【完】25年後、君と答え合わせ

こころ ゆい

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第三章 芽吹き

治療の終わり

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「...花乃ちゃん、外すよ。準備はいいかな?」
「...はい」

 如月の落ち着いた声がそばで響いた。
 結び目に手がかけられ、スルスルと目に巻かれていた包帯が解かれていく。

 パラっと最後の帯がベッドの上に落ちた。

「...いいよ。...ゆっくり、目を開けてみて」
「...はい」

 花乃はそろりと...おそるおそる瞼を上げていく。

 室内の明るさに慣れず、最初はぼんやりと...やがて明るさに慣れてくると、焦点が合ってきた。

 そこにいたのはーー。

「...お母さん?お父さん?....る、瑠璃ちゃん?...見えるっ、見えるよ。みんなの顔。...如月先生の顔も。...やっと会えたぁ...。私、みんなにやっと会えたっ」

 涙で目を潤ませながら、花乃が泣き笑いで言った。
 両親も、瑠璃も...身を震わせて目に涙を溜める。

 初めて、目を見てみんなと話すことができた。

「花乃っ...!」
「花乃ちゃん!お、おめでとう。良かった、良かったよぉ...」

 両親も瑠璃も、花乃を抱きしめて。
 わんわん、四人で泣いた。

 如月の病院に転院し、新しく治療を始めて一年。

 花乃の麻痺した体も、見えなかった目も....治ったのだ。時折出ていた高熱も、半年前からは一度も出ていない。

「おめでとう、花乃ちゃん。これで、治療は終了です。あとは経過を見るために通院かな。...最後までよく頑張ったね」
「あ、ありがとうございます、先生のおかげです。もう、私...なんて言ったら」

 花乃が如月に頭を下げてお礼を言った時だ。
 それを遮って、如月が言葉を漏らす。

「...俺じゃないんだ」
「...え?」
「この薬、俺じゃないんだよ。作ったのは...花乃ちゃんのよく知ってる人物」
「私の...知ってる、ひと?」
「....手越なんだ。この薬、作ったの」

 その言葉を聞いて、花乃は目を見開いた。
 花乃の体を元気にしてくれた薬は....千春が作ったもの。

「ち、はる?...千春が、この薬を?」
「うん。...一年前、あいつから荷物が届いて。そこに入ってたんだよ。....花乃ちゃんは知らなかったかもしれないけど、手越のやつ、ずっと何か研究してたんだ。多分、高校の頃から。大学でも続けてて、毎日...研究室に通ってた」
「........」

 花乃は震えた。千春はいつも忙しそうだった。
 体が心配になるほどに。

 まさか、自分のための薬の研究をしてくれていたなんて。

「先生...千春は?今、どうしてるんですか?また、何か連絡が来ていませんか?」

 千春の作った薬が届けられていた。
 ならば、その後も何かあるのではないだろうか。

 花乃は、もう気持ちがおさえられなかった。

「...あのね、花乃ちゃん。よく聞いてほしいんだけど」
「..........」

 如月は、話し始めた。ゆっくりと、花乃の反応を確かめながらーー。
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