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第二章 25th Birth day
仲直りのホットココア
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トン。トントン。
「.......?」
肩を優しく叩かれた。
蹲っていた花乃は、ゆるゆると顔をあげる。
『ホッホッホ。甘いココアは、いかがかな?美しいお嬢さん』
「........」
『今なら、なんとマシュマロもプレゼント中だよ!ほら、ココアに浮かべれば美味しさ倍増!...ここの人気商品、ぜひ味わってみないかーい?ホッホッホ』
花乃は、しばし停止して、おずおずと手を伸ばした。
その人物は、すぐに動きに気づいて自分から顔を寄せてくれる。
花乃の手に、ふわふわツルツルした柔らかなものが触れた。
「...千春。これ、どうしたの?」
ギクリ。
その瞬間、目の前の人物は身をかたくして...大きなため息をついた。
「...はぁ~。どうしてわかった?声も意識して変えたのに」
千春だ。さっき離れていったはずの千春が、何故か違う格好をして現れた。
「...ふ、ふふふ。だから...足音。千春はね、最後に少しだけ足が地面に擦れるの」
「...何だ、それ。俺、そんなクセがあるのか」
「うん。音にもしっかりそれが伝わってるよ」
「へぇ~。花乃はやっぱりすごいな」
よしよしと、また頭を撫でられる。
(すごくないよ。当たり前だよ。...だって、私の一番好きな音だもん。...千春が、会いに来てくれた音だもん)
「あ...と、悪い。これが嫌なんだな?」
「嫌じゃない...」
「ん?」
「...さっきのは、完全に八つ当たり。...ごめんなさい」
「...そうか」
千春は、優しい声でそれだけ言ってまた頭をポンポンしてくれる。
「...怒らないの?」
「ん?」
「...八つ当たりなんてして。私...本当子供っぽいでしょ?...もっと怒っていいよ?」
「...んー。そうだな」
「.........」
千春は、その後一瞬考え込んで...「でも」と続けた。
「...花乃は、そのままでいい。...そのままがいい。俺、嬉しいんだ。花乃が俺に自分を見せてくれるのが。だから...感情隠すな。...俺には、全部言ってほしい」
それは、心の底からの声で...花乃は身を震わせる。
「...何それ。...千春、優しすぎるよ」
「はは、花乃、いつもそれ言うな」
「だって...」
「花乃なら、いいんだ」
「え?」
「花乃なら、何されてもいい」
「...言ってる意味わかってる?」
「ああ、もちろん。というか、花乃に何されても嫌になる気がしないんだよ。...あ、大学の頃に『来なくていいよ』って言われた時はムッとしたけど」
「...ごめんなさい」
「いいよ。...俺のこと考えて言ってくれたのわかってるから」
二人の間に穏やかな沈黙が落ちたあと、千春がゆっくり口を開いた。
「...そういえば、“喧嘩したら相手をより知れてもっと仲良くなれる“んだっけ?」
「あ...」
初めて喧嘩した時、そんな話をした気がする。
「昔、花乃が言ったんだぞ?...ってことは、今日、俺らもっと仲良くなれたし...良いことずくめだな」
千春がニッと笑った感じがして...花乃は肩の力が抜ける。
「...うん」
何だか無性に千春のそばに行きたくなって、花乃は手探りで服の裾を探す。
触れた布を小さな手でギュッと握れば、千春が気づいて花乃と距離をつめるみたいにもっと歩み寄ってくれた。
「ん?」
優しい声音が上からおちてきて、自分でも驚くほど甘えた声が出る。
「...ううん。...一人、怖かった。...自分で言っといて変なのわかってるけど」
「あ...ごめんな?怖かったよな」
「......」
「花乃の姿は見えてたんだ。すぐそこの店に寄ってただけだから」
「...これ、買ったの?」
花乃が千春の顎のあたりを、ゆっくりと手で探る。
触れたふわふわの正体を、千春に尋ねるために。
「ああ。花乃の様子が変だったから、何かないかなって」
花乃は千春の顎から上に、少しずつ手でペタペタ触れて、頭に触れるためにつま先立ちになった。
千春が屈んでくれた気配がして、また、花乃の足全体が地面につく。
「...サンタクロース?」
「はは、わかるか?何故か、そこのお土産屋でさ、サンタクロースの髭と帽子が売ってて。まぁ、ちょっと時期は早いけど...花乃、笑わせてやれるかなって」
「ふ、ふふふ。もう、千春、突然すぎるよ」
「そうか?...でも、ほら」
「......?」
千春が急に黙って...花乃の頬を、優しい指がそっと撫でる。
「...笑っただろ」
「あ....」
「良かった。...花乃が笑って」
千春が、ふっと笑んだのが伝わって...花乃の胸がきゅっと音をたてた。
(...きゅっ、てなに?)
嫌な感じはない。でも、何か...今までと違う気持ちが、花乃の心に積もっている気がして...花乃は、黙って俯いた。
少し頭を傾けたら、千春の胸にくっつきそうな距離。
まだ湯気を立てているであろうココアの甘い香りがすぐそばでしていた。
もう離れてもいいはずなのに、千春も...花乃も...二人の足は動かない。
(離れたくないな...)
そう思ったのは、一人になった怖さと、千春と仲直りできた嬉しさ。その気持ちからくる感情だろうか。
その正体が何なのか、やっぱり花乃にはわからなくて....花乃は考えることより、千春とのこの時間をゆっくり味わうことにした。
トン。トントン。
「.......?」
肩を優しく叩かれた。
蹲っていた花乃は、ゆるゆると顔をあげる。
『ホッホッホ。甘いココアは、いかがかな?美しいお嬢さん』
「........」
『今なら、なんとマシュマロもプレゼント中だよ!ほら、ココアに浮かべれば美味しさ倍増!...ここの人気商品、ぜひ味わってみないかーい?ホッホッホ』
花乃は、しばし停止して、おずおずと手を伸ばした。
その人物は、すぐに動きに気づいて自分から顔を寄せてくれる。
花乃の手に、ふわふわツルツルした柔らかなものが触れた。
「...千春。これ、どうしたの?」
ギクリ。
その瞬間、目の前の人物は身をかたくして...大きなため息をついた。
「...はぁ~。どうしてわかった?声も意識して変えたのに」
千春だ。さっき離れていったはずの千春が、何故か違う格好をして現れた。
「...ふ、ふふふ。だから...足音。千春はね、最後に少しだけ足が地面に擦れるの」
「...何だ、それ。俺、そんなクセがあるのか」
「うん。音にもしっかりそれが伝わってるよ」
「へぇ~。花乃はやっぱりすごいな」
よしよしと、また頭を撫でられる。
(すごくないよ。当たり前だよ。...だって、私の一番好きな音だもん。...千春が、会いに来てくれた音だもん)
「あ...と、悪い。これが嫌なんだな?」
「嫌じゃない...」
「ん?」
「...さっきのは、完全に八つ当たり。...ごめんなさい」
「...そうか」
千春は、優しい声でそれだけ言ってまた頭をポンポンしてくれる。
「...怒らないの?」
「ん?」
「...八つ当たりなんてして。私...本当子供っぽいでしょ?...もっと怒っていいよ?」
「...んー。そうだな」
「.........」
千春は、その後一瞬考え込んで...「でも」と続けた。
「...花乃は、そのままでいい。...そのままがいい。俺、嬉しいんだ。花乃が俺に自分を見せてくれるのが。だから...感情隠すな。...俺には、全部言ってほしい」
それは、心の底からの声で...花乃は身を震わせる。
「...何それ。...千春、優しすぎるよ」
「はは、花乃、いつもそれ言うな」
「だって...」
「花乃なら、いいんだ」
「え?」
「花乃なら、何されてもいい」
「...言ってる意味わかってる?」
「ああ、もちろん。というか、花乃に何されても嫌になる気がしないんだよ。...あ、大学の頃に『来なくていいよ』って言われた時はムッとしたけど」
「...ごめんなさい」
「いいよ。...俺のこと考えて言ってくれたのわかってるから」
二人の間に穏やかな沈黙が落ちたあと、千春がゆっくり口を開いた。
「...そういえば、“喧嘩したら相手をより知れてもっと仲良くなれる“んだっけ?」
「あ...」
初めて喧嘩した時、そんな話をした気がする。
「昔、花乃が言ったんだぞ?...ってことは、今日、俺らもっと仲良くなれたし...良いことずくめだな」
千春がニッと笑った感じがして...花乃は肩の力が抜ける。
「...うん」
何だか無性に千春のそばに行きたくなって、花乃は手探りで服の裾を探す。
触れた布を小さな手でギュッと握れば、千春が気づいて花乃と距離をつめるみたいにもっと歩み寄ってくれた。
「ん?」
優しい声音が上からおちてきて、自分でも驚くほど甘えた声が出る。
「...ううん。...一人、怖かった。...自分で言っといて変なのわかってるけど」
「あ...ごめんな?怖かったよな」
「......」
「花乃の姿は見えてたんだ。すぐそこの店に寄ってただけだから」
「...これ、買ったの?」
花乃が千春の顎のあたりを、ゆっくりと手で探る。
触れたふわふわの正体を、千春に尋ねるために。
「ああ。花乃の様子が変だったから、何かないかなって」
花乃は千春の顎から上に、少しずつ手でペタペタ触れて、頭に触れるためにつま先立ちになった。
千春が屈んでくれた気配がして、また、花乃の足全体が地面につく。
「...サンタクロース?」
「はは、わかるか?何故か、そこのお土産屋でさ、サンタクロースの髭と帽子が売ってて。まぁ、ちょっと時期は早いけど...花乃、笑わせてやれるかなって」
「ふ、ふふふ。もう、千春、突然すぎるよ」
「そうか?...でも、ほら」
「......?」
千春が急に黙って...花乃の頬を、優しい指がそっと撫でる。
「...笑っただろ」
「あ....」
「良かった。...花乃が笑って」
千春が、ふっと笑んだのが伝わって...花乃の胸がきゅっと音をたてた。
(...きゅっ、てなに?)
嫌な感じはない。でも、何か...今までと違う気持ちが、花乃の心に積もっている気がして...花乃は、黙って俯いた。
少し頭を傾けたら、千春の胸にくっつきそうな距離。
まだ湯気を立てているであろうココアの甘い香りがすぐそばでしていた。
もう離れてもいいはずなのに、千春も...花乃も...二人の足は動かない。
(離れたくないな...)
そう思ったのは、一人になった怖さと、千春と仲直りできた嬉しさ。その気持ちからくる感情だろうか。
その正体が何なのか、やっぱり花乃にはわからなくて....花乃は考えることより、千春とのこの時間をゆっくり味わうことにした。
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