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第二章 25th Birth day
いつかの約束①
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「....瑠璃、ちゃん?」
「うん...うん...っ!瑠璃だよ...!...本当に花乃ちゃんだぁ...っ」
「る、瑠璃ちゃん...」
「会いたかった...花乃ちゃん」
「うん...うん...私も。会いたかった」
ふわりと包まれた温かさ。それは、花乃が10歳の頃転院してしまった瑠璃だった。
あまりに突然で、何が起こったのか状況がつかめない。でも、今確かにここに瑠璃がいて、花乃を抱きしめている。
再会できたことが嬉しくて、瑠璃につられて花乃までぐすっと鼻を鳴らした。
*****
落ち着いてきた頃、花乃は彼女の背中を撫でながら尋ねる。
「でも...どうして、瑠璃ちゃんが?」
「...へへ、驚いた?...あのね、千春さんから連絡が来たの。今日花乃ちゃんと一緒にここまで来るから、会ってやってくれないかって。それで、ちょうど仕事を抜けられる時間に合わせて待ち合わせしてたの」
「...千春が?」
花乃は、隣にいる千春の方を見遣る。
「...サプライズ。...花乃、瑠璃ちゃんとすごく会いたがってただろ?...強がってても、バレバレだったぞ」
「...千春~...ありがとう」
花乃は、ずっと瑠璃のことが気になっていた。文通は続けていたから、その時々で彼女の現状を把握することはできていたけれど...やっぱり会って、直接話したかった。
瑠璃の明るい笑い声を聞きながら、お喋りしたかった。
両親や千春に心配をかけまいと、うまく隠していたはずなのに...やっぱり千春は花乃のことをよくわかっている。
「...ん。良かったな」
優しい声で短い返事がかえってきて、大きな手で頭をポンポンされた。
「...さて、お二人さん。立ち話もなんだし...そこ入って話そうか」
「...うん!入ろう!...花乃ちゃん、こっちだよ」
「え...う、うん」
千春がどこのことを言ったのかわからなかったが、瑠璃の元気な返事が聞こえたので、花乃もそのままついていく。
今度は街のガヤガヤ音ではなく、ウキウキする音楽やガタゴトという何かの機械音、それからたくさんの人たちの声が近づいてくる。
「ここって...」
「へへ~。遊園地だよ、花乃ちゃん」
「遊園地...」
「....ここ、乗り物に乗らずに入園だけでも利用できるらしい。そこに座って待ってて。何か、飲み物でも買ってくるよ」
千春が、机と椅子の場所まで誘導してくれる。花乃と瑠璃は、お言葉に甘えて、話しながら待つことにした。
*****
「...花乃ちゃん、25歳のお誕生日、おめでとう」
「...瑠璃ちゃん...ありがとう」
瑠璃は、嬉しくてたまらないという声でお祝いしてくれた。花乃の心が、じんわりと温かくなる。
「...花乃ちゃん、綺麗になった。すっかり大人になったね」
「そうかな...?瑠璃ちゃんも...なんだかとっても良い香りがして...これはスーツ?...大人の女性でカッコいい。もう社会人なんだね」
花乃の肌に触れる服は、しっかりした素材のジャケットやパンツスーツのようだった。仕事の合間を縫って来てくれていることを、改めて実感した。
「...うん。何とかね。...あれから、体調は退院できるまで回復できたけど...その後なかなかみんなに追いつけなくて。結局、他の子よりすごく時間がかかっちゃった」
へへ、と笑った瑠璃の声に、惨めさなんてひとつも感じない。やり切った満足感と自信を感じさせる声音だった。
「瑠璃ちゃん...とっても頑張ったんだね」
「...うん。私、頑張ったよ」
「うん、うん...瑠璃ちゃん、偉いね」
「...ふふ、うん。ありがとう」
瑠璃は、一時帰宅を数度経て、転院から5年後...彼女が17歳の頃には退院し、通院に切り替えていた。
退院後、そのままその地域に家族で住み始めた瑠璃は、高校に皆と同じように通い始め、学びたい学科がある大学を受験した。今までの時間を取り戻すのは並大抵のことでなく、躓くこともあったらしい。
それでも諦めずに挑戦し続けて...瑠璃は無事、高校も大学も卒業。一昨年、入りたかった会社に就職したそうだ。
瑠璃が住んでいる地域と花乃の病院は離れていて、会うことは難しかった。
手紙で、「いつかまた会おうね」と約束していたが、まさかその約束が今日こんな形で叶うと思っていなかった。
「やっと会えた...」
「本当。やっと会えた...。瑠璃ちゃん元気かなって、届いた手紙何度も読み返してもらって、いつも思ってたよ。お願いしすぎて、お母さんも私も文章覚えちゃうくらい」
ふふふ、と肩を震わせて笑う花乃は、瑠璃に会えた嬉しさでご機嫌だった。
「本当?嬉しいなぁ。私も、花乃ちゃんからもらった手紙、全部大切に保管してるよ。毎回違った封筒や便箋ですごく可愛いし、花乃ちゃんの優しい文章見てたら、仕事で落ち込んでてもわぁっと元気になれるの」
「瑠璃ちゃんの励ましになってて、良かった。....お仕事、大変?」
「うーん...ちょっぴり。弱音吐いちゃダメかもだけど」
「ううん、そんなことないよ。.....糸もずっとピンと張ってたら、いつか切れちゃうんだって。たまに弛むくらいがいいんだよってお母さんに言われたことあるよ。たまには、吐き出さないと」
「...ありがとう。花乃ちゃん。...でもね、大変なのは大変だけど...やっぱり入りたかった会社で働いてることがすごく楽しいの。だから、私...頑張るからね」
「ふふ、うん、うん!瑠璃ちゃんなら、大丈夫だよ。すごく強い子だもん」
「へへ、うん!」
そして、花乃と瑠璃は会えない時間を埋めるように語り合った。入院生活のこと、今している治療のこと、千春のこと、瑠璃の仕事のこと、毎日の楽しみのこと。
途中、千春が戻ってきて、二人の前に飲み物を置いてくれる。何も言わず....花乃と瑠璃の時間を優しく見守るように、そっと。
「うん...うん...っ!瑠璃だよ...!...本当に花乃ちゃんだぁ...っ」
「る、瑠璃ちゃん...」
「会いたかった...花乃ちゃん」
「うん...うん...私も。会いたかった」
ふわりと包まれた温かさ。それは、花乃が10歳の頃転院してしまった瑠璃だった。
あまりに突然で、何が起こったのか状況がつかめない。でも、今確かにここに瑠璃がいて、花乃を抱きしめている。
再会できたことが嬉しくて、瑠璃につられて花乃までぐすっと鼻を鳴らした。
*****
落ち着いてきた頃、花乃は彼女の背中を撫でながら尋ねる。
「でも...どうして、瑠璃ちゃんが?」
「...へへ、驚いた?...あのね、千春さんから連絡が来たの。今日花乃ちゃんと一緒にここまで来るから、会ってやってくれないかって。それで、ちょうど仕事を抜けられる時間に合わせて待ち合わせしてたの」
「...千春が?」
花乃は、隣にいる千春の方を見遣る。
「...サプライズ。...花乃、瑠璃ちゃんとすごく会いたがってただろ?...強がってても、バレバレだったぞ」
「...千春~...ありがとう」
花乃は、ずっと瑠璃のことが気になっていた。文通は続けていたから、その時々で彼女の現状を把握することはできていたけれど...やっぱり会って、直接話したかった。
瑠璃の明るい笑い声を聞きながら、お喋りしたかった。
両親や千春に心配をかけまいと、うまく隠していたはずなのに...やっぱり千春は花乃のことをよくわかっている。
「...ん。良かったな」
優しい声で短い返事がかえってきて、大きな手で頭をポンポンされた。
「...さて、お二人さん。立ち話もなんだし...そこ入って話そうか」
「...うん!入ろう!...花乃ちゃん、こっちだよ」
「え...う、うん」
千春がどこのことを言ったのかわからなかったが、瑠璃の元気な返事が聞こえたので、花乃もそのままついていく。
今度は街のガヤガヤ音ではなく、ウキウキする音楽やガタゴトという何かの機械音、それからたくさんの人たちの声が近づいてくる。
「ここって...」
「へへ~。遊園地だよ、花乃ちゃん」
「遊園地...」
「....ここ、乗り物に乗らずに入園だけでも利用できるらしい。そこに座って待ってて。何か、飲み物でも買ってくるよ」
千春が、机と椅子の場所まで誘導してくれる。花乃と瑠璃は、お言葉に甘えて、話しながら待つことにした。
*****
「...花乃ちゃん、25歳のお誕生日、おめでとう」
「...瑠璃ちゃん...ありがとう」
瑠璃は、嬉しくてたまらないという声でお祝いしてくれた。花乃の心が、じんわりと温かくなる。
「...花乃ちゃん、綺麗になった。すっかり大人になったね」
「そうかな...?瑠璃ちゃんも...なんだかとっても良い香りがして...これはスーツ?...大人の女性でカッコいい。もう社会人なんだね」
花乃の肌に触れる服は、しっかりした素材のジャケットやパンツスーツのようだった。仕事の合間を縫って来てくれていることを、改めて実感した。
「...うん。何とかね。...あれから、体調は退院できるまで回復できたけど...その後なかなかみんなに追いつけなくて。結局、他の子よりすごく時間がかかっちゃった」
へへ、と笑った瑠璃の声に、惨めさなんてひとつも感じない。やり切った満足感と自信を感じさせる声音だった。
「瑠璃ちゃん...とっても頑張ったんだね」
「...うん。私、頑張ったよ」
「うん、うん...瑠璃ちゃん、偉いね」
「...ふふ、うん。ありがとう」
瑠璃は、一時帰宅を数度経て、転院から5年後...彼女が17歳の頃には退院し、通院に切り替えていた。
退院後、そのままその地域に家族で住み始めた瑠璃は、高校に皆と同じように通い始め、学びたい学科がある大学を受験した。今までの時間を取り戻すのは並大抵のことでなく、躓くこともあったらしい。
それでも諦めずに挑戦し続けて...瑠璃は無事、高校も大学も卒業。一昨年、入りたかった会社に就職したそうだ。
瑠璃が住んでいる地域と花乃の病院は離れていて、会うことは難しかった。
手紙で、「いつかまた会おうね」と約束していたが、まさかその約束が今日こんな形で叶うと思っていなかった。
「やっと会えた...」
「本当。やっと会えた...。瑠璃ちゃん元気かなって、届いた手紙何度も読み返してもらって、いつも思ってたよ。お願いしすぎて、お母さんも私も文章覚えちゃうくらい」
ふふふ、と肩を震わせて笑う花乃は、瑠璃に会えた嬉しさでご機嫌だった。
「本当?嬉しいなぁ。私も、花乃ちゃんからもらった手紙、全部大切に保管してるよ。毎回違った封筒や便箋ですごく可愛いし、花乃ちゃんの優しい文章見てたら、仕事で落ち込んでてもわぁっと元気になれるの」
「瑠璃ちゃんの励ましになってて、良かった。....お仕事、大変?」
「うーん...ちょっぴり。弱音吐いちゃダメかもだけど」
「ううん、そんなことないよ。.....糸もずっとピンと張ってたら、いつか切れちゃうんだって。たまに弛むくらいがいいんだよってお母さんに言われたことあるよ。たまには、吐き出さないと」
「...ありがとう。花乃ちゃん。...でもね、大変なのは大変だけど...やっぱり入りたかった会社で働いてることがすごく楽しいの。だから、私...頑張るからね」
「ふふ、うん、うん!瑠璃ちゃんなら、大丈夫だよ。すごく強い子だもん」
「へへ、うん!」
そして、花乃と瑠璃は会えない時間を埋めるように語り合った。入院生活のこと、今している治療のこと、千春のこと、瑠璃の仕事のこと、毎日の楽しみのこと。
途中、千春が戻ってきて、二人の前に飲み物を置いてくれる。何も言わず....花乃と瑠璃の時間を優しく見守るように、そっと。
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