乃ちゃん、これ」
「ん?」
「...誕生日プレゼント。良ければ、使って?」
「わぁ...ありがとう、瑠璃ちゃん。...なんだろう?」

 瑠璃に差し出されたものに、花乃が手探りで手を伸ばす。かたくて、ツルツルしていて...ひんやり金属の部品もついている。

「あ...髪留め?」
「すごい、当たりだ。あのね、これ、鼈甲でできたバレッタなの。色合いも落ち着いた琥珀色でね、花の模様が彫られてて可愛いんだよ。花乃ちゃんに似合うと思って」
「瑠璃ちゃん...嬉しい」
「ふふ、良かった。あ、今ちょうど髪の毛が編み込んであるし、つけてあげるよ」
「うん、お願いします」

 瑠璃はサイドで編まれて後ろで結ばれているハーフアップの花乃の髪の毛に、鼈甲のバレッタをつけてくれた。

「可愛い!やっぱり似合うね」
「本当?ありがとう、瑠璃ちゃん。大切にするね」
「うん!今日は花乃ちゃんにも会えて、プレゼントも渡せて、大満足だ!あと数時間、仕事頑張れそうだよ」
「ふふ、瑠璃ちゃんったら。頑張ってね」
「うん!」

 瑠璃がバタバタと帰り支度をする気配を感じながら、花乃が立ち上がると、千春がすぐに寄り添ってくれる。そして、瑠璃に声をかけた。

「瑠璃ちゃん、今日は急に無理言ってごめんね。来てくれてありがとう」

 瑠璃が、笑って答える。

「ふふ、千春さんは“いつも“急なので。特に驚きませんよ」

(....え?...“いつも“?)

 ニコニコ会話を聞いていた花乃は、その言葉にピクっと身を強張らせた。そんな様子に気づかず、二人は話し続ける。

「はは、そっか。...あ。そういえば、あいつが瑠璃ちゃんのこと気にしてた」
「...あいつ?」
「ああ。如月慎也。覚えてる?」
「....はい」
「そっか。さっき、ちょうど会う機会があってね。瑠璃ちゃんはどうしてるかって。...よく聞かれるんだよね」
「....そう、ですか」
「...うん、まぁ、それだけ。...また連絡するよ。じゃね」
「あ...はい!じゃあ...花乃ちゃん、今日はありがとう!また、絶対会いにいくから。素敵なお誕生日、過ごしてね」

 二人の会話に耳を澄ませていた花乃は、再び話を振られて驚いたが....何とか笑顔を取り繕った。

「...あ、うん!こちらこそありがとう、瑠璃ちゃん。気をつけてね。おじさまとおばさまにも、よろしくね」
「もちろん。花乃ちゃんが元気だったって、両親にも伝えとく。またね!」
「...うん!またね」

 そして、瑠璃とわかれた。
 花乃は、遊園地の楽しげな音楽を聴きながら...しばらく瑠璃の去っていった方向を呆然と見つめていたーー。
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