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美しき雪豹は凍える少女を包み込みたい
6 〔完〕
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*****
「...はぁ。寒い」
吐いた息は、一瞬で冷えた空気にのみこまれる。
桃は、何度も手に吹きかけた。
図書館からの帰り道、公園に立ち寄った。
そこは時折、雪と一緒に来ていた場所で...ふと思い出して来てみたのだ。
一人、冷たいベンチに腰掛けて見る藍色の空は、何だかもの悲しくて....ツキンと小さく胸が痛んだ。
誤魔化すように口を開いて....桃は名を呼んだ。
ーー雪さん。
「...なに?」
ふわりと背後から何かに包み込まれて、桃はわけもわからずかたまった。
ゆるゆると目を見開いて、少しだけ振り返り見えたのは....会いたくてたまらなかった、雪の姿。
(....夢?)
桃は信じられない心地だった。
「桃ちゃん....危ないだろう?こんな時間に人気のない公園なんかに居たら」
「あ.....」
ぎゅうと力を込めて抱きしめられて。
桃はされるがまま...雪の腕に手を添えた。
その手まで、パシッと掴まれ、雪の大きな手に包まれれば。桃はこれが現実であるとじわじわ理解する。
「...どうして?」
「それより」
ギラと強い光を宿して至近距離で見つめられ、桃はピタリと動きを止める。
雪は腕を解いて、トスンと桃のすぐ隣に座った。
「...東堂 元に告白された?」
「あ....」
どうして知っているのだろうと、気まずく視線を逸らす。じっと見つめたまま、雪はおもむろに言った。
「....ダメだよ」
「え?」
ーーよそ見なんて許さない。僕のことだけ見てて。
「....ゆ、きさん?」
雪が、再び...今度はそっと...桃の冷えきった手を握る。
その間も、視線はじっと桃を貫いていて。
桃はその妖しい美しさに囚われて、動けない。
いつも優しく、穏やかで。
静かな海みたいな。しんしんと降る雪みたいな。
桃の知る雪は、そんな人物だったのに。
今はまるで...獲物を狙う獣のようだ。
トクントクンと胸が騒いだ。
と、雪の綺麗な唇がゆっくり動いて...言葉を紡いでいく。
「....桃ちゃん」
「.....はい」
ーー18歳の誕生日、おめでとう。
「........っ」
思わず口元を押さえた桃に、さらに言葉を続けた。
「...やっと、言える」
「....え?」
ーー僕に、君を一生守らせてほしい。
ーー僕の『花嫁』になって下さい。
「.......っ」
ぎゅぅと、目を瞑って涙を堪える桃を、雪は大きな身体で抱きしめる。
「....返事は?」
耳元で問われて、カァと赤くなりながら。
桃はコクリとひとつ頷いた。
「....いい?」
「はい...よろしくお願いします」
ぐすっと鼻を鳴らしながら、震える声で伝えれば、雪は満面の笑みを浮かべる。
再び抱きしめられて。さっきまで凍えていた体も心も、ぽかぽか温かくなっていた。
「...残念だな」
「.......へ?」
ちゅっ。
突然、額に落ちてきた口付け。
桃は、しっとり濡れた感触を肌で感じた。
「...本当の誕生日は、明日だろう?...あと数時間だけど」
ーー今日は...我慢しなきゃね。
「....っ、うん」
「はは、真っ赤だ。可愛い」
ぷしゅうと湯気が上がりそうなほど、顔を赤くして。桃は額を押さえていた。
嬉しそうな雪に、つんつんとほっぺをつつかれる。
「....桃ちゃん。...大好きだよ」
そう言って雪は、桃を抱き寄せる。
手の甲や額、耳、頬。色々なところに、軽くリップ音を響かせて。キスの雨が降ってきた。
「...ふふ、くすぐったい、雪さん」
「ん。ごめん...可愛すぎて」
「...もう。...あれ?そういえば、どうして元ちゃんに告白されたこと知ってたの?」
「...それ。繋がったままだったよ」
「.....?....っ、え、うそ!」
携帯電話の電源ボタンはまだ押されていなくて。電話はずっと繋がっていた。
気づいた桃は慌てたけれど、雪はくすくす楽しそうで。
「昔、言った言葉みたいで。僕は嬉しかったよ?」
「....“ずっと繋がっていられる“?」
「覚えてたんだ」
「うん、だって...嬉しかったもん」
二人視線を交わして、微笑み合う。
空を見上げれば、いつの間にか、藍色から夜の色へと変化していて。
公園の中にも、ベンチから見える景色にも。
人の影は見当たらなくて。
世界に二人だけしか存在しないような...
そんな気持ちになった。
「ねぇ....花嫁って」
「うん?」
「雪さん...もしかして、獣人さんだったの?」
「....ああ。意味が伝わってて良かった。...あとね、僕、君に言っておかないといけないんだ」
「........?」
「...誰も居ないから。少しだけ、目瞑っててくれる?」
「はい...」
そう言って立ち上がった雪は、桃が目を瞑ったのを確認すると....その姿を一変させた。
「...いいよ」
桃は目をゆっくりと開け、目の前の光景に息をのんだ。
「...雪、さん?」
「...そう。僕だよ」
そこには、夜の闇にも負けない白銀色の毛皮に覆われた大きな獣。月の光を受けて、幻想的に輝いていた。
まるで、自分が物語の中に入り込んだ錯覚に陥る。
ーーすごく...綺麗。
桃はうっとりと見惚れてしまった。
「....僕、獣化できるんだ」
「....けもの、か?」
「うん。...獣人には、時々居るんだよ。僕みたいな特異体質の者が」
「........」
「もちろん。今はコントロールできるし、生活で困ることはない。....嫌、になった?」
「...ううん!そんなこと、絶対ない!」
桃は、ぶんぶん首を振って。そっと雪に近づいた。
「...触ってもいい?」
「うん...」
それは、ふわふわもこもこしていて。しっとり柔らかい。
「うわぁ....っ、すっごい気持ちいいね」
「....そうかな」
「うん!ずっと触れてたいくらい」
桃は嬉しそうに笑った。
「...良かった。僕ね、家族は持てないと思ってたんだ」
「..........」
「でも、『花嫁』と...桃ちゃんと出会えて。僕は本当に幸せだ」
「私も....」
桃はふわふわの毛皮に抱きついて頬ずりした。
雪はペロリと桃のほっぺを舐めて、そしてまた人の姿へと戻っていく。
「あ....桃ちゃん」
「ん~?」
ご機嫌の桃が見上げれば、そこにはギラギラ光る雪の瞳。
「...東堂 元には、僕が断りを入れておくから」
ーーいいよね?
「....っ、は、はい」
二人の恋は、今始まったばかりだーー。
「...はぁ。寒い」
吐いた息は、一瞬で冷えた空気にのみこまれる。
桃は、何度も手に吹きかけた。
図書館からの帰り道、公園に立ち寄った。
そこは時折、雪と一緒に来ていた場所で...ふと思い出して来てみたのだ。
一人、冷たいベンチに腰掛けて見る藍色の空は、何だかもの悲しくて....ツキンと小さく胸が痛んだ。
誤魔化すように口を開いて....桃は名を呼んだ。
ーー雪さん。
「...なに?」
ふわりと背後から何かに包み込まれて、桃はわけもわからずかたまった。
ゆるゆると目を見開いて、少しだけ振り返り見えたのは....会いたくてたまらなかった、雪の姿。
(....夢?)
桃は信じられない心地だった。
「桃ちゃん....危ないだろう?こんな時間に人気のない公園なんかに居たら」
「あ.....」
ぎゅうと力を込めて抱きしめられて。
桃はされるがまま...雪の腕に手を添えた。
その手まで、パシッと掴まれ、雪の大きな手に包まれれば。桃はこれが現実であるとじわじわ理解する。
「...どうして?」
「それより」
ギラと強い光を宿して至近距離で見つめられ、桃はピタリと動きを止める。
雪は腕を解いて、トスンと桃のすぐ隣に座った。
「...東堂 元に告白された?」
「あ....」
どうして知っているのだろうと、気まずく視線を逸らす。じっと見つめたまま、雪はおもむろに言った。
「....ダメだよ」
「え?」
ーーよそ見なんて許さない。僕のことだけ見てて。
「....ゆ、きさん?」
雪が、再び...今度はそっと...桃の冷えきった手を握る。
その間も、視線はじっと桃を貫いていて。
桃はその妖しい美しさに囚われて、動けない。
いつも優しく、穏やかで。
静かな海みたいな。しんしんと降る雪みたいな。
桃の知る雪は、そんな人物だったのに。
今はまるで...獲物を狙う獣のようだ。
トクントクンと胸が騒いだ。
と、雪の綺麗な唇がゆっくり動いて...言葉を紡いでいく。
「....桃ちゃん」
「.....はい」
ーー18歳の誕生日、おめでとう。
「........っ」
思わず口元を押さえた桃に、さらに言葉を続けた。
「...やっと、言える」
「....え?」
ーー僕に、君を一生守らせてほしい。
ーー僕の『花嫁』になって下さい。
「.......っ」
ぎゅぅと、目を瞑って涙を堪える桃を、雪は大きな身体で抱きしめる。
「....返事は?」
耳元で問われて、カァと赤くなりながら。
桃はコクリとひとつ頷いた。
「....いい?」
「はい...よろしくお願いします」
ぐすっと鼻を鳴らしながら、震える声で伝えれば、雪は満面の笑みを浮かべる。
再び抱きしめられて。さっきまで凍えていた体も心も、ぽかぽか温かくなっていた。
「...残念だな」
「.......へ?」
ちゅっ。
突然、額に落ちてきた口付け。
桃は、しっとり濡れた感触を肌で感じた。
「...本当の誕生日は、明日だろう?...あと数時間だけど」
ーー今日は...我慢しなきゃね。
「....っ、うん」
「はは、真っ赤だ。可愛い」
ぷしゅうと湯気が上がりそうなほど、顔を赤くして。桃は額を押さえていた。
嬉しそうな雪に、つんつんとほっぺをつつかれる。
「....桃ちゃん。...大好きだよ」
そう言って雪は、桃を抱き寄せる。
手の甲や額、耳、頬。色々なところに、軽くリップ音を響かせて。キスの雨が降ってきた。
「...ふふ、くすぐったい、雪さん」
「ん。ごめん...可愛すぎて」
「...もう。...あれ?そういえば、どうして元ちゃんに告白されたこと知ってたの?」
「...それ。繋がったままだったよ」
「.....?....っ、え、うそ!」
携帯電話の電源ボタンはまだ押されていなくて。電話はずっと繋がっていた。
気づいた桃は慌てたけれど、雪はくすくす楽しそうで。
「昔、言った言葉みたいで。僕は嬉しかったよ?」
「....“ずっと繋がっていられる“?」
「覚えてたんだ」
「うん、だって...嬉しかったもん」
二人視線を交わして、微笑み合う。
空を見上げれば、いつの間にか、藍色から夜の色へと変化していて。
公園の中にも、ベンチから見える景色にも。
人の影は見当たらなくて。
世界に二人だけしか存在しないような...
そんな気持ちになった。
「ねぇ....花嫁って」
「うん?」
「雪さん...もしかして、獣人さんだったの?」
「....ああ。意味が伝わってて良かった。...あとね、僕、君に言っておかないといけないんだ」
「........?」
「...誰も居ないから。少しだけ、目瞑っててくれる?」
「はい...」
そう言って立ち上がった雪は、桃が目を瞑ったのを確認すると....その姿を一変させた。
「...いいよ」
桃は目をゆっくりと開け、目の前の光景に息をのんだ。
「...雪、さん?」
「...そう。僕だよ」
そこには、夜の闇にも負けない白銀色の毛皮に覆われた大きな獣。月の光を受けて、幻想的に輝いていた。
まるで、自分が物語の中に入り込んだ錯覚に陥る。
ーーすごく...綺麗。
桃はうっとりと見惚れてしまった。
「....僕、獣化できるんだ」
「....けもの、か?」
「うん。...獣人には、時々居るんだよ。僕みたいな特異体質の者が」
「........」
「もちろん。今はコントロールできるし、生活で困ることはない。....嫌、になった?」
「...ううん!そんなこと、絶対ない!」
桃は、ぶんぶん首を振って。そっと雪に近づいた。
「...触ってもいい?」
「うん...」
それは、ふわふわもこもこしていて。しっとり柔らかい。
「うわぁ....っ、すっごい気持ちいいね」
「....そうかな」
「うん!ずっと触れてたいくらい」
桃は嬉しそうに笑った。
「...良かった。僕ね、家族は持てないと思ってたんだ」
「..........」
「でも、『花嫁』と...桃ちゃんと出会えて。僕は本当に幸せだ」
「私も....」
桃はふわふわの毛皮に抱きついて頬ずりした。
雪はペロリと桃のほっぺを舐めて、そしてまた人の姿へと戻っていく。
「あ....桃ちゃん」
「ん~?」
ご機嫌の桃が見上げれば、そこにはギラギラ光る雪の瞳。
「...東堂 元には、僕が断りを入れておくから」
ーーいいよね?
「....っ、は、はい」
二人の恋は、今始まったばかりだーー。
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